スクエニ新作『ディアホライゾン』レビュー。「死を分かち合う」重さをポジティブな冒険活劇に昇華

パートナーが死ぬと、自分も死ぬ。自分の命を誰かとつなぎ、「死を分かち合う」。
スクウェア・エニックスが8月24日に配信をスタートしたiOS/Android用RPG『ディアホライゾン』は、そんな重い設定を持つゲームです。

「僕らは『夢』を語り、『死』を分かち合う」。というキャッチコピーがどのようにゲームで表現されているのか。実際に遊んだ感想とともにレビューしていきます。
物語:冒険者を目指す、まっすぐな心を持つ少年の「優しい」物語
物語の主人公(名前は任意入力。自分は「ニール」でプレイしました)は、冒険者を目指す少年です。
▼世間の人々は「海の先には大陸なんてない」と信じていますが、主人公など、一部の人は海を越えて冒険をする夢を持っています。熱い展開!
そんな主人公が、帝国に追われる少女のソフィアを助けたことをきっかけに、ともに「終わりの海」の向こうにあると言われる理想郷セレスを目指すことになります。
▼主人公と行動をともにすることになるソフィアと、彼女のパートナーである精霊のレテ。
女の子を守りながら、成長していく男の子……。
うーん。とても直球で素敵なボーイ・ミーツ・ガールの冒険活劇!
▼主人公とソフィアがそれぞれ持っていた、太陽石の欠片。不思議な縁で、2人の目的は一致していきます。
やがて帝国に追い詰められた主人公たちは、その危機を乗り越えるために「守護契約」を結びます。
レテにより守護契約をかけられ、主人公とソフィアは生命力を共有することに。
本当なら死に至る傷を追っても、もう1人の生命力を分け与えることができるわけで、戦いは有利になります。
その反面、命を失う時は全員一緒というリスクもありますけどね。
この「死を分かち合う」という重いテーマは、ゲーム中ではむしろ「絆」として、とてもポジティブに表現されています。
命の共有を深刻にとらえるのではなく、共に冒険する仲間との絆としてとらえ、運命共同体として共同戦線を貼る感じ。
▼召喚(ガチャ)で仲間になるキャラクターたちも、主人公と魂の質が近い人物という設定で守護契約を行えます。キャラを仲間にすると、固有のエピソードも楽しめますよ。
▼キャラガチャとは別に武器ガチャも存在。武器ごとに設定されたスキルの活用は、バトルに大きく影響します。
正直を言って、自分はこういう「王道ファンタジー的な綺麗事」って大好物です!
リアリティ演出として、ちょっと人間や社会の汚い部分を描く物語も、それはそれで嫌いじゃありませんが、個人的にゲームのストーリーとして、綺麗で優しくて前向きな物語って、安心感があるんですよね。
安心して楽しめて、読むと元気になれますからね!
まだ序盤の数話しかプレイしていないので、ここから先にターニングポイントがあるかもしれませんが、自分の遊んだ範囲では、「冒険のワクワク感」を直球で描く物語展開で好感を持てました。
▼主人公たちの拠点となるのは、動く機械要塞的な「移動集落」!でかい!かっこいい!ちなみに、ネタバレを防ぐため、一部の文字にはボカシを入れています。
▼宿敵や先輩冒険者との出会い、音楽と大道芸の街での大冒険など、王道冒険活劇のお約束をしっかりとおさえた物語を楽しめます。本当に丁寧に作られた物語だと感じました。
▼ややコミカル路線ですが、シリアスな展開もしっかり楽しめます。美少女剣闘士も登場しますよ!
余談ですが、同じテーマは小説や漫画など『ディアホライゾン』の別作品では異なる解釈で、また別の形で表現されています。
このあたりはぜひ、いろいろな作品を見比べて、物語の料理のされ方の違いを楽しんでみてほしいと思います!
……漫画版とか、ゲーム版とは真逆の変化球系で、同じプロジェクト作品だと信じられないほど、幅広い展開になっています。
【オリジナル新連載】
「 君のために、お姉ちゃんがみんな殺してあげる〜プロジェクト #ディアホライゾン〜 」開始!異世界ヤンデレデスゲーム…!
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システム:ミニキャラが動き回るにぎやかバトル!スキルをバンバン使える爽快さも◎!
冒険は移動とバトルで展開します。ダンジョンやフィールドをフリック操作で移動して、敵がいたらバトルに突入といった感じですね。
▼移動パートの際はオートマッピングがあるので便利。宝箱を見つけたら、自動的に入手してくれます。
バトルはリアルタイムで進み、敵味方のチビキャラが移動して戦い合う流れです。基本的にはオートバトルで進みますが、アイテムやスキルは任意のタイミングで使用できます。
ポイントの1つは、味方のHPは「ユニットの総合HP」としてパーティ全体で共有されること。そのため、パーティメンバーの誰かが戦闘不能になるようなことはありません。
死を分かち合う「守護契約」の設定が生かされている感じですね。
逆に、死ぬ時は一蓮托生。ユニットの総合HPがなくなった時点で、全員が倒れて敗北となります。
もう1つのポイントは、キャラや武器に設定されたスキルの使用が重要になること。
スキルはSPを消費して使いますが、このSPはかなり早いペースでどんどんたまっていくので、連続使用も比較的簡単。
同じ属性のスキルを連続して使うことでコンボが発生して、ボーナスを得ることもできますよ。
使えるスキルはカードのような形で配布されるので、コンボ狙いで同属性のスキルを集めておいたり、いざという時に備えて回復スキルを温存しておいたりと、戦術性の高さにも結びついた仕様になっています。
▼ザコ敵は数で攻めてくることも。それを範囲攻撃系のスキルで一掃するのは、なかなか気持ちいい♪ボスのとりまきを倒す時にも、範囲攻撃は便利です。
ゲームバランス的には「攻め有利」と申しますか、スキルで敵を全滅させた際の「スキルフィニッシュ」を狙うことが大事です。
スキルフィニッシュを達成すると、その冒険中はSPの最大上限値が1上がり、回復速度も上昇します。さらに最大値の半分のSPが回復するというおまけ付き!
ボスと戦う前にきちんとスキルフィニッシュを重ねてSPをパワーアップさせておくと、ボス戦をかなり有利に他戦えます。
ぶっちゃけ、格下の敵相手のクエストなら「倍速」&「オート移動(自動で探索をしてくれる)」&「スキルオート(自動でどんどんスキルを使ってくれる)」でさくさく遊べますが、強敵相手には手動でスキルフィニッシュを重ねていくことが大事ですよ!
▼倍速やオート設定が便利なので、育成用アイテムを集めるための周回プレイはさくさくと「ながら作業」で進められます。忙しい人でも安心!
▼バトル中のスキルの他、リーダースキルやパッシブスキルなど、自動的に発動して戦力アップに役立つスキルも用意されています。
協力プレイ:最大3人で同じダンジョンを攻略。レイドボスとの12キャラ乱戦バトルが熱い!
レイドボスが出現した際は、最大3人で協力プレイが可能。1プレイヤーにつき4人パーティで参加できるので、最大12キャラでバトルを楽しめるわけでね。
クエストに入ると、3人それぞれが別の位置からスタートし、リアルタイムで探索を行うことに。ボスの前で待ち合わせて、大人数でボスに挑むのがセオリーですね。
▼2人プレイの際の写真がこちら。マップには他のプレイヤーの現在地や踏破場所も表示されます。宝箱の位置もわかるので、便利!
ボス敵はたくさんのザコ敵を引き連れていることも多いので、敵味方が入りまじる大乱戦になることも!
チビキャラが動きまくり、スキル連発でガンガン戦う感覚は、これまでのレイドバトルゲームと比べても、かなり新鮮な感覚ですね。
「キャラが移動する」&「スキルを駆使して範囲攻撃で敵をなぎ倒す」感覚は本作ならではなので、ぜひ一度体験してみて欲しいですね。
その気持ちよさは、通常クエストよりもレイドバトルでより顕著に味わえますよ!
▼他プレイヤーと「同盟」を組み、「煉獄」という高難易度クエストに挑む楽しみ方もできますよ。共闘が好きな人にもおすすめです。
システム:古き良きRPGのプレイ感覚を残しつつ、「今」のニーズに応えるプレイフィールを実現した秀作
「キャラを動かす形での探索」と聞いた時、「昔のゲームみたいで楽しそう!」と感じる人がいる一方で、最近のアプリゲームの快適さに慣れていると「めんどくさそう」と感じるケースもあると思います。
バトルについてもそうですね。「オートバトル+スキル使用」という形式について、「いっそオートバトルで一瞬で決着がつくほうが話が早い」と考える人も、「ちゃんと位置取りやスキルの使用タイミングを考えて戦えるから楽しい」と考える人もいるんじゃないでしょうか。
▼気軽に楽しめる遊びやすさと、しっかり悩みながら遊べる複雑さ。この両立って、けっこう難しいんですよね。
自分の場合はファミコン時代からのゲーマーなので、「ちょっとめんどくさい」くらいのほうが「ゲームを遊んでいる感じ」がして好きなのですが、『ディアホライゾン』はそのへんのバランスがかなりうまく考えられていると感じました。
オート機能やスキップ機能(もしくは倍速的な演出のテンポアップ)が充実しているので、とてもテンポよく遊べる一方で、ゲームシステム自体はしっかりと完成度が高いものを用意しているのがポイント。
▼いわゆるスタミナや行動力の概念がないので、キャラや武器の強化用素材集めも、好きな時間にさくさくと行えます。
一部については手動で遊んだほうが効率がよく、強敵相手にも渡り合いやすいので、「さくさくとストレスフリーで遊べる」という部分と「自分で操作して遊ぶというゲームならではの楽しさ」がきちんと両立しているんですよね。
▼当たり前といえば当たり前ですが、パーティのおまかせ編成や、強化可能なキャラの一括強化など、便利機能もしっかりと用意されています。
全般的にはストーリー重視で、ゲーム初心者でも1人でじっくり遊べるRPGとして完成度が高いゲームだと思います。
曜日クエストなどをちゃんとこなせば、キャラを着実に強くしていけますし、メインストーリーを楽しむ範囲ならば多少は力押し気味でもなんとかなる印象。
▼仲間が増えると自動的にアイテム探索に出かけて、アイテムを集めてきてくれます。6時間ごとにもらえるので、ついついこまめにログインしたくなっちゃいます!
それでいて、やり込み派に向けた高難易度クエストはかなりガチの育成やプレイヤースキルも要求されます。
高難易度の協力プレイなんかは、3人のプレイヤー=12キャラパーティでのバランスを考えた編成や役割分担が重要になりますしね。
▼地味ながらもうれしいのが、未入手なキャラや装備品についても「図鑑」でステータスを細かく確認できるところ。ユーザーによる評価コメントも掲載されるので、ゲーム内で攻略情報を得ることもできます。
▼敵についても、「図鑑」で弱点などを詳しくチェックできます。
「親しみやすい王道ストーリー」、「さくさく遊べる1人用RPG」、「ガチでプレイヤースキルを磨くのが楽しい協力プレイや高難易度クエスト攻略」など、『ディアホライゾン』はいろいろな入口が用意されたゲームだと感じました。
入口が多いということは、楽しみ方の幅も広いということ。さすがは多くの名作RPGを排出してきたスクウェア・エニックスだけあり、ゲームとしての出来は及第点以上となっています。
ストーリーやシステムなど、何かが気になった人は一度遊んでみてはいかがでしょうか。RPGが好きな人が遊んで損はない出来なので、オススメですよね!
最後に:TVアニメは10月開始!漫画やWebアニメも楽しめます
総合エンターテインメント・プロジェクトである『ディアホライゾン』は、10月からTVアニメの放送が決まっている他、漫画や小説など、ゲーム以外でもさまざまな分野で展開中です。
個人的に大注目しているのが、漫画『君のために、お姉ちゃんがみんな殺してあげる〜プロジェクト ディアホライゾン〜』!
「お姉ちゃんがみんな殺してあげる」。なかなかのパワーワードですよね(苦笑)。
現実世界で就活に苦しむ大学生が異世界に飛ばされて……と、ゲームとはまた違った登場人物による物語を楽しめます。
ご想像のとおり、見た目的にも(血ドバー)精神的にも(絶望ばっか)リミット解除な感じの作品なので、人を選ぶ部分はあるかと思いますが、僕は好きです!きっと、波長が合う人も多いと思いますよ。
また、「死を分かち合う」という設定は、ゲームと共通しています。
同じモチーフを持ちながら、作品によって異なる物語やテーマとして料理されているところは、『ディアホライゾン』という総合エンターテインメント・プロジェクトならではの見どころです。
ぜひゲームだけでなく、その他のジャンルの作品もお楽しみくださいませ。おすすめですよ!
【『ディアホライゾン』の主な展開】
・TVアニメ(10月放送開始)
・Webアニメ
・4コマ漫画
・小説『ディアホライゾン 〜暁の契約者〜』
※「カクヨム」で連載中
・漫画『君のために、お姉ちゃんがみんな殺してあげる〜プロジェクト ディアホライゾン〜』
※アプリ『マンガ UP!』で連載中
・ラジオ番組『田中あいみ・芹澤優のディアホラジオ』
※文化放送と「超!A&G+」にて、日曜11:00から放送中の「A&G リクエストアワー 阿澄佳奈のキミまち!」内で12:42ごろ〜12:52ごろに放送
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・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ゲーム ・容量: 160.3 MB ・バージョン: 1.0.1 |
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・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ブック ・容量: 77.1 MB ・バージョン: 2.0.1 |
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