【あおガルシナリオ集】現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」
2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。
この記事では、現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」を紹介します。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第1話「エンジェル→テイル」
ーー廊下
●琴音
あっ、プロデューサーさん。
おはようございます。
今日もいい天気ですね。
こう暖かいとレッスンにも気合いが入ります。
と言うわけで、今日もよろしくお願い……。
●頭の弱そうなアイドル(茜)
すみませ~ん!
あの~、アイドルとプロデューサーの方ですよね?
少しお聞きしたいことがあるんですけど……お時間よろしいですかぁ?
●琴音
えっと、えぇと、それは大丈夫ですけど……
その、あなたは……?
●頭の弱そうなアイドル(茜)
あっ、いけな~い!
アカネってば自己紹介忘れるなんてうっかりしてたかも。
では、改めまして……ごほん……
顔、声、プロポーション! そして、中身までパーフェクト!
学園創立史上最高のアイドル――になる予定の、佐久間茜で~す!
よろしくお願いしますね☆
●琴音
はぁ……私は野々宮琴音です。
よろしくお願いしますね。
●茜
そ、れ、で~……早速、質問いいですか?
●琴音
あ、はい。
私たちでよければ。
●茜
お二人は『天使』を見たことありますか?
●琴音
……『天使』?
●茜
そうですぅ。
あっ、と言っても本物の天使じゃないですよ?
今、超がつくほど噂になってるネットアイドルのことです。
●琴音
ネットアイドル……。
●茜
なんでも、見た目や雰囲気から、そう呼ばれてるみたいなんですよねぇ。
儚さとか繊細さみたいなのがあって最高、って評判みたいですよ。
それで、その子がこの学園に居るんじゃないかって、
そういう情報がネットの掲示板に書き込まれてて……。
アカネ以外にそういう子が居るんだ~と思って、
探してるんですよ。
●琴音
そうだったんですか……でも、ごめんなさい。
私はちょっと、その、心当たりはないです。
●茜
ふーん。そこのひとはー?
●プロデューサー
わからない。
●茜
……あ、そう。
なーんだ、知らないんだ。
だったら、最初からそう言ってよね。
媚び損じゃない。
●琴音
……うわ、愛美さんみたいだ。
●茜
ん? なによ、急に黙っちゃって。
アカネの可愛さに見惚れちゃった?
●琴音
あー……えーと……ごめんなさい。
なんだか、狐につままれたような気分で……。
というか、知ってる人につままれたような気分で……。
●茜
よくわかんないけど……知らないんだったら、もう行くわ。
色んな人に聞いて回ってるから、時間が惜しいの。
●琴音
あ、ちょっと待ってください!
●茜
なーに? 天使のこと、知らないんでしょ?
それとも、思い当たることでもあるの?
●琴音
いや、そういうわけじゃないんですけど……。
あなたは天使を探し出してどうするつもりなんですか?
●茜
なんでそんなこと聞くの?
●琴音
あ、え~……その、色んな人に聞いて回ってるって言ってたから……。
ただ見たいってだけじゃないのかも、と思って。
●茜
ま、そうね。
天使を探してる理由は、そういう野次馬根性丸出しのものじゃないわよ。
アカネね、ソロで活動してるの。
ちょっと前まで、学プロには入ってたんだけど抜けたの。
●琴音
え? どうしてですか?
●茜
それは、その……決まってるじゃない。
世界一可愛いアカネちゃんに、見合う学プロじゃなかったからよ。
だから、こっちから抜けてやったんだけどね……。
何もかもひ1人っきりじゃ厳しいでしょ?
それで、どうしようかな~って思ってたところに……。
『天使』なんて呼ばれる子が、この学園に居るって噂を聞いたわけ。
その噂が本当だとすれば、学園内にはアカネとその子――。
ふたりの天使が居ることになるわけよね。
そしたら、話は簡単よ。
その子を探し出して、アカネとユニットを組んでもらうの。
そうすれば、話題になること間違いなしだと思う!
それで、だれも放っておけなくなって、相応しい学プロが用意されるはず!
……っと、熱くなっちゃったけど、それが理由。
アカネがアカネ以外の『天使』を探す理由なの。
それじゃあね~♪
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第2話「【悲報】天使、捕まる。」
ーー廊下
●琴音
この間の不思議なひと覚えてますか?
天使を捜してるって……。
一体、どこまで本気なんでしょう……?
なんだか、私、気になってしまってるんです。
●茜
え? 本気も本気だけど?
本気と書いてマジと読まずに本気と読むぐらいには。
●琴音
あ、あなた……どこから?
●茜
まぁ、だれかに話したのは初めてだけど……。
ふたりともお人よしっぽい雰囲気出てたし、いいかな~って。
●琴音
へ???
●茜
事情を聴いといて『はい、そうですか』って
見捨てられなさそうな顔してるってこと。
そういうわけで、協力してくれないかな~?
●琴音
あぁ……そ、そういう……。
●茜
例の『天使』の情報を手に入れたら、教えてくれるだけでいいから。
ね、お願いっ!
●琴音
ん~……そ、そうですねぇ……。
あんまり期待しないでくれると助かります。
●茜
ってことは、協力はしてくれるってこと?
ありがと~!
お礼に、この最高に可愛いアカネが友だちになってあげる!
えーと……あれ? 名前なんだっけ?
●琴音
野々宮琴音です。
●茜
琴音ちゃんね。
アカネほどじゃないけど、可愛いから覚えといてあげるわ。
●琴音
あはは……ありがとう。
●茜
それと、そこのプロデューサーも運がいいわね。
学プロ未所属のアカネと知り合いになれたんだから。
それで……
もしぃ~、アカネに相応しいビッグな学プロがあったらですよ~?
声かけてほしいなぁ、な~んて。
考えておいてくださいね☆
●プロデューサー
わかった。
●茜
よーし、言質取った!
そういうことで営業終了~。
●琴音
……あの~。
●茜
ん? 今度はなによ?
●琴音
ううん、やっぱり、なんでも……。
●茜
ん~? 変なの。
っと、そろそろ行くわね。
●琴音
あ、うん。
●茜
んじゃね~。
●琴音
…………。
●プロデューサー
どうしたの?
●琴音
えっと……その、ですね……。
実は、茜さんが言ってた『天使』に心当たりがあるんです。
ただ、ちょっと教えるべきかどうか迷ってしまって……。
その子、性格的に茜さんとは合わなさそうなんですよ。
と言うか、そもそもだれかと一緒に、っていうのを嫌う子なんです。
だから、茜さんが諦めない限り、平行線になる未来しか見えなくて。
でも、色んな人に話を聞いてるって言ってましたし……。
茜さん、すっごく熱心に探してましたよね……。
うぅ~……なんだか、知らんぷりしたみたいで良心が痛みます。
や、やっぱり、教えたほうがいいですよね?
……追いかけましょう!
ーー校門前
――タッタッタ
●琴音
あっ! 居ました!
茜さーん!
●茜
あれ? ふたりとも、どうしたの?
もしかして、アカネが可愛いから放っておけなくなったの?
●琴音
たしかに、茜さんは可愛いですけど……
それは置いといて、『天使』について心当たりがあったなと思いまして。
●茜
えぇ!? ホント!?
●琴音
はい。だから、今度、彼女の所に案内しますね。
●茜
案内? 居場所までわかるの?
●琴音
だいたい自分の部屋に居ると思います。
ブログの更新したいからって、放課後は寄り道せずに帰るので。
●茜
……なんか、妙に詳しくない?
友だちかなんかなの?
●琴音
実は……幼なじみなんです、その子。
●茜
……マジで?
●琴音
本当です。
●茜
……ついに掴んだのね!
天使のしっぽ!
●琴音
て、天使にはしっぽはないと思うなぁ……。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第3話「つぎはぎの翼、未来の私」
ーーマンション前
●茜
言われるがままついてきちゃったけど……。
ホントに琴音ちゃんの幼なじみが『天使』なわけ?
●琴音
多分、そうだと思うんですけど。
写真とか動画とか見たことはありますか?
●茜
まぁ、一応ね。でも、見覚えないのよね。
だから、人に聞いてまで探してたんだけど。
●琴音
あの子、すぐに部屋に帰っちゃうから。
普段から目立たないように、立ち振る舞ってますし。
●茜
……その子、芸能科なのよね?
目立たないように立ち振る舞ってるって、どういうことなの?
●琴音
それは……本人に聞いたほうが早いと思います。
●茜
ふーん……。
ーー家前
●小柄なアイドル(瑠莉花)
コトちゃん。
●琴音
ん? あっ、ルリちゃん!
よかった、ちょうどいいところに――。
●茜
あーー!? こ、この子!!
●琴音
あ、やっぱり、あっていたみたいですね。
と言うわけで、この子が噂の瑠璃花ちゃんです。
●瑠璃花
噂?
●琴音
え、あ、うん……その~……。
●茜
ようやく見つけたわよ、もうひとりの『天使』!
●瑠璃花
…………。
これは……どういうことなの、コトちゃん?
説明して。
●琴音
えっと、えーと……こちら、佐久間茜さんがね……。
ルリちゃんのこと探してるみたいだったから……。
●瑠璃花
それで、わざわざわたしの所まで連れてきたんだ?
そう……ご苦労さま……。
●琴音
うぅ……ご、ごめんね……。
すごく熱心だったから……。
●瑠璃花
まあ、仕方ないよ。
コトちゃんはそういうの放っておけないだろうし。
……じゃ、わたしは部屋に戻るから。
●茜
ちょいちょいちょーい!
なんで、いきなりそうなるの!?
こっちは用事があって、きみのこと探してたんだから!
話くらい聞いてってよね!
●瑠璃花
わたしはそっちに用事なんてない。
●茜
だからって、帰るぅ~?
アカネ、信じられな~い!
●瑠璃花
…………。
●茜
ってか、本当に『天使』なの?
双子とかじゃなくって?
●瑠璃花
どういうこと?
●茜
だって、噂じゃ……。
だれにでも微笑む、美しい女の子だって話だし?
アカネが見た写真や動画じゃ、噂通りに笑ってたわよ?
けど、アカネの目の前に居るのは、ずっと仏頂面な子じゃん!
●瑠璃花
オンとオフが一緒って、思ってるの?
●茜
あぁ……それもそっか。
●瑠璃花
でしょ?
じゃ、そういうわけで。
●茜
だーかーらー! なんで、話を聞く前に行こうとするのよ!
●瑠璃花
早くブログの更新がしたい、それだけ。
●琴音
ルリちゃん……。
●瑠璃花
…………。
……わかった。
でも、ブログの更新が終わったら。
●茜
うんうん、最初からそうしてればいいのよ!
顔も声も、アカネの次に可愛いんだから。
●瑠璃花
……なんか、面倒そうなのに捕まったかも。
●琴音
あは、あははは……。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第4話「天使と自称・天使」
ーー瑠璃花の部屋
●瑠璃花
それで話って……?
手短にしてくれない?
●茜
わかってるわよ~。
じゃ、まず聞きたいんだけど……。
瑠璃花って、ネットの活動だけだよね?
学プロに入ってるとかは?
●瑠璃花
ない。
リアルは面倒。
●茜
め、面倒なのはわかるけど……芸能科なのにホントに珍しいわね……。
でも、そっか……じゃ、そのまま学プロ入りってのは期待できないか。
●瑠璃花
……話が見えてこない。
●茜
そう? なら、単刀直入に言うわね。
アカネとユニット組んでくれない?
●瑠璃花
無理。
●茜
うぇ!? なっ……ちょ、ちょっとは考えてよ!
ノータイムで拒否されると傷つくでしょ!
●瑠璃花
言ったでしょ? リアルは面倒。
だれかと一緒に、なんて性に合わない。
そもそも、よく知りもしない人とユニットを組むとか……。
絶対にありえない。
●茜
い、言ってることはわかるけど……。
お互いのことはこれから知り合っていけばいいじゃない。
●瑠璃花
それと、わたし的にはユニットを組むメリットがない。
●茜
『天使』って呼ばれてる瑠璃花と、
実際に天使みたいに可愛いアカネが組むのよ?
人気爆発必至で、一気にトップアイドルになれる可能性がある!
●瑠璃花
その可能性がどれだけかは置いといて……。
わたしは現状で満足してるから。
●茜
むぅ~~……!
●琴音
あ、茜さん、落ち着いて……。
●瑠璃花
他の人でも誘えば?
●茜
……アカネは、だれでもいいわけじゃない。
『天使』椿瑠璃花だから、誘ったんだもん。
瑠璃花だったら、アカネの横に立ってもそん色ないと思ったの。
一気にトップに登りつめられると思ったの。
●瑠璃花
…………。
●茜
それに……断られたら、本当に後がないから……。
現状をひっくり返すには、これしかないと思って……。
●瑠璃花
ワケあり?
●茜
あ、いや……べ、別に……。
●琴音
ルリちゃん……あの、あの……私からもお願い。
力になってあげられないかな?
●瑠璃花
…………。
わたしにメリットはない。
けど、そっちも引き下がるつもりはない。
●茜
当たり前よ。
●瑠璃花
そうなってくると、いちいち断るのも面倒かも。
お人よしのコトちゃんにも言われたし……。
本当はネット外での活動は避けたいんだけど――。
はぁ……しょうがない。
仮でいいなら、ユニット組んであげる。
●茜
え……?
●琴音
えぇ……?
●瑠璃花
……なにその反応?
やめてもいいんだけど。
●茜
と、突然、OK出すから!
一瞬、びっくりして理解が追いつかなかったの!
やる! もちろんやるわよ!
●瑠璃花
あっ、そう。よかったね。
●茜
なんでそんなにドライなリアクションなのよ……。
瑠璃花って、本当にオンとオフにギャップあるわね……。
●瑠璃花
関係ないでしょ。
と言うか、ずっと気になってたんだけど……。
●茜
なに?
●瑠璃花
なんで、呼び捨て?
●茜
気になるなら、アカネのことも呼び捨てにしていいよ。
それなら対等になるじゃん。
●瑠璃花
そういうことじゃ――いや、もういい。
めんどくさい……。
●茜
え? アカネってば、なんか変なこと言った?
●琴音
あははは……とにかく、これにて一件落着……。
なんですかね? プロデューサーさん。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第5話「天使の小悪魔的発想」
ーー学園内広場
●茜
むぅ……。
●瑠璃花
…………。
●茜
うぅ~……。
●瑠璃花
うるさい。
●茜
だってぇ~~! せっかくユニット組んだのに、全っ然!
どこの学プロからも声がかからないんだもん!
そんなのってある!?
アカネと瑠璃花のダブル天使よ!?
ちょっと大丈夫なの、この学園のプロデューサーたち!
こんなにキュート&キュートなアカネたちを放っておくなんて――。
って、さっきからなにしてるの?
strong>●瑠璃花
ブログの更新。
●茜
このタイミングで!?
今後に向けての作戦会議するんでしょ!
●瑠璃花
わたしは呼び出されたから来ただけで、
呼び出された理由は聞いてないけど?
●茜
え? あれ? そうだっけ?
●萌
新しいユニットが誕生したというから来てみれば……。
なんか、個性の強いひとたちみたいですね……。
で、ユニット名は?
●茜
うふふっ。
実はぁ、ユニットを組む前からずっと決めてた名前なんだけど~。
かわいいかわいいお姫様って意味を込めて
『プリティ→プリンセス』っていうんだ~! きゃっ!
●萌
……イデアを感じません。
●茜
はぁ!? イデアって何よ!?
よく分かんないけどバカにされたのはよく分かったんですけどー!
●瑠璃花
自称天使がどうしてお姫様?
始まった瞬間からキャラぶれしてる。
●茜
だったら瑠莉花も考えてよねー!?
●瑠璃花
……いい名前だと思う。
●茜
明らかに面倒なだけでしょー!
●萌
……佐久間茜。高等部一年、Eランク。
同じく高等部一年、椿瑠璃花、Eランク。
学年、実力共に近いようですが、
何より息がまったくあっていませんね……。
●茜
もういい! とにかく会議を始めます!
ブログの更新は後にしてよね!
●瑠璃花
はいはい。
けど、そんな漠然とした議題じゃ、なにも意見できないけど。
ちゃんと考えてる?
●茜
当然……と言うか、瑠璃花もわかってるでしょ?
今のままじゃ、オーディションが受けられないって。
●瑠璃花
学園に活動の承認を受けてないからね。
完全に非公式ユニット……。
●茜
そう……だから、承認を受けたいんだけど……。
その一番の近道である、学プロへの所属を
どうするかってことを話し合いたいの!
●瑠璃花
面倒。
●茜
アカネだってめんどくさいもん。
でも、しかたないじゃない……。
有名になって、ガンガン稼ぐためには避けては通れない道だし。
どうするか考えなきゃいけないの。
●瑠璃花
……稼ぎたいの?
●茜
稼ぎたいでしょ、それは。
●瑠璃花
他のことで稼いだら?
●茜
えぇ!? 他のこととか信じられない!
みんなにチヤホヤされつつ、お金稼げる仕事なのに!
●瑠璃花
よこしま……。
●茜
別にいいじゃない。ちゃんとアイドルはやるつもりだし。
ファンのことを第一に考えてやる――って、話がそれたじゃない……。
と言うか、瑠璃花はアテとかないの?
●瑠璃花
あるけど?
●茜
あるなら、早く言いなさいよね~。
で、どういう学プロ?
●瑠璃花
知らない。
だから、本人に聞いてみれば?
●茜
本人……?
●瑠璃花
うん……そこでボーッとしてる人に。
かかしじゃなくて、プロデューサーなんでしょ?
●茜
…………あ、そう言えば。
●萌
わ、忘れてたんですか……。
●茜
アカネだって……うっかりする時はあるから……。
ほ、ほら、完璧すぎると敬遠したくなるじゃない?
そういう意味では、程よく親近感があるアカネちゃんってば……。
やっぱりトップアイドルの器だよねぇ~。
●瑠璃花
……ポジティブさだけは感心する。
●茜
ブログのネタに使ってもいいのよ?
ポジティブな美少女と一緒に居ますって。
●瑠璃花
そんなに面白くなさそうだから却下。
●茜
ちょっと、それ、どういうこと――。
●瑠璃花
そんなことよりも、頼まなくてもいいの?
●茜
あっ、そうだ……ねぇ、プロデューサー☆
アカネたちを学プロに入れてほしいなぁ~! ね?
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第6話「アカネの交渉術」
ーー学園内広場
●茜
ねぇねぇ! お願い、プロデューサー!
プリティーでラブリーなアカネちゃんたちを、
学プロに入れてくれないかなぁ?
そしたら、学プロの成功間違いなしだよ?
アカネたちもプロデューサーも評価されて、
ウィンウィンってやつだね。
それで、次の学プロのために使える予算が増えたとして……。
それを全部、アカネたちにつぎ込むの。
ね? ほら、アカネたちのトップアイドルへの道が開けるでしょ?
●瑠璃花
途中から自分の成功の話になってるけど。
●茜
アカネだけじゃないよ?
瑠璃花も一緒にトップアイドルだってば。
●瑠璃花
ネットの世界だけで充分だって言ったでしょ。
●茜
もー、ハングリー精神足りないなぁ……。
せっかく、学プロに入れてもらえることになったのに。
●瑠璃花
プロデューサーはなにも言ってないのに……。
いつの間にか入ることになってる……。
●茜
えぇ~? なにか問題あるかなぁ?
●瑠璃花
まぁ、いいけど。
●茜
ふふっ、瑠璃花って案外素直よね~。
●瑠璃花
は?
●茜
だって、そうでしょ?
最初にユニット組んでって言った時は、即行で断ってきたじゃん。
けど、今は文句言うけど反対はしないし。
アカネの気持ちが伝わったのかな?
●瑠璃花
諦めただけ。
どうせ言っても聞かない。
だったら、反対するだけムダ。
そういう労力は使いたくない。
●茜
アカネだって使いたくないんですけど……。
疲れるし……。
●瑠璃花
誘った人間としての責任は果たすべき。
●茜
わ、わかってますぅ~。
だから、こうして率先して決めてるんでしょ。
●瑠璃花
それに反対しないだけでも感謝してほしい。
今のわたしは、そっちにかなり協力的。
●茜
うむぅ……一理あるから反論できない……。
いや、反論する必要はないんだけど。
まぁ、こうして足がかりができたことだし?
次は承認ライブよね!
●瑠璃花
というか、それが一番の難関。
わたしたちはゼロからやらないといけないから。
●茜
ふふん、大丈夫だって。
ふたりで並んでおけば、ヴィジュアル点だけで合格のはず。
●瑠璃花
……そんな評価項目あるの? プロデューサー。
●プロデューサー
ない。
●萌
はい。ありません。
●茜
……え、ないの?
じゃ、じゃあ、しっかりレッスンすればいいだけでしょ?
●瑠璃花
しっかりレッスン……。
ネットの活動に支障が出ないくらいならいいけど。
●茜
え? ネットの活動続けるの?
●瑠璃花
何度も言うけど、わたしはネットの世界があれば充分。
それに、リアルがダメだった場合はどうするの?
●茜
そ、それは……。
まだ挑戦してないからわかんないじゃん……。
●瑠璃花
どうだか。
●茜
とにかく! やるしかないの!
ほら、どれ歌って踊るか決めようよ!
学園側から承認されないと、正式なお仕事とかでは曲借りれないけど、
逆にいえば非公式ならどの曲だっていいんでしょ!?
●瑠璃花
はいはい……どういう曲にするの?
●茜
瑠璃花が投稿してた動画の中からでいいよ。
そしたら、そっちも必要以上にレッスンしなくていいでしょ?
●瑠璃花
まぁ、それがわたしにとって一番効率がいいかも。
……って、ネットの動画、見てるの?
●茜
瑠璃花の噂を聞きつけた時に、一通り見たけど?
それとブログも。
●瑠璃花
…………。
●茜
なに?
●瑠璃花
今後は見ないようにして。
特にブログは。
●茜
なんでよ? 別にいいじゃん。
と言うか、瑠璃花の動画見てレッスンしたいんだけど。
●瑠璃花
じゃあ、承認ライブでやる曲の動画以外は必要ない。
ブログなんかは必要性ゼロでしょ。
●茜
ま、そうだけど……。
可愛いんだから、そんなに恥ずかしがることないのに。
●瑠璃花
ネットにリアルが侵食してくるのがイヤ。
●茜
……普通、それって逆なような気がするけど。
瑠璃花って、ホントにネット中心よね。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第7話「思惑の重なる日々」
ーーレッスン場
●茜
はぁ~~……レッスン、終わったぁ~~……。
疲れたぁ~~……。
プロデューサー、なんか飲み物ちょうだ~い。
アカネ、冷たいのがいいなぁ~。
●瑠璃花
…………。
●茜
ちょっと……もう帰るの?
●瑠璃花
そうだけど、なにか問題でも?
いつもそうでしょ?
●茜
や、そうなんだけど……。
今から、プロデューサーが冷たいの買ってきてくれるのに
飲まないで帰るの?
●瑠璃花
苦労してるね、プロデューサー。
面倒なのに捕まったばっかりに……。
●茜
面倒なのってなによ~!
●瑠璃花
事実を言ったまで。
人のスケジュール根ほり葉ほり聞く人間なんて面倒でしょ。
●茜
それは、ネットの活動に支障が出ないようにって配慮!
適当にレッスンルームとか押さえたら怒るでしょ?
●瑠璃花
怒る。
●茜
ほらね。
だから、あれこれ聞いたんじゃない。
あぁ、そう考えると……アカネって、やっぱりパーフェクトだよね~。
外見いいだけじゃなくて、気遣いができる器の大きい人間だなんて。
●瑠璃花
じゃあ、最初からわたし以外の人間と組んでほしかった。
それが、わたしにとって最高の配慮になるし。
●茜
そこは譲れない。
アカネの隣に立てるのは、瑠璃花だけって言ったでしょ?
●瑠璃花
……あ、そう。
じゃ、帰るから。
●茜
あっ! 明日は遅れないでよ!
承認ライブの日なんだから!
●瑠璃花
何もなかったら遅れない。
●茜
不安な言い方しないでよね。
こういうのって、心象も大事なんだから。
遅刻しないのもそうだけど……。
ライブ中は写真とか動画みたいに笑顔でお願いね。
●瑠璃花
善処する。
●茜
善処って……絶対にそうしてもらわないと困るんだけど……。
むぅ……今までのレッスンもそうだったけど、
本番でもやる気ない感じでいくつもりかな?
その辺り、あれやこれや言って、へそ曲げられたら困るしなぁ……。
あ~あ、アカネってば苦労人よねぇ~。かわいそう。
…………。
はぁ……ホントに、こんなコツコツやることになるなんてね。
もっと、楽にトップアイドルの階段をのぼりたかったんだけど。
それも、明日の結果次第じゃ、もっと険しくなるのかも……。
うわぁ、そんなのゴメンなんですけど……。
……って、喉かわいてたんだった。
プロデューサー、そういうわけでよろしく~。
ーー学園内広場
●瑠璃花
あ、プロデューサー……。
●プロデューサー
何してるの?
●瑠璃花
わたしものど、かわいたから。お茶を飲んでるだけ。
というか、本当に茜のお使いしてるのね……。
わたしには実害出ないから、好きにすればいいけど。
●プロデューサー
大丈夫?
●瑠璃花
心配しなくても、明日は遅れないから。
承認ライブには、ちゃんと遅れずに行く。
ちゃんとやるかどうかはわからないけど……。
●プロデューサー
どういうこと?
●瑠璃花
わたしにはリアルの活動なんて必要ないから。
元々、そんなに乗り気じゃないのはわかってるよね?
ずっと言ってるでしょ、現状で充分だって。
ユニット組んでるのも、茜がわたしのこと諦めなさそうだったからだし。
でも、明日の承認ライブの結果次第では諦めてくれるかもしれない。
だから、なるべくレッスンに時間は割いてこなかった。
……もし、結果がダメだったら、ユニットは解散するから。
それで、全部上手くいく。
ま、茜は一度承認ライブ落ちたくらいじゃめげないだろうし。
そうしたらプロデューサー、茜のこと、
ソロでいいから学プロに入れてあげて。
そこからは、茜自身が頑張るしかないけど。
……じゃ、そろそろ行く。
短い付き合いだったかもね、プロデューサー。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第8話「結実の日」
ーーステージ裏
●茜
…………。
●瑠璃花
…………。
●茜
な、なんか話してよ……。
●瑠璃花
は? なにいきなり?
ライブ直前になって、緊張したとか?
●茜
うっ……そ、そりゃ、するでしょ!
アカネたちの今後を占う承認ライブなんだから!
っていうか、瑠璃花はなんで緊張してないの!?
ズルくない!?
●瑠璃花
ズルいの意味がわからない。
●茜
うぅ~……お腹痛くなってきた……。
●瑠璃花
はぁ……さっきまで、余裕とか言ってたくせに。
その余裕はどこ行ったの?
●茜
だってぇ~……。
●瑠璃花
ま、わたしは失敗してもいいから緊張なんてしないけどね。
●茜
え? なんか言った?
●瑠璃花
……そんなことより、そろそろ時間。
●茜
わ、分かってるって……。
ええーい! 何事も気合いよ!
『プリティ→プリンセス』、ふぁいと、おー!
●瑠璃花
…………。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第9話「勢いあまって失楽園↓↓」
ーー控え室
●萌
承認ライブ、結果が出ました。
●茜
そ、それで!?
●萌
学園長から総評をもらっているので、読み上げますね。
不思議な2人だと思います。
●茜
……どういうこと?
●萌
ヴィジュアルはすごくマッチしていると思う。
けど、中身……本人たちの意識の差は
真逆と言っていいほどミスマッチ。
佐久間茜の方は気合が入り過ぎていて、緊張で空回りしていた。
一方、椿瑠璃花はまったくやる気を感じられなかった。
まるで、渋々ステージに立ってるような印象。
一生懸命、必死になってやっているアイドルと……。
やる気がなく、渋々やっているアイドル。
そんなふたりが、一緒のステージに立っている。
私はそんな光景、見たことがない。
メンバー間でそういう意識の差があると、
空中分解することが多い。
●瑠璃花
たしかに、そういう場合は、ステージに辿り着く前に終わることが多い。
●茜
よく分からないけど……つまり、合格なの不合格なの!?
●萌
これまでのアイドルの枠にとらわれない、なんとも不思議なコンビ。
新たな可能性を感じた。
イデアを、感じた。
●茜
イデア……?
●萌
つまり……。
佐久間茜、椿瑠璃花の両アイドルに、我が学園の認可を与る。
……だそうです。
●茜
…………。
●瑠璃花
…………。
●プロデューサー
どうしたの?
●萌
合格ですよ? 嬉しくないんですか?
●茜
そ、そげんこつなか! わっぜぇ嬉しかぁ!
……あ。
●萌
え、今のって……。
●茜
あ、あはは……ま、まぁ、すごい嬉しいって意味……。
くっ……めちゃくちゃ恥ずかしい……。
って言うか、よりによって、地元の方言がでるなんて……。
●瑠璃花
…………。
●茜
って、瑠璃花?
●瑠璃花
まさか……。
●茜
え?
●瑠璃花
まさか、こんなことになるなんて……。
やっぱり、リアルで動くとロクなことにならない……!
つ、次の計画を立てないと……!
じゃないと、このままリアルに引きずり込まれる……!
●茜
……なに? 中二病なの?
アカネ、そういうのちょっとどうかと思うんだけど……。
●瑠璃花
計算外……!
承認ライブ、もっと大げさに失敗すればよかった……!
●萌
……うーん。
どうやらこのユニットは、まだまだ問題が多そうですね……。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第10話「天使を連れたお姫様」
ーーレッスン場
●ひなた
あっ、プロデューサー!
やったね! おめでとう!
って、プロデューサーに言ってもしかたないのか……。
えへへ……。
●琴音
あはは、なんの話だって顔してますね。
茜さんとルリちゃんのことですよ。
●千尋
ほんと、よかったねぇ~!
●和歌
無事に学園長の認可をいただけたみたいじゃないですか。
ちょっとした噂になってますよ。
●プロデューサー
噂?
●和歌
よくわからない、色物ユニットが出てきたぞって。
●琴音
あ、あんまり、聞こえのいい噂じゃないけど……。
目立ってはいるみたいなんですよ。
●ひなた
でも、そんなにネガティブにならなくてもいいと思うな。
今はそう見られてるけど、いつかきっと面白いユニットになるよ!
●琴音
だと、いいんですけど……。
●千尋
心配なら、ちょっと様子を見に行ってみる?
隣でレッスンしてるみたいだし。
●琴音
うーん……そう、ですね……。
私たちのレッスン開始時間まで、少し余裕ありますし……。
●ひなた
それじゃ、みんなでレッツゴー!
失礼しまーす!
●茜
ん? って、あれあれあれぇ~?
学プロ仲間のひなたちゃんじゃな~い!
それにぃ~、和歌ちゃんに琴音ちゃんに千尋さんまで~!
プロデューサーもぉ~!
みなさん、おそろいでどうしたんですかぁ~?
●ひなた
レッスン前に様子見に来たんだ!
あと、あたしのことは呼び捨てでいいよ!
●和歌
私も呼び捨てで構わないわよ。
同学年なんだし、そんなにかしこまらなくていいと思う。
●千尋
私も、千尋でいいよ~!
●茜
あっ、そう?
じゃあ、ひなた、和歌、千尋って呼ぶね♪
●琴音
あの、あの……茜さん……。
もしかして、すごく機嫌いい?
●茜
えぇ? 隠してたつもりなんだけどぉ……。
わかっちゃう感じぃ?
●琴音
う、うん……って、あれ?
ルリちゃんは?
●茜
あぁ、瑠璃花?
今日はまだ来てないの。
どうしちゃったのかなぁ?
なにか事件に巻き込まれてたりしないかなぁ?
それとも、レッスンをやりたくなくて……。
遅刻してるのかなぁ~?
●琴音
プ、プロデューサーさん……こ、これはいったい……?
●瑠璃花
調子づいてるだけだから。
あんまり気にしないほうがいいよ、コトちゃん。
●琴音
あっ、ルリちゃん。
●茜
もう、遅いぞっ!
る、り、かっ♪
●瑠璃花
…………。
●琴音
ルリちゃんはルリちゃんで
すっごい機嫌悪そうだね……あははは……。
●茜
え、そうなの~???
アカネはこ~~んなに機嫌がいいのにぃ???
●瑠璃花
同じユニットのメンバーが、最近うざいです……送信っと……。
●茜
あっ、アカネの可愛さをSNSサイトに投稿してくれたの?
ホントにありがと~。
●和歌
な、なんと言うか……。
ひなたの言葉通りになりそうな気がしてきた……。
●ひなた
あはは、ねっ?
面白いユニットになりそうでしょ?
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第11話「怠惰の鉄槌が下るとき」
ーーレッスン場
●琴音
それで、ルリちゃんはどうして遅れてきたの?
日直とかだったの?
●千尋
わかった!
ご飯食べた後のデザートのせいだ~!
●瑠璃花
違う、わざと遅れた。
上機嫌の茜ほど相手したくないのは居ないから。
●茜
そんな、照れちゃって!
可愛い可愛いアカネちゃんの顔を見に来たくせに!
●瑠璃花
ほら……面倒なセリフが返ってきた……。
●愛美
というか、なんでここまで上機嫌なわけ?
瑠璃花はわざと遅れてきたのよ?
●瑠璃花
学園長の一言が原因。
●ひなた
なんて言われたの?
●瑠璃花
要約すれば、やる気があるのとないの……。
真逆の性質を持ったふたりのユニットって面白い、新しいってこと。
普通だったら喜んで、ネットの世界に引きこもるんだけど……。
こっちが休めば休むほど、コンセプト的に面白いって茜が
オートでつけあがるの。
●和歌
あぁ、そういうことなのね……。
●瑠璃花
だからって、やる気出してリアルの活動に打ち込むのはイヤだし……。
完全に休めば、次に会った時の機嫌が
すこぶるいいのが気に食わないし……。
でも、まぁ……それも今のうちだけだから。
わたしが少しの間、耐えればいい。
ネットの掲示板で鍛えられた煽り耐性があれば、
これくらいなんてことない。
大丈夫、そのうち天狗の鼻も折れるはず。
●琴音
そうなの……?
●瑠璃花
そうなの……だから、プロデューサー。
きつめの仕事とかあったら、こっちに回して。
それと、スケジュールもギッチギチに詰めて。
限界まで、ね。
●琴音
え!?
●瑠璃花
心配しないで、コトちゃん。
この計画が上手くいけば、わたしは晴れて自由の身だから。
●和歌
自由の身って……。
そもそも、茜はいいの?
●茜
ん~……そうねぇ……。
トップアイドルになるための糧になるんだったら、別にいいかな?
●茜
と言うか、今はなんでもできそうな気がするし!
アカネ、自分の才能が怖くなってきちゃった~~。
●和歌
絵に描いたような天狗ね……。
●琴音
あははは……。
●ひなた
でも、そうだよね……。
トップアイドル目指して頑張ってるんだもんね……。
●和歌
ひなた……?
●ひなた
あたしたちも負けてられないよ!
●茜
え? なに? ライバル宣言?
いいわよ、その方が話題性も出てくるし。
というか、油断してたらすぐに追い抜いちゃうかもよ?
アカネたちは、学園長のお墨付きをもらった
天使2人組のユニットなんだもん。
●ひなた
ふふっ、絶対に負けないからね!
●和歌
……しょ、触発されてる。
●千尋
仲良しさんだねぇ。
●琴音
切磋琢磨って言うし……いいことじゃないですか?
●ひなた
よーし! みんな!
今日のレッスンは気合いいれていくよ!
●和歌
それはいいんだけど……ちょ、ちょっと!
そんなに引っ張らなくても――。
●愛美
いつもそのぐらい気合い入れてくれるといいんだけどね。
●千尋
たくさん頑張ったらおなか減るから、
おいしいご飯が待っている~♪
●瑠璃花
こっちはこっちで大変だけど……。
そっちはそっちで面倒そう。
コトちゃんもファイト。
●琴音
うん……じゃ、またね。
●茜
ばいば~い♪
また遊びに来てもいいんだよ~。
……さてと、アカネたちもレッスン始めよっか?
あ、もしサボりたいならサボってもいいんだよ?
それで、アカネの麗しいレッスン姿を目に焼き付けておいてよね!
ふふふ……あーっはっはっはっはっ!
●瑠璃花
……ホント、ネットで煽り耐性つけておいてよかった。
現世(エイドス)サイド:第7章「天使と小悪魔」第12話「魅了の天使サマ」
ーー街中
●瑠璃花
へぇ……コトちゃん、新しいユニット組んだんだ。上手くいきそう?
●琴音
うんっ、センターの子がとっても前向きで、
一緒にいるだけで、勇気がたくさんわいてくるんだよ?
●瑠璃花
それはわかる気がする。今日もずっと笑顔だし。
●琴音
笑顔はアイドルの基本だからね!
ルリちゃんも、可愛い笑顔を見せてくれたらうれしいなぁ。
●瑠璃花
……そう言われても、それとこれとは別。
わたしはリアルに、笑顔になるような価値を見出せないから。
●琴音
そんなことないよ!
ほら、あそこの窓に映った顔見て?
こんなにかわいい顔した女の子が、笑顔になったらもっと可愛いよ!
●瑠璃花
もうっ……コトちゃん、なんかおじさんみたいなこと言ってる。
ふふっ……。
●琴音
可愛いー! やっぱり、ルリちゃんも私たちの学プロに来てよ。
ネットのルリちゃんも素敵だけどさ。
●瑠璃花
……それは無理。リアルは面倒。
ーーカフェ
●茜
はぁ~。新しい相方、見つからないもんね……。
●興奮する学生
……おい、今の微笑み見たか? 俺に笑いかけたぞあの子!
天使だ!! 天使が目の前に降臨したぞおお!!
●頭を抱える学生
ジーザス!! あの子たち天使かよっ、可愛すぎか!
神楽ヶ丘学園のアイドルはやっぱり一味違うなぁ~。
●茜
天使……? も、もしかして、アカネの知ってる『天使』!?
(うちの学園に、あの天使ちゃんがいたんだ。
そうだとしたら……次に組むべき相手は……!)
ーーデパート屋上
●茜
……なーんて、ついこの間まで思ってたんだけどなぁー。
●千尋
茜ちゃん、どうかしたの?
頬杖ついて……悩みでもあるの?
わたしでよかったら、お話聞くよー?
●琴音
そうだね、みんなで話したほうが解決も早いし……。
ルリちゃんも、そう思わない?
●瑠璃花
……わたしはどうでもいい。
茜の悩みなんて、ブログのネタにもならないから。
●琴音
あー、ネタ基準なんだねー……。
●茜
(椿瑠璃花……この子があの時の天使? 近くで見るとおめめクリクリ、
肌も透き通るみたいにきれい……ホント可愛いお人形さんみたい)
でも、アカネだって負けてないんだからね!
●瑠璃花
……いきなりなに言ってんの?
●茜
あうっ……ご、ごめん、話聞いてなかった……。
(ネットアイドルの『天使』……この子がまさかここまで
現実に興味ない子だとは思わなかったなぁ)
それより瑠璃花、さっきからなに飲んでるの?
白くて美味しそうなドリンクね。
●瑠璃花
……ココナッツジュース。なんかよくわかんない味。
うすいし氷入れすぎ。カサ増ししてるとしか思えない。
●千尋
あわわっ……ご、ごめんね瑠璃花ちゃんっ。
もっと美味しいのをオススメすればよかったよ……。
●瑠璃花
……千尋が悪いとは言ってない。
●琴音
大丈夫ですよ千尋さん。
ルリちゃん、飲んでるでしょ?
ほんとにまずかったら口もつけないですから。
●瑠璃花
コ、コトちゃん……。
●琴音
ごめんねルリちゃん。でも、みんなに勘違いされたくなくて。
ルリちゃんのこと、もっと知ってほしいから。
●千尋
琴音ちゃん……。
●琴音
……茜さんも、ね?
●茜
(そっか……琴音ちゃんはアカネたちの仲を心配して
こんな風に誘ってくれてたのかな)
よーし、アカネもココナッツジュース飲んじゃおっと!
パパっと買ってきちゃうから、待っててねっ。
●瑠璃花
……だから、薄いってレビューしたでしょ。
なんでわざわざそんなもの買いに行くの。
●茜
おんなじユニットだから!
おんなじものを飲んで、一緒に仕事もがんばろうってことで。
●瑠璃花
ユニットを組むなんて……一応言ったけど、仕事は勝手にして。
わたしも適当にやるつもりだから。
●茜
ふふん。それなら、豪華客船でクルーズするような気持ちで、
どーんとアカネに任せときなさいっ。
●瑠璃花
そう。
がんばってー。
●茜
よーし! 瑠璃花とアカネの2人で、目指すは頂点!
絶対にアカネとユニット継続してもらうんだからっ。
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