大ヒットアプリ「ブラックジャックによろしく」デベロッパー星川進&佐藤秀峰、インタビュー

2012年の年末、AppStoreの無料アプリランキング、そしてトップセールスの両方を賑わせたアプリ、「無料で全巻!ブラックジャックによろしく」と「新ブラックジャックによろしく」はご存知ですか。

アプリを開発されたのは星川進さん。仕事の傍ら、平日の夜や休日の時間を使ってアプリを開発されているそうです。

無料で全巻!ブラックジャックによろしく」はなんと130万ダウンロードを突破!年末のアップデートで、続編にあたる「新ブラックジャックによろしく」をアプリ課金内で(紙の本と比べて安価に)手に入れられるようになった途端、トップセールスの上位にも食い込むという大成功を収めています。

ぶらよろ


この度、個人アプリ開発者の星川進さん(写真・左)と、ブラックジャックによろしくの作者である佐藤秀峰さん(写真・右)に、インタビューを行いました。アプリの開発から成功、そして今後について。色んな話を伺ってきましたよ!

アプリのリリースに至るまでのエピソード

– 今回のアプリを開発しようと思ったきっかけを教えて下さい

星川進:
マンガ「ブラックジャックによろしく」が二次利用フリーになりますよって話がニュースになったのが、8月の末とか。

佐藤秀峰:
しますよってことをtwitterで呟いたところ、ニュースになりました。(実際の二次利用解禁は9月15日から:佐藤秀峰 日記 | 漫画 on Web

星川進:
AppStoreのランキングをみていると、もともと知られているコンテンツを使っているアプリってあっさり上に行ったりしますよね。ドラえもんとか、有名スポーツ選手、プロ野球を取り扱ったものとか。知られているコンテンツって強いなと思っていて。でも、個人開発者には関係ない話だと思ってました。そんな中、二次利用フリーのニュースをみて、「ずっと考えていたことが実現できる、やるしかない」と。

– 二次利用フリーからのリリースが早かった印象があります

星川進:
(二次利用フリーの)ニュースを知ってから、一週間後には申請してました。9月15日からフリーになるというって話だったので、その日にリリースしようと思って。機能はできるだけ削って、1週間ぐらいで作って。

– それは早いですね!!

既にAppStoreには電子書籍を読めるアプリがたくさんあります。そういうアプリが「ブラックジャックによろしく」を使いはじめたら、物もよいし、知られているし、敵わない。そう思って、早く出すしかないなと。実際には、審査が通らなくて、その一ヶ月後にリリースされました。

– リジェクトはショックですね!

星川進:
2・3回、ダメと言われました。そのころには、モチベーションがだだ下がりで。毎日AppStoreをチェックして、「ブラックジャックによろしく」系のアプリがでていないのを確認して、、、。ぎりぎりのラインでモチベーションを保ってやってました。9月は毎日ドキドキでしたね。

– 同じようなアプリがある中で、最も支持されたのは何ででしょう

星川進:
無料で全巻!ブラックジャックによろしく」がリリースされた時は、全巻を無料で読めるアプリはなかったと思います。僕が思っていたのと状況が違っていました。「ブラックジャックによろしく」のアプリがもっと氾濫するかなと思ってました。「1巻ずつ定期的にリリース」みたいなアプリは出ていた気がします。

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リリースされてからのユーザーの反応

– 機能がかなり絞られているアプリだと感じました。そのようにした理由を教えて下さい

星川進:
1週間で出すためです。それだけです。電子書籍なので、メインで使われるのはiPadだと思い、拡大機能をつけなかったところ、叩かれました(笑)。

– ユーザーの反応についてもう少し教えて下さい

星川進:
レビューはわりと多く頂いてます。よい評価を付けてくれている人は、作品をすごくほめるレビュー。悪いレビューは、アプリの機能を叩くレビュー。と、きれいに真っ二つにわかれていて。読みにくいとか、拡大できないとか。

– (佐藤先生は)二次利用フリーにした時、こういったものがでてくることは想像されてましたか。

佐藤秀峰:
何かいいことがあったらいいなあと思っていましたけど、ここまでは。

漫画 on Web(佐藤秀峰さんが運営されているオンラインブックストア)のユーザーも増えたのでしょうか

佐藤秀峰:
続編(新ブラックジャックによろしく)を読みたくなった人が、アプリからサイトに来てくれて、売上が上がっていたのでよかったですね。アプリ内広告のことを分かってなかったんで、この人(星川さん)は無償でやってくれているのかと思ってました。「みんなが読んでくれて嬉しい」とかそういう理由で作ってくれたのかなあと思ってました。

(一同笑い)

– アプリ内の広告売上は上がりましたか。

星川進:
無料で全巻!ブラックジャックによろしく」の前は、月に2万円ぐらいでした。それが桁が2つぐらい変わりました。

– すごいですね!

星川進:
そうなんですよ。広告がどれぐらいクリックされているか、表示されているかの数値はほぼリアルタイムで見られるんですが、広告の表示数で言えば、桁4つ5つ違いました。腰ぬかしそうでしたね(笑)。AppStoreの上位ランカーが、普段どのくらいの数字で争っているのかがわかりました。

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アプリ内課金での販売に至るまで

– はじめてアプリを見た時の印象を教えて下さい

佐藤秀峰:
急いで作ったんだろうなという印象ですね。アイコンも急いだんだろうなあと。そういうのが好きなんです。勢いでこの人やっちゃんだなあと。そのおかげで僕もずいぶん恩恵も受けました。

星川進:
(笑)。

– いつごろからやりとりは始められたんですか

星川進:
二次利用する際の利用規約があるんですが、僕がそれを微妙に違反してまして。AppStoreの説明文のところに名前を入れる必要があったんです。それで、佐藤さんからメールを頂きました。名前入れてねと。そこからです。そこから、「ダウンロード数これぐらいです」というご報告をしてました。

– ダウンロード数については、佐藤さんのtwitter(@shuhosato)で私も確認してました

佐藤秀峰:
ご丁寧にご連絡頂いていたので、悪い人じゃないなと。また、このダウンロード数はすごいなと。そこで、一回会って話聞いてみたいなと欲望が膨れ上がってきて、「お会いできませんか?」と。

星川進:
僕は大学生の時に「ブラックジャックによろしく」を読んでました。だから、佐藤さんは僕からしてみたら雲の上の人というイメージ。このチャンスに会えないかなぁと思ってました(笑)。

佐藤秀峰:
お会いしたら、すごく申し訳なさそうに、広告で稼いでいるですという話をされて。一部お渡ししてもいいです、といったような。それは星川さんの稼ぎなので、全然。そこから、次に何か一緒にできませんかね?という話をしました。

– 無料ランキングで1位を取って、それで終わりだと思っていたら、ある日、トップセールスの上位にいて。かなり驚きました。

佐藤秀峰:
数字聞いたら、これはいけるぞ!と。そして、やっつけた感のあるアイコンでいってほしい!と。あのなげやり感がかっこいいなあと。

(一同笑い)

星川進:
佐藤さんから話を頂いて、「新ブラックジャックによろしく」のアプリ内課金についての話が始まりました。

– アプリのアップデートのみならず、「新ブラックジャックによろしく」という別のアプリもリリースされました。どういう狙いがありましたか。

星川進:
「新ブラックジャックによろしく」の話をいただいた時に、最初、佐藤さんの名前でAppStoreにアプリをリリースするという話だと思っていました。僕は開発者として、開発費を頂くという話だと思っていました。実際はそうではなく、委託販売的なイメージでさせて頂いています。

佐藤秀峰:
星川ブランドで作品を売ってもらえればなと。

星川進:
アプリをアップデートするのか、新しいのものにすればいいかを伺ったところ、「両方やれば!」と。「ブラックジャックによろしく」を読めるアプリは、僕の以外にもたくさんあります。僕が出したものではないアプリで(ブラックジャックによろしくを)読んだ人もかなりいます。そういう方々には、アプリのアップデートだけでは届かない。そこで、アプリを二つ出すことにしました。

「漫画onWeb」への影響

– 漫画onWebの日記コーナーをみると、星川さんも執筆されていて、しかも閲覧数1位(インタビュー時点)!どういう経由で書き始められたのでしょうか

佐藤秀峰:
サイト開設以来、初めて1位の座を奪われてしまった。スゴイ影響力だと実感しましたね。

星川進:
僕がブログをやっていないんです。何かをみんなにお知らせする媒体が必要になって、漫画onWebを利用させて頂いています。僕としては、漫画onWebを荒らしているのがもうしわけない。はずしてくださいと言ったんですけど、、、

佐藤秀峰:
アプリ関連のニュースがある日は、PVが2・3倍に。ついでに他のところもみていってくれるので、すごい感謝してます。

星川進:
僕もまさかそうなるとは思っていなくって。ビュー数が多いとなると、個人的な日記を書きたくても憚られる。かっちりと書かないとと思っています。

– アプリのユーザーが閲覧しているということでしょうか

星川進:
アプリがランキングをかけあがった際に、サーバーへのアクセスがたいへんなことになりまして。当時は、サーバーを1台だけ用意して、そこにPDF置いてダウンロードさせていたのですが・・・トラフィックがあがりまくって、ダウンロードができない状況になってしまいまして。みんな読むのは夜中なんですよ。なので、お問い合わせメールの機能をアプリに入れてたんですけど、5分に1通ぐらいのペースで、夜中メールが届きまして。軽く発狂しそうになりました(笑)。そこで、「ダウンロードできなくてもうしわけありません」という主旨の記事を書きました。そこを読んでくださいと。

佐藤秀峰:
僕にも「ダウンロードできねーぞ!」という問い合わせがきましたよ(笑)。

星川進:
すみません(笑)。それで、サーバー増強のためにAmazon EC2借りたところ、半日で1000ドル。どうかんがえても死ぬだろと(笑)。最終的に、今はサーバーを30台用意して運用してます。

– 1000ドル!!

星川進:
レビューで、「こんな漫画が無料ってすごい!」というのは多いです。二次利用フリーを知らない方ですね。一方で、事情を知っている方は、「二次利用フリーなんだからお金を取るのはおかしい」と言うんですね。その裏で、amazonに1000ドル払っている苦労もわかってほしい(笑)。いい経験をさせて頂きました。

佐藤秀峰:
苦労されていたんですね。

あの「最高のアイコン」について

佐藤秀峰:
「ブラックジャックによろしく」ってタイトル、最初に決まった時は、よりによってそれか!と思いましたよね。そんなダサいタイトルだけは絶対に付けたくないと思ったんですけど。

– 進んでつけられたのではないんですか!?

編集者から、タイトルのどこかにブラックジャックという言葉を入れませんかと提案されまして。それが強固な要望に近かったので、だったら嫌がらせしてやろうと思って、ブラックジャックにどんな言葉をつけたらダサいかを自分なりに考えたんです。それで、「よろしく」か「おまかせ」だろうと。それで提案したら「よろしく」だよね、ということになってしまった。提案したけどやめましょうよという感じだった。

星川進:
そうなんですか!?かっこいいと思いますけどね。ヒットしちゃえば、ブラックジャックによろしくですよね。

– かっこいいですよね

佐藤秀峰:
流行るとそれがいいような気がしちゃう。

星川進:
あのアイコンも、アプリのダウンロード数が少なかったら、アイコンがだめだよね、となりそうですね(笑)

– 確かに(笑)

ぶらよろ


最後に。「星川進 × 佐藤秀峰」の今後の展開について

– アプリをさらにアップデートするなど、今後の展開は考えられていますか

佐藤秀峰:
ぜひあのデザインで海猿とかを出してみたいですけどね。

星川進:
もしそういうのが正式にあればやりたいです。

佐藤秀峰:
無料で一巻シリーズみたいなのを作って頂いて。

– すごい!

佐藤秀峰:
星川さんのアプリで、「電子書籍、初体験だったけど結構いいじゃん」という感想を多く頂きました。「星川ブランド」になったのかなと思います。

星川進:
最初にアプリを見つけた時にみなさん思われたと思うんですけど、残念ながらあのアイコンデザインはやっつけなんですよ。あのPhotoshopとか、イラストレーターとか、アドビ製品を全く触ったことがなくて、あのアイコンを作るのにめちゃくちゃ苦労しました。

– でも、本っぽい質感がでてます

星川進:
あれかっこいいですよね!

佐藤秀峰:
いいと思います!

– では、アイコンはあのままで

星川進:
あれは変えられないですね。「新ブラックジャックによろしく」のリリースにあたって、佐藤さんにイラストをかきおろしてもらったことがあります。アイコンとして使わせてもらいたくて絵をかいてもらったんですよ。でも、葛藤した結果、今のままでいくことにしました。

佐藤秀峰:
あれでいいと思います。電子書籍ってこんなもんなのかなとすり込まれた方が何万人もいるとおもうので。このシリーズで。これなら自分も使えるって思ってもらえる気がするんですよね。

– 本日はありがとうございました!

ぶらよろ


「ブラックジャックによろしく」とAppBank Network

インタビュー終了後、星川進さんに、AppBank Networkについて改めて伺いました。

AppBank Network(とは、AppBankが運営している広告ネットワーク。「ブラックジャックによろしく」でも使われている)ってどういうイメージですか?

星川進:
去年、AppBankが行っていた勉強会で聞いたんですよ(勉強会の様子はこちらから→東京iPhoneアプリ勉強会。マーケティングからプログラミングまで超充実の内容をご報告。)。前座のところで、AppBank Networkの話があって。

– 懐かしい!私が「前座」としてAppBank Networkを紹介しました。約一年前ですね

星川進:
僕はその出会いがものすごい奇跡的だと思っていまして。社交辞令でも何でもなくて、本当にAppBank Networkのおかげで今があると思ってるんですよ。

– そこまでですか!ありがとうございます。

いよいよアプリをだそうかという時だったんですが、AppBankにレビュー依頼をしても、やっぱり周りがすごいので、なかなか掲載されなくて。だけど、AppBank Networkを使ったら、AppBankに掲載されるじゃないですか(詳細はこちらから→ アプリ開発者様・企業様|AppBank Network)。そんなのって、どこの広告サービスでも提供していない。

– ダウンロードが増えるのは唯一の特徴かと思います

星川進:
あの日の勉強会の時の打ち上げの時に、としずむさんと喋って。僕にしては会心の話しかけで(笑)。なんとかこのつながりはつないでおかないとと。そこにしか道はないと思ってました。

– いえいえ

星川進:
セール情報記事の下の方に、AppBank Networkのアプリがないこともあるじゃないですか(注:AppBank Networkに申し込むと、セール情報記事を含む、複数個所でアプリが紹介されます)。みんな、なんでつかわないんだろうと。AppBankにとりあげてもらう、アプリを紹介してもらうってことに対して価値を感じてないんですかね。

– 掲載されることでの効果はあると思いますか?

星川進:
思います。アプリをリリースしたあとに、レビューして下さいとレビューサイトにメールを書くのが苦手なんですよ。でもAppBankプラスは、事務的な手続きをすれば、掲載されるのは確定するじゃないですか。(私は)他の人よりも、そこにすごく魅力を感じているんですかね。

星川進:
アプリ「ブラックジャックによろしく」も、わけわからんうちにランキングのぼっちゃいましたけど、最初にAppBank Networkにとりあげてもらったからだと思ってるんですよ。そのあと、依頼したわけじゃないけど色んなレビューサイトがとりあげてくれて。きっかけを作ってくれたのはAppBank Networkだと思っています。

– さすがにアプリの実力かと思いますが、、、

人見知りなので、会場で出会った人とうちとけるのはわりと苦手なんですよ。でも、AppBankのイベントは大きそうだし、お互い初対面苦手という人がいるんじゃないかと思ったんですよ。だから勇気を振り絞って行きました。あの時、AppBank Networkの話が前座でなかったら、あ、パズドラが今度出るんだなあとか、Magic Readerすげえなあで終わってたと思うんですよ(勉強会の様子はこちらから→東京iPhoneアプリ勉強会。マーケティングからプログラミングまで超充実の内容をご報告。)。ありがとうございます本当に。そんな感じです。もっとみんなに使って欲しいと思うんですけどね。

– 本日はありがとうございました!

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