主人公は平社員。変なRPG『アイテム代は経費で落ちない』開発秘話

ヘキサドライブのオリジナルブランド「Ficustone project(フィクストーンプロジェクト)」インタビューの第2回は、シリーズ1作目『アイテム代は経費で落ちない~no item, no quest~(アイ経)』をクローズアップ!

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平社員が「アイテムだけで戦う」という不思議なゲームはなぜ生まれたのか? その開発秘話や裏話を、ぜひお楽しみください!(文:ATom)

【インタビューのお相手】
寺井瑞希さん:フィクストーンプロジェクトに関する3作品のディレクションやシナリオ・世界観などを担当。
奥田仁一郎さん:プロジェクトを推進し、シリーズ全体のプロデューサー的なポジションを担当。

▼左は奥田仁一郎さん、右は寺井瑞希さん。

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▼1作目となる『アイ経』のPV。世界の滅びが迫った終末的な世界観ながら、登場人物の明るさでほのぼのプレイできます。

平社員が「アイテムだけで戦う」ゲームはなぜ生まれた?

ーー『アイテム代は経費で落ちない~no item, no quest~』について、開発コンセプトを教えてください。

寺井:コンセプトとしては「アイテムだけで戦う」、単純にこれだけです。もともとは制作コストを抑えたいというのと、あとは私の個人的な趣向ですね(笑)。

RPGをプレイするとき、私の場合は持っている回復薬を全部使い切ってラスボスを倒すというのが好きなんですよ。絶対に無駄なレベル上げをしたくないタイプで、今あるリソースだけでなんとかして乗り越えたいという。

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ラスボスまでギリギリのレベルでたどり着いて、アイテムを全部使い切って勝ったときの快感がたまらない(笑)。そういうのが楽しいんだけどみんなやってないよね、どうですかね。というのが大きかった気がします。

奥田:自分は真逆で、ラスボスを倒した後でもエリクサーが余っているなんてことが多いんですけどね。

寺井:私のプレイスタイルでは、ありえませんね。つねにカツカツです。

アイテムを駆使してラスボスを倒したあとに隠しボスがいて、詰んだこともあります(苦笑)。

ーーそんなプレイスタイルから『アイ経』の不思議なシステムが生まれたんですね(笑)。ちなみに、お気に入りのキャラは誰ですか?

寺井:マリィとメルです。マリィは宿屋の娘で、気がついたら重要人物になっていてびっくりという感じです(笑)。

一番一般人らしい発想をしている割に、一番一般人らしくしない能力を持っているタイプの子で、『アイ経』らしいキャラクターになったかなと。

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水の魔物のメルが気に入っているというのは、ディレクター的な理由になってしまうのですが、彼女はストーリーがギャグのときにシリアス、ストーリーがシリアスのときにギャグをするというキャラクターなんです。

最もストーリーが動く場所に彼女を置いているんですけど、扱いやすくて自由に動いてくれるので、ストーリーを動かしやすいというのが大きかったですね。

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ーーメルは『せかわく』にも登場しますよね。

寺井:突然私がメルを出したいと言い始めまして(笑)。『せかわく』には勢いのあるキャラクターが足りなかったんですよ。

基本的に会話でストーリーが進むので、勢いのあるキャラクターがいないと進まないんですよね。なので話を引っ張ってくれる子が必要で、誰を出そうかと考えたときにメルを出そうと決めて、そのタイミングで、『せかわく』におけるメルの立ち位置や設定もほとんど決まりました。

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ちなみにキャラクターに関しては、ストーリーを書く前に軽い設定だけ用意するようにしています。『まほぱす』はキャラクターデザインをしやすくするということも兼ねて結構ガッチリ決めていましたが、『アイ経』はさっくりしていて、主人公のウィルは田舎者ですとか、ヒロインのネリネはそれに対して都会っ子ですとか。

五人衆は、それぞれテーマカラーがあって、武器を持たせて、セットで扱いたいのでそれっぽい要素を入れてください、という感じでデザインをお願いしました。角がついているのは、キャラクターデザインのスタッフの趣味です(笑)。

キャラクター設定の細かい部分は、ストーリーを書いていくうちにできあがっていく感じですね。

▼余談ですが、『アイ経』のネリネは公式ツイッターでも活躍を続けています。

ーー開発を進めていくうえで苦労した部分を教えてください。

寺井:初めての経験だったので何もかもという感じですが、一番大きかったのはUIの全改修ですね。

社内のスタッフにプレイしてもらった結果、とにかくUIがわかりづらいという意見が多くて、クオリティアップしないとまずいということになりまして。開発途中で一度UIをすべて作り直したんです。

このあとの作品にも言えるんですけど、システムに前例がないのでゲームのUIが手探りで、使いやすいUIにするのが大変でした。スマホのゲームにしては情報量が多いので、画面内に必要な文字を収めるのに苦労しましたね。

▼こちらが初期版のUIと完成版のUIの比較写真。初期版はアイテムが2列の表示になっており、同じアイテムでも「×10」というようにまとめて表示する方式ではなく、持っているものがすべて1つずつ表示されていた。また、アイテムの効果が表示されていなかったため、使うと何が起こるのかわかりにくいという問題も。そのほか「なげる」方法がわかりにくかったり、必要な情報を見るために何度もタッチする必要があったりと、不便な要素が多かったようだ。


ーーUIの改修はいつ頃行ったのでしょうか。

寺井:開発開始から1ヶ月後くらいから始めて、締め切りのギリギリまで改修していました。特にバトル関連のUIは何度も作り直しましたね。プログラマーが必死にがんばってくれたので、本当に申し訳なかったと思っています。

ーーエンディングを見たあとにぜひ見てほしい隠し要素やイベントがありましたら教えてください。

寺井:一番はやはり手紙ですね。ボスからドロップアイテムとして確定で入手できるので、一度クリアしたら読んでいただくのがおもしろいかなと思います。

▼手紙には、ボス敵たちの過去に関する設定が書かれています。

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追加ダンジョンや隠しダンジョンもありますので、よろしければ遊んでいただければと思います。隠しダンジョンはかなり難しくて、クリアしていない方もたくさんいると思うんですけど、余力があれば楽しんでいただければ(笑)。

あとはストーリーのところどころに伏線を張っているので、すべてのストーリーをわかってからもう一度プレイするとニヤリとできるかもしれません。

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ちなみに追加ダンジョンに登場するジリーというキャラクターですが、あれはもともと本編に登場する予定のキャラクターでした。

初期は「銀行」という要素があって、その管理員という設定だったのですが、銀行自体がなくなって出番もなくなってしまいました。でもそのまま消えてしまうのはもったいないということで、追加ダンジョンで別の役割を持たせて登場させたという経緯があります。

ーーシステム的な隠し要素というか、裏技的なものは何かあるのでしょうか。

寺井:「たたかう」は通常は意味のないコマンドですが、実は人間には有効なんですよ。

あの世界では基本的に一般人のHPと攻撃力は1で、魔物には魔法でしか攻撃できません。そのため、魔法の力を持つアイテムを使わないと魔物を倒せないんですけど、人間なら「たたかう」で1ポイントのダメージを与えて倒すことができるんです。

追加ダンジョンでジリーというキャラクターを出すというときに、ジリーは一般人なんだからアイテムを使ってないときはワンパンで倒せないとおかしくない? という話になったので、エネミーのフラグのなかに「人間」というのを用意して、それをオンにすると「たたかう」でダメージを1与えられるようにしました。

奥田:あと毒はターン経過でダメージを与えられるので、「たたかう」を選んでそれ以上アイテムを使わずに倒すという技もあります。

フィクストーンプロジェクトのRPGは毎回「毒」がすごく強いので、そこも特徴になっていますね(笑)。

寺井:以前は何の意味もないコマンドとしてもうひとつ「まほう」というのがあって、意味深な呪文のようなセリフを叫ぶけど何も起こらないというのを作ろうとしましたが、結局入りませんでした。

ストーリー内でマリィたちが「魔法を使うために呪文を〜」みたいなことを言っているのですが、それはその「まほう」システムの名残だったりしますね。

※フィクストーンプロジェクトの2作目『魔法パスワード1111(まほぱす)』のインタビューは別途で掲載しています。

アイテム代は経費で落ちない ・販売元: HEXADRIVE Inc.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 173.6 MB
・バージョン: 1.4.1

©︎ HEXADRIVE Inc.

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