pixiv一本釣りも!?坂口博信さんに聞いたミストウォーカーの採用方法と『テラバトル2』&『3』のお話

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おもしろいゲームって、どんな仕事場で生まれるんでしょうね?

そんな疑問を持った僕は、ストレートに行動に移してみました!

すなわち、おもしろいゲームを作っているゲームメーカーさんの仕事場を見に行ってみること!

そんなわけで、あの『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親でもある坂口博信さん(レジェンド!)が立ち上げ、『テラバトル』などでの良作で知られるミストウォーカーに取材に行ってきました!

ミストウォーカーのオフィスはハワイにあるのですが、今回は日本で坂口さんが使っている仕事場でお話を聞いてきました。

ミストウォーカーや坂口さんならではのゲーム開発へのポリシーをはじめ、最新タイトル『テラバトル2』(どころか、『3』の話題も!?)の情報もお聞きできましたよ。

ゲーム業界を目指す方に向けた坂口さんからのメッセージも掲載するので、ぜひ最後までお読みください!

Apple 2にカルチャーショックを受けてゲーム業界へ

ーー坂口さんがゲーム業界に入ったきっかけを教えてください。また、重要な出来事やターニングポイントなどはあったのでしょうか?

坂口
これまでもいろいろな場所で話しましたが、Apple 2に触れたのが始まりでしたね。そこで『ウィザードリィ』や『ウルティマ』にハマったんです。

それ以外に、当時はまだ世に知れ渡っていないC言語に触れたり、それがAppleで動かせたりだとか、いちいちカルチャーショックを受けました。

当時はもう、まるで知らない未知の世界との出会いでした。いろいろ発売はされていましたが、当時の日本のPCではそんなことはできなかったんですよね。

それでハードウェアについて興味を持って、面白くなっちゃったのが原点です。

その後、ファミコンなんかとも付き合うことになったんですけど、あれは抑えた価格の中で作られたもので、当時のPCと比べると、性能的にはチープなマシーンだったんですよね。

でも、そういったハードのクセを見抜きながら、どう利用して、ゲームの面白さにつなげていくのかを考えるのは面白かったです。

ーースマホでのゲーム開発には、どんな特徴があると思いますか?

坂口
最近はスペック的にスマホも馬鹿にはできないんですけど、タッチパネルだとか制約はあるんですよね。そういった制約付きの中で考えるのが楽しいんですよ。

全部あけっぴろげに、「スーパーコンピューターでゲームを作れ」って言われる方が、何をやって良いのかわからなくなりそうです(笑)。

ーーゲームの世界観やバトルシステムなど、独創的なタイトルを排出し続けるミストウォーカーですが、どんな流れで企画出しなどの開発会議や打ち合わせをしているのでしょうか?

坂口
プロットやシナリオを、まず僕が全部書いちゃいます。一人で。

『テラバトル』も、はさみ将棋にするか、召喚獣メインの戦いにするか、アクティブバトル風にするのかなど、かなり長い間、一人で悩んでいました。

碁盤で1対1で戦うスタイルなんかも考えました。そんなことを2、3ヶ月は繰り返していましたね。

ひとつ作ったら女房に説明して、そのたびに「つまんなくない?」「はさみ将棋ってなに?」とか言われましたね。

『テラバトル』については、初めてのスマホゲームということでUIがタッチパネルという部分をどうゲームに活かすのか考えるのか大きかったです。

画面上に十字キーなどを置くのは違うなって。コンシューマと同じ感覚では作れなかったんですよね。

実は、そんな時期にパズドラの山本さんと食事する機会があったんですけど、素直に「どうやって作ったの?」とか聞いちゃいました。

それで「坂口さん、縦だよ縦」とかアドバイスをもらって、いろいろと刺激を受けながら考えていきました。

ーーアイデアを固めるまでは、坂口さんの力によるところが大きいんですね。アイデアが固まった後の流れは、どうなるのでしょうか?

坂口
アイデアが固まったら、最初は社内の藤坂(藤坂公彦)と葉山(葉山賢英)に見せに行きます。キャラ絵とUIを作っている2人です。

自分で言うのもなんですけど、僕らのゲームのグラフィックってスタイリッシュじゃないですか?あれは葉山の味なんですよね。

だから葉山にUIをプロットで作ってもらって、藤坂にはキャラデザインを進めてもらいます。
かわいい路線なのか、リアルなのか、ダークなのか、ライトなのか、そういうイメージを伝えて、まずは絵を作っちゃいますね。

そうやって、仮想画面を4つくらい作ります。そうすると、なんとなく見えてくるんですよね。これが動いたら、どうなるのかなとかが想像できるようになります。

ーー今、2〜3ヶ月というお話がありましたが、どのタイトルもそれくらいの時間をかけるんですか?

坂口
かけますね。それでだいたい一回ボツになるっていう。

ーーえ?そこまで進めて、ボツになることがあるんですか!?

坂口
スタッフに見せたときに、「ダサ!」とか「古い!」とか言われることがあるんですよね。それで、「そうかなあ?」みたいに思いつつ、また考え直していくことがありますね(笑)。

Wiiの『ラストストーリー』のときもそうだったんですよ。最初はもうちょっとオーソドックスなスタイルにしようと思っていたんですけど、「坂口さん、もうちょっと新しくしましょうよ」って言われて、ムカついて全部作り直しました(笑)。

意外とそんなもんです。良い意見は取り入れていかないといけませんからね。

オーディオ関連に囲まれた職場でMacを使う仕事スタイル

ーー普段はどのような環境でお仕事をされていますか?

坂口
僕の場合、ハワイと東京のオフィスを行ったり来たりですね。最近はロスで仕事をすることも多いですね。ハワイとロスの仕事場は自宅の中にあります。

ーーオフィスには、どんなものを置いているんですか?

坂口
オーディオが趣味で、それ関連のものをたくさん置いてますね。

ちなみに仕事はMacですね。35年くらい、ずっと。最初にゲームにハマったのもApple 2だったので。それからずっとです。

インターネットのLANもない時代でしたので、電話線をつないで仕事した時期もありましたね。

▼オーディオが趣味ということで、仕事中に音楽を聴くことも多そうな印象を受けました。
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ーー社訓や開発チームのコンセプトのような、どのタイトルを作るときも揺らがない信念のようなものはありますか?

坂口
言葉にして共有していることではありませんが、ディテールは大事にしようという意識はみんなにありますね。そんなメンバーが集まっているので、自然とそうなっているのですが(笑)。

そういう意味では特に指示はしていません。藤坂の絵も、拡大するとわかりやすいんですけど、ディテールが凄まじいです。葉山もUIの際部が1ドットずれているだけでも「気持ち悪い!」って言いますしね。

もちろん、自分が書くシナリオのセリフのひとつひとつも、ディテールにこだわっています。

『テラバトル2』のリリース前に『3』の構想も!?

ーーここからは、最近発表された新タイトルの『テラバトル2』についてお聞きします。開発状況はいかがでしょうか?

坂口
リリースの日程などは、だいたい決まっています。もう少しお待ちください。

ーー『2』が発表されたことで、前作の『1(テラバトル)』はどうなるのでしょうか?

坂口
前作は前作で、サービスを続けます。『テラバトル』は大野、西村という2人とがっつりやっているんですけど、『テラバトル2』のリリース後も引き続きサポートを行なっていく予定です。

そして、できたら『テラバトル3』とかを来年くらいには出したいなと・・・(笑)。

ーーまだ『2』のリリース前なのに、『3』も考えているんですか!?

坂口
せっかくゲームを作るのなら、新しくておもしろいこともどんどんやっていきたいんですよね。

あまり引き合いに出すと語弊があるかもしれませんが、『ファイナルファンタジー』もそんな感じだったじゃないですか?

ーーああ、なるほど。確かに『FF』も、『1』『2』『3』で世界観もゲームシステムもガラリと違う作品でしたね。

坂口
『テラバトル』もそういうイメージで、大きなゲームの概要は同じでも、キャラクターなどがぜんぜん違うタイトルにしていく予定です。

だから、『3』が出ても『1』や『2』のサービスを続けるというスタンスにするつもりですね。

ーー言われてみれば、『テラバトル2』は前作と違うキャラクターやテイストに感じますね。逆に、あえて変えなかった部分はありますか?

坂口
『テラバトル2』は「シリコンスタジオ」さんと手を組んでやっています。

ウチは藤坂と葉山を中心とした絵描き、シナリオ、音楽、企画などを中心にして、 シリコンスタジオさんにはプログラムを中心に開発をお願いしています。

そういう意味では、自然と前作とは異なる作品になっていると思います。

変えない部分を考えると・・・そうですね。

ユーザー目線で見たときに、碁盤で敵を挟むというシステムは、それ自体が『テラバトル』なので、そこは大きくは変えないつもりです。

将来はどこかで「3Dになっちゃったの!?」なんてバージョンアップがあるかもしれませんが、今の「挟んで倒す」システムは外したくないですね。

それから、これも絶対に外したくないのは、音楽は植松さん(植松伸夫)、キャラクターは藤坂ということ。これは『テラバトル』シリーズとして、変えたくない部分ですね。

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ーーちなみに公式サイトなどで「テラ・ワールド」を舞台にしたタイトルを9つは出したいとのコメントがありましたが、具体的な計画があれば教えてください。

坂口
まずは『TERRA WARS』(テラウォーズ)を最近告知させていただきました。今年中のリリースを目指しています。

ナンバリングとは別に「テラ家族」みたいな感じで、こういった面白い試みをしていきたいですね。

ーー何をもって「テラ・ワールド」や「テラ家族」と呼ぶイメージでしょうか?

坂口
共通項は、必ずシナリオが入ってくるということです。

ゲームってシナリオがなくても成り立つじゃないですか?でも「テラ・ワールド」を舞台にした作品はそうじゃなくて、濃いシナリオで世界に引き込むようなスタイルは崩したくないです。

坂口さん自らpixiv一本釣りも!?ミストウォーカーのスタッフと今求めている人材について

ーーミストウォーカーに在籍するスタッフの方々は、どういった経緯や熱意のもと集まったのでしょうか?

坂口
初期メンバーは、僕と藤坂くらいでした。

続いて、大野、西村が入社したのですが、2人は元々スクウェア(現スクウェア・エニックス)に在籍しており、のちに親友の会社に移籍した経歴を持ちます。

その後、その会社がうまくいかなくなったときに「2人を預かってくれないか」と相談を受けて、僕も2人は知っていたので一緒にやろうと声をかけました。

このあたりが、初期に集まったメンバーですね。

ーー先ほどのお話に出てきた、UIを担当している葉山さんはどのような流れで?

坂口
UIを作っている葉山くんは、けっこう普通の流れで、正規ルートで入ってきましたね。僕といっしょに働きたいということで、サポートセンターにメールをしてきたんですよ。

ちなみに会社のHPにこっそり求人を出しているんですけど、そこもたまに来ます。
生放送の後とかは、比較的多くメールが来ますね(笑)。

絵を描く人の採用ルートはわかりやすくて、「ポートフォリオを送ってくれ」と伝えて、それで良いなと思って入社してもらった子もいます。

あとは僕がpixiv(ピクシブ)とかで『テラバトル』の絵を見て、「おっ!この子上手い!」と感じた時に、僕からメールすることなんかもあります(笑)。

ーーまさかの開発者本人からの直接スカウト(笑)。メールを受け取った相手は、かなりビックリするのでは?

坂口
最初は向こうも僕からメールが来たとは信じないんですけど、実際に一度会って信じてもらって、ミストウォーカーに入社した子が2人いますよ。

いわば、pixivの一本釣り(笑)。時々やってます。

あと最近はTwitterで絵を投稿している子がいたので、DMで「ちょっと会わない?」と送りましたね。

ーー坂口さん権限での採用枠があるんですね(笑)。

坂口
良いなと思ったら、すぐ呼んじゃいます。

ーー最後になりますが、ミストウォーカーに入社したいという方にアドバイスをお願いします!

坂口
絵を描く人間だとわかりやすくて、絵を見て良ければ僕と藤坂で面接といった感じですね。

企画マンは難しくて、なかなか見抜けないといいますか。

ーー現在在籍されている企画の方は、どのような流れで入社したんですか?

坂口
『テラバトル』で動画を撮って投稿するシステムをLobiを使っているんですけど、そこに携わっていた方で一人いますね。

こういうのもなんですが、本当にしつこくって(笑)。5回くらい、あの手この手で「入れてくれ」と来ましたね。根負けして入れました。
ちょっとずるい手なので、今後は通じないと思いますけど(笑)。

もう一人、すべての開発の雑用をやってくれている子もいます。こちらは芸大で文章の勉強をしていた子で、会ったら面白くて「俺の部屋の掃除もするか?」って聞いたら「やります!」って即答だったので、入社させましたね(笑)。

ーーなんだか・・・すごい採用理由ですね(笑)。

坂口
当時は部屋が汚くて、掃除してくれる人材が欲しかったんです(笑)。

今では、開発チーム的にいないと困る存在に成長してくれました。

ーーニーズがいろいろあるんですね(笑)。ちなみに、今欲しい人材についてはどうでしょうか?

坂口
やっぱり絵を描く人はいつでも欲しいですね。

あとはまあ、みんな藤坂ファンで入ってくれているので、そのほうが良いとは思います。

彼の絵って、一つ抜けているところがありますから、入ってきた子たちも伸びるというか。せっかく彼が近くにいるので、現役の彼がいるうちに吸収して欲しいです。

将来独立していっても良いので、せっかくだから現役の藤坂の近くで腕を磨いて、将来いいデザイナーとして有名になってくれたらなと。

僕もこの年代なので、人を育てることに興味があって、僕が死ぬ頃にその子たちが有名になっていれば嬉しいので、藤坂好きの良いデザイナーが欲しいですね。

ーー坂口さん、どうもありがとうございました!

ミストウォーカーの新作タイトル『テラバトル2』!

新作『テラバトル2』&『テラウォーズ』の公式サイト・最新動画・公式SNSが公開!


画像引用元:テラバトル2 公式トレイラー – YouTube

『テラバトル』で有名な「ミストウォーカー」が、新作の『テラバトル2』・『テラウォーズ』ティザーサイトと公式SNSを公開しました。

さらに、『テラバトル2』はトレーラー動画も公開されています。
公開された内容を見ていきましょう!

新作『テラバトル2』

『テラバトル2』は、『テラバトル』で多くのゲームプレイヤーをうならせたバトルと攻略はそのままに、より深く、濃いストーリー体験を送り届けるべくあらゆるシステムが進化したRPGとなっているとのこと。

2017-0622_Terra - 1


本作ではフィールドマップが採用されたことにより、キャラクターたちと共に旅をする体験を楽しめます。

物語的にはさまざまな登場人物との出逢いや別れが展開し、バトルについてもより熱く、より切なく、より激しく感じられる内容になるとのこと。

▼ゲーム画面(画面は開発中のものです)▼

新作『テラバトル2』&『テラウォーズ』の公式サイト・最新動画・公式SNSが公開!


▼左:ロラン(守護者)/右:サラ(キャラクター)▼

新作『テラバトル2』&『テラウォーズ』の公式サイト・最新動画・公式SNSが公開!


公式トレイラーやキャラクター紹介動画

「テラバトル2 公式トレイラー」やキャラクター紹介動画がミストウォーカーのYouTubeチャンネルで公開されています。

サラが守護者たちを呼んで強大な敵へ立ち向かうシーンがとてもカッコいいので、ぜひトレイラーをチェックしてください!

動画:テラバトル2 PV キャラクター紹介篇②

動画:テラバトル2 PV キャラクター紹介篇(1) – YouTube

動画:テラバトル2 公式トレイラー – YouTube

公式サイト・SNS

公開されたティザーサイト、公式Twitter、公式Facebookはこちら。順次情報が公開されていくので、公式Twitter・Facebookをフォローしておきましょう!

▼前作『テラバトル』のダウンロードはこちら▼
テラバトル ・販売元: MISTWALKER CORPORATION
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 178.8 MB
・バージョン: 4.8.1

©MISTWALKER/Silicon Studio Corp.

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