【マギレコインタビュー】Live2Dだからこそできたアートワーク。予算やスケジュールの限界がクオリティ上限ではない!

12月4日に秋葉原UDXで行われたLive2Dのカンファレンス「alive 2017」。

そこで行われた『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(マギレコ)に関するセッション「マギレコのアートワークとLive2Dの位置づけ」(登壇者:f4samurai・佐藤允紀さん)のレポートをお届けします。

あわせて、佐藤允紀さんにインタビューを行い、f4samuraiが求める人材や『マギレコ』の新情報についてもお聞きしてきました!(文:ライターM)

▼alive 2017のブースでは簡易面接を実施。Live2Dに興味を持つ学生やクリエイターも訪れていたようです。
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▼f4amuraiの人気タイトルがデザインされたミネラルウォーターや、開発スタッフ描きおこしのイラストのステッカーも用意されていました!
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『マギレコ』のアートワークとLive2Dの位置づけ

なぜLive2Dをおすすめするのか?

『マギレコ』のプロデューサーである佐藤さんがセッションの最初に語ったのは、Live2Dという技術がゲーム分野において、より多くのタイトルで使われて普及するお手伝いをしたいということ。

その理由の1つとして、Live2D社の役員の東舘さんと石川さんとの出会いや、手厚いサポート体制について語っていました。

運用中のタイトルのリニューアルでの実装も検討したそうですが、開発当初より組み込まないと非常に成立が難しく、『マギレコ』からのLive2D導入となったそうです。

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その際、f4samuraiのスタッフがLive2D社で研修を受けることができ、短期間での技術習得ができたことも大きかったとのこと。サポート体制がしっかりしていることも、Live2Dをおすすめする理由だと語っていました。

こういった事例を踏まえて、佐藤さんはツール選びの際に「人」の存在はとても大事だと強調していました。

『マギレコ』におけるLive2Dの活用例

『マギレコ』ではADVパートでLive2Dが活用されています。これは開発の初期から意識しており、「魔法少女の個性を表現」するために必要だったとのこと。

また、ボイスやエフェクト、攻撃モーションといったさまざまな要素でも「個性」を出すことを重視したそうです。

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そのため、通常は共通モーションを作ってLive2Dの作業を簡略化することが多いなかで、あえて『マギレコ』は魔法少女ごとに固有のモーションを作成することに。

非効率ではありますが、固有のモーションを前提とすることで魔法少女の個性がより際立つようになり、『マギレコ』ならではの演出が実現されているわけです。

グラフィック作りに関するf4samuraiからの教訓

会場に集まったクリエイターや学生に対して、f4samuraiでの実例を踏まえたグラフィック作りへの教訓も語られました。

Live2Dなど、新しい技術を導入する際は「仕様が決まっていないから動けない」「そもそも誰が仕様を決めるの?」など、初動が遅れがちになるとのこと。

初期からスケジュールを考え、技術検証を進めるなど、準備をしておくことも大事になるわけです。

また、『魔法少女まどか☆マギカ』という原作アニメを持つ『マギレコ』のような作品は、版元の監修もあるため、社内=自分たちだけで作業が完結しないことも意識する必要があると語っていました。

そして最後に強調していたのは、ゴールの設定を間違えないようにすること。

ゲーム開発をしていると予算やスケジュールの限界がクオリティ上限だと勘違いしてしまいがちですが、それは本質ではないと佐藤さんは警告します。

また、版権元などの外部監修がある場合、その監修完了がゴールのような錯覚をしてしまうこともありがちです。

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絵を動かせるLive2Dだけに、キャラクターデザインをしたイラストレーターの方のこだわりに応えることも、大事です。

f4samuraiのポリシーとして、外部監修と自分たちのクオリティ追及のどれもが大事であり、スタッフ個々人が妥協をせずにクオリティを突き詰めることが大切とのことでした。

数々の人気タイトルを運用・開発してきているf4samuraiならではのシビアな考え方ですが、だからこそ数年以上におよぶ長期展開タイトルが実現されているのかもしれません。

先日発表されたばかりの新作RPG『ワンダーグラビティ~ピノと重力使い~』も含めて、さまざまなタイトルの開発・運営を行っているf4samuraiは、さらなる開発ライン拡大のため、スタッフ募集を行っています。

グラフィック面では、「Live2Dモーション制作」「2Dアニメーション」「イラストレーター」を募集中なので、f4samuraiに興味を持った方は、エントリーしてみてはいかがでしょうか。

→f4samuraiのスタッフ募集はこちら:f4samurai公式サイト

『マギレコ』インタビュー:Live2Dだからこそできたアートワークとは?

『マギレコ』でLive2Dを導入した理由とは?

ーーf4samurai作品では2Dキャラが滑らかに動くということもあって、以前からLive2Dを使われていたという印象も受けたのですが、『マギレコ』で初めてLive2Dを採用された理由などをお聞かせください。

佐藤:Live2Dに興味を持った時期自体ははやかったのですが、じゃあ、どんな作品のどんなところに使えばいいのか、なかなか定まらない部分もありまして。

「絵を動かせる」というLive2Dの強みをストーリーに深みを持たせるために使うのか。イラストを躍動的に見せるために使うのか。

動画:スマホゲーム「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」ゲームシステム紹介PV(シャフト新作アニメーション) – YouTube

『マギレコ』は開発当初から「リミットを外して作ろう!」という発想からスタートしたので、とにかくできることのMAXで行くことにしました。

キャラクターを魅力的に動かしたいと考えた時、「Live2Dは絶対外せないよね」となり、そのタイミングでLive2Dにトライすることを決めたんです。

ーーLive2Dのメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか? 技術習得が終わってしまえば量産がしやすいとか?

佐藤:高クオリティなモーション付きのキャラクターを2〜3週間で形にできるというのは、驚異的なスピードかと思います。

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本格的な3Dモデルを作れるクリエイターの方はたくさんいらっしゃいますが、どうしても制作に時間がかかりますし、テクスチャのクオリティなどもユーザーに求められる基準が高いです。

でも、Live2Dの場合、元の素材素材を生かしたうえで、お客さんにもきちんと満足していただける、ちょうどいいクオリティの出しやすさもいいところなのかなと思います。

単に動かすだけでなく、より表現力が大事になる時代へ

ーーツールとしてのLive2Dの完成度が高まっているという印象を受けますね。

佐藤:Live2Dが一般的になってきたがゆえに、「うわぁ、絵が動く! なんで!?」という時代から、「動かして当たり前」となり、より演出の腕の見せどころになってきた感があります。

むしろ、意味なく動かすのをどう控えるか、シーンごとにメリハリをつけて、動きに意味を持たせるような考えを持てるかという時代になってきている気がしますね。

ーー単に動かすだけではなく、動きの表現が重要であると。

佐藤:我々もLive2Dを使い続けて、だんだんそれに気づき始めたところです。『マギレコ』の場合、ホーム画面でのモーションについても、意味や狙いを考えて作るようになってきました。

「この女の子はこんなに動かないよね」とか、「こういう表情はおかしいよね」とか。そう考えていった時、むしろ止まっている状態のほうが自然ということもあります。

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ーーちなみに『マギレコ』で最初にフィックスしたのはどのキャラだったのでしょうか?

佐藤:具体的にどのキャラかはお答えしかねますが、オリジナルキャラと原作キャラと両方を同時に進めました。

監修する方々に確認をお願いする際に、オリジナルキャラと原作キャラを並べて見せるほうが、いろいろと比較やバランスを見て考えていただけると思いましたので。

また、社内の作業的にも、すでにデザインができている原作キャラと比べて、オリジナルのキャラの作成にどのくらい時間がかかるのか、早めに工数を確認しておきたいという狙いもありました。

衣装にパーツがたくさんついた派手なキャラとか、スカートがひらひらしているキャラとか、「これをLive2Dで動かすのは難しそうだな」と、むしろ大変そうなキャラに早めに着手しないと、工数が見えてこないんですよ。

監修者の方にも、瞳の歪みがあると一発で指摘されますし、何を懸念されるかなというのを確認しなければいけなかったというのが最初でした。

ーーバトルはどんなツールで作られているのですか?

佐藤:それはCocosの2D Animation Editorを使っています。少々誤解されている方もいらっしゃるのですが、バトルはCocosの2D Animationで、演出がSPARK GEARですね。

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ーーLive2Dの特徴として、一枚のイラストさえあれば、それをベースにいろいろと動かせる部分があると思います。『マギレコ』の場合は、蒼樹うめ先生の原画をそのまま使っているのでしょうか?

佐藤:いえ、ゲーム全体としてのバランスをとる必要もあるため、蒼樹うめ先生の原画をもとに、社内でゲーム用に描き起こしています。

ーーゲームの中での整合性の問題ですね。

佐藤:なので弊社の社員が原画を描き、SD原画も描き起こしています。

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ーーLive2D社さんではCubism Editor(キュビズム)やEuclid(ユークリッド)など、開発者が使いやすいツールを自社内で力でいれて開発していますよね。導入しやすい土台ができてきたからか、ゲームだけでなく、CMなどの映像分野でもLive2Dを見かけることが多くなりました。

佐藤:Live2D社さんは、より便利なツールを開発して外部に提供することで普及させていき、自分としては『マギレコ』のような実例を作り、ゲームに実装する際の具体的な苦労やノウハウを同業者に向けて発信することで、Live2Dを使いやすい環境づくりのお手伝いをできればと思っています。

大変だったf4ファンフェス。次回開催の可能性は?

ーー12月3日に行われた「f4ファンフェスティバル」についてお聞きします。f4samurai主催として初めてのリアルイベントとなりましたが、率直な感想はいかがでしょうか?

佐藤:開発会社が慣れないイベント企画をしたものなので、前日まで準備が続いて、イベント当日もずっと裏で台本を修正したりオリエンテーションや演者さんの送り出しをしたりと、飲まず食わずで大変でした。

ーー『アンジュ』はこのタイミングで新曲が発表され、来年夏には「最終編」が用意されていることも発表され、「まだまだ『アンジュ』を遊び続けられてうれしい!」というファンの声が大きかったように感じました。

佐藤:そういった反応を生で見ることができたのは、リアルイベントならではで、本当にf4ファンフェスをやってよかったと感じました。正直、お客様の反応を見て、『アンジュ』のプランナーと2人で控え室で泣いてしまい、演者様方に驚かれました。

それから会場の音響がすごくよかったので、そういう部分でも感動しちゃうんですよね。『マギレコ』ステージで変身アニメに合わせて演者さんが入ってくるシーンもすごい盛り上がりましたし、『アンジュ』のライブ迫力もすごかったです。

生放送での視聴回数も50万以上という好記録を出せて、本当によかったです。

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ーー今回は複数タイトルでのリアルイベントということで、準備が大変だったのでは?

佐藤:もちろん、大変でした(苦笑)。リアルイベント開催を考え始めたのは半年くらい前からだったので、例えば『オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団-』の場合は『エヴァンゲリオン』コラボの時期にあわせるなど、各作品の盛り上がりの時期とf4ファンフェスのタイミングを合わせる仕込みができました。

新作RPGとなる『ワンダーグラビティ ~ピノと重力使い~』も、ちょうどいいタイミングで続報を出すことができたので、ホッとしています。

ーー自分もいちファンとしては、楽しくイベントを楽しむことができました。

佐藤:今回は特に「ユーザーの皆さんへの感謝祭」という位置づけでもあったので、開発者の気持ちをきちんと伝えるような形にしたり、ライブなどを交えて楽しんでもらえるようにしたりと、一方通行で情報を宣伝するだけのステージにならないように意識しました。

細かいところでは、生放送の終わり方1つとっても「さようなら」ではなく「ありがとうございます」で締めるなど、とにかくユーザーさんへの感謝を前面に出す形にしました。

『マギレコ』のフルボイス化は順調! 来年始には一章がフルボイス化

ーーフルボイス化やクリスマスイベントも発表された『マギレコ』の今後についてお聞かせください。

佐藤:スケジュール感で行くとすでにプロローグのフルボイスは実装して、一章のフルボイスも来年始には対応予定です。

あとは、ユーザーさんの中ですごくやり込む方と、ストーリーやキャラを楽しめれば十分という方々と両方いるので、両軸でのイベント展開を考えています。

▼プロローグはすでにフルボイス対応済み。アーカイブから見直すことができます。
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例えば期間限定のミラーズランキングを実装してガチなプレイヤーさんに楽しんでいただく一方で、もっとライトに楽しく物語を楽しみながらキャラを成長させられるイベントを同時に実施するとか。

そういう方向性が異なるイベントを並行して実施できるような形の運営にしたいので、ここ1、2ヶ月は特に忙しくなります。そういうライン確保のためにも、引き続きスタッフ募集をしている状況です。

ーー個人的には今回の由比鶴乃のドッペル解放までナビゲートしてくれるイベントは、非常にわかりやすくてありがたかったです。

佐藤:f4ファンフェスで発表した踏破型の新イベントは、敵がどんどん登場して、何waveまで戦い続けられるかの長期戦になるので、ドッペルを使う機会も増えるかと思っています。

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また、ドッペル解放という要素自体がやり込みが必要なエンドコンテンツであり、たどりつけていないユーザーさんも多い印象です。

先日行った鶴乃のドッペル解放イベントのような形で、今後もああいう形でドッペル解放をサポートしようと思っています。

ーーそれはうれしいです! その際はやっぱり、鶴乃のイベントのようにドッペル解放までのストーリーも語られる形になるのでしょうか?

佐藤:そうですね。ドッペルの解放は魔法少女たちにとって、とても重要なエピソードとなるので、丁寧に描いていくつもりです。

ーークリスマスイベントはどのようなものになるのでしょうか?

佐藤いろは、鶴乃、レナのクリスマス衣装を用意していて、基本的にはイベントの報酬として入手できるようにする予定です。

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また、シルエットを先行公開したピックアップキャラも登場します。

ーーそれこそ、シルエットを見ただけでもLive2Dを作るのが大変そうなキャラですけど。

佐藤:本当に大変でしたが、もうフィックスしているので、イベントが遅れることはありません(笑)。

かなり演出に力が入っており、ドッペルやマギア演出にも力を入れておりますので、ご期待ください。

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ーーちなみに、自分を含めて多くのユーザーが気になっている、美樹さやかの登場時期ですが、いかがでしょうか?

佐藤:そこは最新のメインストーリーを追っていただければ、さやかが出てくるタイミングは察していただけるかと思います。

特に理由もなくさやかが登場することはなく、物語の見せ場とあわせて登場しますので、ぜひご期待ください。

ーーメインストーリーの4章では杏子が、5章ではまどかたちが登場したので、6章以降の展開が楽しみです!

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f4samuraiが求める人材とは?

ーー最後に、f4samuraiが求めている人材についてお聞かせください。

佐藤:先日発表した新作RPG『ワンダーグラビティ』を含めて、そもそもの開発ラインが増えてきていることも人材募集の理由ですが、それに加えて、各タイトル内でのイベントも大規模なものが増えてきています。

例えば『マギレコ』の場合、やり込み派のヘビーユーザーさん用と物語を楽しみたいユーザーさん用と、大きく2種類のイベントを並行して提供していきたいと考えています。

そうなると必然的にラインを増やす必要が出てきますし、従来の2倍近い作業が必要となるわけで、そのためにもf4samurai全体として人材募集を強化している状況です。

ーー例えば『マギレコ』の場合は、どういった人材を必要としているのでしょうか。

佐藤グラフィック系ですね。基本となる魔法少女の数を増やすためにも、バトルなどの演出を強化するためにも、まずはグラフィックを作らないといけませんから。

まずはキャラ作成の要となる、Live2Dのモーションを制作できる人材を募集しています。

ーーLive2Dの技術に習熟している人が望ましいわけですね。

佐藤:それがベストですが、入社後に研修もありますし、作り方のルール的なものはタイトルごとの異なる部分もあるかと思いますので、最低限の知識があればエントリーしていただいて構いません。

次に欲しいのは、バトルなどでのSDキャラのアニメーションをつけられるスタッフです。ドッペルの演出はとにかく大変なので、Cocosの2D AnimationやSPARK GEARを使える方は、ぜひ応募いただければと思います。

あとはもちろん、メモリア用のカードイラストを描けるイラストレーターさんも募集しています。それぞれ「急募」となりますので、ご興味がある方はぜひスタッフ募集にエントリーをお願いいたします。

→f4samuraiのスタッフ募集はこちら:f4samurai公式サイト

ーー技術的なもの以外の部分では、どのような人材にきて欲しいと思いますか?

佐藤:弊社の行動指針8か条に共感を持っていただける方だとうれしいですね。

なかでも、「妥協せずモノを作る人」は必須だと思っています。

これはAlive2017でも話したことですが、スケジュールや予算でゴールを決めてしまうのは、クリエイターとしてあまりよくないことで、自分自身のなかで「妥協をしないこと」は本当に大事だと思っています。

『マギレコ』を例にあげると、鶴乃のドッペル演出って、一度監修を終えてフィックスしたあとに、デザインスタッフが「どうしても調整したい」と、空き時間で演出を変更して提出してきたんですよ。

ーー監修終了後に自主的なリテイクですか!? それはすごいですね。

佐藤:設定のなかで「火打石を使う」という言葉があったので、それを拾ってビジュアル的にきちんと見せるために、どうしても調整したかったそうです。

スケジュール的にはタイトでしたが、あらためて監修をお願いしところ、「さらによくなりましたね」とお褒めの言葉をいただけました。

グラフィック系に限らず、その他の職種も幅広く募集しておりますので、プランナーやシナリオライター、エンジニアの方なども、ぜひよろしくお願いいたします。

→f4samuraiのスタッフ募集はこちら:f4samurai公式サイト

『マギレコ』注目記事

マギアレコード 魔法少女まどかマギカ外伝 ・販売元: Aniplex Inc.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 57.6 MB
・バージョン: 1.0.0

©Magica Quartet/Aniplex・Magia Record Partners

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