【戦場の絆】有名プレイヤーインタビュー「ばる」氏編ーー全国大会でトップに上り詰めたプレイヤーは今何を思う!?
AppBankが動画や記事でお届けする『機動戦士ガンダム 戦場の絆』(戦場の絆)の応援企画。そのひとつとして今回お届けするのは、有名プレイヤーのインタビュー記事です。上位クラスパイロットたちはどんなプレイ履歴を持っているのか? どんなことを考えてプレイされているのか? といったことをベテランパイロット・カバパンの同席のもと、第2回は全国大会常連の「ばる」氏におうかがいしてみました。
【ばる氏】 |
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稼働初期からの大会常連パイロット。2015年の「頂上決戦〜翔〜」において優勝を果たした有名プレイヤー。 |
みんなに「大丈夫っしょ」って声かけるようになった。そのおかげで勝てたかも
——『戦場の絆』のプレイ歴は?
そうですね。12年ぐらいやってますね。ロケテストは軽く見た程度でプレイはしませんでしたが、正式稼働初日からプレイしてました。
——そのころはどこでプレイを?
渋谷のTAITO STATIONですね。今もうP.O.Dが1台しか稼働していないんですけどね(笑)。逆に1台で稼働できるんだって(笑)。あと3台どうしてるんだろうって(笑)。
——最初からやってたもんね。
よくカバさんのP.O.D覗いてましたもん。
——今いくつ?
30歳です。
——『戦場の絆』はずっとプレイしてきていますか?
途中で『機動戦士ガンダム バーサス』シリーズの全国大会に出るために休んでいたりはしましたけれど、「Rev.2」〜「Rev.3」はちょくちょくレベルですけれど遊んでましたよ。
——12年の間に、自分の環境はどう変わりました? 当初は18歳だったわけですよね?
ゲームに対する考え方が変わったかもしれません。「勝たないとダメ。勝利こそ正義」だったんですが、今はふれあいの場みたいな感じですよね。人と人とのつながりを大切にするような『戦場の絆』の遊び方しかしていないですね。それはよかったなと思っています。
——それはどこから変わったのかきっかけはありますか?
やっぱり大会で優勝したからですかね。そこで区切りがついたというか。それまでは「勝利こそ正義」。すぐキレてましたもん。今は負けても煽られても何も思わないですから。「ああ〜負けた〜」って感じで。
——もし次、全国大会があったら出場します?
出ますけどたぶん。まあ五分五分じゃないですかね。ガチのメンバーが今周りにいないんで。
——これまで全国大会に何度も出場されてますが、その都度メンバーが変わっていってるじゃないですか? その選び方の基準って何かありますか?
え? ……強さですよ(笑)。仲がいい人とはあまり出たくないんですよね。大会用に練習をすると、俺が絶対キレるんで。大会は大会で、上を目指すチームがいいかなと。
——全く知らない人でも、うまい人なら組むと。
それまで全く知らない人で、大会で出会った人と組んだこともありますよ。
——カバパンさんとチームを組んで全国大会に出たことがありましたよね?
あの頃はカバさんは俺の憧れだったんですよ。優勝チームに負けちゃいましたけどね。
——そのあとは?
2011年の大会はまた「絶対勝とう」って思って別のメンバーで地方予選は通っていたんですが、震災の影響で決勝大会がなくなっちゃったんですよね。その後、しばらく大会がなくて、2014年の「頂上決戦〜乱〜」で2位だったんですよ。あの時は全く練習していなくて、“本番ぶっつけで勝てるでしょ”ぐらいのつもりで出て2位だったんですよ。
なので2015年の「頂上決戦〜翔〜」は半分ぐらい出るつもりがなかった。そこに誘ってくれた人がいて、大会が開催されることが発表されてからメンバーを集めてずっと練習してました。毎日バーストしてました。それぐらいガチで練習して。
——その時は毎日練習してたってことはケンカもしたりとかあったんですか?
俺は毎日キレてました。
——ばるさんのイメージって、大会の時は自分にも周りにも厳しいってイメージなんですが、どういったことに対してキレるんでしょう?
自分の中では、モビルスーツ戦の勝ち負けはどうでもいいです。運ゲーになるところがあるじゃないですか。『戦場の絆』では黄ロック(格闘攻撃可能範囲)内のじゃんけんがあったり、どうしようもない部分が出てくるんですけれども、“こうなったからこうしなきゃならない、という戦術的な部分の間違いをなくした勝利”がしたいんですよね。後で“このときこうすればよかった”って言わないような。“これは負けてもしょうがない”って負けなら怒ることはないんですけれども。
——パワー負けしたな、とか。
“これは完全にパワー負けしたな”とかなら。
——『戦場の絆』における編成じゃんけんについては?(相手の編成を読んでメタ機体をぶつけてくるなど)
俺は、どういった編成に対しても5、6〜7割戦える、尖っていない編成を求めるんですよ。3近(距離戦型)だったり。チームに対して求めるのは安定志向ですね。
——それは被ダメージをできるだけ避けて、自分たちの動きでコントロールできるような戦い?
そうなんですよね。自分たちのペースに持ち込みたいから、ゆっくりした戦いにしたい。早い展開をお互い作ると難しいその場その場の判断をしなければならない。運の要素がある不安定さはなるべく排除したいから。だから「Rev.4」の運ゲー的な要素がけっこう苦手ですね。不安定要素の押し付け合いだと思っているんで。不安定要素が不安定じゃないっていうのが「ユニコーン(ガンダム)」という存在だと思っているんで。
——ばるさんにとって、チームメンバーは将棋で言えばひとつの駒みたいなものですか? 一緒に戦う仲間ですか?
「頂上決戦〜乱〜」までは完全に駒でしたね。でもあれだけ一緒に大会練習した「頂上決戦〜翔〜」の時は完全に仲間だと思ってプレイしてましたね。その違いはあるかもしれないですね。「〜乱〜」の頃までは大会の試合中、でもキレてましたからね。「〜翔〜」の時は必ず1回負けて、その後2勝して勝っていったんですよ。前だったら1回負けたら「なんだなんだ」ってなってたと思うんですけれど、みんなに「大丈夫っしょ」って声かけるようになったんですよ。そのおかげで勝てたかもしれません。
“エース”よりトップ下が優れているのではと気づいた
——今までやっていた大会向けの「ガチの『絆』」と、今の『絆』、やりこんでいて何がよかった? その理由は?
今までは“最強になるため”にやってましたね。絶対に1番がよかったっていうのはあります。負けず嫌いなんで。今は“みんなとの『絆』を楽しんでいる”って感じですね。
——それは12年間やってきたからできた絆なのか、ガチでやっていたからできた絆なのか、どっちでしょう?
出会えた人がよかったってことがあるかもしれないですね。12年間ずっと一緒にゲーム以外でも遊んでいる人に出会えたり。
——今の楽しみ方と大会を目指してプレイしていた時は全く違う楽しみ方をしていると思うんですが、それは大会で優勝できたから、それだけ変わったんですか?
俺の中で荷が下りたというかという感じですね。それと年ですかね。
——もし優勝できていなかったら?
ゲームをやめていたかもしれませんね。今みたいにちょうどいい距離感ではプレイしていないと思います。
——年って重要だと思う。プレイヤーの中でも立場が変わっていくと思うから。今は自分より年下の子と組んだりするわけだから。
最近は、ほぼほぼそうですよね。
——最初の頃みたいにわがままだけではいられなくなってくる。
そうなんですよ。今までは組んだメンバーがほとんど俺が一番下でしたからね。
——その中でうまくチームを回そうということも考え出したということかもしれない。
“年下の子が俺にビビらないようにしよう”ってことは考えるようになりましたね。“若い子はのびのびとやってくれないと”って。
——チームメンバーのメンタル面もうまく回すことでメリットになるってことまで考えるようになったということですよね?
そうですね。今までは「俺が優勝したい」ってことしか考えてませんでした。最後の大会は、「全員を優勝させてあげたい」って気持ちはあったかもしれないですね。そのチームにおいて“エース”になろうとしていたのを、“エースをフォローする側に回ろう”と。1.5列目というか、サッカーで言えばトップストライカーよりトップ下にいたいみたいな風にはなったかも。
25歳ぐらいまでは“エースになりたい”って思ってたんですけれども、1.5列目をやっていると、“俺はこっちが向いているな”って。それがチームを回すっていうんですかね。
——自分は強いって思います? 他のプレイヤーと違う部分があるとしたらどこですか?
普通だと思います。試合中に多くのことを考えながら目の前の人と戦える。情報処理ができるというところには自信がありますね。本気で1vs1をやっても、周りを見ながら1vs1をやっても、俺はそんなに変わらないっていうのが強みだと思います。70点を常に出し続けられる。
——野球で言えば3割バッターってことですよね。「Rev.1」〜「Rev.4」までゲームが刻々と変化していくなかで、その3割を維持するってとても大変なことだと思うんですが、それは何に注目して、どういったところを見てるからその打率が出せるんでしょう? 大会の時はがっつりプレイしていると思うんですが、今、普段はそこまではやってないですよね?
週1〜2回ぐらいですね。
——そんな状況で、マイナスを生まずにプラスを生んでいくためには何をしていけばいいのか? って気になって。ゲームの性格がプラスを生んでいくのか、マイナスを作らないのかという変化はあるとはいえ。
それは長年の経験値で勝っているって感じですね。
——次に戦術について。この間の松戸のイベントで解説をしていただきましたが、『戦場の絆』の魅力に戦術ゲームだということは影響してますか?
僕は戦術ゲームがやりたいんですよ。
——戦術を磨くには、どうしたらいいですか?
プライベートマッチがいいんじゃないですか? その意識の高いプレイヤーを集めてやるのが。これは野良でやっていてもなかなか成長できない部分だと思います。フルバースト同士の対決をリプレイをちゃんと取って振り返ってみるという行為が絶対に必要なことですね。
——でも、戦術面で成長するって、それまで気づかなかった見落としに気づいたりすることだと思うんですよ。わからないころはそれがわからないと思うんです。
戦術って、誰でも実行できないと、どこかで必ずミスが起きる。どれだけ簡単な勝ち方をするか、というのはどのゲームにおいてもそれが強い行為だと思っているので。“簡単に勝つためにはこれ”っていうシンプルな方が好みですね。難しくてカッコいい勝ち方よりは、一番簡単に勝てる方を最初に考えます。
——コスト、時間、ゲージといろんな情報がゲームの中で表示されている中で、どこで何に気づいて戦術を組み立てていくってその場では難しいじゃないですか。コストリードしてても実はそれぐらいのリードじゃ足りないとか。
試合前に大前提を決めておくということが一番大事じゃないですかね。「こうなったらこうしよう」みたいなパターンを3パターンぐらい作っておくというのはガチプレイの時は常にしています。
——それは想定外のことが起こることはあまりない?
想定外のことが起こったらその場で対処を考えるしかないですけれども。大会ルールだと4vs4が多いですが、そうなるとそこまでの想定外ってなかなか起こりにくいですよね。起こった時は結構自分的には弱いんですけれど。ガチの大会だったら3つどころじゃないパターンを考えて臨みます。オンライン対戦だったら何が来ても戦えるモビルスーツ選びをして、もし読めない編成だったら「がんばろう」みたいな……(笑)。
——この質問も難しいと思うんですが、プレイしていて「これ、負けてね?」って感じる状況下で、その状況をひっくり返すって難しいことじゃないですか。そういう時はどうします?
ひっくり返すということは、誰かが負担を引き受けるというのが『戦場の絆』の鉄則ですよね。誰かが数的不利をやったり、誰かが乱戦に入っていくなり。誰が負担を背負って、有利なところで頑張る。『戦場の絆』で逆転するにはそれしかないと思っているんですけど。逆転の芽がなくなる前にそれに気づいて誰が負担を背負ってって早く決断をする。その判断力の早さが大事かもしれないですよね。切り離す、という行為でしか『戦場の絆』は何かが生まれないと思っているので。
——切り離しがキーになると。
負けている時は、切り離しなりあえてわざと落ちるなりしないとダメですね。
今は66が楽しい……でもIDバーストは!?
——「Rev.4」でリスタートレベルができて低コストの価値が上がったと思うんですが……。
6vs6に関してはリスタレベルってめちゃくちゃ面白いですね。それを活かした戦術ができるっていう。わざと落ちてアンチっていうのも結構ありますからね。
——落ちてリスタした瞬間にアンチできる場所で生まれることもできる。
はい。後、アンチで敵タンク(遠距離砲撃型)に突貫して即落ちして護衛合流ってのも「ザクII」とか120コスト近距離ではやってたりしますしね。120コストだと自軍のタンクの横にリスタできますしね。わざとアンチで敵タンクだけ拠点砲撃を遅延させて護衛の枚数を減らしておいて、護衛が耐えている間に「ザクII」がなぜか振ってきて枚数が合うっていう。
——今までの『戦場の絆』ではできなかった逆のパターン。
6vs6で足の遅い機体が活躍できますからね。
——「機体努力」っておそらくばるさんが言い出したことだと記憶しているんですが、それって何ですか?
そのステージと対戦人数なりで、強さを発揮できる機体って決まっている……んですよね。それをなぜ選択しないのか、って当時は言ってたと思うんですが。でも今は俺も好き勝手に乗ってたりしますけれど(一同笑)。
今、『戦場の絆』ってガチの4vs4よりも6vs6の方が盛り上がってるのが現状なんですよね。でも個人的にはIDより野良が好きですね。でも、勝ちたい人がIDをやるようになって、フルID対野良の構図っておもしろいとあまり思わないんですよ。閉鎖的になって、新規で強いって人が出てこなくなったっていうのもあると思うんですけど。
——新規の強いプレイヤーが出てこなくなったのはなぜだと思います?
他のゲームに比べると若い子の分母が少ないなって思います。『機動戦士ガンダム バーサス』シリーズとかを見ていると毎回違う子が大会に優勝してたりしますしね。あと、地域レベルでの大会とかも減ってますよね。昔の「スポラン」の大会とか。強い人ってやっぱり大会をやらないと出てこないです。毎月ある軽い大会っていうんですか。あと、時代が強いプレイヤーを求めていないかも。
——これからも『戦場の絆』は遊び続けたいと思います?
友達に会いに行く感覚ですよね。まったりやりつつ、他のゲームをやりつつ。今の『絆』、楽しいですよ。でもやっぱり、フルIDと全員野良のチームはマッチングさせてほしくないですね。マッチング率が下がってもいいと思っているんですよね。
あとは、他のゲームである「クイックマッチ」(戦績に影響しないフリーな対戦)とレートやポイントが勝敗で移動する「ライバルマッチ」みたいなものを『戦場の絆』にも入れてほしいってずっと昔から言ってるんです。ガチ勢とエンジョイ勢の棲み分けですね。それがあれば最高にいいゲームになると思うんですけどね。誰もケンカしないというか、好きな機体に乗れるし。
——もともと、ガチのプレイヤーとエンジョイプレイヤーが同じマッチングで混じってチームを組んで戦うこと自体が気になると。
ガチとエンジョイが混ざるから、フルIDをやるようになる。そうするとちょっと真面目にやっている野良の人たちと当たると。それがつまらないと思うんですよね。だから階級じゃなくてレートでマッチングするガチなモードがあっていいと思うんです。
——ありがとうございました。
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