2万人来場のモバイルカンファレンス「GMIC 北京 2014」参加レポート
モバイルインターネットに関するカンファレンス「GMIC 2014」が5月5日・6日にて、北京にて開催されました。としずむが参加してきましたので、レポートをお届けします。
「GMIC北京とは」
2009年に設立されたGMIC北京は、アジアでもっとも影響力のあるモバイルカンファレンス。世界30カ国以上から、計1万人以上のモバイル業界の経営者、企業家、開発者や投資者が集う。(翻訳:筆者)
Global Mobile Internet Conference | About GMIC
GMIC 北京のテーマは「次の50億人」。これからモバイルインターネットに触れはじめるであろう人々が世界をどう変えていくのか、ということをみんなで考えようという会でした。
が・・・実際に参加して感じたことは「まだまだ中国国内市場が熱い」ということ。
中国のモバイルインターネットユーザーは3億人もおり、さらにその数は爆発的に伸びています。さらに、百度(バイドゥ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント)という、世界のIT企業ランキングでトップ10に入るような規模の会社を筆頭に、次々と新しいサービスやビジネスが生まれ続けていることも、このカンファレンスで改めて実感しました。
「次の50億人の前に、そもそも中国市場が熱い!」
結果として、そんなカンファレンスだったと思います。
そんな中国市場の盛り上がりを肌で感じるセッションを、ゲーム業界を中心に、いくつかポイントを抜粋してお届けしたいと思います。では早速どうぞ!(食レポもあるよ)
ユーザーにアプリを届ける「パブリッシャー」の動き
中国にはGoogle Playがありません。その穴を埋めるように、非常に多くの「パブリッシャー」と呼ばれる、アプリの配信事業者が多く存在します。そんな中国のアプリ界の動きを担うパブリッシャーの動きについての講演を伺いました。
クオリティの高いゲームでないと生き残れない
最初に聞いたのは「Rise of Publishers(パブリッシャーの隆盛)」という題名のパネルディスカッション。中国で大きなユーザーを抱えるパブリッシャーがずらりと並びます。
- パネル名: Rise of Publishers – The Next Wave
- 司会: Wang Yong,CEO & Founder,Kick9 Inc
- ゲスト: Song Xiaofei, CEO, Moyogame
- Cheng Weizhong, CEO, Gamecomb
- Xu Bo, VP, Giant Group
このパネルディスカッションで話題になったのは「クオリティの高いゲームしか生き残れない世界になっている」ということ。
「今までは、クオリティが十分に高いとはいえないゲームでも収益化できていたが、2014年は、ターゲットが明確化された、クオリティの高いゲームでなければ難しい」というのが共通見解。パブリッシャーとしては、自社の運営するアプリ紹介ページにおいて、クオリティの高いゲームしかトップページに掲載できないといいます。ゲームの開発費を十分に捻出できない中小デベロッパーにとっては、厳しい世界になりつつあります。
「稼ぐ」ゲームのトレンドにも変化が訪れているそう。2014年中はカードゲームの人気が続き、大きな収益を産むと全員が予想していましたが、「来年はわからない」というのも共通見解。小説のゲーム化の流れがきていたり、RPG要素が強いゲームの盛り上がりが感じられたりと、何が売れるのか予想するのが難しい局面を迎えつつある模様。パブリッシャーとしても、「どのゲームを注力して推して行くのか」の目利きが重要になっており、それに失敗してしまうと、生き残るのもの厳しい時代になってきたとのことでした。
「掲示板」で攻める百度
その直後に行われた講演にて、百度はゲームのパブリッシャーとして、自社のプラットフォームの特製を活かした提案について紹介していました。
- パネル名: Cultivate & Nurture – Rising to the Top with Game Developers
- 講演者: Wu Wenquan, Vice GM, Baidu
百度の提案を一言で言うと「掲示板」の活用。リリースされたゲームについての掲示板を用意し、ユーザーとの対話を行う。そこで得た意見を踏まえてゲームを改善し、掲示板で改めてプッシュしていくという流れを提案していました。これにより、ゲームのライフサイクルを少しでも長くし、収益を大きくしていくことが百度の狙いだそうです。
店頭でのアプリインストールが強みの Skymobi
ユーザーがスマホを購入するタイミングにアプリのインストールを促す Skymobi という会社もあります。
- パネル名: Triathlon of Casual Mobile Game Publishing
- 講演者: Song Tao, CEO, Skymobi
Skymobiはスマホの販売店と協力し、アプリの「店頭インストール」を事業として推進しています。講演によると、10台のスマホのうち、4台について、Skymobiはリーチすることに成功しているとのこと。スマホユーザーは何億人いると言えど、一人当たりのアプリインストール数は数えるほど。だからこそ、店頭でスマホのインストールを促せる自社には大きな強みがあると講演していました。
日本ではAppStoreとGoogle Playがほぼ全てのアプリの配信を担っているのに対し、中国はその「配信」も大きなビジネスになっています。中国市場の特徴として、とても興味深い点ですね。
モバイルゲームのマーケティング
小説のゲーム化が流行しているという中国のゲーム事情。そのマーケティングもとても高度なものになっています。テレビ、ミニブログ、そしてWeChatなど、様々なプラットフォームでの宣伝を駆使し、ユーザーに情報を届ける世界になっているようです。
- パネル名: The Next Generation of Mobile Game Marketing
- 司会: Wu Xuefeng, CEO, Twan
- ゲスト: Wang Ke, VP, FL Mobile
- Tan Yanfeng, VP marketing, Youzu
- Zhang Yunfan, Mobile Strategic VP, Perfect World
- Pang Yijun, VP Marketing, Kunlun
Perfect World(完美世界)では、ゲーム開発の開始「前」から、マーケティング計画を立てているそうです。例えばテーマを「恋物語」とした場合、そのストーリーに合ったテレビCMを行い、ショートムービーを作り、そこに登場した芸能人のミニブログやWeChatを通じてユーザーにゲームを訴求していくところまで、ゲームの開発「前」から計画しているとのこと。
YouzuのTanは、今までに多く行われてきた単純に広告をだすマーケティングを第1期とすると、現在のマーケティングは第2期に突入していると分析します。有名なアイドルや俳優を招いてドラマを撮影したり、アニメ化、小説化と発展させていき、ゲームをゲームにとどまらないものにしていくよう計画しているとのことです。
中国では、アイドルや芸能人を利用したマーケティングは非常にメジャーになっているようです。中国版のtwitter(Weibo)での広告プラットフォームを運営するWeiboyiのYangは、アイドルや芸能人のWeiboを利用したマーケティングがいかに強力かについて、講演内にて語りました。
芸能人を利用したマーケティングの最大の強みは、その発言がニュースなどにとりあげられることにより、低所得者層にも届くところと言います。膨大なスマホユーザーを抱える中国では、最大多数にいかに効率良く情報を届けるかも、重要な要素なのだと感じました。
中国のアプリは世界に進出するか
最後に、投資家二人によるパネルディスカッション「The Next Big Chinese App」の内容をご紹介します。テーマは「よいアプリとは何か」、そして「中国のアプリは世界に進出するか」の二つでした。
- パネル名: The Next Big Chinese App
- 司会: Lo Wai Shun, Adjunct Associate Professor, The Chinese University of Hong Kong
- ゲスト: David Tang, Partner, Nokia Growth Partners
- Steven Ji, Partner, sequoia capital
よいアプリとは何か
セコイアキャピタルのSteven氏によれば、よいアプリとは「多くのユーザーの悩みを解決するもの」とのこと。
「アプリは衣食住、エンタメ、コミュニケーションなど、様々な領域のサービスを提供しますが、人々の悩みを解決する必要があります。それも、非常に多くのユーザーの悩みを解決しなければなりません。」と前置きした後、ユーザーとの関連性の高さも重要だと言います。「例えば天気アプリは非常に重要ですが、起動して5秒で閉じてしまいます。一方でWeChatなどのコミュニケーションアプリはそうではない。このように、投資家からみたよいアプリとは、ユーザー数だけでなく、ユーザーがどれだけ長く使いそうかも大事な指標と考えています」と締めくくりました。
Nokia Growth PartnersのTang氏は、タイミングも重要と付け加えました。市場にアプリを投入するタイミングが早すぎないか、もしくは遅すぎないか。そして、投資をする際は、信頼できる人や会社なのかといった点も見極めると言います。
よいアプリのトレンドとしては、これまでの「人と人」をつなげるもの(例:LINEやWeChat)から、これからは「人とモノ」、もしくは「モノとモノ」のつながりを生み出すものに投資していくと言います。「オフィスではPC、外出中はスマホ、移動中は自動車などを利用するわけですが、クラウドの世界を通じてデータは共有できます。このような融合に着目している」といいます。
中国のアプリは世界に進出するか
中国のアプリは、世界でも大きなものになるのか。その可能性について、Steven氏は「すでに起きつつある」と回答しました。
ブラジル、チリ、トルコ、東南アジアといった国々を挙げ、これからこれらの国における中国のモバイルゲームのシェアがどんどん高まっていくと予想しています。その他の領域、例えばツール系のアプリにおいても、セコイアキャピタルも投資を進めているとのことでした。何よりAppStoreは、そこにアプリを登録するだけですぐに世界を相手にできます。これは非常に大きなチャンスと言います。
Tang氏はテンセントのWeChatについて触れました。WeChatはリリース当初、世界のアプリを真似していると指摘を受けていましたが、進化を続け、今や海外で知名度の高いコミュニケーションアプリも、WeChatを参考にすることがあるといいます。その意味でも、中国のアプリは自然とグローバル化しつつあるというのが事実ではないかとのことでした。
主に中国のゲーム・アプリ市場についての講演を中心にみてきましたが、いずれも中国市場のとてつもない勢いを感じさせる内容ばかりでした。中国からのアプリが日本市場を賑わすのも、そう遠くない気がします。そんなことを感じさせるGMIC 北京でした。
火鍋を吉野家の気軽さで頂ける「PAO PAO 泡泡火锅」
会場近くのショッピングセンター、Xin’ao shopping center(新奥购物中心)。その中に、火鍋を気軽に頂ける「泡泡火锅」というお店を見つけたので入ってみました!
お店の雰囲気は吉野家。テーブルにぽっかりとまるい穴が開いており、火鍋用にカスタマイズされています。
とりあえず空いている席に着席。どうオーダーするのかなあと思っていたら、突然オーダー票を渡されました。
・・・
・・・
何もわからん!!!!
ちなみに中国は、日本と同様、ほとんど英語は通じません。やっとみつけたメニューをみても中国語のみ。何もわからん。
そんな私を助けてくれたのがエキサイト中国語翻訳!
隣に座ったカップルに、エキサイト中国語翻訳で「スタンダードなもので、辛くないものをお願いします」とお願いして、代わりにオーダーしてもらいました。
そしてきたのがこちら。野菜!
肉!!
パクチー大盛のゴマだれ!!!(パクチーは苦手なので、隣のカップルにエキサイト中国語翻訳で「パクチー抜きを店員さんに頼んでくれ」とお願いしました)
食べ方は、通常の鍋と同じ。食材をつまんで鍋に放り込み、頃合いを見計らってもぐもぐ。お肉は薄いので、しゃぶしゃぶみたいな感じでした。隣のカップルいわく、スープは「コンソメ」。スープは他にもいくつか種類があるようです。
もちろん味はバッチリ。ゴマだれには少しナッツっぽい風味があり、日本で食べる鍋とは一味違うところもよかったです。
隣のカップルは、二人で別々のスープを頼み、タレも色んなものを用意して食事を楽しんでいました。次回は色んなタレを楽しむぞ!!
結論
エキサイト中国語翻訳は神アプリでした!!
こちらが、実際に見せた翻訳の画面なのですが、完璧に理解してくれました。iPhoneさえあれば、全く言語がわからなくても、十分コミュニケーションが取れる!
ぜひ訪中の際はエキサイト中国語翻訳をどうぞ!