【FGO】3つの魔法で作る「FGOのある生活」。FGO PROJECT流のマーケティングの手法が公開
ディライトワークス(以下、同社)は、FGO PROJECTの仕事に興味がある方を対象としたキャリア相談会「肉会(MEAT MEETUP) Vol.2 FGO PROJECT マーケティングセミナー」を7月4日(水)に開催しました。

マーケティングセミナー前半のトークセッションでは、バスター石倉氏こと石倉正啓氏(同社 執行役員 マーケティング部長)、市川 伸氏(同社 マーケティング部 広報セクション マネージャー)が登壇し、『FGO』の裏側に隠された「3つのマーケティング方法」、略して「3つの魔法」(マ法)が初公開されました。
この記事では、これまで外部に公開されてこなかった同社のマーケティング方法や、一見すると似ている「宣伝」と「広報」の機能と役割について紹介されたトークセッションの模様をレポートします。
▼石倉氏(写真左)と市川氏(写真右)。マーケティングセミナーの内容とは関係ありませんが、なんと、お2人は年齢、誕生日、血液型がまったく同じとのこと。

FGO PROJECT流のマーケティングの手法、それは「3つの魔法」
トークセッションの前半では、石倉氏から「人を動かす3つの魔法」と題して、FGO PROJECT流のマーケティングの手法が紹介されました。

■魔法その1「マメニ」
日々、FGO PROJECTの最新情報やイベント告知、メンテナンス情報などをTweetしている『FGO』公式Twitterアカウント。ローンチ前から、毎日何かしらの話題を作れないかと「マメに」情報を発信することを心がけていたといいます。

その結果として、昨年のTwitterトレンド大賞では、2017年にもっとも話題となった言葉に「FGO」が選出。その他にも「マーリン」がランクインし、特に「マーリン」のTweet数は、トレンドに上がった同日に行われた歌手・安室奈美恵さんの引退発表関連のものよりも多かったという結果もあり、後日、日経MJで「Fateがスゴい!」といった記事が掲載されるまでになりました。
【次号・月曜のMJ】「Fate」を知っていますか? 14日公開の新作映画が興行ランキングで「猿の惑星」を抑え堂々の首位に。登場人物「マーリン」を巡るツイート数が引退表明したアムロちゃんを上回ったこともあるんです。(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC pic.twitter.com/bNhAoetuxA
日経MJ (@nikkeimj) 2017年10月21日
Twitterでの情報発信以外にも、兵庫・宮城・広島・大分の4地区で開催された「FGO冬祭り 2017-2018 ~冬のファラオ大感謝祭~」や、Fate/Grand Order×リアル脱出ゲーム「謎特異点I ベーカー街からの脱出」、「FGO秋葉原祭り 2017」、周年イベント「FGO Fes.」など、さまざまなゲーム外施策を「マメに」実施しています。

これらの施策の狙いは、ユーザーの心との接点を作ること。そして『FGO』を起動する、公式Twitterを見るなどの行為を「日常化」、「習慣化」してもらうことだといいます。
ムダな情報発信は日常どころかユーザーが離れてしまう要因となってしまうため、自分たちが価値があると思うものだけを発信しているとのこと。石倉氏は「ワールドカップレベルの情報であれば皆がチェックするはず」と例を挙げ、極力無駄を省きつつ豆に発信することを意識しているとまとめました。
■魔法その2「マサカ」
スマートフォンのゲーム以外でどのような話題を作れるかがマーケティングチームの課題だと石倉氏は語ります。開発チームは日々おもしろいゲームを作るために努力しているそうですが、それはあくまで内側の話。
より認知度を広げていくためには、スマートフォンのゲームの外側でユーザーとの接点を作ると同時に、「驚き」を提供していかなければならないと考えているそうです。

その例の1つとして挙げられるのが昨年12月にPS Storeで配信されたFate VRドラマ『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』。よりキャラクターを身近に感じてもらえるうように、「マシュに逢える」をコンセプトに制作され、何度も体験会が開催されました。
他にも、AnimeJapan 2017でマシュの宝具を前にして上映された第1部の振り返り映像、FGO Fes. 2017会場の壁面に映し出された巨大なプロジェクションマッピング、Web漫画から現実世界へと進出した「マンガで分かる!FGO」の着ぐるみたち、4月1日の1日限定で配信されたアプリ『Fate/Grand Order Gutentag Omen Adios』など、多くの驚き=マサカを提供。
AnimeJapan 2017での第1部の振り返り映像では筆者を含めて涙を流すマスターも多く、FGO Fes.のプロジェクションマッピングでは定期的に来場者からの歓声が上がっていました。
パーツの配置が少し変わるだけでも印象がまったく変わってしまうとのことで、非常に細かい監修がされたという「マンガで分かるFGO」の着ぐるみたちは、今では登場するたびにあっという間にSNSや動画で拡散される人気者になりました。
人間は慣れるとだんだんと飽きていき、感動がなくなっていくもの。ゲーム中で定期的に新たな驚きを作るのは難しいとしたうえで、『FGO』というコンテンツに飽きずに接してもらうために、ゲームの外で「マサカ」を演出して援護するよう意識しているそうです。
■魔法その3「マヂカ」
各種リアルイベントで石倉氏は、宣伝担当の「バスター石倉」としてゲーム内のコマンドカードの1つ「Busterカード」をデザインした衣装を着用。普段はかけないというサングラスをかけるなど、できるだけユーザーに覚えてもらえるような格好を意識しているといいます。

ユーザーに記憶してもらうための施策の1つとして、「Busterカード」のシールを制作。各リアルイベント会場の来場者に石倉氏自らが手渡しでプレゼントしています。
その手渡し累計枚数は、なんと約4,000枚。半年で約4,000人のユーザーと直接触れ合ってきたことになります。

『FGO』をプレイしていない人からすると、価値がまったくわからないと思われるデザインの「Busterカード」シール。ゲームのファンに、関係者がイベント会場で直接手渡しすることで、その体験が思い出になり、シールの価値も少し変化すると石倉氏は分析していました。
また、出演声優や生放送番組で司会を務めるマフィア梶田さんにユーザーと接点を持ってもらうのは難しいため、自分に人気があるかどうかは関係なく、バスター石倉としてユーザーとの接点を作るように心がけているとのこと。
魔法その3「マヂカ」(間近)とは、ゲーム外でユーザーと触れ合う機会を設け、それらの体験を通じてゲーム以外の時間でも『FGO』の思い出を作ってもらうためのマーケティング方法だといいます。
ゴールは「FGOのある生活をデザインする」
これらマーケティング手法の根幹を担うのは、塩川洋介氏のFGO PROJECT クリエイティブプロデューサー就任説明会で発表された「FGOのある生活をデザインする」です。
『FGO』に囲まれたユーザーの生活をデザインするため、そして5年、10年と『FGO』を続けられるように、グッズ、VR、アーケード、ボードゲーム、脱出ゲームなどを企画しているそうです。

トークセッション第2章のテーマは「広報」
トークセッション後半のテーマは「広報」。市川氏により、広報のマーケティング機能にフォーカスしたプレゼンテーションが行われました。

まず最初に市川氏は、『FGO』関連のWeb記事は月に平均約3,000件(2018年1〜6月のデータ)もあると紹介。広報活動の目的は、ユーザーがいろいろな場所で『FGO』というワードに触れる機会を増やすことだといいます。
ちなみに、AppBank.netに掲載した『FGO』関連の記事は、2017年4月から現在までで約700本ありました。月に40数本程度の計算になるので、数多くの媒体が『FGO』関連の記事を掲載していることがわかります。

宣伝と広報の違いとは
一見、似たような業務で同じ人が担当しているケースも多い「宣伝」と「広報」ですが、市川氏はその違いを次のように表現しています。
・宣伝=直接・主観・主体
・広報=間接・客観・中立
「宣伝」は主観的な言葉で計画通りやっていける業務、「広報」はメディア(媒体)を通して間接的に、中立的な視点で情報を発信してもらう業務とのこと。
FGO PROJECTはメディアの記事の情報ソースとなるプレスリリースを月に10〜15本発信しているそうです。
当然、各メディアに同じ内容のものが発信されており、解禁時間が設定されていて、全メディアで同時に掲載されるものもあります。
▼プレスリリースのサンプル。

そういったプレスリリースを直接ユーザーに届けるのではなく、各メディアを間に入れることで第三者視点の価値観を入れられるとのこと。特に記事タイトルや最後の一文は記者の価値観や第三者視点が凝縮されており、楽しみにしている部分であると市川氏はコメントしていました。
▼プレスリリースを作成する以外にも、どうすればイベントの写真をキレイに撮影してもらえるか、どうすれば撮影しやすい会場にできるか、といったことも考えながらイベント会場をセッティングしているそうです。

広報は、メディアと一緒に読者に求められる話題を作る業務とし、最後に「より広く、より遠くへ、魔〔マ〕法を飛ばす支援魔法」が担当であるとまとめました。

▼広報=コウホウ支援といったジョークも。

次回のテーマはプロジェクトマネージャー
トークセッションの最後に、2018年8月10日(金)20時より肉会Vol.3が開催されることが発表されました。
第3回では、会社によって求められる役割や期待される成果が異なるプロジェクトマネージャーがテーマ。ディライトワークスのプロジェクトマネージャーはどうような業務を担当しているのか、実際に現場の担当者が仕事の奥深さやおもしろさをプレゼンテーションするそうです。

すでに参加者の募集受付も始まっているので、興味がある方は参加してみましょう。
▼トークセッション後は恒例の肉会。ローストチキン、生ハムといった新メニューも用意されていました。

肉会Vol.1のレポート記事も公開中
AppBank.netでは、総合プロデュースチームについて説明された肉会Vol.1のレポート記事も公開しています。この他の最新情報は、『FGO』タグからご覧ください!
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・販売元: Aniplex Inc. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ゲーム ・容量: 199.8 MB ・バージョン: 1.41.1 |
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