『刃牙UC』が目指すのはe-Sportsと対戦のカタルシス! 百聞は一見に如かず、百見は一触に如かず!!

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グラップラー刃牙 アルティメットチャンピオンシップ


配信以降、日本中の「刃牙」ファンが「君を待っていたッッッ」となったiOS/Android用アプリ『グラップラー刃牙 アルティメットチャンピオンシップ(以下、刃牙UC)』

本作は、原作の最大トーナメント編を舞台に熱い戦いが楽しめる対戦格闘アプリとなっており、ハマる人は日に30時間プレイし続けたくなるほどハマる作品となっています。

自分も対戦で負けると、悔しくてピクルと戦った烈海王のように「ウワアアオォォ」と腕をブンブン振り回したくなりますが、そんな「刃牙」ファンの間で話題となっている『刃牙UC』のキーマンに、お話をうかがってきました。

私自身も含めて「刃牙」シリーズのファンであるため、少々脱線気味になってしまいましたが、未発表の新キャラクター参戦情報など、気になることがいろいろ聞けたインタビューでした。

「刃牙」ファンはもちろん、このゲームが気になる人もぜひご覧ください!(文:イカマン)

▼プロデューサーの南輝明さん(左)と、ディレクター兼プロデューサーの神﨑喜多さん(右)。
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ちなみに、写真撮影時に「刃牙」っぽいポーズをお願いしたのですが、寂海王好きの南さんが「試合放棄かな……」のポーズで顔を隠すなど「リングじゃ使えねェ」という感じだったので割愛させていただきました。お二方とも、ごめんなさい!

※インタビュー中は敬称略。

『刃牙UC』が目指すのはe-Sports! e-Sportsになったらどうなってしまうんだ!?

──まずは配信から2カ月が経ちましたが、あらためて『刃牙UC』のプロジェクトを立ち上げたきっかけから教えてください。

南:「グラップラー刃牙」シリーズが25周年記念なので、秋田書店様と何かできないかという話が持ち上がり、プロジェクトとして立ち上げたのが始まりです。

原作は熱い戦いが魅力なので、対戦ゲーム以外の形でやるのは変だろうということで、対戦にフォーカスを当てています。

ただ、現状のスマホで対戦格闘というジャンルを作ったときに、そのままコンシューマと同じような形の対戦格闘にするのは難しい、という結論になったんですよ。

──確かに、スマートフォンはバーチャルパッドなのでレバーもなければボタンもないですし、操作という面ではコンシューマゲーム機やアーケードにはかないませんね。

神﨑:格闘ゲームをスマホで最適化するとどうなるのかを真剣に考えました。そのときに、どうしてもスマホではタッチから動くまでにラグがあるので、バーチャルパッドでは違和感がある。また、どうしてもタッチレスポンスから表示までにかかる時間などのラグを考えるとコンシューマゲーム機と同等は非常にむずかしいと感じました。

実は、自分も南と組む前からスマホで格闘ゲームを作ってみたかったので検証をしていたのですが、スマホだとコマンド入力の判定やタイミング取得ができませんでした。

その代わりの検証として、ジェスチャー形式でZの文字を入力させたり、円を描かせたりと、いろいろな代替案を考えたのですが、キャラクターが入力のあとからついてくるように感じてしまいました。

しかし、スマホでe-Sprots。対戦格闘ゲームということをあきらめきれず考えていた結果、タップで攻撃、カードで技(コマンド入力)という形になりました。この形にするまでボードゲームをつくってゲームルールの検証をしたりしました。

その結果、e-Sportsに適した対戦ゲームになったと考えています。ただ、いろいろとクリアしなければいけない課題が残っているので、まだ先は見えていません。

でも、僕らとしては最終的にe-sprots化を目指しているので、そこを踏まえた機能やレギュレーションを検討している最中ですね。このあたりについては、プロゲーマーさんからも意見をいただております。

もちろん、永続的にお客様に楽しんでいただくためには盛り上げていかなければなりませんし、そうなるとマネタイズという面で悩ましいところもあります。

e-Sportsは競技性、公平性のある場なので、課金した人だけが強くなるわけにもいきませんし、そことの整合性を取るのが難しいですね。

僕も南もゲームが好きなので、「課金=強さ」にはしていません。「時短=課金」としているので、そういう意味ではe-Sportsの条件には合っていると思います。

──言われてみると、このゲームはガシャにつぎ込んで強いキャラを引くのではなく、基本的に「スタミナ回復食」で時間短縮がしたくて課金するほうが多い気がします。

南:レベル3までは、そんな感じですね。スタミナ回復食につぎ込むほうが効率よく育てられますし、ガシャで技を引いて重ねていくのは、ある程度のレベルまでいったあとだと思います。

このゲームは技のカードが1枚あればなんとかなるわけではなく、3すくみやコスト差、鍛え方や戦い方でひっくり返せるようにしてあるので、そこも課金という面では悩ましいところで……(笑)。

神﨑:ちなみに、我々は「対戦格闘」というジャンルをうたってきてそのつもりで作ってきたのですが、最終的に勝敗をわけるのがスキルカードの出し方と効果の読み合いになってくるので、どちらかというと「カードゲーム」のジャンルに近いとも思っております。

なので対戦格闘ゲームとして作ったのですが、最終的に「対戦格闘」というより「対戦カードゲーム」として、調整をしております。もちろん「対戦格闘」としてのゲームバランスを調整するところもあると感じています。

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──ゲームを遊んでいると対戦に関するこだわりだけではなく、「刃牙」が好きな人が作っていると感じます。やはり、スタッフも「刃牙」好きが多いのでしょうか。

南:私自身も、秋田書店様とお話をする前から連載を読み続けているファンですが、制作スタッフのなかにも造詣が深いメンバーがいます。

アレクサンダー・ガーレンが大好きな人もいて「最大トーナメント編なのに、なんでまだガーレンを出しちゃダメなんですか!」とよく言われていて、いやいや、ガーレンは最初に入れるキャラじゃないでしょう、と(笑)。

それを言い出したら、僕自身が一番好きなキャラクターは寂海王なので、早く寂海王を参戦させたいですよ。みんな「そこかよ!」と突っ込んでくるのですが……。

──ああ、わかります! 自分も最凶死刑囚編から中国大擂台賽編が大好きなんですよ。早く、ドリアンで敗北を知りたいです!

南:それくらい好きな人間がいて、ゲーム中のセリフ回しもコミックスをもう1回読み直してから作って秋田書店様に監修してもらっています。

最近のシリーズからも出したいキャラは多いのですが、最大トーナメント編から物語を始めたのは、ゲームとしても「グラップラー刃牙」から物語を始めたほうがわかりやすいからです。

神﨑:このゲームを遊んでもらってから「刃牙」にハマってもらうというのもコンセプトの1つとしてあるので、最大トーナメント編から始めるなら、そこからの時間軸通りに進めていかないと初めて「刃牙」に触れた人が困りますからね。

バキイズム自体は南が凄くリスペクトしていて、先日始まったタワー型イベントで120人分ある紹介文章を自分で直しちゃうし追加するくらいなんですよ。

南:イベントの文章は普通に書いちゃうとつまらないですし、「刃牙」っぽくなくなってしまうじゃないですか。そこは、こだわりというよりも僕たちも原作が好きだからですね。

神﨑:「刃牙」は活字も力がありますからね。もちろん、ゲーム内のグラフィックもこだわっています。メインキャラクターだけで6回作り直していますからね……。

グラフィックを作っているスタッフみんなが、いつの間にかバージョンアップしているんですよ。

動きが全然違っていてよくなっているのですが、秋田書店様に監修し直してもらわないといけなくなるので、監修中に見せているROMが「あれ、変わっている」……ということがザラにありました(笑)。

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参戦希望の問い合わせナンバー1は、バランスのいい山本選手! そ……ッ、そうきたかァ〜〜〜ッッッ

──お話をうかがっていると、スタッフも愛を持って作られていますね。ちなみに、ストーリーは原作の時間軸に沿って展開していますが、格闘士たちも原作に沿って追加されていくのでしょうか。

南:基本はそうです。まずは最大トーナメントに出場した格闘士から追加していく予定です。

とはいえ、原作のコマから必殺技を使わせていただいていることもあって、技が足りないキャラは出しにくいです。出したいキャラはたくさんいますが、原作でまともに戦っていないとプレイアブルにはできないんですよ。

神﨑:そういう意味では、今、お客様からのお声で目にするのが「バランスのいい山本選手」です(笑)。しかし、南の言うとおり、戦っているシーンがない!

──今の自分に死角はないッッ!! ……確かに、山本稔選手は天内悠にやられてばかりでまともに攻撃していないですね。

神﨑:そうなんですよ。山本選手はまともに戦っていないのでプレイアブルキャラクターとして出すことは難しいです。お客様は、わかっていて要望を出していませんか!?って思ってはおります。

南:そういったキャラクターは、タワーイベントなどの敵としてはギリギリ出せると思いますが、流石にプレイアブルのキャラクターとしては難しいですね。

末堂厚のように、原作でそれなりに戦ったシーンがあるキャラクターならプレイアブルにもできますが、バランスのいい山本選手は原作だと1カットしか技がないので、敵として出すのも困っています。

神﨑:みなさん、本当にバランスのいい山本選手を使いたいんですかね(笑)。いや、基本的には全員使いたいのはわかりますが……(苦笑)。ご質問にあるように、やはり原作で複数回戦っている人のほうが格闘士として出しやすいです。

しかしですよ、どうしても山本選手を使いたいというお客様の声が大きい場合は、最終的に板垣先生に頼み込んで「すみません、板垣先生。バランスのいい山本選手の技を描いてください!」と言うかもしれません!!!(笑)

ガイアに続いてボクサータイプのキャラも参戦! 世界ヘヴィ級チャンプこそが地上最強の代名詞だ!!

──プロレスや相撲など、まだまだ出てきていない格闘技のジャンルもあるので、ファンとしてはそういった格闘士も欲しいところです。

南:それを言ったら、開発でも入れたいキャラクターは多いですよ。ムエタイの選手もそうですね。

──わかります! ムエタイは原作だとパンツを下ろされて股間をビシッとされたり酷い扱いが多いですが、サムワン海王とかジャガッタ・シャーマンとか、妙にインパクトがあって好きです(笑)。

南:デントラニー・シットパイカーさんもいましたね。彼も原作だとエピソードが少ないので、出しにくいキャラなのですが……。

板垣先生はムエタイが嫌いなのしょうか? 原作だと、ムエタイと警官はだいたいひどい目にあいますから(笑)。

あとは、キャラクターとしてはプロレスタイプやボクサータイプを出そうと考えています。プロレスはプロレスで本部以蔵の弟子がいますからね。

神﨑:えっ、ガイアの話ですか?

南:そっちも弟子になったけど、そっちじゃなくて! もともとの弟子は花田純一でしょう。花田はレスラータイプじゃないですか。

神﨑:すみません。そうでした(笑)。確かにいましたけど、花田も出オチキャラじゃないですか(笑)。強そうに見えても結果、戦う前につぶされてしまう(笑)。

そういう意味では今の愚地克巳もお坊ちゃんの時系列ですし、加藤清澄もサンドバッグから出てきて顔に傷が入るまでは、あまり強いイメージがないですね。そこは原作準拠ですね。

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──それを言ったら、最凶死刑囚編まで行くと、末堂先輩も技が増えて出しやすくなるのでは? そもそも技の数で言えば、敵として出てきているのになぜか鎬兄弟がプレイアブルになっていませんよ!

神﨑:ああ、やっぱり、そこを突っ込まれますか(笑)。鎬兄弟より先に本部が使えるようになっていますし、順序がおかしいと言われる気はしていました(笑)。

南:本部は、現在進行形で連載中の「刃牙道」で活躍しているのが大きいですね。鎬兄弟も、ちゃんと近いうちにプレイアブルキャラとして使えるようにする予定です。

近々の話で言えば、TGSで発表したように12月にガイアが出ますが、それ以外にもボクサータイプのキャラを作っているところです。

神﨑:その話をしちゃいますか? では言っちゃいますけど、プレイアブルキャラクターとしてアイアン・マイケルが出るそうです。監修物を見たときに、えっ、アイアン・マイケル⁉︎って南に突っ込みを入れました(笑)。

──アイアン・マイケルが出るんですか!? まさかこの男がきてくれるとはッッ!

南:ほかの選手を差し置いてアイアン・マイケルを先に出すのかと言う話もあったのですが、ボクサーも必要じゃないですか(笑)。

あと、彼は柴千春と熱い戦いをしたのでプレイアブルにしやすいんですよ。ただ、グローブをはずしたバージョンを入れるかどうかは検討中です。

──言われてみると、アイアン・マイケルは初期からのキャラクターですね。どうしても「範馬刃牙」のエピソードで刑務所に収監されていたので、そちらの印象が強くなっていました。

南:彼は、なんで刑務所に捕まっていたんでしょうね。そこを描くサイドストーリーがあってもいいのかな?

じつは、今後ストーリーモードを追加してく予定なのですが、サイドストーリー的なエピソードの追加も考えているんですよ。

最大トーナメント戦の前後に、各キャラクターが何をしていたのかといった前日譚や後日譚を秋田書店様と一緒に考えているところです。

たとえば、ジャック・ハンマーだったら最大トーナメントの前は何をしていたのかというオリジナルのサイドストーリーを用意することで、各キャラクターを育てやすいシナリオを用意しようと考えています。

アイアン・マイケルだったら収監された理由がわかるエピソードが広がっていくかもしれません。

──それは、現状のストーリーモードの合間に挿入されていく形になるのでしょうか?

南:はい。いわゆる分岐ルートです。ストーリーを選ぶ画面を見ると、ステージ同士をつなげる線がカクっと折れ曲がってますよね。そこに、分岐としてサイドストーリーが挿入されていく形にしようと考えています。

今でも刃牙以外で攻略すると13章が開かず、ジャック側のエンディングになってしまうんですよ。それも、分岐ルートとして用意しようとした実験の1つですね。

神﨑:自分はファミコン世代の人間なので、条件分岐や裏技的な物を入れたかったというのも理由です。

今後は神心会の話やジャックの前日譚などで、監修が通った物から実装されていくと思います。枝の先がどんどん追加されていって、そこをプレイすることでジャックや克巳も強くなっていくという流れです。

──なるほど。個人的にはサイドストーリーだけではなく、原作の「バキ外伝 疵面」といった派生作品のキャラやイベントなども期待したいところです。

南:外伝作品に関しては、申し訳ないのですが後回しになりますね。外伝にフォーカスを当てるよりも「グラップラー刃牙」から「刃牙道」につながる本筋が優先ですから。おそらくは、そのあとになると思います。

現在も「刃牙道」が絶賛連載中ですが、そこに追いつくのはいつになるかわからないですし、それこそ、自分が好きな寂海王も早く入れたいですから。

神﨑:コラボなども検討はしたのですが、本当に喜んでもらえるのかという部分でいうと難しいところだと思っております。無理にできないかなと思っております。

南:過去に弊社の『鉄拳』シリーズでも板垣先生に描いていただいたことがあるので、そういった方面や「餓狼伝」の漫画版といった方面から考えられなくはないのですが、それを入れるよりも蟷螂や夜叉猿をゲーム中に出すほうが先なのではないかと思っております。

コラボや外伝よりも、原作中に出てきたキャラクターのほうが優先されるべきだと考えています。なので、蟷螂をプレイアブルキャラクターにして蟷螂vs夜叉猿ができるようになるほうが先かな。

いったい、なんのゲームなんだと言われそうですが(笑)。あとは、新しいTVアニメとして「最凶死刑囚編」の放送が発表されていますが、放送が始まるころには、我々も死刑囚編のストーリーを並行で進めていければと考えています。

──それは楽しみです。自分も、早くドリアンを使いたいので! ドリアン海王でも構いませんよ!!

神﨑:死刑囚編まで行けば、死刑囚たちもプレイアブルになると思います。もちろん、ストーリーモードが「刃牙道」まで行けば、本部も120%の守護キャラになります!

南:プレイアブルで言えば、版権元からNGが出そうなのは範馬勇次郎と宮本武蔵くらいなので結構自由に作らせていただいております。

勇次郎は設定上負けちゃいけないキャラなのと、武蔵は現行のボスキャラなので先に勝つわけにはいかないのですが、それ以外は技や絵があればいつでも出せます。

──確かに、勇次郎はチュートリアルだと使えますが、チュートリアルでも絶対負けませんね。

神﨑:負けないようになっています。ただ、ユーザーさんの期待として勇次郎が出てくるイベントを遊びたいと思っているはずなので、そこは我々も考えています。

たとえば、とにかくいっぱい勇次郎を殴れるけど、最後に鬼の形相(おにのかお)が出てきて殴り返されて終わる……みたいな(笑)。

南:いろいろ考えているので、そこは今後の実装にご期待ください。

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格闘士の追加コンセプトとキャラクターバランスはどうじゃ……?

──キャラクターの追加ということで気になっていたのですが、現在までに格闘士が3名(愚地克巳、加藤清澄、本部以蔵)追加されていますよね。この追加コンセプトについて聞いてもよろしいですか?

南:基本的にはゲーム内のトレンド(対戦バランスの傾向)と人気順です。

もちろん、最大トーナメント編で戦っている人がメインなのですが、TGSで発表したガイアのように、最大トーナメント編より前の時間軸で戦っている場合でも参戦候補として用意しています。

神﨑:ガイアはTGSで発表したように「環境によって戦い方が変わってしまう」キャラクターです。たとえば、コンクリート上では出ない技や水がないところでは出ない技があって、環境によって使えるデッキもまったく違ってくるんですよ。

南:公園には噴水があるから出せるのではないか、といった話し合いもしました。ガイアのように変わったキャラクターも入れつつ、今後もいろいろと追加していく予定です。

──個人的に本部を育て始めたのですが、彼の本領が発揮されるのは「刃牙道」なんですよね。現状のSSRである「指捕り」は金竜山に通用していないので、そこも本部ファンとしては気になるところです。

神﨑:いずれ、120%の本部が出てくるとは思いますが、おそらく金竜山が出たら「指捕り」は通じないようにすると思います(笑)。というかしないといけないでしょ!

南:「刃牙道」の物語まで行ったら「ちゅどッ」も実装したいという話をしているんです。そういう、エピソードによって全然違う技を使う場合も、いろいろと考えています。

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──確かに、エピソードによって全然違う状態のキャラクターも見たいですね。原作は巻数が多いので、烈が片足を失ってボクシングを始めたり、克巳が腕を失った状態になったりと、身体にダメージを負った状態もあります。そういう状態のキャラクターが使った技も追加されていくのでしょうか?

南:悩ましいところですが検討中です。幼年期編のバキもそうなのですが、別のキャラクターとして実装するか、それともスキンを変えた色替えで出すのかは悩んでいます。

神﨑:表現上、部位欠損はあまりよくないという側面もありますから、部位欠損をしていない状態で使えるようになるかもしれません。たとえば、片目を失った愚地独歩のような場合はスキン替えになると思います。

──それで言うなら、自分は毒手を受けてガリガリになったバキを使いたいです。

神﨑:砂糖水を飲まないと戻らないじゃないですか。それは「裏返ったーっ!」て言いたいだけですよね?

南:砂糖水のカードを使うと烈の声が聞こえて「範馬刃牙復活! 範馬刃牙復活!」というカットインが入る、と(笑)。

神﨑:もうインタビューでもなんでもなくて、漫画の話をしてるだけじゃないですか。僕ら(笑)。

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──試合してェ〜〜。……すいません脱線してしまいました(笑)。烈海王といえば、イベントで上位3名に先行配信された「手足連撃」のカードが武技限定ガチャで配信されています。今後も、こうした技はイベント時の先行配信という形で配られていくのでしょうか?

南:はい。基本的には先行配信という形をとっています。手に入れた方に先に体感してもらうという狙いはあるのですが、新規に入ってきたお客様が絶対にそのカードを取れなくなってしまうのは避けたいんですよ。

かと言って、復刻イベントという形で出してもがんばって入手するのは同じ人たちばかりになってしまうじゃないですか。

永遠に取れない必殺技があるのは公平性に欠けてしまうので、時期を見つつも、最終的にはみなさんが取れる形で配信していく予定です。

神﨑:そこはやはり、e-Sportsを目指している部分があるので、不公平感が出ないように気を使っています。

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──限定アイテムがないという意味では、かなり珍しいアプリゲームですよね。

神﨑:限定がないと言い切ってしまうと偉い人に怒られてしまいますが、最終的には限定が存在しないゲームです。なぜ、このような形を取っているのかと言えば、ゲームバランスを見ているからなんですよ。

イベントで新しいカードを投下するとキャラクターの使われ方も変わってくるので、そこがどうなるのかをまず見ていくんです。

その技の注目度や使われ方の予測もできますし、実際に市場に流れることで、どのような強さになるのかも確認できるので、イベントから順序立てて入れていく形になっています。

南:このゲームは技を重ねることが基本になっているので、一枚あればよいわけではありません。ですが、イベントで手に入れた人はガチャで引くと重ねられるので、より優位になりますよね。

誰でも手に入れるチャンスはありますが、イベントでがんばった人のほうが早く重ねられて優位性があるという形にしています。

──お話を聞いていると、対戦バランスにはものすごく気を使われていますね。

南:キャラクターの強弱ができるのは対戦ゲームの常なのですが、できるだけ平均化できるように気を使っています。

ただ、使いやすいキャラクターというのは、どうしても出てしまいますね。刃牙のようにオーソドックスなキャラクターは使いやすいですし、特化したキャラクターは使い方によって強さが大きく変わってくるようにはなっています。

たとえば、今のトレンドを見ていると瞬発力に振った加藤が強いんですよ。瞬発力を上げてラッシュが入ると強いんです。

烈もそうなのですが、彼は「手足連撃」が入る前はあまり強くないキャラでした。ですが、今「手足連撃」を持っていると花山薫と互角に戦えます。

「手足連撃」は最大で150ヒットくらいラッシュできて、花山は瞬発力にはふらないので、余計にラッシュ攻撃が入るんです。

150ヒットすると、レベル3で防御がマックスの花山でも6割くらい体力が減り、花山の大技に対して烈のカウンターがヒットすると勝ててしまうんですよ。

少し前までは花山に勝てない状況だったのが「手足連撃」とカウンターによってガラっと変わりました。とはいえ、カウンターがない状態だとやられてしまいますし、相手に主導権があるままだと花山のほうが強いです。

バランスはプレイヤーのカードの出し方やデッキの組み方によって変わりますが、そこをなるべく取れるようにしていくつもりです。

神﨑:配信から2カ月経って、ようやく我々が「勝ち筋」と呼んでいる「勝ちパターン」が出てきたかなと感じています。

じつは「手足連撃」にも弱点があるんですよ。武技の5なので卑劣の4で返せてしまう。カウンターや効果無効の技でラッシュを発動させないこともできるので、単純に強い必殺技を持つキャラクターが強いゲームではありません。

──ちなみに、現状のキャラクターバランスでここを強化して欲しいという声などは聞いていますか?

神﨑:そうですね。バランスのいい山本選手を……。

南:山本選手はいません! 今、言われているのは愚地克巳のカードが少ないという声ですね。あと、ジャックが完全に一発狙いのキャラクターでそれ以外の勝ち筋がないと言われているのが気になっています。

ジャックは耐えて耐えて、日に30時間耐えるくらいの勢いで耐えたあと、ドーピング後の攻撃で相手の体力をいっきに減らしていく花山寄りのキャラクターなのですが、追加された「例外の存在」というカードをうまく使ってくれると、違った勝ち筋ができると思いますよ。

神﨑:ユーザーさんの声といえば、アンケートを定期的に実施しようかと考えております。そのアンケートからユーザーさんの声を直接受けて、バランス調整などにフィードバックをしていこうと考えているので、ぜひアンケートに答えていただければと思います。

南:基本的には、現状でも初期の6人は強く作ってあるんですよ。開発がオススメするという意味では、やはり主人公の刃牙はオールマイティに作っていますね。

あとは、弱点がありつつも攻撃力と防御力に特化した花山。その花山に対するメタとして渋川剛気が存在しています。

花山に対して渋川が出てくると厳しいのですが、そこはマッチングの妙ですね。渋川自体は、ほかのキャラクターより強いかというと対花山に特化しているので、ヒエラルキーから言うと3すくみになっている感じです。

神﨑:あとは独歩も強いです。独歩は低コストの3属性を持っているのでバランスがいい。

「属性カウンター」と我々は呼んでいるのですが、属性+1の効果でコスト管理をしていくと強くなるキャラクターです。

烈は「手足連撃」が入ったことで、瞬発力があるラッシュキャラクターとしては手がつけられない感じになっています。コスト5で一気に勝負を決めるキャラです。

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南:ラッシュを入れれば勝ちが確定しますが、ラッシュを入れるにはコスト5の技をうまく出さないといけないので、ゲージの管理が重要になります。そんな感じで、基本的には初期の6人が強めになっていますね。

神﨑:ただ、ジャックに関してはまだ物足りないですし、あとから追加した克巳もカードが物足りないので、そこはどうにかしようと考えています。

克巳は高コスト寄りのカウンターキャラなのですが、独歩よりもコストが高めなので戦い方がキツイと言われていますね。

南:新キャラクターに関しては、少しピーキーになっています。初期のキャラクターと互角に戦うのは厳しい部分があるので、そこは強化していきたいです。

やはり、普通にプレイするにはオールマイティなキャラクターである刃牙。ちょっと変わった独歩。慣れるまでは、タップのタイミングがゆっくりな花山がオススメですね。

神﨑:このゲームは、始めて2日目でSSRが引けるので、そのSSRでキャラクターを決めても大丈夫ですよ。

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この人たち本気じゃん! 地上最強を目指す格闘ゲーマーたちが気に入る対戦アプリ!

──TGSでもプロゲーマーの方を呼ばれていましたが、本作は格闘ゲームをたしなむ人たちにもヒットしている感じを受けました。

南:そうですね。プレイしていただくと、ちゃんと対戦ゲームなのだとわかっていただける部分はあります。

最初に「スマホのポチポチゲームなんでしょ?」という感覚で入ってこられると、全然違った印象を抱いてもらえるみたいですね。

逆に言えば、現状のスマホゲーとは違って課金をしているだけでは強くなれないので、そういった部分で攻略しがいのある骨太な設計にしています。

もともと「刃牙」シリーズ自体が濃い絵面でゴツイ漢しかいないじゃないですか。漢と漢の戦いなので、通常のアプリゲームでウリにする女性キャラクターがいないのも変わっていますよね。

──ああ、確かに。言われてみれば、梢や刃牙の母親の朱沢江珠。ジャックの母親のジェーン。オリバの恋人のマリア……。女性キャラクターも濃いですね。

南:それに、彼女たちは対戦しませんから。もう、本当に困っているんですよ。たとえば、夏だと「水着ガシャ」ってあるじゃないですか。このゲームだとできないですからね。花山のふんどしとオリバの水着くらいしかない(笑)。

──その話を聞いて思ったのですが、もしかして、このゲームは季節ごとのガシャもできないのでは?

南:ムズカシイですね。たとえば、板垣先生が作ってくださった25周年のIPを破壊してまで、サンタクロース姿の愚地独歩を出すべきなのかと考えると違うじゃないですか。

これが「バキどもえ」とのコラボなら許されるかもしれませんが、あくまでもスパルタンなゲームなので……。コラボや季節のガシャは一時的に話題にはなるのですが、対戦が楽しくて遊んでいるユーザーさんたちは嫌がると思います。

お客様に喜んでもらえるかもしれないという一面はありつつも、IP物なのでバランスの線弾きは難しいです。ギャグマンガではなく、漢のカッコよさや熱さを超えた“オス度”の極限にある漫画なので、ヘンな風にはいじれませんね。

神﨑:本当にマジメな作品として25周年続いております。その作品のコンセプトで最強の男を目指す話として、1本の筋が通っています。そこはブレるようなことはしたくはないです。

──それでは最後に、このインタビューを読んでいるユーザーさんたちに向けてメッセージをお願いします。

神﨑:本作はおもしろいゲームなので、ぜひ遊んでください! アップデートでフレンドマッチも実装されたので、横にいる人と遊ぶとおもしろいと思います。

友だちと一緒に遊んだり、飲み屋で持ち寄って遊んだりしてもらえれば、昔の格闘ゲームのような体験ができると思います。

フレンドマッチも通常の対戦と同じように、何も消費せず無限に遊べますので、ぜひ隣にいる人たちとフレンドマッチで遊んでみてください。

南:本作は「刃牙」シリーズが大好きな人はもちろん、対戦ゲームをやってみたいという人にも遊んでほしいゲームです。本当に課金をしなくても遊べるので、ぜひ1回ダウンロードして遊んでみてください。

課金をするかどうかは、そのあとに考えていただいてかまいません。もし、遊んでみて自分には合わないと思った人でも、隣にいる人とフレンドマッチで対戦してみると印象が変わると思います。

まずは、1回ダウンロードしてから近くにいる人と一緒に遊び、顔を付き合わせて遊ぶ楽しさを味わっていただけるとうれしいです。

『刃牙UC』が目指すのはe-Sportsと対戦のカタルシス! 百聞は一見に如かず、百見は一触に如かず!!


──本日は、長時間におよびインタビューありがとうございました。

神﨑:ありがとうございました。

グラップラー刃牙 Ultimate Championship ・販売元: BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 215.9 MB
・バージョン: 1.5.0

©板垣恵介(秋田書店)1992 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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