10年心に残るキャラを作りたい。ディライトワークス直良有祐氏がアートディレクションの秘密を公開

ディライトワークス(以下、同社)は、同社での仕事に興味がある方を対象としたキャリア相談交流会「肉会(MEAT MEETUP)」の第7回を12月7日(金)に開催しました。


「肉会(MEAT MEETUP)Vol.7 秘密の肉会 ~直良のアートディレクション編~」と題された今回は 、同社のクリエイティブオフィサー直良有祐 氏が経験から培ってきた“秘密のノウハウ”を披露。

さらに同社アート部マネージャー角崇康 氏グラフィック部マネージャー田口博之 氏も登壇し、同社における仕事の様子も語られました。

▼左から直良氏、角氏、田口氏。


ディレクションは言葉の共有から始まる


直良氏によると、現在のゲーム業界においてはアート用語の用法がほぼ統一されていないため、出身が異なるメンバーが集まると齟齬が生じ、ディレクションが妨げられやすいそうです。

曖昧な言葉遣いの例として直良氏は、ユーザーの感情に作用させるための商品そのものである「イラスト」と、制作現場で各作業者の仕事を決めるための素材である「デザイン画」が混同されがちであることを指摘。

2つの用語の違いへの意識については参加者として集まったデザイナーたちにも質問されましたが、意識している参加者は数名だけでした。田口氏も当初は違いがよくわからなかったとのことです。

直良氏は自らのチームだけではなく、業界全体での用語統一をひそかな野望としているそうです。

手を動かす前にコンセプトを明確にする


続いて直良氏はアートディレクションにおけるコンセプトの重要性について語りました。

スライドに表示された資料は「ファンタジー」という言葉で画像検索を行なった結果で、古今東西のファンタジー系創作が混在しています。

画像検索の結果すら統一性がないのですから、個々人による「ファンタジー」の想像図は検索結果の数千倍、あるいは数万倍にもなります。テーマが「ドラゴン」「勇者の剣」といった具体的なものであっても、すべての人が同じものを想像することはありえないでしょう。

特に、ディライトワークスのように出身が多様なメンバーと新しいものを作る環境では、ベースとなるコンセプトを共有しないと企画を進めづらいそうです。

一方、明確なコンセプトやトーンがあればタイトルの個性が強調され、量産による「薄まり」を緩和できるので、直良氏はコンセプト検討に多くの時間とコストを費やしているとのこと。

▼明確なコンセプトには、ゲームから漫画や舞台といった別媒体に展開してもキャラクターや世界の統一感を演出しやすくなる利点もあるそうです。


10年心に残る作品のコンセプトを描く

ユーザーに思い出されやすい要素はキャラクターや場面なので、ディライトワークスでは10年心に残るキャラクターを作ることを目標としており、直良氏はキャラクターを通して世界をどう描くかに注力してコンセプトアートを作っているそうです。

キャラクターと世界の関係を考える際には「世界の循環、理、相互作用、システム」といったものにセリフを添えて擬人化する手法が有効であると解説しました。

なおコンセプトアートの作り方はキャラクターの性質によって異なり、例えば同じ王を描くとしても「世界の王」なら世界の様子と、「王の中の王」ならほかの人物と組み合わせることで、それぞれの特徴を強調しているそうです。

コンセプトを発案し評価するテクニック

アートコンセプトの発案や評価はとても難しく、角氏や田口氏も苦労しているとのことです。

コンセプトの確信がない段階から作業を始めても非効率なので、直良氏は要素を整理したシートを使って穴埋め式でコンセプトを発案したり、完成度を分析しているそうです。


【直良氏によるコンセプトシートの使用例】
※講演用の例として簡易的に記入されたもの。
※表示の都合でレイアウトや一部文言を変更。

キャラクター
テーマ 世界を塗りつぶす強さ!
モチーフ 四聖獣・鉱物
ビジュアル
アイデア
フラッグシップ
トーン ヘビー×センシティヴ・4原色
世界
テーマ 暗雲と希望の光
モチーフ マーブリングとオプティカルフレア
ビジュアル
アイデア
重さを感じる空気、鋭さのある光
トーン モノトーンとフラッシュライトの対比
テーマ 煙の様な悪意の集合体
モチーフ クラシックモンスター
ビジュアル
アイデア
気体←→固体、架空の鉱物
トーン ダークなベースに反射強め
戦い
テーマ 泥臭さと鮮やかさ
モチーフ 映画「300」
ビジュアル
アイデア
フィルムストレッチ
トーン 血飛沫、派手なヒットエフェクト

シートの各要素を埋めやすい順番には個人差があるので、上から下、あるいは下から上といった自分に合うスタイルを見つけると成果物にもよい影響があるかもしれないとのことです。


シートで整理したコンセプトは「商品の売りになる新規性・独自性があるか?」「今の時代に共感や驚きをもたらせるか?」「描ききれているか?」といった普遍的基準によって良し悪しが判断されます。

直良氏によると「描ききれているか?」の具体化はまだ追いついていないので感覚による一存としているそうですが、減点方式には限界があるので、評価基準として望ましくないとも説明していました。

ちなみに、どうしてもアイディアが出ない場合の直良氏は、好きなNBAの試合をエンタメとして解釈しつつ魅せ方のヒントを得たり、他人が好きなものについて語る際のエネルギーを自分なりに分析しつつ消化、昇華しているそうです。

ゲーム業界は技術やシステムの変化が激しく、5年前の在り方すら古くなってしまいますが、だからこそ直良氏にとっては常に好奇心を刺激される楽しい世界であるとのことでした。

アート部とグラフィック部を分けた理由


直良氏によると、ゲームアート業界で要求される成果物にはさまざまな種類があるため、企画の最初から最後まで活躍できる人間は稀だそうです。

ディライトワークスでは各々の得意分野に応じた分業のために、アート部とグラフィック部が区別されました。

【ゲームアートのおもな分類】

種類 表現するもの
(届ける相手)
コンセプトアート ゲームコンセプト
(制作チーム、企業など)
イメージボード バトルやシーンのシーケンス
(ディレクター、関連部門など)
キービジュアル 作品のテーマやゴール
(制作チームからユーザーまで)
キーデザイン おもなデザインの指針
(ディレクター、デザイナーなど)

分業については、日本のアートディレクターに絵が描ける人物が多いことにも言及されました。

直良氏によると、日本のゲームでは現実に基づくものよりも想像上の不思議なものが描かれやすい傾向があるため、絵が上手いディレクターが描いて説得した方が早く、影響力が強いという事情があるようです。

しかしディライトワークスではディレクションの仕事についても見直されているそうです。例えば角氏は映像、デザイン系の出身でイラストレーターではありませんが、ディレクターに必要なファイナルビジョンの提示という仕事ができるため、アート部マネージャーを務めています。

直良氏のアートディレクションは個性優先


直良氏は自らを含む特定個人の限界が作品の限界になることを避け、さまざまな作家の個性の発露を作品の強みにしたいと考えているそうです。

ゆえにアートディレクションでは作品らしさを守る最低限の要件だけを設定し、作風はトーンやマナーなどで抑制しているとのこと。

1992年からゲームアート一筋で働くグラフィック部マネージャーの田口氏にとっても、研究開発の過程で生まれる新しい個性が受け入れられる直良氏式のディレクションはありがたいそうです。

今回のお肉料理を紹介

▼講演のあとに美味しいお肉料理を食べながら交流するまでが「肉会」です。今回は「クリスマス」をテーマとするさまざまな料理が登場。


▼クリスマス料理の代表であるターキー。肉の旨味と香辛料の香味、そして過不足ない塩味が渾然一体となった素晴らしい味わいでした。


▼滑らかな手際で解体されるターキー。お見事!


お料理を担当した「Mo:take(モッテイク)」のシェフさんによると、絶品のターキーは塩、玉ねぎ、にんにく、ローズマリーに1日漬け込んで味付けされたそうです。ご回答いただきありがとうございました、どのお料理もとても素敵でした!

▼風味豊かな鴨のロースト。


▼どっさりと盛られたハム。


▼きのこが添えられたハンバーグ。歓談しながらでも食べやすい一口サイズです。


▼お米やお野菜を使った料理は、いずれもお肉料理を引き立てる味付けや食感でした。私のお気に入りは、具の葉が瑞々しいライスボールです。


▼肉会のために用意された、果実とハーブを漬け込んだドリンク。あっさりとした清涼な味わいで、お肉料理をどんどん食べたくなります。


▼ジュースやジンジャーエールも選べました。


次回肉会に加え、専門的な勉強会も開催決定


講演の最後に、「肉会」の第8回が2019年1月11日(金)20時より開催されることが発表されました。

テーマはDELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios キャリア相談会」で、スタジオヘッドである塩川洋介氏を中心に、DSSに所属するプロデューサーと、開発の進行管理を担うプロジェクトマネージャーが登壇。

実際の例を交えながら、DSSのプロジェクトや仕事の面白さ、やりがいが語られる予定です。


さらに、ゲーム開発者向けの技術勉強会「DELiGHTWORKS Developers Conference(DDC)」の開催も決定しました。

「DDC」は交流イベントとしての性質が強い肉会よりも専門性が強くアカデミックなイベントで、講演時間は肉会の2倍の1時間が予定されています。

「DDC」の第1回は12月19日(水)20時より開催予定。テーマは「実践で使えるプランナーのテクニック」で、現在プランナーとして業務をされている方か、商用ゲームタイトルのプランナー経験がある方が対象とされます。

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