日本のゲーム業界の教育を変えたい。大学の客員教授に就任した塩川氏が意気込みを語る

本日3月13日(火)に大阪成蹊大学(以下、同大学)で、ディライトワークスと同大学の連携協定締結と芸術学部 造形芸術学科に開設される「ゲーム・アプリケーションコース」についての記者会見が行われました。


記者会見では、ディライトワークスの代表取締役社長・庄司顕仁氏、同社執行役員クリエイティブオフィサー・塩川洋介氏、同大学から理事長・総長の石井茂氏、専務理事の佐藤英夫氏、学長の武蔵野 實氏、芸術学部長の門脇英純教授、同学部 造形芸術学科長の糸曽賢志教授、同学部 同学科の川和夕記准教授が出席しました。

同大学とディライトワークスは、連携協定にもとづき、さまざまな産学連携事業の実施を予定しています。

「創点 弟子入りプロジェクト 出張!塩川洋介独演会 in 大阪」

ディライトワークスが東京で開催したイベントを、産学連携プログラムの一環として大阪成蹊大学で6月(予定)に同大学在学生や未来のゲームクリエイターを志す人を対象に開催されます。関西で「創点 弟子入りプロジェクト」のイベントが開催されるのは初めてです。

同プロジェクトは、「ゲームを“創れる”」クリエイター育成のために2017年8月にディライトワークスが立ち上げた人材育成プロジェクト。FGO PROJECT クリエイティブディレクターの塩川洋介氏が実際にどのような考え方で仕事をしているかを学べます。

塩川氏がオープンキャンパスにて高校生を対象にしたプログラムを実施

塩川氏は2018年に開催される大阪成蹊大学のオープンキャンパスで、高校生を対象としたプログラムを実施する予定です。初回は4月予定。

詳細が決まり次第、大阪成蹊大学のホームページで発表されます。

ディライトワークスのクリエイター陣による特別講演

ディライトワークスの様々な分野のクリエイターが大阪成蹊大学で講演を行います。

第一弾として、家庭用ゲームのアートディレクターとして長年活躍し、2018年2月にディライトワークスのアート担当クリエイティブオフィサーに就任した直良有祐氏の登壇が決定しました。

このほかにも、下記の取り組みが予定されています。

【協定による取り組み予定】
・両者の協力による産学連携プログラムの実施
・特別講義や講演、イベントなどでのディライトワークスによる講師の提供
・最先端の学修環境導入のためのディライトワークスへの技術相談
・クリエイター育成のための教育教材などの共同開発
・学生のインターンシップに関わる協力
・広報活動の相互協力

身をもって先陣をきり、日本のゲーム業界の教育を変えたい

記者会見で庄司氏は、ゲーム開発を行っている中で直面している課題として「クリエイターの育成」があると説明。

独自に社内・社外でも行ってきたが、初めて教育という形でも取り組み、若いクリエイターに向けてできることを精一杯やっていくと意気込みを語りました。

大阪成蹊大学の石井理事長は、教育として一番大事なことは「いい教育を行う」に尽きると説きます。同じように庄司さんへ「ゲーム開発で一番大事なことは?」と聞いたところ、「いいゲームを作ること」と答えたそうです。そんな近い理念を持った両者だからこそ、今回の連携協定が身を結んだのかもしれません。

▼ディライトワークス 代表取締役社長・庄司顕仁氏。
ディライトワークスの代表取締役社長・庄司顕仁氏


塩川氏は、なぜ客員教授に就任したかについて、「日本のゲーム業界の教育を変えたい」とコメント。

▼FGO PROJECT クリエイティブディレクターの塩川洋介氏。
FGO PROJECT クリエイティブディレクターの塩川洋介氏


塩川氏は2010年ごろからいろいろな講義や公演を行い、自身で企画して海外の専門書の監訳を行うなどゲーム開発以外の仕事にも携わってきました。

そんな中、アメリカのゲーム開発の場で働いていた時期に現役のトップクリエイターがゲームの学校で教えている状況を目の当たりにしたそうです。

自身が専門学生時代に現役のクリエイターに教わっていた経験について触れ、最先端の人間にしか学べないことを学べる環境が当たり前になればいいという考えから、身をもって先陣をきりたいと客員教授に就任したことへの意気込みを語りました。

塩川氏は、実際に客員教授として年間を通して学生に授業を行います。やるからには現場ですぐに役にたつこと、実際に自身がやっていることを相手が学生だと思わずに、普段から行っている若手や新人クリエイター教育だと思ってやっていくとコメントしました。

芸術学部長の門脇教授は、関西の教育の場では最先端の技術を教えられる人材を調達するのは難しいことについて触れ、ディライトワークスと連携協定を締結することで、今、最先端でゲーム開発を進めているクリエイターから学べることが大きなポイントだと語ります。

ここからは、記者会見で行われた質疑応答の模様をお届けします。

――協定にいたった経緯を教えてください。

川和准教授:私自身がゲーム業界で17年ほど現役として仕事をしておりまして、その中で塩川さんと一緒に仕事をする機会がありました。

大学に着任してからいろいろな人と話をしていく中で、塩川さんのゲームの作り方がより本質的で、現場の人間としても感銘を受けました。

そういったことをぜひ大学でも教えてほしいと、昨年7月にオープンキャンパスへお越しいただいたところ、好評を得ました。その反響を受けて何かできないかと話が進み、個人と個人の話から大学と企業の話につながり、今に至ります。

▼川和夕記准教授。
川和夕記准教授


門脇教授:昨年のオープンキャンパスでは高校生が非常に真剣な目で見ていたので、学部長の視点から見た時に、この人ならいけるのではないかと感じました。

実際に話をしてみると、クリエイターにもかかわらずマネジメント能力があるという印象を受けました。大学教員は自分の研究について話ができるだけでなく、マネジメント能力も必要ななので「これは来てほしい」と、その時に客員教授の話をさせていただきました。

――塩川さんに質問です。客員教授になられるということで、学生さんたちにはどういった心構えで受講してほしいと考えていますか?

塩川氏:教えるというもののタイプとして「講義」や「講演」といったいろいろな形式がありますが、今回は普通の「授業」として考えています。

自分がプレイしているゲームの開発者が来るから話を聞きに行こう、といったお客さん気分ではなく、自分がプレイしているゲームを作っている現場がどういったことを考えて作っているのか、そのノウハウを1つでも多く盗んでやろうという気持ちの方が来てくれることを楽しみにしています。

糸曽教授:本日のお昼に庄司さんや塩川さん含めてお話をさせていただいた時に、最近は高い目標を持った若い人が減ったと話をしていました。

その時に庄司さんが「ぜひ打倒塩川を目指すような学生に来てほしい」とおっしゃっていたので、ぜひそういった志が高い学生に来てほしいです。

▼糸曽教授。
糸曽教授


塩川さんへの個別インタビューの模様をお届け

全体の質疑応答後、個別に塩川さんにお話を伺う機会に恵まれました。以下で塩川さんへのミニインタビューの模様をお届けします。

――アメリカのトップクリエイターが学生たちに教えているという話がありましたが、今の日本ではどういった教育が必要なのか、塩川さんが感じていることを教えてください。

今のゲーム業界はある種変化が激しい時代だと思っています。例えば、今の人気ゲームが5年前には存在していなかったり、この何年かでVRが出てきたりですね。

その中で、何が起きても耐えられる人材にどうやったらなれるか、というのが人材教育の観点ではすごく重要だと考えています。

ある技能を持っている人材を「その技能があるから」と採用しても、例えば二年後にもその技能を使っているのか? ゲーム業界では時代が変わってしまうことが往々にしてあります。

自分自身がいろいろなプラットフォームやジャンルをやらせていただいて、そこで学んだ根っこの考え方は今でも生きていると思っています。

『FGO』に携わる前はスマートフォンの開発を一切やったことがなかったのですが、「ゲームのおもしろさとはなんだろう?」と本質を考え続けていたので、スマートフォンでも生かすことができました。

3DでVRを作ることになった時にも、当然VRを作った経験がなかったのですが、かつて3Dのアドベンチャーを作っていた際に、FPSなどでどうやってお客さんにメッセージを届けるのかを考えながらプレイしていました。

その時の経験がめぐりめぐって今も生きているので、根っこの部分をしっかりと持っていれば、おそらく何が起きても大丈夫なので、そういう人を育てたいと思っています。

塩川氏


――塩川さん自身がVRやアーケードゲーム、ボードゲームとどんどん『FGO』で新しい展開を作っていることにもつながっていますね。

それぞれ専門業界ですから、おいそれと入れるものではありません。しかし、先ほどお話した根っこは結構一緒だったりするので、アーケードゲームやボードゲームにも生かせている部分があります。

――今まさに現場に欲しい人材というのも、お話にあがったような人材なのでしょうか。

それが……現場は人手不足なので、どんな人でも欲しい状況です(笑)。

自分自身は技術者ではないので、プログラムや絵の描き方を教えられるわけではありません。自分にできることは何かと考えると、やはりゲームに対してのものの考え方になります。

――そういうところが「弟子」にもつながってくるのでしょうか。

今回の取り組みはまた別にはなるのですが、そこにもつながってくるところはあると思います。

――『FGO』ユーザーの中には、今回客員教授に就任されたことで、ゲームのほうがおろそかになってしまわないかと心配している人もいらっしゃると思います。

もちろん転職するわけではないですし、開発は開発でしっかりやりますのでご安心ください。「ゲームはどうなってしまうのか?」という疑問質問は当然浮かぶと思いますが、自分にとって今回の話はプラスになると思っています。

クリエイターたるもの、どれだけ新しい刺激を取り入れ続けられるかが重要だと思っていて、今回はそれがたまたま客員教授でした。

生きていく中で普通はなかなかできない経験なので、実際に学生さんから着想を得ることもあるでしょうし、人に伝えるには考えをまとめないといけないので、教えながら自分の考えもまとまって、とゲームの開発に生かせる部分も多いと考えています。

――最後にギャグみたいな質問で恐縮ですが、講義をするために登壇された時に、塩川さん登壇記念の聖晶石10個の配布とかあったりすのでしょうか。

FGO PROJECTの塩川として登壇しているわけではなく、ディライトワークスの塩川として登壇しているので、ありません(笑)。

――くだらない質問をしてすみません。本日はありがとうございました!

Fate/Grand Order ・販売元: Aniplex Inc.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 188.1 MB
・バージョン: 1.37.0
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