【あおガルシナリオ集】現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」
2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。
この記事では、現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」を紹介します。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第1話「監督代行、はじめました」
ーー廊下
●萌
あっ、おつかれさまです、プロデューサーさん。
よかった、ちょうど呼びに行くところだったんです。
いや実は、また学園長に
プロデューサーさんを呼んできて欲しいと頼まれまして……。
ええはい。言いたいことは分かります。
前回は災難でしたからね……。
でも、今回は大丈夫です。
なぜって……それは、プロデューサーさんがクビになったときのために、
次のアシスタント先に、目星をつけているからです。
●プロデューサー
(黙って見つめる)
●萌
……冗談ですよ。そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないでください。
とにかく、よろしくお願いします。
ーー学園長室
●学園長
いらっしゃい、プロデューサーさん♪
ええと、さっそく用件なんだけど……。
……ごめんなさい、クビです。
●プロデューサー
(黙って見つめる)
●学園長
……やだぁ、冗談ですよ。
そんな雨に濡れて震える、チワワみたいな目しないでください。
でも、あんまりいい話ではないのは事実なのよねぇ……。
……あなたのアイドルたちのことよ。
平たく言うと、このままだとスタフェス予選にでられないかも?
●プロデューサー
どうしてですか?
●学園長
…………。
……中間テスト。
結果、悪かったみたい♪
冗談はよし子ちゃんって感じだと思うけど、
赤点のある生徒はスタフェス及びその予選に出られない決まりなの。
一応、追試に合格すれば出てもいいことになってるのだけど、
プロデューサーさんの学プロには、特に赤点の生徒が多くて……。
そこで1つ提案があります。
プロデューサーさん、申しわけないのだけど、
彼女たちのお勉強の監督、引き受けてくれないかしら?
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第2話「結成! 赤点ユニット」
ーー廊下
●萌
プロデューサーさん。学園長の話は大丈夫でした?
●プロデューサー
大丈夫じゃない。
●萌
え……まさか、また学園をクビに……。
こうしてはいられません。
だったら私も、早く次の学プロにアプローチを。
●プロデューサー
そうじゃない。
●萌
え? だったら何があったんです?
●プロデューサー
(説明する)
●萌
は、はぁ!? 赤点!?
でもだからって、どうしてプロデューサーさんが!?
それって要は、彼女たちの自習につきあうってことですよね!?
●プロデューサー
仕方ない。
●萌
プロデューサーさんも、相変わらず優しいというかお人好しというか……。
……まあ、私もお付き合いしますけど。
●プロデューサー
ありがとう。
●萌
べ、別に、私はただ、スタフェスに出られないのが困るだけです!
……さあ、早く行きますよ!
ーー教室
●ひなた
あっ! プロデューサーと萌ちゃんだ!
やっほー!
●和歌
な、なんで……プロデューサーさんが……?
●プロデューサー
(説明する)
●萌
これからある補習が終わったら、そのまま教室に残っててください。
補習の先生と入れ替わりで、プロデューサーさんと私が来ますので。
●和歌
…………ありえない。
補習のあとの自主勉強まで、監視されるなんて……。
●萌
というか、和歌さんも赤点なんですね……。
●和歌
やめて……それ以上は言わないで……。
こんな……こんな情けない私を見ないで……。
●萌
…………。
●ひなた
そんなに落ち込まなくても大丈夫だよ!
プロデューサーが勉強を見てくれるんだから!
みんなもいるから、寂しくないしね!
●萌
え、み、みんなって……。
●瑠璃花
……え? なんでプロデューサーがここに……?
●楓李
あれ? プロデューサーはんも赤点とったん?
なんやうちら、ほんまに仲良しやなぁ。
●萌
…………。
あ、悪夢です……。
というかみなさん、分かってるんですか?
追試でまた赤点だったら、スタフェス予選、でられないんですよ?
●ひなた
……え?
えぇぇぇぇぇぇ!? そ、それは困るよ!
●萌
知らなかったんですか……。
困るのはこっちです……。はぁ……。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第3話「滝崎蛍」
ーー教室
●ひなた
えーと……スタフェスの予選に出られないって……。
どういうことなの?
●和歌
芸能科といえども、学生の本分を忘れてはならない。
学業を疎かにする者は、一切の芸能活動を禁ず。
そういう決まりがあるのよ……。
●楓李
え、嘘や。
●萌
普通科の私でも知ってることですよ。
というか、和歌さんは知ってて赤点なんですか?
●和歌
ち、違うのよ! 私は、テストの解答欄を
ズラして記入してただけなの!
●瑠璃花
どうでもいいけど、さっさと終わらせたい。
ブログの更新したいから。
ピンチなう、って。
●和歌
それ、ブログっていうかSNSじゃない?
●ひなた
でももう1人来るみたいだよ?
ほら、座席表に名前が書いてある。
●和歌
本当ですね。ええと……滝崎蛍さん?
●萌
たきざき、ほたる……?
そ、それってもしかして、あの人ですか!?
●ひなた
知ってるの?
●萌
知ってるも何も!
●影のあるアイドル
……すみません、遅くなりました。
●萌
や、やっぱり……!
●蛍
『フレイヤプロダクション』所属の滝崎蛍、よ。
その節はどうも……。
●ひなた
はえ? どちらさま?
●萌
忘れたんですか? 銀河歌劇団がユニットの移籍をかけて戦った、
フレイヤプロダクションのセンター、滝崎蛍さんです!
●萌
というか……次のスタフェス予選の対戦相手じゃないですか!
●ひなた
えぇ~!?
だったら自己紹介しなきゃ!
あたし、ひなた! 櫻花ひなた!
●萌
どうしてそうなるんですか!?
●ひなた
え?
●蛍
……お気楽センター。
●和歌
まさかこんなところで鉢合わせるなんて。
●楓李
待ってみんな冷静に考えてみ。
うちらは6人。対して相手は1人や。
●楓李
数の利を生かしていまのうちに叩けば、勝てるんちゃうか?
●和歌
楓李さんはちょっと黙っててください。
●蛍
……なんなの、あなたたち。
●ひなた
ごめんね、いきなり! あたしたちはただ、蛍ちゃんと
仲良くなりたいだけなんだ!
あ、それで、この子は椿瑠璃花ちゃんだよ!
よろしくね!
●瑠璃花
…………。
●蛍
…………。
●瑠璃花
…………。
●蛍
…………。
●萌
ふたりとも、何か喋りましょうよ…………。
とにかく、もうすぐ補習がはじまります。
プロデューサーさん、私たちは退散して、終わる頃にまた来ましょう。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第4話「責任と清算」
ーー教室
●楓李
うぅ、やっと終わった……。
集中して勉強したから、頭痛いわ……。
●瑠璃花
これが噂に聞く残業……。
●和歌
それは違うと思うけど……。
疲れたのはたしかね……。
●蛍
……それじゃ、私はこれで。
●ひなた
あっ――。
行っちゃった……。
●和歌
ひとりだけ違う学プロだし……。
いづらいのかもしれないわね。
●萌
失礼します。
お待たせしました。
言われた通り、連れてきましたよ。
●楓李
ん~?
●麗華
これは……なるほどね……。
だから、急に今日のレッスンが自主練になったのね。
●麻里紗
一応、聞くけれど……。
どうして私たちが呼び出されたのかしら?
●プロデューサー
(説明する)
●萌
プロデューサーさん……何度も同じ説明、ありがとうございます……。
●琴音
あぁ、やっぱりそういうことでしたか……。
●茜
え~~……だったら、琴音ちゃんだけで充分でしょ?
だって、芸能科2位だよ?
●琴音
えっと……『Twinkle☆Star』は補習組が2人もいるので、
正直責任感じてます……。
●和歌
本当のことだけど言わないで!
心が痛い!
●萌
ちなみに赤点の教科は、ひなたさんと和歌さんは数学で、瑠璃花さんは化学。
楓李さんは……全教科です。
●琴音
な、なるほど……楓李さんは全教科……。
なるほど……。
●楓李
お互い大変やなぁ。
●麗華
スタフェスの予選もあるから、レッスンは外せないし……。
分担して教えるのが、現状で打てる最良ね。
●麻里紗
そうね……よし、引き受けましょう。
●茜
スタフェスに出られないのは困るしね。
しょうがないなぁ。
●ひなた
わーい! みんな、ありがとう!
これで追試も安心だよ!
●楓李
ん~……。
●ひなた
楓李ちゃん? どうかしたの?
●楓李
セリアはんがそっち側に立ってるの……。
なんや失礼やけど、意外やったわ。
●セリア
ふふん! こう見えても早弁とガリ勉に関しては、
ちょっとうるさいでありんすよ!
てめぇらに、忍者式天井裏勉強を身につける覚悟が
あるでありんすか!?
●ひなた
それって、どのくらいかかるの?
●セリア
半年くらいデスね。
●和歌
……なんでそんな長いの?
●瑠璃花
こんなのが成績優秀だなんて。
茜の成績がいいってことくらい、納得いかない。
●茜
ちょっと、どういう意味!?
●琴音
茜さん、真面目ですから。
●茜
それはそれでやめて! キャラがぶれちゃうでしょ!
●和歌
とにかく、ひなたの言う通り……。
ちゃんと教えてもらいながら、しっかり勉強しましょう。
幸い、教える側のほうが人数は多いし、
なんなら1対1で……。
●悠
失礼しまっす! 舞沢悠、恥を忍んでやってきました!
●和歌
えっ。えっ。
●くるみ
成績いい人に勉強教えてもらえるって、連絡もらったです!
●美雪
お手柔らかにお願いいたしますわ。うふふっ。
●麗華
…………。
●ひなた
あ、麗華さんが美雪さんを見た途端、
すごく疲れた顔したよ?
●萌
きっと身内にはいないって、信じてたんでしょうね……。
●彩
ていうか『Remuage』、私入れて2人もいるし……。
●ひなた
『Twinkle☆Star』も2人いるよ!
●くるみ
そ、それなら『銀河歌劇団』もです!
●和歌
やめて! バカ自慢で張り合わないで!
●麻里紗
ひっ……。た、たしかに、プロデューサー1人じゃ
厳しいかしら……。
●萌
あの麻里紗さんが引き笑いするって、相当ですよ……。
●麗華
……骨が折れるわね。
●琴音
あは、あはははは……。
はぁ~……。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第5話「監視と援助のプレパラート」
ーー教室
●ひなた
麗華さん、ここの問題が分からないんだけど……。
●和歌
あの、私も……。
さっき教えてもらった公式を使うってことは分かるんですが……。
●麗華
ん…………あぁ、和歌は単純な計算ミスね。
ひなたは、そもそも代入する数字が間違ってるわ。
●ひなた
え? そうなんですか?
●麗華
ここは、こっちの計算で出した値を――。
●瑠璃花
…………。
●茜
何? そこの問題がわかんないの?
基礎中の基礎だけど、そこ。
●瑠璃花
違う……これくらいは分かる。
●茜
じゃあ、なんで手が止まってるのよ?
●瑠璃花
化学なんて社会に出ても使わない知識に、なんの意味があるの?
そんなの勉強するだけムダ……。
●茜
……分かってない。瑠璃花、なんにも分かってないわよ。
●瑠璃花
……は?
●茜
そりゃ普段はバカのふりして「え~分かんないですぅ~」って
言ってりゃいいのよ!
でも言っておくけど、本当のバカは救いようがないからね!
バカのふりはかわいいけど、バカはかわいくないのよ!
だから必死で勉強するの! そりゃ時間の無駄だけど、こんなもん必要経費よ!
一流アイドルになって取り戻せばいいの! 時間は金で買えるんだから!
分かった!?
●瑠璃花
…………。
……はい。
●悠
麻里紗先輩……徳川多くないですか?
いすぎですよ、これ。
●麻里紗
いすぎっていうか、同じ家系の人だからね。
悠の家族も、みんな舞沢でしょ?
●悠
それはどこまでを家族と呼ぶかによりますが、
みんな舞沢ではないですよ?
●麻里紗
……え?
●悠
自分は一度も会ったことはないのですが、
父親の――。
●麻里紗
この話はやめましょう、悠。
●悠
まあ自分は、顔も見たことのない弟を、
家族だと言われても良く分からな――。
●麻里紗
やめましょう。
●くるみ
えっと……徳川家康……家光……光成……家康……。
ふぇ~……分からないですぅ~……。
●麻里紗
くるみちゃん、家康がふたりいるのは置いておいて、
1人違う人が混ざってるわよ。
テストに出る範囲なら全員覚えなくてもいいのよ?
……2人とも暗記系は全然ダメなのね。
●くるみ
ごちゃごちゃになるですよ……。
●悠
なんか、こんだけいるですから……。
適当に家康っぽい名前言っても、当たる気がします。
さすがにそれは――。
●くるみ
家宣。
●悠
家治?
●麻里紗
えぇ……奇跡的に当たってるっていうか、たしかにいるけど……。
テストには十中八九でないわね、その2人。
●セリア
お二方、わからないところはないデスか?
今夜はブレイコーでやんすから、分からないところは
じゃんじゃん聞いてくれでやんす!
●彩
なんでそんなにテンション高いわけ?
●セリア
いつもは、日本のこと教えてもらってるでありんす!
これはそのお礼なのデスよ!
フクロウのごとく、アヤに幸福を運ぶのでありんす!
●彩
ふふっ。幸福を運ぶのはコウノトリよ。
セリア、変な知識はあるのに、意外と普通のことを知らないのね。
案外、セリアも勉強が足りないんじゃない?
●琴音
あ、彩さん。えっと、その……。
●彩
ん?
●セリア
アヤ、フクロウは『不苦労』とも書けることから、
古くから日本では縁起の良いものだとされています。
また『福』という字から始まっているので、福が来る、という意味で
家の玄関などによく置物を飾ることがあるのデスよ。
お店とかでよく、フクロウの小物とか売っているの、
見たことないのデスか?
●彩
悪かったわよどうせ私はバカよ!
●セリア
ちなみに、コウノトリやツルにしなかったのは、
フクロウは知恵と学問の象徴とされているので、
二重にちょうどいいと思ったからデス♪
●彩
~~っ!
●萌
死体蹴りはやめましょうよ……。
●楓李
琴音はん。
●琴音
はい、なんですか?
●楓李
大変や。
●琴音
どうしました?
●楓李
うちな、テストのとき、名前を書き忘れたかもしれへん。
●琴音
……え?
●楓李
ほらなんか嫌やん? テストって自分の知識をひけらかしてるみたいで。
うち、テストは自分との戦いって思ってるところあるからなぁ。
ひとの目なんか気にしとったらあかんで。
自分に勝つか負けるか、それが大事や。
●琴音
大丈夫ですよ、楓李さん。
その戦いに負けた結果、あなたはいまここにいるんですから。
●楓李
ん?
●萌
そもそも、テストって知識を証明する場だと思うのですが……。
……ていうか、みなさん本当にこの調子で大丈夫なんですかね?
プロデューサーさん、私、頭が痛くなってきました……。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第6話「暗澹たる道のり」
ーー教室
●ひなた
ふぅ……今日の補習も自主勉強も、なんとか乗り切ったよ~。
●和歌
途中、居眠りしそうになってたでしょ。
分かりやすく船漕いでたわよ。
●ひなた
どうも集中が切れちゃって……。
●蛍
…………帰ろ。
●麗華
失礼します。
●蛍
!?
●ひなた
あっ、麗華さん!
●蛍
黒瀬麗華……!
なんでここに……!?
●ひなた
えへへ、実は補習が終わったあとにね、
成績のいい人に勉強を教えてもらおうって話になったんだ。
あ、そうだ……よかったらだけど、いまから一緒に勉強しない?
みんなでやった方がいいと思うんだけど。
●蛍
…………いや、別にいい。
私はひとりでも大丈夫だから。
●ひなた
でも――。
●蛍
…………。
●ひなた
……うん。分かった。
また明日ね。
●蛍
…………別に。
●麗華
さて、キリもいいし……。
今日の勉強会はこのくらいで終わりにしましょうか。
●和歌
そうですね。
●ひなた
…………。
●和歌
ひなた? どうかしたの?
●ひなた
あ、いや……蛍ちゃんのことが気になって……。
すぐに出て行っちゃったし……。
●麗華
彼女のことは気にしてもしょうがないわ。
それより、今日はレッスンにも顔を出すんでしょう?
●ひなた
そうだった。すぐに準備しないと……。
ふぅ……。
●麗華
疲れてるみたいね。
●ひなた
えへへ、そうかも。
どっちかに集中できればいいんだけどね。
●麻里紗
悠は大丈夫?
頭使うのは苦手だーって言ってたけど。
●悠
むしろ、レッスンあった方がいいですね!
ストレス発散になりますから!
●麻里紗
そう? それならいいんだけど。
●悠
勉強の方は、イマイチ手ごたえないですけどね!
教えてもらったことが、逆の耳から出てく感じです!
●くるみ
あ、それ分かるです! 力を入れて、ふんっ! って入れても、
左からちゅるちゅる~って抜けていく感じがします!
●悠
何その例え! ところてんみたいに言わないでよ~!
●くるみ
本当です~! ところてんみたいです~!
●麻里紗
…………。
●麗華
……麻里紗、怒っていいと思うわ。
●萌
あのふたりはもうダメかもしれませんね……。
えっと、他のみなさんは大丈夫ですか?
●和歌
な、なんとか……。
●ひなた
あたしも……。まだ頭のなかで数字が踊ってるけど……。
●和歌
ダメそうなのは、悠とくるみ以外にもいるわよ。
●瑠璃花
……ふふふっ。この律ってひと、マジ煽り耐性低すぎワロタ。
顔真っ赤にしてマジレスしてくるのかわいい。涙ふけよ。
自分が有名アイドルユニットのメンバー? 妄想乙。
●美雪
うーん……。この、先に家を出た弟に兄が追いつくのは何分後か、
という問題ですが……。
この兄弟はなぜいつも一緒に家を出ないのでしょうか?
もしかして、何かご家庭内に深い事情があるのでしょうか?
心配で問題を解くどころではありませんわ。
……困りましたね。
●楓李
あかん。気付いてもうた。
うちは苦手なものに立ち向かうのが趣味やけど、
立ち向かった結果、克服してもうたらそれは苦手やないやん。
どないしよう……。これ、この世界の心理や……。
ハリネズミのジレンマやで!
●麻里紗
あの3人ね……。
●彩
私が言うのもなんだけど、
もう楓李に至っては何を言っているのよ。
●萌
プロデューサーさん、これは勉強ばかり詰めていても
逆効果かもしれませんね。
やはり、一度レッスンに戻ってみるのがよさそうです。
よい気分転換になるかもしれません。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第7話「勝ち負けの意味」
ーーレッスン場
●ひなた
うーん……腕も脚もパンパン……。
今日のレッスン、ちょっと張り切りすぎちゃったかも。
●和歌
追試もあるのに、大丈夫なの?
●ひなた
がんばってはいるけど、無理はしてないよ。
●楓李
ほんまに? うち、ひとを見る目があるから分かるけど、
ひなたはんいつもと違うように見えるで。
●ひなた
それは……だって、この前の……。
……な、なんでもない。
●和歌
ひなた、もしかして輝音さんに言われたことが気になってる?
●ひなた
…………。
……うん。
だって、負けたうえに情けをかけてもらって喜ぶなんて……。
あたし、輝音さんの言うとおり、どこかで負けて当然だって思ってたのかも。
ヴァルプロの……それも選ばれた5人組の、『ヴァルキュリア』。
必死に練習してたのは、負けたくないからじゃなくて、
負けたときに「あたしは頑張った」って、言いわけするためだったのかもって。
だから、勝負する機会を逃したくないなって。
スタフェスで必ず『ヴァルキュリア』と再戦したいの。
●和歌
ひなた……。
●ひなた
だって、全力だったのに……負けたんだよ?
それが、すっごく悔しかったんだ……。
●和歌
追試に落ちれば、勝負すらできないし……。
レッスンが充分じゃなければ、勝てるものも勝てない……。
●楓李
せやから、がんばってるんやね。
●くるみ
分かる気がするです。
あの時のことを思い出すと、くるみもすごく悔しいです。
●楓李
黒星ついたままは、あんまり気分いいもんではあらへんよなぁ……。
●瑠璃花
色々と面倒だけど……それには同意するかも。
●くるみ
よーし! くるみもがんばるですよー!
追試も受かって、『ヴァルキュリア』にも勝つです!
●瑠璃花
そもそも、追試に落ちれば自分以外の人に迷惑がかかる。
それが最高にめんどくさい。
だから、ちょっと本気出す。
●ひなた
みんな……。
●和歌
まぁ、そもそもの話……。
追試を受ける羽目になったことを反省すべきなんだけど……。
●くるみ
うっ……! そ、それは……!
●楓李
追試やない。うちは自分に新たな試練を課しとるだけやで。
●和歌
え、あ……えーと……と、とにかく!
まずは追試に受かって、スタフェスで『ヴァルキュリア』に勝つ!
そのために、がんばりましょ!
それでいいのよね、ひなた?
●ひなた
うん……そうだね!
よーし、がんばるぞー!
●くるみ
おーーです!
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第8話「積み残したもの」
ーー廊下
●ひなた
プロデューサー! おつかれさまー!
えっと、ちょっと聞きたいんだけど……蛍ちゃん、見てないかな?
●プロデューサー
見てない。
●ひなた
そっか。補習の宿題を集めるように先生に言われたんだけど、
蛍ちゃんだけまだなんだ……。
うーん、どこ行っちゃったんだろう……。
一応、フレプロの子に聞いてはみたんだけど……。
蛍ちゃん、ひとのお願いを断れないらしいんだ。
それでいつも誰かの頼みごとを抱えてて、
赤点とったのもそのせいかもしれないって、フレプロの子が……。
●萌
なるほど、そういうことでしたか。
だから、あんなに必死になってたんですね。
●ひなた
あ、萌ちゃん。
どこかで蛍ちゃんを見かけたの?
●萌
ええ。図書室の隅の方にいました。
黙々と宿題を解いてましたね。
●ひなた
あー……まだ終わってなかったんだ……。
●萌
もしかしたら、もう終わってるかもしれませんけどね。
かなり集中してましたし。
●ひなた
そっか……じゃあ、様子見にいってみようかな?
ありがとね、萌ちゃん。
●萌
いえ、どういたしまして。
それじゃ、私は教室に戻るので。
●ひなた
うん、またあとで!
……にしても、やっぱり忙しいのかな?
宿題、量はそんなにないのに。
ん~……って、ここで考えててもしかたないか。
お昼休みももう少しで終わりだし。
図書室、行ってみよう!
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第9話「孤高の人」
ーー図書室
●ひなた
蛍ちゃん、図書館の隅のほうにいるって言ってたけど……。
●蛍
…………。
●ひなた
あ、いたっ!
やっぱり忙しそう。
まだ宿題終わってないのかな?
……でも、やっぱり気になる。
放っておけないよ。
あの、蛍ちゃん。
●蛍
…………。
●ひなた
え、えーと……おーい、蛍ちゃん。
聞こえてるー……?
●蛍
……ん?
●ひなた
こんにちは! ひなただよ!
●蛍
あなた……そっか、宿題集めに来たのね。
悪いけど、まだ終わってないの。
●ひなた
あ、そうなんだ……。
ごめんね、急かすみたいになっちゃって。
●蛍
別に……っていうか、謝るのは私のほうだから。
昼休み中に提出しろって話だったのに。
大丈夫。すぐ終わらせるから。
そしたら、直接提出しに行く。
●ひなた
…………。
●蛍
…………。
●ひなた
あの、もしよかったらだけど……手伝おうか?
●蛍
要らない。
1人でできる。
●ひなた
でも、すごく難しい顔してるし……。
なんだか、疲れてるみたいに見えるよ?
目の下のくまも酷いし、ちゃんと眠れてないんじゃ……。
●蛍
あなたと一緒……追試、絶対に受からないといけないから。
毎日、わからないところが分かるまで勉強してるの。
だから、ちょっと寝不足なだけ。
●ひなた
勉強って、1人で?
●蛍
そうだけど?
●ひなた
えっと……同じフレプロの子には教えてもらわないの?
私たちみたいにすれば、もう少し楽になると思うけど……。
●蛍
そんなこと、できるわけないでしょ。
私、フレプロのリーダーなのよ?
なのに、私だけ追試だなんて……そんな情けない状況で……。
メンバーに頼ったりなんてできない。
●ひなた
…………。
●蛍
なにより、上を目指すには……仲良しこよしじゃいられないの……。
だから、いまのメンバーとはなるべく……。
とにかく、私のことは放っておいて。
絶対、昼休み中には提出するから。
●ひなた
でも……。
…………。
……ん、分かった。
それじゃ、また補習でね。
●蛍
…………。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第10話「交差する想い」
ーー教室
●悠
失礼しまーす!
今日もみんなで、勉強会に来ましたー!
●くるみ
よ、よろしくお願いしますっ!
●瑠璃花
補習後なのに元気……。
●悠
体力には自信あるっていうか、慣れちゃいましたから!
●和歌
すごいバイタリティね……。
●萌
ところで、明後日が追試ですけど……。
みなさん、大丈夫ですか?
●彩
どうだろ……。改めて言われると……。
●美雪
大丈夫ですよ、彩さん。
あんなに頑張ってらしたんですもの。
側で見ていた私が保証いたしますわ。
●彩
あ、いや、美雪こそ、
成績上位組の誰かに保証してもらったほうが……。
●和歌
ちょっと不安になりますね……。
似たような問題が出るとはいえ……。
●茜
ま、このかわいいかわいいアカネちゃんが教えたんだから、
大船に乗った気分でいていいわよ、瑠璃花♪
●瑠璃花
そういうのがなければ、素直に認めてた。
●茜
も~。素直じゃないんだから~。
●悠
大丈夫ですよ!
多分、なんとかなります!
●くるみ
補習以外でもがんばりました!
●麻里紗
ふふふ、レッスン中も問題出し合ってたしね。
●麗華
……ひなたは?
●ひなた
あたしも大丈夫!
実は愛美さんにも教えてもらってるから!
●麗華
そう……となると、残るは。
●琴音
……楓李さん、自信を持って。
自分を信じれば、きっと合格できます!
●楓李
ん? うちは最初から、うちのこと信じとるで?
せやのに裏切られて全教科赤点やったから、
自分を信じたところであかん、ということやと思うねん。
●琴音
そんな和やかな顔で言われても……。
●萌
だ、大丈夫でしょうか……。
まあ、ここまできたら、信じるしかありませんが……。
●蛍
…………。
それじゃ、私はこれで。
●ひなた
あっ! ちょっと待って!
●蛍
なに?
●ひなた
あのね、このあと……。
レッスンはお休みして、引き続き勉強会するんだけど、蛍ちゃんもどうかな?
●蛍
あなた……それ、本気で言ってるの?
●ひなた
もちろん、本気だよ。
蛍ちゃんは必要ないって言ったけど……。
1人で、すっごく無理してる子を放っておけないよ。
だから、今回だけでいいから……。
●蛍
私は敵なのよ?
スタフェスの舞台でぶつかり合う敵。
あなたは、そんな敵に塩を送るって言うの?
●ひなた
……そうだよ。
たとえ、近いうちにライバルになるとしても。
いまは違うでしょ?
一緒に追試を受ける仲間だから。
●蛍
なっ……仲間……?
●ひなた
そう、だから。
一緒に勉強しよう、蛍ちゃん。
●蛍
…………。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第11話「リーダーの資質」
ーー教室
●蛍
仲間、だなんて……そんな……。
私は『フレイヤプロダクション』のリーダーなのに……。
ううん……そうよ、そんなの……あなたが勝手に言ってるだけでしょ!?
他の人たちは、認めないかもしれないじゃない!
●和歌
たしかに……ひなたが勝手に言い出したこと……。
けど、だからと言って拒否しようとは思いませんよ。
●蛍
そんな、どうして……?
甘っちょろい考えなのに……。
●麻里紗
そうね、甘いわ。
●楓李
底抜けのお人好しやんな~。
●茜
明るいのはいいんだけど、ちょっと隙があるわよね。
●瑠璃花
後先考えてない時がある。
●彩
分かる。
たまにセリア並みに危なっかしい気がする。
●蛍
…………。
●美雪
でも、そういうところが素敵だと思いますわ。
●琴音
親近感が持てますよね。
●セリア
完璧よりも、少しくらい隙があるほうがMOEなのデス!
●悠
元気100倍って感じです!
●くるみ
だから、ひなたさんについてきてよかったって……。
そう思うです!
●ひなた
みんな……。
●蛍
そんな……そんな人間じゃ、人をまとめるなんてできっこないのに……!
仲よしごっこじゃ、上は目指せないわよ……!
●麗華
違うわ。
●蛍
え?
●麗華
私たちはまとめられてるんじゃない。
そんなひなたのもとに集まってきたのよ。
●蛍
まさか……仲間と別れて、ソロでヴァルプロに行った人が……。
そんなことを言うなんて……。
●麗華
……気づいただけよ。
1人では、いつか限界がくるって。
あなたも実は気がついてるんじゃないかしら?
顔に出るくらい、無理をしてるんだから。
●蛍
…………。
リーダーが甘ちゃんだと、その仲間も甘ちゃんなのね……。
そんな学プロが、スタフェス予選の舞台にまで上がってきた……。
なんのネームバリューもなかった、ただの新設の学プロが……。
私たちと同じ舞台に……。
●ひなた
蛍ちゃん……もう一度言うよ。
一緒に勉強しよう。
一緒に追試を乗り切って……それでスタフェスの舞台で会おう。
それで、アイドルとして正面からぶつかろうよ。
●蛍
……ううん、やっぱりそれはできない。
私とあなたたちは敵だから。
●ひなた
蛍ちゃん……。
●蛍
でも、私は必ずスタフェスの舞台に上がるわ。
それで、あなたたちと戦う。
●ひなた
…………。
●蛍
もう、行くわ。
…………。
あの……取り乱して、ごめんなさい。
現世(エイドス)サイド:第21章「史上最大の危機」第12話「ココロの距離は問題外」
ーー学園内広場
●美雪
……はぁ。
●希
あら、美雪じゃない。
どうしたのよ、ため息なんてついて。
●美雪
あっ、希!
ちょうどいいところにいらっしゃいましたわ!
●希
どうしたのよ。もしかして補習と勉強会のことで
悩んでるの?
●美雪
ええ、実はそうなのです。とても大切な問題なのですが、
どなたもまともに取り合ってくれませんでして……。
●希
そんな……。こんなに美雪が困っているのに……。
何があったの? あたしがなんでも相談に乗るわよ!
●美雪
ありがとうございます!
……実は、タカシ様とジロウ様のことです……。
●希
た、タカシとジロウ……?
●美雪
はい。数学の教科書に出てくる兄弟なのですが……。
このおふたり、必ずバラバラに家を出るのです。
弟のジロウ様は自転車。兄のタカシ様は徒歩。
ジロウ様はいつも必ず遅れて家を出て、タカシ様を追い抜いていくのです。
きっとタカシ様は自転車に乗れないのですわ。
それをジロウ様は、あざ笑うかのように見ているに違いありません……!
●希
そ、それは……。
……ええそうね。実に深刻な問題だわ。
家族もしくは兄弟間に何か確執があるのかも。
●美雪
そうですわよね!
私もそう申し上げたのですが、どなたにも取り合っていただけませんの!
●希
でも待って、一方的にタカシを悪く言うのは良くないわ。
……ポイントは、弟の名前よ。
●美雪
名前、ですか?
●希
ええ。兄の名前がタカシ。
弟の名前がジロウ。……兄がタカシなのに、弟はジロウなのよ!
●美雪
……っ!?
●希
タロウは、どこに行ったのかしら?
もしやすでに、事故で……。
●美雪
そ、そんな……。
たしかに、兄もいないのにジロウだなんて、ちぐはぐで
なんとも気持ちの悪いネーミングです。
何事もきっちりしようとする希だからこそ、気づけたことですわね。
●希
ええ。ジロウがタカシに嫌がらせをするのは、それが原因かも。
……ジロウはタロウの事故の原因が、タカシにあると思っている。……とか。
●美雪
そ、そんな……! あれは事故だったのです!
タカシ様に責任はありませんわ!
●希
そんなこと、本当はジロウにも分かっているわ……。
でも、ジロウはタロウのことが大好きだった……。
だから、行き場をなくした哀しい怒りは、タカシに向かった。
タカシもそれを分かっていて、あえて何も言わない……。
●美雪
タカシ様……。
●希
2人のことはそっとしておきましょう。
●美雪
そうですわね……。きっとお二人がこの問題を乗り越えて、
本当の意味で兄弟になれる日が来ることを、願っておりますわ……。
●萌
…………。
……プロデューサーさん、あの2人は何を言ってるんですかね?
●プロデューサー
分からない。
●萌
まあでも、美雪さんの心のつっかえがとれたみたいです。
それで勉強に集中してくれるのなら、万々歳ですが。
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