GWに遊びたい『ロストキングダム』インタビュー。こんなに違う、日韓ローカライズの比較資料も公開
2017年9月の配信スタート以来、多くのアクションRPGファンをトリコにしているDonutsのiOS/Android用アプリ『ロストキングダム(ロスキン)』。
コンシューマタイトルと見まごうレベルの美麗グラフィック、シンプルな操作で繰り出される爽快なアクション、魅力的な登場人物と奥深い成長システム、プレイヤー同士の決闘&共闘が可能なバトルシステムなどで、コアなゲームファンから絶大な支持を集めている。
ここで注目となるのは、本作が韓国のパブリッシャーである「4:33 CREATIVE LAB」が同国向けに配信しているものを、Donutsが日本向けにローカライズしてリリース・運営しているという点。しかも、そのローカライズ内容はただの言語翻訳にとどまらず、キャラクター性の強化やゲームシステム・バランスの刷新など、多岐に渡っている。
このローカライズ作業の裏に秘められた、Donutsの開発・運営チームのアツいこだわりとはいったい? 2人のキーマンに直撃インタビューでお話をおうかがいし、その全貌に迫っていく!(文:タダツグ)
【インタビューのお相手】
・阿部浩幸さん(写真右)……本作のプロデューサー。『ロストキングダム』のローカライズを実現させた立役者の1人であり、全体の方向性などを決めた人物。
・櫻井功夫さん(写真左)……本作のディレクター。現在ゲームバランスや新システムの構築など、現場の作業を統括している責任者。

『ロストキングダム』ローカライズへのこだわり
ーーまずは『ロストキングダム』のローカライズプロジェクトが立ち上がるに至った経緯についてお聞かせください。
阿部:ものすごくシンプルに言うと、このゲームがおもしろいなと感じたからです。
最近、中国や韓国のアプリゲームの隆盛がすごい。そのような中で、Donutsではそれら海外製のアプリのローカライズにも注目していました。
当然、さまざまなタイトルをプレイすることになるのですが、この『ロストキングダム』は、韓国のストアでも上位にランクインしていましたし、自分たちでテストプレイしてみて、日本でも受け入れられそうだと感じました。それが『ロストキングダム』というタイトルを選んだ最大の理由ですね。
▼動画:『ロストキングダム』トレーラー映像。
ーーローカライズにものすごく力が入っていますよね。さまざまな部分が日本向けにチューンアップされています。
阿部:そうですね。オリジナル版のままでは、日本では人を選ぶであろう部分も散見されましたので、そのあたりを重点的に弊社でチューニングさせてもらっています。
日本のユーザーはストーリーの整合性を重視するのでそこに力を入れたり、キャラクターのビジュアルをより日本向けにしたり。ゲームシステムをアレンジ・追加した部分も多数あります。
▼動画:『ロストキングダム』PV ストーリー編。
ーーローカライズにあたって、ここまで大きく手を入れる作品、そして運営チームというのは珍しいのでは? しっかりと原作の魅力を踏襲しつつ、ひと味違ったゲームに生まれ変わっているとさえ言えるかと。
阿部:そう言っていただけると、我々としてもがんばった甲斐がありますね。
たとえばストーリーのテキストひとつとっても、一度、韓国語から日本語に丁寧に翻訳したものを元に、さらに日本のカルチャーに合わせてストーリーを再構築するなど、二重の工程で作成しました。その間に韓国とのやりとりも緻密に行いました。
キャラクター性も、グッと前に押し出しました。オリジナル版はジョブ名しかついておらず、キャラの個性は薄かったのですが、日本版ではきちんとキャラ名をつけ、それぞれの個性を大事に扱った作品に仕上げています。
▼ローカライズ調整前の韓国版そのままのゲーム画面。硬派なイメージ。
▼日本版はUIなどが日本のRPG風に調整されており、一見するとまったく違うゲームに見えるほど。
ーー韓国版の制作チームと綿密にやりとりされているんですね。先方からの信頼もしっかり勝ち取っておられるのでは。
阿部:おかげさまで、かなり信頼していただけていると思いますし、実際のところ、ローカライズの作業についてもものすごく協力的です。韓国のスタッフの方々にも、日本版がかなり好評のようでうれしい限りです。
ーーこのインタビューでは、ローカライズにあたっての変更点などをより具体的に振り返っていただければと思っています。じつに興味深い部分ですので。
阿部:ありがとうございます。スライドを用いながらご説明させていただきますね。まずは
ローカライズにあたっての変更点を洗い出してみました。
【主な日本語版ローカライズ箇所】
- 言語
- キャラクター設定
- UI/UX
- ガチャテーブル全面変更
- バランス調整
- グラフィック(2D、3D)
- アバター、武器追加
阿部:言語はもちろん、キャラ設定、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)、ガチャテーブルも全面変更しています。
またゲームバランスに調整を施し、2Dおよび3Dのグラフィックも日本向けにチューニングしました。アバターや武器についても、日本オリジナルのものを追加していますね。
ーーそれぞれについて、より具体的にお話しいただけますか?
阿部:何よりも見た目のインパクトがほしかったので、キービジュアルを人気イラストレーターであるlackさんに依頼しました。
▼韓国版のメインビジュアル。
▼lackさんによって描かれた、日本用のキービジュアル。かっこいい!
阿部:こちらをもとに、キャラの立ち絵や3Dモデルなども変更しました。キャラ設定も、韓国版のものをベースにしつつよりキャラ性を出すために、それぞれに名前や個性を与えています。
このへんは事前にDonutsの方でキャラ立てをして、lackさんと詰めていった感じですね。
剣闘士リック(声優:中村悠一)
▼ジョブ名だけでなくキャラ名が設定され、ビジュアルもより日本ユーザー好みに生まれ変わっていることがわかる。
魔導士セシル(声優:水瀬いのり)
双剣士マヤ(声優:茅野愛衣)
黒魔導士レイアナ(声優:上坂すみれ)
暗殺者 ミスティ(声優:内田真礼)
阿部:グラフィックのみならずボイスにも力を入れましたし、会話シーンなどのUIも日本のRPGらしさを醸し出すようにデザインしました。
3Dモデルも日本向けに細かく調整を施し、顔つきから身長などに至るまで、細かく変更しています。ペットについても見た目を微調整し、目つきであるとか仕草とか、よりかわいさを追求したデザインになっていますよ。
▼こちらはペットのスクリーンショット。右が韓国版で左が日本版。
アクション性の強化や新キャラの追加……ゲームとして重視している部分はどこなのか?
ーーゲームバランスに関してはいかがでしょう? やはり、韓国版と日本版ではさまざまなバランス調整が施されているのでしょうか。
櫻井:そうですね。ゲームバランスに関しては、ユーザーがステージのどこでつまづきやすいのかなどをしっかり検証し、「とっつきやすさ」を重視してチューニングしました。
UIについてもそうなんですが、日本のユーザーにとって遊びやすいゲームデザイン、バランスを心がけてローカライズしています。
ーー新キャラの実装についてはいかがでしょう?
櫻井:現在も次のキャラクターの準備を行っている最中です。
こちらのキャラクターもデータを安直に持ってくるだけではなく、デザインを含めバランスをトータルで修正・調整しております。時期に関しては、まだ明確には言えないのですが、ご期待ください。
阿部:手間としてはオリジナルタイトルをイチから作っている時とさほど変わらないレベルで、開発と作業を重ねているといった状況です。
とにかく日本のユーザーに、このゲームのおもしろさを100%、もしくはそれ以上にして届けたい。だから、ただ日本語に訳してあればいい、単純に遊べればいいというような安直なローカライズは一切していません。
櫻井:直近では、暗殺者のミスティを実装させていただきました。彼女が追加されることにより、ゲーム性はもちろん、対戦などのバランスも変化していくことになると思います。

ーーアクション性に関してのこだわりについてはいかがですか? ものすごく直感的な操作で気持ちよく戦えるので、ユーザーからも高い評価を得ている部分かと思います。
櫻井:自分もアクションゲームが大好きですし、アクションの気持ちよさは強く意識しています。
プレイヤーのスキルによって多少不利な相手にも勝利できるバランスを理想に、こちらも韓国版からアクションを一部追加したり変更したりして、さまざまなチューニングを施しています。
阿部:通常のストーリーやレイドボス戦などは、あまりストレスなく、気持ちよさ重視で戦えるよう調整してほしいと櫻井に伝えています。
あまりにもマニアックになってしまうと、遊んでいただけるユーザーさんを限定してしまいかねないので(苦笑)。
櫻井:一方で、対戦は奥深い駆け引きが楽しめるよう配慮しています。
ーー先ほど櫻井さんは、ミスティの追加で対戦のバランスも変化するとおっしゃっていましたが?
櫻井:そうですね。対戦は時期ごとに流行キャラや流行戦術が生まれていますが、新キャラの実装はそこに大きな変化が生まれる瞬間です。
プレイヤーさんは、我々が思ってもいないような戦術を考えてくれたりしますので、こちらとしても楽しみです。
ーーお2人のお気に入りキャラやユーザーに人気があるキャラを教えてもらえますか?
阿部:わたしは双剣使いであるマヤを愛用しています。
櫻井:マヤは手数の多さがウリとなる、アクションゲーム初心者さんにも使いやすいバランスに仕上げたキャラで、自分もお気に入りです。
現在、ユーザーのみなさんに人気があるのはレイアナでしょうか。ビジュアル人気もさておき、対戦で活躍できるという点も大きいと思います。
▼動画:『ロストキングダム』新キャラクター「黒魔導士レイアナ」PV。
阿部:もちろん、もっとも新しいキャラであるミスティも人気ですね。今後もさらなる新キャラが追加されることで対戦のバランスはどんどん変化していくと思いますので、みなさんどうぞお楽しみに。
▼動画:『ロストキングダム』新キャラクター「暗殺者ミスティ」参戦!
ーーオンラインRPG的な楽しさもあると思いますが、こちらはどうお考えでしょう?
櫻井:仲間と協力することで恩恵を得られるというのは、今後も力を入れていきたい部分の1つです。現在はギルド単位のバトルに注力しています。
ギルドのメンバーと協力して戦うことでアイテムが手に入るなど、独自のメリットがありますが、ここは今後も伸ばしていきたいと考えています。
ーーギルドに所属するのはちょっと遠慮してしまう……というプレイヤーさんもいるように思えるのですが……。
櫻井:そうですね。他人に迷惑をかけるかもしれないし……などの理由でギルド加入をためらっている方もおられるとは思います。
しかし、対戦に勝利することでギルドコインがもらえたり、ギルドに出席するだけで出席ボーナスがもらえたりと、ギルドに所属することはメリットしかありません。
ギルドとしても、メンバーが増えるとそれだけ恩恵を受けやすくなっていますので、いきなり邪険にされるようなことはないと思います。
とにかくメリットだらけなので、ゲームを始めたらすぐギルドに所属してみてほしいですね。やる気があるプレイヤーさんは、ご自身でギルドを立ち上げて運営するのもおもしろいと思います。
お得なキャンペーン満載! ゴールデンウィークにたっぷり遊んでみてほしい!!
ーーギルドプレイや対戦などが充実している一方、1人でのんびり楽しみたいというプレイヤーに向けての施策も充実していますよね。
櫻井:そうですね。ゲームとしてのとっつきやすさも重視しています。
経験値獲得率が大幅にアップするキャンペーンなどは定期的に開催していますし、頑張って1日でレベルを50くらい上げる人もいます。
現状で実装されているストーリーを全部堪能しようと思ったら、レベル100くらいは必要だと思いますので、やりごたえはあると思いますよ。ガチャもあまりストレスなく引けるよう、石なども入手しやすく設定しているつもりです。
ーーまもなくゴールデンウィークですが、そこでじっくりと遊ぶプレイヤーさんも少なくないのでは?
櫻井:このゴールデンウィークにみっちり遊べば追いつけなくはないはずなので、そこでぜひしっかりと力をつけていただき、対戦などのコンテンツに手を出してもらえたらうれしいです。
ーーこの記事を読んでからゲームをスタートするようなビギナーへ向けて、攻略のアドバイスをいただけますか?
櫻井:本作は、複数のキャラを同時進行で育成することができますが、最初は1人のキャラに集中して育てるのがベストかと。
1人をある程度育成したうえで他のキャラの育成に手を付ければ、ミッションを比較的順調にクリアしていけるはずですので。
阿部:なかには、2人のキャラを育てていないと進めないコンテンツもあります。
序盤で多くのキャラに触れてもらって、アクション的な好みや自分の戦術に合ったキャラが見つかったら、そのキャラを育てていくと楽しいかと。
キャラごとにストーリーが変化することもありますので、複数のキャラを育ててれば育てるほど、『ロストキングダム』の世界により深く浸れると思います。
ーーちなみに、今からスタートするとしたらオススメのキャラは誰でしょう?
阿部:今は新キャラのミスティが育成しやすいキャンペーンを実施中です。
誰を育てるか悩んだら、実施されているキャンペーンを見て効率よく育てられるキャラから手をつけるというのも、ひとつの手かもしれませんね。
ーー育成する際のコツなどはありますか?
阿部:自分の感覚からの話になりますが、スキルの成長は大切です。スキルのクールタイムを短縮できれば、戦いはより安定するようになっていきます。
櫻井:1つのスキルに絞って集中強化するよりは、育成するスキルを2つにしたほうが戦いやすいと思います。
片方のスキルを使用してそちらがクールタイムに入っている最中でも、もう1つのスキルが抑止力になったりしますから。
阿部:あとは、ペットはとても頼りになる存在なので、しっかり強化してあげてほしいです。
サブペットなども活用すれば大きく強化が可能なので、武器のみならず、ペットにも愛を注いでいただければ。
櫻井:ペットはかわいいだけのマスコットではないですからね(笑)。レイドボスを撃破すればペットの育成素材が入手できますので、積極的に狙っていくとより早く強くなれますよ。
ーーユーザーに人気の高いペットなどはいるのでしょうか?
櫻井:現状ではキツネが人気のようです。4月19日にパンダを実装しましたし、今後はデフォルメしたボス敵を連れていけるようにもなったりします。
月に1〜2体は実装していけるようにしたいと考えています。ご期待いただければ。
ーー公式サイトでお客様アンケート結果を発表していますが、そこに届いた声は参考にされているのでしょうか?
櫻井:もちろんです。すべてを取り入れることはできませんが、しっかりと目を通させていただいています。
たとえば曜日ダンジョンなどは、プレイヤーさんから「新ステージがほしい」というアイデアを受けて難易度別のステージを増設しました。
櫻井:あと、乱闘戦は深夜だとうまくマッチングしづらいとの声がありましたので、NPCとバトルできるようにも変更しました。
こういったバランス調整は今後も引き続き力を入れていきたいと思いますので、ぜひアンケートへのご協力やお問い合わせからご意見をお送りいただければうれしいです。
阿部:アンケートの結果を受けて、新アバターも実装する予定です。まだ先のことにはなりますが……。あとはリアルイベントの開催も視野に入れていきたいなと考えています。
韓国ではユーザーとのリアルイベントが盛り上がったそうなので、日本でもいつかそういったイベントを実現したいですね。
ーー4月以降の展開や、今後の展望についてもお聞かせいただけますか?
櫻井:この記事が掲載されるであろう4月下旬には、レイドボスイベントの2回目を実施しているころかと思います。完全新規のレイドボスなので、ぜひ楽しんでいただけたら。
阿部:前回のレイドボスイベントはとても好評でした。我々としても、今後とくに力を入れていきたいと思っている要素のひとつですね。
櫻井:ギルドそのものの育成要素も考えています。たとえば、ギルド施設を強化することでギルトメンバー全員にバフがかかるなどといったメリットの付加などできればと。
あとはストーリーですね。こちらは5月の上旬には新ストーリーを追加して、今後は月1回は更新していきたいと考えています。
阿部:ストーリーは今後、日本オリジナルのものが増えていくと思いますのでご期待ください。
▼日本版オリジナルの武器やアバターに関する資料。単なるローカライズではなく、日本独自の要素が多数用意されていることがわかります。
ーーオリジナルイベントとなると、季節イベントなんかにも期待できそうですね。
櫻井:季節に合わせたアバターやペットなどはすでに実装していますが、今後も追加していけたらとは思っています。ホーム画面のUIやデザインなどにもきっちりを力入れていきたいですね。
ーー最後に、ファンへ向けてメッセージをいただければと思います。
阿部:今後もファンの方々の声を聞きつつ、日本オリジナルの要素を追加していきたいと思っています。まだまだパワーアップしていく『ロストキングダム』をぜひお楽しみに!
櫻井:アンケートなどで声を寄せていただけるのは本当にうれしいですし、励みになります。
これからもスタッフ一同がんばって、おもしろいコンテンツをみなさんに提供し続けていければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
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・販売元: Donuts Co. Ltd. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ゲーム ・容量: 153.7 MB ・バージョン: 1.6.0 |
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