【FFEXフォース開発秘話】3DSからスマホへ。アクション性&マルチプレイの完成度を高めた理由とは?
スクウェア・エニックスが3月15日配信予定のスマートフォン向けマルチプレイアクションRPG『ファイナルファンタジー エクスプローラーズ フォース』の開発者インタビューをお届けします。
本作はニンテンドー3DSで発売された『ファイナルファンタジー エクスプローラーズ』のシリーズ作品ではありつつも、前作とは一味も二味も違う遊びの数々が用意されています。
インタビューでは本作のディレクターを務めた安部貴博さんに、開発中の裏話やクローズドβテストの反響、リリース後に役立つ初心者へのワンポイントアドバイスなどを伺ってきました。(文:ユート)
▼本作のディレクターで、『ファイナルファンタジー エクスプローラーズ』ではプロジェクトマネージャーを務めた安部貴博さん。

新たな楽しみ方を盛り込みつつコンシューマ級の遊びを実現
ーーはじめに、『FFEXフォース』はどのような遊びを目指して作られたのかを教えてください。
安部:開発コンセプトは、スマホでもコンシューマ級のゲームが楽しめるものを作ろう、というものです。
2014年の12月に、本作の前身となるニンテンドー3DS版の『ファイナルファンタジー エクスプローラーズ』を発売しましたが、当時のスマホアプリにはカジュアルなものが多くて、スキマ時間に遊ぶようなものが主流だったんですね。
そこに続編を展開していくとなったときに、同じようにカジュアルにするのではなく、あえて挑戦的なタイトルとしてコンシューマ級の遊びを用意しようと。
動画:『ファイナルファンタジー エクスプローラーズ フォース』ローンチトレーラー
3DS版で確立したアクションRPGの路線を軸に、既存のスマホアプリとは一線を画すような新しい体験を届けることを目指して開発を進めていました。
ーー本作をスマートフォンで展開することにしたのはなぜですか?
安部:スマホで展開するのが、最も多くのユーザーさんに楽しんでもらえる選択になるのではないか、と。
普及台数的な問題もありますが、今回はマルチプレイに力を入れているので、1人1台を持って遊ぶスマホとの相性のよさも感じました。
もちろん今回もコンシューマでという考えもありましたが、挑戦的な意味も込めてスマホでの展開にいたりました。
ーークローズドβテストを遊ばせてもらいましたが、アクション部分の完成度に驚きました。
安部:コンシューマ級の遊びをということで、アクションはかなりこだわった部分です。
キャラの頭身を引き上げたのも、アクションを表現するうえでこちらのほうがいいだろうという判断からになります。
通信での同期など苦労した部分も多くありましたが、それだけにアクションとしてのラグがそこまで起きず、快適に遊べるよう落とし込めたかなと思っています。
ーー3DS版の竜騎士のジャンプは少しデフォルメされた形でしたが、スマホ版ではちゃんとゲーム画面の外まで飛んでから落ちてくるところがよかったです! スマホ版はパーティ人数が5人になっていますし、遊びの面にも変化が見られますね。
安部:3DS版にもマルチプレイはありましたが、コンシューマなのでやはりシングルプレイが遊びの中心だと考えていました。
その点、スマホは常時ネットにつながっていますし、普及率を考えても今回はマルチを前提にした遊びでも大丈夫だろうと判断したんです。
ロール(役割)に関しても3DS版ではシングルプレイが前提だったので、最終的には万能にできるように設計していました。
ーーたしかに3DS版は、アタッカーに回復系のアビリティもつけて、万能型にして遊んでいました。
安部:3DS版はクリスタルポイントを利用して好きなアビリティを修得できたり、バトル中にオリジナルアビリティを修得できたり、アビリティの育成もゲーム性の1つでしたからね。
1人用ゲームとしてキャラを育てるのも楽しいのですが、今回はマルチプレイを前提に、いろいろなジョブを触っていただきつつ、ロールの役割をより強く感じられる作りにしています。
パーティ人数を増やしたのも、状況に応じてロールの構成を変えるなど、パーティプレイでの戦略の幅が広げられるようにといった意図からですね。
ーーさまざまなジョブの育成が重要になってくると。
安部:そうですね。設計方針を決める段階でも、1つのジョブを極めていくのではなく、ジョブチェンジを楽しめる作りにしたいねという話になったんです。
『FF』シリーズにおけるジョブにはみなさんいろいろと期待されている部分があって、我々としても、ジョブチェンジを行うことで特定のジョブのアビリティをほかのジョブにも持っていけるのは面白いと思っていまして。
ジョブを育てることで装備できる武器の幅が広がるので、例えば「剣を使う白魔道士」みたいな自由度の高さも楽しめますね。
各ジョブを育てるとステータス補正も得られるので、複数のジョブを育てると単純にステータスが底上げされて強くなります。
マルチプレイを軸に、いろいろなジョブとロールを楽しみながら遊んでいってほしいと考えています。
召喚獣との熱いバトルや、歴代キャラに変身できるトランスにも注目
ーーマルチプレイで戦う敵として、本作にも召喚獣が登場します。挙動は3DS版のものが踏襲されているのでしょうか?
安部:まったく同じにすると遊びに差がなくなってしまうので、今回用に変えている部分が多いですね。
例えばフェンリルは、3DS版の時は分身を使うトリッキーな能力を持っていましたが、スマホ版はまた違う形でトリッキーな動きを用意しています。3DS版をプレイしていた人も、きっと新たな驚きを感じていただけるはずです。
ーー一安部さんが注目してほしい召喚獣を教えてください。
安部:シヴァですね。独特なポージングの登場に、アグレッシブなアクションは今までのシヴァのイメージとは少し異なるかなと思います。
あと、3DS版にいた変異体のように同じ召喚獣でも別種が存在するのですが、本作ではツノや手甲などパーツが変化します。
見た目はもちろん、使用する技や行動パターンなども変化します。このパーツは破壊することができ、弱体化させたり、より多くの報酬がもらえるので積極的に破壊することをオススメします。
それから、まだ発表していない召喚獣の中にもインパクトがあるデザインが多いので、ご期待ください。
発表済みの召喚獣は3DS版をデザインベースにしているものが多いのですが、新規デザインを用意している召喚獣もいます。気合いを入れて作っているので、楽しみにしていてください。
ーー3DS版をプレイしていた身としては、歴代の『FF』シリーズキャラに変身できる「トランス」システムも楽しみです。
安部:3DS版で好評でしたので、今回もちゃんと踏襲しています。
自分が好きなキャラを使って遊びたいという思いが根っこにあると思うので、攻略的に「誰か1人で決め打ちになる」ようなバランスにはせず、いい意味で「どのキャラを使っても戦える」バランスを意識しました。
「この敵にはこのトランスが最適解」といった見え方になってしまうと、例えば「イフリート戦には絶対にライトニングのトランスを準備するように」みたいな縛りになって、マルチプレイの際に窮屈になってしまうかと思いますので。
もちろん、変身したキャラによって技の性能差があるので多少の有利不利は出てきますが、あまり気にせず遊べる仕組みにできたかなと思います。
ーーちなみに、トランスはどう手に入れていくのでしょう?
安部:基本的にはイベントやキャンペーンなどと絡めていく予定です。
多くのユーザーさんに遊んでもらいたいと思っているので、入手難度は低くする方針ですね。一部のトランス用アイテムは、ログインボーナスなどで無料配布することも予定しています。
『FF』だからこそ、ストーリーにも力を入れた作りも大事
ーーゲームとしての遊び、アクション面全般もそうですが、今回はストーリーにも力が入っているように感じました。
安部:3DS版のときは、ゲーム性を重視して割り切っていた部分があるんですよ。
ストーリーを推すとテンポが悪くなりそうだったので、あえて、なるべく省こうと。
でも、ユーザーさんからは「『FF』だからストーリー性ももっと強めてほしかった」という声を結構いただきまして。なので今回は、ストーリーも大事に作っていこうということになったんです。
実は本作は、3DS版から約30年後の世界が舞台になっています。世界のエネルギーを担うクリスタルをめぐる国家間の戦争が描かれていきますが、そのなかで3DS版にいたキャラも登場するんですよ。
あくまでも隠し味的な演出レベルなので、3DS版を遊んでいない人でも普通に楽しんでいただけますが、逆に3DS版を知っているとニヤリとできる部分もあるかと思います。
ーー3DS版では謎の美形キャラのスラマとか、チュートリアル的な情報を教えてくれる先輩的なディレットとかが印象に残っています。今回のスマホ版の新キャラは、主人公の上官的なロゼとクロカワをはじめ、さらに個性的な人物が多いですね。
画像引用元:『FFEXF』公式サイト
画像引用元:『FFEXF』公式サイト
安部:主人公は自分の分身、アバターキャラでしゃべらないので、そのぶんほかのキャラを濃くしている側面はあります。
本作はスマホアプリで、より多くの人に楽しんでもらいたいという思いがあり、ある意味で『FF』らしくない、ちょっとコミカルでライト層にも響きそうな性格のキャラもあえて入れているんですよ。
ーークローズドβテストで序盤を遊んだ際は、フォースに入団するための試験が展開しましたが、個性的過ぎるライバルだらけでおもしろかったです(笑)。安部さんが気に入っているキャラは誰ですか?
安部:マスコットのラナちゃんは、開発のなかでも結構気に入っている人間が多いです。あの姿ですしね(笑)。
画像引用元:『FFEXF』公式サイト
ちなみにカエルを推し出したのはプロデューサーなのですが、最初はみんな「マジですか」とざわついて、マスコットキャラとして何がよいかと開発内でアンケートを取ったりしていました(笑)。
そうしたら意外とカエルを支持する声も多くて、あえてカエルの姿をそのまま採用することにしました。
結果として、クローズドβテストを遊んでくださったユーザーさんからも多くの反応をいただけましたし、良かったかなと思います。
ユーザーの声をもとにした改善で、よりよい内容に進化
ーー昨年の10月に行われたクローズドβテストの反響や手ごたえをお聞かせください。
安部:スマホでアクションゲームができるのか、といわれることも多かったですが、実際に触り、楽しめたという声が聞けて安心しています。
スマホでもアクションを楽しめる時代になってきている証拠でもあるのかなと思いますね。
ただ、CBTの際には不評な部分ももちろんありました。いただいた意見はすべて開発一同で目を通し、改善に向けて協議を行いました。
とくに多かったのは通信周りでしたが、こちらはリリース時には修正されており、同じことは起こらないようになっています。
端末の性能の差によって生じる遅延なども、解像度を選択できるオプションの追加によって対応させていただきました。描画レベルを下げれば、そのぶん快適に遊べますので。
あわせて、60fpsモードの追加や回避のボタン化(※)など、アクションゲームとしてより楽しみたいという方にも満足していただける機能をご用意しました。
※回避アクションは、CBTの際はフリック操作で行う形でしたが、ボタンタッチでも回避できるように調整されました。

ーー個人的にはフリック操作がちょっと苦手なので、回避ボタンの追加はうれしいところです。
安部:実はフリック操作での回避も便利なんですよ。
ゲームの仕様的に、「盾を構えるボタンを押しながら回避ボタンを押す」といった操作は瞬発的な対応が難しい部分もあるので、場合によっては「フリック操作での回避」設定のほうが遊びやすいこともあると思います。
それから、細かな部分でいうと、★4の武器にもアビリティを3つ装備できるように変更しました。
アビリティのカスタマイズは本作のおもしろさのキモの部分なので、少しレア度が低くてもアビリティ装備の幅を増やすほうが楽しくなると思いましたので。
この仕様変更により、★4と★5の性能差がかなり縮まったので、★4でもかなり戦いやすくなったともいます。
初心者におすすめのジョブは? 開発者に聞くアビリティカスタマイズのコツ
ーーかなり本格的なゲームとなっていますが、初心者はどのジョブから始めるのがオススメですか?
安部:サービス開始時は、ナイト、竜騎士、モンク、狩人、黒魔道士、白魔道士の6種類のジョブで遊べます。
自分がプレイしやすいと思うのは竜騎士ですね。アタッカーで範囲攻撃があり、機動力にも優れているので、安定したプレイが行えると思います。
ゲームに少し慣れてきたら、黒魔道士やナイトも楽しいと思いますよ。ナイトはタンクなのでヘイト管理が求められますし、黒魔道士は属性を意識した攻撃が重要になりますし、竜騎士と比べるとどちらもやや難度が上がりますが、そのジョブならではの戦い方を味わっていただけるはずです。
残る狩人は遠距離攻撃系で、白魔道士は回復系です。結局はパーティにおける役割分担や、個々人のバトルスタイルにもよりますが、初めて遊ぶ人はアタッカーがわかりやすいと思いますね。
ーー自分もCBTでは竜騎士がお気に入りでした! ちなみに安部さんはどのジョブで遊ぶことが多いですか?
安部:好んで使うのは竜騎士やモンクですね。移動速度が速いジョブが好きなんですよ。とくにモンクは手数が多く動きも快適で、動かしていて気持ちいいんですよね。
ーーそういったアタッカー系でも、回復系のアビリティを装備しておいたほうがいいのでしょうか?
安部:状況によりけりですね。例えば、1人でフィールドでレベルを上げるときであれば、「ケアル」を装備しておくことでオートプレイでも回復しながら戦ってくれるので、入れておくことがオススメです。
逆にマルチプレイで強い敵と戦う時ときは、より役割分担が求められます。そんな時は回復系はヒーラーの白魔道士にまかせて、アタッカーはより強力な攻撃系アビリティをセットしておくほうが効率的だと思います。
本作はアビリティの自由度が高いので「回復魔法を使えるモンク」みたいなカスタマイズ
はできますが、当然ながらモンクと白魔道士を比べると、回復魔法の効果の差は歴然です。
餅は餅屋というやつで、マルチプレイになればなるほど、そのジョブが得意な役割や長所を伸ばすカスタマイズが安定すると思いますよ。
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動画:【FFEXフォース】小西克幸隊長とゆく 召喚獣討伐大作戦! #1【ファイナルファンタジー エクスプローラーズ フォース】
ーーちなみに、1人で遊ぶときのアシストキャラにはどのぐらいの選択肢がありますか?
安部:フレンドはもちろん、フレンド以外のプレイヤーや、フォースの雇われ傭兵という完全なゲーム内キャラなども連れていけます。
ちなみに自分のキャラを誰かに借りてもらえると、戦闘で得た経験値やギルの一部がもらえる機能もあるので、フレンド同士でどんどん借りあったほうがお得です。
ーー最後に、本作の配信を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いいたします。
安部:まず、クローズドβテストを遊んでいただいた皆様については、本当にありがとうございました。
皆様にご満足いただけるものにするために、配信までお時間をいただくことになってしまい申し訳ございませんでした。
お待たせしたぶん、クローズドβテストのときよりも充実した内容で、楽しんでいただけるものに仕上がっていると思います。
また、本作は3DS版の単なる続編ではなく、完全新作に近いスタンスで、何もかも一新したような感覚が得られるゲームを目指して作ってきました。
クローズドβテストをプレイされた方もそうでない方も、本作の世界でソルジャーとなって、お気に入りのジョブ、トランスでワイワイと召喚獣討伐を楽しんでもらえたらなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
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ILLUSTRATION:© 2017 YOSHITAKA AMANO Character Design: GEN KOBAYASHI
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・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ゲーム ・容量: 89.2 MB ・バージョン: 1.0.2 |