『アンジュ』4周年、『オルサガ』3周年。長期展開となるf4samuraiのシナリオの秘密【Flyers’ Lab】

グリーのアプリ開発スタジオWright Flyer Studios(WFS)が主催する業界交流イベントFlyers’ Lab#1「シナリオ編」シナリオと演出で命を吹き込む!!~スマホゲームのシナリオメイクについて~のレポートをお届けします。

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本イベントにはf4samuraiの田口堅士さん、gumiの今泉潤さん、WFSの古屋海斗さんが登壇し、3者による座談会や懇親会も行われました。ここでは、f4samuraiの田口堅士さんの講演をレポートします。

●田口 堅士氏(f4samurai)プロフィール

2003年、新卒で株式会社野村総合研究所に入社。プロジェクトマネージャーを経験後、2010年、同期3名で株式会社f4samuraiを設立。
取締役COOとして企業経営に従事、またディレクターとして「アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~」「オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団-」「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」といったサービスを立ち上げ。現場にて、企画からシナリオを中心に統括。

f4samuraiの出発点はマンションの一室から

最初に語られたのは、なぜf4samuraiが生まれたのか。2010年に前職の同期3名とf4samuraiを立ち上げた際は、マンションの一室を事務所として使い、数年は苦しい時期が続いたそうです。

そんななかで田口さんが注力したのが、「シナリオ」でした。当時、まだモバイルゲームやスマホゲームで本格的なシナリオが少なかったなか、f4samuraiはしっかりとしたボリュームがあるシナリオを盛り込むことをウリにして、開発会社としてのポジションを確立していきました。

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その際、ゲーム開発だけでなく、「運営」も行うこともf4samuraiならではの大きな特徴といえます。ゲームシステムのアップデートや、効果的な時期を見すえたシナリオの追加を開発会社自身が行うことで、「開発」と「運営」が一体化。

例えば、シナリオについては「物語の完結ありき」で1年単位のシナリオアップデートを事前に計画しておき、物語の山場と周年の時期を重ねる仕掛けを用意したり、物語の盛り上がりとゲームシステムの追加を合わせたりと、計画性を持ったシナリオ追加を徹底しているとのこと。

その結果、2013年12月に配信開始された『アンジュ・ヴィエルジュ~ガールズバトル~』はもうすぐ4周年、2015年4月に配信開始された『オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団-』も今年3年目を迎えました。

ゲームにとって最適な「開発」と「運営」が合致した結果、f4samuraiが手がけるゲームの多くが長期展開となり、毎年着実に会社の規模が大きくなっています。

そんなf4samuraiは、どのような考え方や手法をもってシナリオを制作しているのでしょうか?

シナリオすべてを内作する理由とは?

多くのゲームの制作や運営を担当してきたf4samurai。その制作スタイルの大きな特徴の1つが、ゲームシステムだけでなく、グラフィックやシナリオまですべてを「自分たちで内作」していることです。

その理由として、それらを外注すると、制作や修正についてのスピード感の違いや修正点があった場合の説明や相談にかかる時間がもったいないと語っていました。

それは開発者とシナリオライターの距離に関する問題もあり、内作にすることで開発者とシナリオライターが同じ気持ちで制作しやすくなり、シナリオライターがゲーム性を理解しやすい環境にあることから、ゲーム性にあったシナリオの見せ場を作れるメリットもあるそうです。

ユーザーが求めているものを作る

シナリオを作る際には、とにかく「ユーザーが求めているものを作る」ことが大事だと、田口さんは語ります。

具体例として提示されたのが、以下の考え方です。

  • 『アンジュ・ヴィエルジュ』:美少女TCG→ユーザーは「声を聞きたい」はず→ボイス演出や、それを意識したシナリオを制作する。
  • 『オルタンシア・サーガ』:王道RPG→ユーザーは「ベタであること」を望むはず→その王道さを裏切らないシナリオ展開を意識。
  • 『マギアレコード』:『まどか☆マギカ』のIP→『まどか☆マギカ』感が大事→ファンが考える『まどか☆マギカ』らしさをシナリオに盛り込む。

このように、各作品を遊ぶユーザーが何を望むかを考え、それに立脚したシナリオ展開を考えていくそうです。

そして、シナリオライターとともにつねに意識しているのが「ユーザーは設定を知りたいのではなく、感動したい」ということ。

シナリオを書き始めると、つい「書きすぎてしまう」傾向となるので、不要な情報は減らして、ユーザーが物語に専念できるようなシナリオを目指しているそうです。

難しい設定や一度に情報を盛り込みすぎることは極力避けて、わかりやすい展開を意識。それにより、物語で感動してもらうことに専念できるようにしているとのことでした。

「読む」よりも「見る」。スマホゲームで大事になるテンポ感

これは「短時間でテンポよく、気軽に遊べるスマホゲーム」におけるシナリオの楽しまれ方を意識した結果とのこと。

「読む」よりも「見る」ものという考えのもと、1つのセリフを短くして、連打しても気持ちよく物語を把握できて、気持ちよく印象に残るような工夫をしているそうです。

それでいて、時にはわざと「……」といったセリフをはさみこんでテンポに変化を与え、見せ場の前に一呼吸を入れることでユーザーの手や頭を止め、その後の場面の印象を強める手法もあるとのことでした。

例えば『オルタンシア・サーガ』の場合、通常の会話場面の他、バトル中にも会話演出を盛り込まれています。

これは見た目的な変化でメリハリをつける意図もありますが、バトル中の会話演出はスキップができない仕様としているため、特に大事なセリフはバトル中に盛り込んでいるとのこと。

また、各章のクライマックスには「一枚絵」を用意することで、物語における特別感を演出。ゲームにおける演出はボイスやアニメなどを含めて、ともすれば「やりすぎ」になってしまう傾向がありますが、田口さんのバランス的に「一枚絵はちょうどいい塩梅」となることが多いそうです。

一枚絵ならとことん描きこむことでクオリティを担保できますし、ユーザーに場面の空気感を想像してもらう効果も期待できるそうです。

その他、ゲームの流れの都合上、ユーザーは「シナリオ→バトル→シナリオ→育成→……」など、シナリオの間にゲームをプレイする時間がはさまれるため、シナリオの流れが忘れられがちになるので、そのケアも必要だと語っていました。

ゲームは短時間で一気に最後まで楽しむシナリオとは違うため、重要な要素については回想シーンなどを用いて、何度も繰り返して説明する手法も有効とのことでした。

配信タイミングもゲームの一部

これは「物語の完結までの流れ」を作ってからゲーム配信を行うというf4samuraiならではの特殊な環境ゆえかもしれませんが、田口さんは配信タイミングもゲームの一部にしていると語っていました。

『マギレコ』の場合は週間放送のアニメ感を出すために1週間ごとにメインストーリーを配信しており、『オルタンシア・サーガ』の場合はゲーム内の時間進行と合わせて1カ月に1章を配信する流れにしていたとのこと。

『オルタンシア・サーガ』については、ゲーム内で事件が起こる12月5日にあわせて、その12月5日当日に第一部が完結するシナリオを配信するというユニークな試みが行われました。

演出と文字が連動することで、1つの場面が描かれる

シナリオ=文字のみと思われがちですが、ゲームの場合は「演出」も合わさることで「物語の場面」が成立することになるます。

  • キャラのモーション:感情の表現や状況をわかりやすくするもの。
  • 動きのエフェクト:ロールアウトなど、動的な状況をわかりやすくするもの。
  • 画面のエフェクト:プロミストや回想など、印象を分かりやすくするもの。

f4samuraiでは上記のような役割をベースに考え、開発側がグラフィックやエフェクトを用意。シナリオライターは、それらを素材的に自由に使用する形で、文字と演出を合わせてシナリオを考えていくとのことでした。

田口さんは公演の最後を、f4samuraiの企業理念である「おもしろき ことがあり世に おもしろく」という言葉で締めくくりました。

作っている自分たち自身が楽しいと思うシナリオをどのように提供していけばよいのか。

それを突きつめ、ゲームならではの特殊性を加味したうえでシナリオを作っていることが、ユーザーに長期的に受け入れられるf4samuraiのシナリオの魅力につながっているのではないでしょうか。

開発と運営をあわせて行うことで多くの作品の長期展開を実現し、わずか3名のスタッフから年々拡大を続けているf4samuraiは、今なおスタッフ募集を行っています。

物語を描き切ることを大事にしているf4samuraiに興味を持った方は、エントリーしてみてはいかがでしょうか。

→f4samuraiのスタッフ募集はこちら:f4samurai公式サイト

イベント告知:ファンフェスティバルが12月4日開催決定

10月28日には現役ゲームシナリオライターやゲームシナリオライティングに興味を持つ人を対象にしたセミナー「シナリオ塾」を開催。

f4samuraiのシナリオチームがストーリー制作を担当した『マギレコ』と『オルサガ』と、2つのゲームオリジナルのシナリオ制作を比較しながら、それぞれの特徴や制作秘話などが紹介されるとのこと。

→セミナーの詳細・応募はこちら:シナリオ塾紹介ページ

また、12月4日に行われるLive2D社のAlive2017にf4samuraiが協賛し、『マギレコ』のLive2D制作について公演を行うそうです。

さらにf4ファンフェスティバルが12月3日に開催決定! 『アンジュ』『オルサガ』『マギレコ』といったタイトル勢揃いの生放送が行われます。f4samuraiファンは要チェックですよ!

→ファンフェスティバルの参加申し込みはこちら:f4ファンフェスティバル特設サイト(10月29日23:59まで)

次回イベントはヨコオタロウさんや加藤正人さんが登壇

本イベントは早くも次回開催が決まっており、『シノアリス』のヨコオタロウさんや『アナザーエデン』の加藤正人さんが登壇し、ゲームの世界観について語られる予定です。

【次回イベント概要】
●イベント名:Flyers’ Lab #2 「世界観編」 ヨコオタロウ×加藤正人 『ゲームの世界観を語る!』
●日時:11月13日(月) 19:00~21:30
●場所:グリー株式会社 9階セミナールーム(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー)
●登壇者
・ヨコオ タロウ(「SINoALICE」(シノアリス) 原作・クリエイティブディレクター)
・加藤 正人(WFS/アナザーエデン)
●モデレーター
・下田 翔大(WFS/消滅都市)

→参加申し込みはこちら:Flyers’ Lab #2紹介ページ

マギアレコード 魔法少女まどかマギカ外伝 ・販売元: Aniplex Inc.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 57.6 MB
・バージョン: 1.0.0

©Magica Quartet/Aniplex・Magia Record Partners

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