【FGO】ディライトワークスとはレストランである。塩川氏も登壇した肉会の様子をレポート

6月1日、ディライトワークス(以下、同社)にてFGO PROJECTの未来にかける同社の想いを語るイベント「肉会(MEAT MEETUP) Vol.1 FGO PROJECT総合プロデュースチームキャリア相談会」が開催された。


本イベントは「FGO PROJECT総合プロデュースチーム」の始動に伴い、同チームでの仕事に興味のある人を対象にクリエイター陣によるトークセッションで同社で働くことの具体的なイメージを解説するほか、プロデューサーや宣伝、広報なども加わって、さまざまな職種の現場スタッフと懇親会形式でそれぞれの仕事内容やキャリアについて語り合うというもの。

この記事ではトークセッションの内容を紹介。クリエイター陣の作品にかける想いやFGO PROJECT総合プロデュースチームの仕事に興味がある人はもちろん、マスターにとっても必見の内容となっている。ぜひチェックしてみてもらいたい。(文:カワチ)

▼最初にディライトワークスについての簡単な説明があり、その後にトークセッションへ移った。平均年齢が高いのは、もともとコンシューマゲームなどで活躍していたベテランのクリエイターが多く在籍しているのが理由とのこと。


▼普段は見ることができない会社の執務エリアの様子なども紹介された。



▼トークセッションの参加者は執行役員 クリエイティブオフィサー FGO PRJECTクリエイティブプロデューサー塩川 洋介氏(写真:右)、プロデュース部マネージャー プロデューサー加藤 拓氏(写真:中央)、企画部 第一企画セクション マネージャー ディレクター浅沼 拓志氏(写真:左)の3名。


ディライトワークスを知るための3つのトピック

浅沼 拓志氏(以下、浅沼。敬称略):それではトークセッションを行わせていただいきたいと思います。今日は主にプロデュース部の加藤の視点から話しいたします。

加藤 拓氏(以下、加藤。敬称略):ディライトワークスのプロデュース部でマネージャー兼プロデューサーを務めている加藤です。改めましてよろしくお願いいたします。

浅沼:もともとはどういった企業で働かれていたのでしょうか?

加藤:前々職は塩川と同じスクウェア・エニックスでプロデューサーを務めておりました。その後、6年半ぐらいは独立してミラクルポジティブという会社を運営していました。その会社は1年半ぐらい前にディライトワークスの子会社になり、それに伴って、現在ディライトワークスでプロデューサーをしています。

塩川 洋介氏(以下、塩川。敬称略):FGO PROJECTとの関わりはどうでしょう?

加藤:『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト公式サイト』と2018年4月1日のみ配信された『Fate/Grand Order Gutentag Omen Adios』のプロデュースを担当しておりました。また、『FGO』に関しては契約なども担当しております。

塩川:では私も自己紹介を。FGO PROJECTにおいてはクリエイティブプロデューサーという立場で、『FGO』を中心にVRやアーケード、開催中のFate/Grand Order×リアル脱出ゲーム「謎特異点I ベーカー街からの脱出」、この夏に発売される『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』というボードゲームなどを作っています。基本的には『FGO』と名の付くタイトルのクオリティを全体的に見ています。

会社においては執行役員 クリエイティブオフィサーとして、会社のいろいろなタイトルをどうおもしろくしていくのか、どういう方向性を目指していくのかという部分をみんなと一緒に考えるのが役割になっています。

浅沼:今回の司会を担当する浅沼です。『FGO』では北米版や簡体字版、繁体字版など海外展開のプロデューサーやディレクターを務めています。

塩川:FGO PROJECTに違う立場から携わっている3人なので、多角的にお話できればと思っております。今日は主に加藤からお話することになりますが、3つのトピックを用意しました。

ディライトワークスって、実際どんな会社? ディライトワークスとはレストランである


加藤:ゲームを料理としてとらえて、全体のクオリティを見ている塩川は料理長で、ディレクターは料理人です。お店の内装やお店に来ていただくためのチラシなど、そういう部分まで設計するのがディライトワークスのプロデュースだと思っています。

塩川:もちろん美味しい料理を作ることは大事ですが、料理をどういうテーブル、内装、環境で美味しく食べていただくのか、どういうタイミングで料理を出したら美味しく感じていただけるのかを考える必要があります。

そもそもどうやったらお店に来ていただけるのか、どういうことを期待して来ていただくかを含めてプロデュースすることが重要です。料理人が料理の腕を磨くだけでなく、そのほかの部分をどうしたらいいのかを従業員が一体となって考える必要があります。実際にFGO PROJECTではどんなことをやっていましたか?

加藤:『FGO VR』であればマシュ・キリエライトに“逢える”特別な体験をコンセプトに開発しました。VRコンテンツを作るだけでなく、イベント会場でどのように展示するのか、どのように見せればお客さまによろこんでいただけるのかという点はすごく考えました。

塩川:こういったことは開発部門との連携が重要なので、毎週のように打ち合わせをしています。『FGO VR』に関しては、アイドルの握手会やアーティストのライブなどの感動を『FGO』でも再現してみたかったため、VRの中だけでなくイベント会場で逢えるという意味も持たせました。イベント会場を訪れたら「普段はスマートフォンの中で見ているマシュに実際に逢えた」という体験を届けたかったんです。

先ほどの料理の例で言えば、VRを作る料理人がいて、その料理を届けるところまでしっかりプロデュースする必要がありました。

加藤:『FGO VR』にはもう1人のプロデューサーがいるのですが、イベントで直前まで情報が出ないようにするという施策も考えてもらいました。自分たちだけでなくチームが一丸となってレストランを運営しているイメージですね。

塩川:「ゲームを作ったから誰かが宣伝してくれればいい」という考えはなく、各チームが協力して二人三脚でやっていくのが定着しています。

浅沼:『FGO VR』は無料の配信タイトルですが、商品として販売してもよかったのではないかという声も聞かれました。その意図はどこにあったのでしょうか?

加藤:そこはTYPE-MOONさんや塩川とも議論した部分です。ただ、逢いに行けるというコンセプトを考えたとき、より多くのユーザーさんによろこんでいただける方法にしました。

塩川:もちろん価格を付けた商品にすることもできたと思いますが、より多くの方に体験していただきたいという部分の優先度のほうが高かったです。

浅沼:では、実際にディライトワークスの社員がどのように仕事をしているのか、その働き方が気になってくるのではないかと思います。

塩川:そうですね。次の議題に移りましょう。

教えて! ディライトワークスでの1日 それは、MMORPGをプレイするような毎日


加藤:家庭用のオンラインゲームを想像してもらえるとわかりやすいと思うのですが、リアルタイムでいろいろなことが起こるなかで、その優先順位を決めたり、いろいろな役割を持っている人と情報を共有したり、課題に取り組んだり、どうやってチャンスを掴んだりといったことを考えなければいけないと思っているんです。

塩川:加藤さんは今日1日どんなことをしていましたか?

加藤:今日は朝からTYPE-MOONさんと打ち合わせがあり、帰社してからはいくつかミーティングに出席し、その後、新しく入社したスタッフと面談し、あとは新規案件の提案書を作ったり、浅沼と一緒に課題のための作業を行ったりしました。

塩川:どのあたりがMMORPGなのか、一言でいうとどうなりますか?

加藤:皆さんに喜んでいただけるゲームを創るという大きな目標のために、社内のメンバーと協力しながら日々クエストを解決しているというイメージです。

塩川:なるほど。ちなみに浅沼さんの1日はいかがでしたか?

浅沼:デイリーミッションのように社内を駆け回っています。私は海外担当ですが、「こういうことをやりたいのだけど、どうしたらいいだろうか」と悩んでいるスタッフの悩みを解決することが多いです。「こういう判断軸でやってみてください」「それはこうやったほうがいいですよ」とメールを投げたりチャットしたりします。

塩川:『FGO』は現在5カ国語で展開していますが、ディライトワークスはどういった点を手掛けているのか説明してもらえますか?

浅沼:方針を決めるのはもちろん、ほかにもイベントをどう紹介するのか、商品をどのように出すのか、その国に合わせてバナーなどでメインにするキャラクターを変えるなどをおこなっています。

塩川:海外チームの人数の規模はどのぐらいですか?

浅沼:驚かれるかもしれませんが、20人ぐらいですね。

塩川:20人で日本以外の4カ国語を担当していると。各国の連絡が時間差でやってくるので毎日忙しいのではないでしょうか。

浅沼:そうですね。ただ日本版の『FGO』があるので、それをもとに各国で多少の味付けを変えて対応しています。

塩川:なるほど。ちなみに私の1日を振り返ると、TYPE-MOONさんとミーティングをしたあと、アーケードのミーティング、帰社したあとにこのイベントに参加し、この後は明日から大阪で開催されるリアル脱出ゲームのトークイベントの準備ですね。

あとはアーケードのリリースが間近に迫っているため、セガさんからいろいろなムービーが送られてくるので、チェックしています。ほかにも『FGO Duel』に関していろいろ決めなければいけないことがあるなど、レストランでいうと多店舗展開になっている状況です。

浅沼:そんな自分たちがどんなところにやりがいを持っているのか。次のスライドを見てみましょう。

ディライトワークスにいて、一番うれしかった瞬間!


加藤:このスライドは説明が必要ですね。

塩川:どこかで見たことがあるキャラクターが映っています。

加藤:写真は今年4月1日のみ配信された『Fate/Grand Order Gutentag Omen Adios』の打ち上げをしたときのケーキです。この企画は4月2日を取り戻すという第1部のパロディで、開発中には紆余曲折もありましたが、最終的にはお客さまによろこんでいただくことができたと思います。この日は塩川も特にうれしそうでした。

塩川:それが加藤さんのうれしかったことなの?

加藤:みんなで目標を達成できたことがうれしかったんです(笑)。

塩川:わたしも携わったタイトルですが、スタッフに一体感がありました。最近は新規アプリがApp Storeに並ぶまで半日かかるような事例がいくつかあるのですが、このアプリは「4月1日の0時に間に合わせないと」とみんなで奮闘しました。私はシアトルで北米版のリアルイベントに参加していたのですが、イベントが終わったあと、ちょうど0時になったのですぐにアプリをチェックしました。

加藤:「みんなに任せる」とシアトルに向かったのですが、そのあとも「ここは大丈夫?」「ここはこうしたほうがいいんじゃないか」という連絡がギリギリまで届いていました。

塩川:結局、寝ませんでした(笑)。

加藤:おかげで皆さんに楽しんでいただけたと思います、Twitterでも話題になったのでうれしかったです。

浅沼:アプリを作ったことよりも、そのアプリでお客さまがよろこんでくれたことが実感できてうれしかったです。

塩川:4月1日限定配信のこのアプリに関しては、アクセス集中を見越したサーバーの管理なども密接にかかわってきます。また、開発だけでなく広報や宣伝も重要でした。そのため、チームとしての一体感がないと実現が難しいタイトルだったのではないかと思います。このメンバーがいたからこそ実現できたことすし、何よりも無事にお届けできたときは本当にうれしかったですね。

浅沼:続いて最後のスライド。こちらは塩川のほうから説明させていただきます。

“FGO”のある生活”を、デザインする


塩川:現在、リアル脱出ゲームを全国で展開しています。それにあわせてWebで「お試し謎キャンペーン」を開催したり、ゲーム内でミステリーイベントを開催し、みんなで犯人を予測できるようにしたりしました。こういう展開はメディアミックスと思われがちですが、自分たちとしてはメディアミックスという枠では考えておらず、マスター(プレイヤー)を中心とした拡がりであると思っています。

今回は謎をテーマにいくつかの展開を考えましたが、とにかくマスターとなって謎を楽しんでいただくことが目的だったので、例えばお試し謎だけを体験していただくのもいいと思っています。ほかにもいろいろなゲームタイトルがあるなかで、FGO PROJECTをどのように注目してもらうのか、それが今、我々の考えるべきミッションだと思っています。

今は、おもしろいゲームを作っただけではやっていけない時代がきています。3年後や5年後を考えたときに、おもしろいゲームを作ることだけを考えるのではなく、そのゲームでどんな体験ができるのか、より感情移入していただける方法はなんなのか、これらを、周りのサービスも含めて設計できたときにお客さまにご支持いただけるのではないかと考えています。

いいゲームを作り、そのゲームの価値をしっかり設計して、お客さまにお届けする。我々はそう考えてゲームを作っていますし、そういった理念に共感していただける方にチームに加わってほしいと思っています。

早くも第2回の開催が決定!

2018年7月4日(水)の20時より2回目のイベントが開催される。次回はマーケティングディレクターの石倉正啓さんや広報の担当者が登壇し、ディライトワークスが力をいれている宣伝の方法などが語られるという。

惜しくも今回参加できなかった人やこの記事を読んでディライトワークスの仕事に興味を持った人は、参加してみてはいかがだろうか?


▼トークセッションのあとにはローストビーフやポークリブ、タンドリーチキンといった肉料理を食べながら、リラックスムードの懇親会が行われた。


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Fate/Grand Order ・販売元: Aniplex Inc.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 199.2 MB
・バージョン: 1.39.4

(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT

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