『マギレコ』(アニメ原作)と『オルサガ』(完全オリジナル)のシナリオの作り方の違いとは?【f4samurai】

ゲームのシナリオを作る際、完全オリジナルと原作がある作品のゲームのシナリオづくりに違いはあるのでしょうか?

10月28日に行われたセミナー「シナリオ塾」(主催:クリーク・アンド・リバー社)では、そんな興味深いテーマについて語られました。

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このセミナーは現役ゲームシナリオライターやゲームシナリオライティングに興味を持つ人を対象にしたもので、f4samuraiの田口堅士さん(取締役COO兼ディレクター)や佐藤允紀さん(CMO兼プロデューサー)が登壇。

f4samuraiが開発・運営を担当する『マギアレコード 魔法少女まどか マギカ外伝(マギレコ)』および『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-(オルサガ)』は、いずれもf4samuraiのシナリオチームがストーリー制作を担当しています。

大人気アニメを原作としたゲームである『マギレコ』と、自社IPゲーム作品である『オルサガ』。この2つのゲームのシナリオ制作のスタンスを比較しながら、それぞれの特徴や制作秘話が明かされました。

f4samuraiのシナリオ制作体制について

開発だけでなく運営も行う、トータルプロデュース能力に長けたゲーム会社として知られるf4samurai。

それはゲーム開発部分についても同様で、システム開発だけでなく、イラストやシナリオも自社内でほぼすべて対応。外注ではないメリットを生かしたゲーム開発&運用を行っていることが特徴です。

現在の社員は約110名で、シナリオを担当するライターチームは12名が所属。基本的には各作品に専属となり、作品内でメイン担当(物語本編とイベントにそれぞれ担当を立てるなど)を割り振っているとのこと。

ゲーム開発において、クオリティアップのための作り直しや改善は恒常的に行われます。

そんな時、ディレクターとシナリオライターが別会社の場合、ともすれば修正意図がうまく伝わらずに何度もリテイクが続いてしまうこともありがちですが、社内でシナリオも担当しているf4samuraiの場合は開発とシナリオ担当が同じ現場で一緒に作業をしているため、コミュニケーションの齟齬は少ないとのことでした。

また、田口さんはシナリオライターが楽しんで執筆ができるように、以下のことを重視しているそうです。

  • 得意な話を書いてもらう:できるだけ書いてもらったものへの修正を行わない形にしたいため、得意分野を生かす形での執筆を重視しているとのこと。
  • 書くことに集中できる環境:ライターがシナリオ執筆に専念できるような環境作りを大事にしているとのこと。
  • シナリオ会議は楽しく:ほとんど雑談で終わることもあるが、そこからイベントのアイデアが生まれることも多いとのこと。

特にシナリオ会議はおもしろい結果に結びつくことが多く、『オルサガ』でユーザーからの反響が大きかったエイプリルフールイベントは、その会議の雑談から生まれたそうです。

▼『オルサガ』では、王道的なキャラクター設定でユーザーに安心感を与えつつ、物語を楽しむことに専念させるような工夫がされています。
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また、キャラクターデザインが微妙だと感じて一度はボツにしたキャラも、シナリオ会議で何度も話題にでるうちに実際に本編に出してみることになり、その結果、第3部まで出番がある人気キャラに育ったという例もあるとのこと。

こういった「楽しさ」を重視するスタンスはf4samuraiの企業理念である、

世界に“一番のワクワク”を届ける
「おもしろき ことがあり世に おもしろく」

というところにもしっかりと表現されていると感じました。

『オルサガ』の周年イベントでは、「楽しそうだから」「ユーザーさんに喜んでほしいから」という気持ちで、たった6時間限定でしか開催されないレイドイベントのために300キャラ全員分の掛け合いを作ってしまったそうです!

300人×150文字=45,000文字という労力を気にせず、本当に形にしてしまうエネルギッシュなところも、f4samuraiらしいと言えるのではないでしょうか。

マギレコ制作秘話:監修者からの指摘は大きな財産になる!

セミナーでは、佐藤允紀さんから『マギレコ』のシナリオに関する開発秘話が明かされました。

動画:スマホゲーム「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」ゲームシステム紹介PV(シャフト新作アニメーション) – YouTube

2015年9月に初めて、アニプレックスさんにお会いしてからすぐの企画開始、リリースまでのシナリオ制作の経緯について話がされました。

『マギレコ』のシナリオはとにかく「『魔法少女まどか☆マギカ』らしさ」を大事にし、特にキャラクター=魔法少女の価値を生み出せるシナリオにすることを意識したとのこと。

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それに加えて、魔法少女の価値(個性、魅力、強さ)の魅せ場をつくることも大事に。

そして、遊んだ人が誰かに伝えたくなるようなシナリオで体験の共有欲求をつくり、新規ユーザーを獲得すること。

くわえて、毎週月曜に新ストーリーを定期的に追加することで、ユーザーがゲームを遊び続ける継続動機をつくること。

こういった部分を意識してシナリオをつくっていったそうです。

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そのため、原作アニメを何十回も見直して、自分たちなりの『魔法少女まどか☆ マギカ』らしさを分析していったそうです。

そして、強い信念を持つ原作関係者と一緒に仕事をすることは刺激になり、とても勉強になる指摘が多く、f4samuraiのシナリオ力を引き上げてもらえたと語っていました。最後に、関係者や監修者への感謝を述べていました。

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オルサガ制作秘話:王道RPG=裏切らないことに対する考え方

田口堅士さんが語ったのは、完全オリジナルのシナリオが展開する『オルタンシア・サーガ』について。

『オルサガ』については王道RPG=ベタであることを重視して、シナリオを作っていったそうです。

動画:オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団- 第三部アニメーションムービー – YouTube

その際の具体的なキーワードは「重厚な世界観」「騎士道」「細部までこだわった設定」でした。

戦記ものである『オルサガ』だけに、時代設定や言語設定、騎士に関する設定など、かなりしっかりと作っていったそうです。

例えば、騎士が王様を呼ぶ際の呼び方1つとっても、「今回の物語では猊下(げいか)が適している」など、とにかくしっかりと作りこんでいったそうですが、気がつくとどんどんと物語が難しくなってしまい……。

ふとした時に田口さんがシナリオライターと話をしたら、「『オルサガ』=ダークファンタジー」だと思ってシナリオを書いている人だらけになっていて、「これはマズイ!」と方向修正をしたそうです。

田口さん自身は「王道RPG」を作っていたつもりが、うまく意図が伝わらずに周囲は「ダークファンタジー」だと思い込んでいたという失敗例として語っていました。

そういう流れもあり、いくら正しいからといって「猊下(げいか)」のような難しい言葉は使わず、もっと身近な文章選びを行うことにしたそうです。

ただし、騎士団の心得や心情的な部分はきちんと正しい設定を踏まえてシナリオに盛り込む工夫をしているとのことでした。

このように、田口さん、ひいてはf4samuraiのシナリオチームが意識しているのは「物語>設定」という考え方。

「ユーザーは設定を知りたいのではない。感動したい」という考え方のもと、ユーザーがシナリオを楽しみやすい演出や工夫をしているとのことでした。

それは例えば、メッセージを表示する文字量にも現れています。スマホゲームのシナリオは「読むものではなく、見るもの」という持論のもと、21文字×2行という限られたスペースでセリフや情景描写をしているわけです。
(余談ですが、開発当初は28文字×3行くらいでしたが、文字が多くなりすぎるため変更をかけたとのこと。文字量にあわせてシナリオをすべて調整しないといけなかったため、シナリオチームから怒られたそうです。笑)

また、プロローグのセリフについても、「その場面でそのキャラが実際に言いそうなセリフはなんなのか」を徹底的に話し合い、最終的には会議室でシナリオライターにセリフを音読させて、違和感をなくしていったそうです。

▼「ケルベロス」という伝説の魔物を目にした時に、どんな反応が不自然なのかを話し合ったとのこと。5、6回のリテイクを経て、やっとフィックスしたそうです。
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▼会話画面のセリフはスキップできますが、バトル中のセリフはスキップできないという仕様を生かして、重要なセリフはバトル中に言わせるというテクニックも有効とのこと。
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こうして、ユーザーにとって親切な、わかりやすくておもしろい物語ができあがりましたが、シナリオライターにとっては「せっかく考えた設定を出し切れない」というジレンマを抱えることになります。

そこで田口さんが出した答えは、シナリオの役割や目的に応じて違う見せ方をすること。具体的には以下の3種類+イベントの4種類のシナリオの見せ方を用意しました。

  • 本編:主人公視点のメインストーリー。王道RPGとして、ユーザーを裏切らない物語を展開。難しい設定は極力排除。
  • 外伝:メインストーリーの裏側を他のキャラ視点で描く。ライターのエゴやフェチもなんでも盛り込んでオッケー。
  • 騎士伝:キャラクター個別のシナリオ。キャラを好きになってもらうため、かわいい、もしくはかっこよく表現することが大事。
  • イベント:上記3つ以外でユーザーが望んでいることを表現。ある意味でシナリオライターの息抜き的なものとしても機能。

そして、これだけ力を入れているシナリオだからこそ、できるだけ多くのユーザーに楽しんでほしいという工夫もされています。

その一例が、ほぼすべてのキャラクターに低レアの「ノーマル」が用意されていること。高レアでも低レアでも、そのキャラに応じた同じ騎士伝が楽しめるため、課金をしなくてもキャラ別のエピソードを楽しめます

普通なら、ガチャで高レアのキャラを仲間にした際の「ごほうび」としてキャラ別エピソードを楽しめるようにするのが一般的ですが、「シナリオを読んでほしい」という気持ちでこういう仕様を実現できるところは、開発と運営が一体化したf4samurai
ならでは
という気がしました。

その他、全体としては「ユーザーの想像を裏切らないシナリオ」としているものの、あえてプロローグやエンディングは「裏切る」作りにすることで、より効果的な演出につなげていると語っていました。

▼プロローグは12月5日の物語で、第一部の最後も12月5日として、リアルに12月5日に配信するという仕掛けがされていました。ネタバレは控えますが、エンディングの展開は衝撃的です!
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▼明らかに同一人物なキャラクターも、あえてゲーム中では明言しないことで、ユーザーに「もやもや感」を与えるという手法もとられています。
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このように完全オリジナル作品は、自分たちでなんでも自由に作れる反面、設定にこだわりすぎて重苦しくなってしまうなど、やりすぎてしまう危険性もあるという講演だったと感じました。

完全オリジナルと原作がある作品のゲーム化の違いは?

田口さんと佐藤さんの講演のあとには、f4samuraiで実際にシナリオを書いている2人のチームメンバーも合流し、座談会形式での質疑応答も行われました。

特に興味深かったのは、「大人気原作アニメと自社IPゲーム。比較してみて書きやすいところや苦労するところは?」という質問について。

これについては、それぞれシナリオを作る際の入口の時点で大きく違うと語っていました。

  • 原作付きの作品:すでに世界観やキャラクターがあるため、ファンが見た時に違和感がない「らしさ」を生み出すことが大事。
  • 自社IPゲーム:世界観やテーマの土壌作りから始めないといけない。

『オルサガ』のシナリオチームもコラボで原作付きの作品のシナリオを執筆することもあり、その際にはファンや原作者に失礼がないようにたくさん勉強をしてから書いていると語っていました。

『アンジュ・ヴィエルジュ』や『オルタンシア・サーガ』といった長期展開が続く作品を開発&運営しているf4samuraiは、さらなる飛躍のため、プランナーやシナリオライターをはじめ、今なおスタッフ募集を行っています。

シナリオ作りの環境を大事にし、物語を描き切ることを大切にしているf4samuraiに興味を持った方は、エントリーしてみてはいかがでしょうか。

→f4samuraiのスタッフ募集はこちら:f4samurai公式サイト

【「シナリオ塾」×『マギレコ』×『オルサガ』概要】
●開催日時:10月28日(土) 13:00~16:30 (受付12:30~)
●場所:クリーク・アンド・リバー社 本社2Fホール
 東京都千代田区麹町2丁目10番9号C&Rグループビル(地図
●対象
・ゲームシナリオ制作に興味をお持ち方
・ゲームシナリオのライティング経験をお持ちの方
*学生不可。ファンの方の入場はご遠慮ください。
●登壇者
株式会社 f4samurai
田口 堅士(取締役COO兼ディレクター)
佐藤 允紀(CMO兼プロデューサー)
●参加費
・無料
●定員
・50名
●共催
・株式会社f4samurai

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©SEGA / f4samurai
©Magica Quartet/Aniplex・Magia Record Partners

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