新主人公パーンが登場した裏の理由は? 『グリムノーツ Repage』ネタバレ有インタビュー「眠れる森の美女の想区」編
2019年1月にはテレビアニメが放映され、1月21日には3周年を迎える『グリムノーツ Repage』。

3周年を記念して、開発スタッフにネタバレありで各想区の思い出や開発秘話を語っていただきました。今回は第4想区の「眠れる森の美女の想区」についてお届けします!(文:マギマギ)
▼右から、チーフプロデューサーの石井諒太郎氏、メインキャラクターのイラスト担当の穂里みきね氏、シナリオ担当の大泉貴氏、ゲームプロデューサーの梁本龍樹氏。
新主人公「パーン」は、実はゲームバランスの問題で早めに投入された!?
――この想区では新主人公として、アリシアやティムの先生であるパーンが登場しますが、どのような狙いで登場することになったのでしょうか?
大泉:パーンの登場って、実はけっこうドタバタしたタイミングでしたよね。
石井:どうしてここでパーンを出すことになったんだっけ?
大泉:主人公が足りないからだったかと。
穂里:闘技場で使える職種の幅が狭いから、主人公を増やさないといけないという話が出たんですよ。
早めに物語に投入できるのはパーンしかいないだろうと、急ぎめで実装したことを記憶しています。
最初は「フランス革命の想区」で出そうという話もありましたが、さすがにスケジュール的に無理でした。
石井:確かに前作でいうエイダ枠は大事というか、ディフェンダーやヒーラーの職種がないと闘技場が厳しいよね。
大泉:パーンは、もともとSOW先生がノベライズ『グリムノーツ ~運命に抗いし者たち~』(角川ビーズログ文庫アリス刊)で登場したキャラクターで、すごく人気がありました。
「万象の想区」で名前は出ていましたし、フォルテム学園の設定もあるので、パーン先生しかいないでしょという風に最終的にはなりました。
――『グリムノーツ』のように、本編外のサブイベントで主人公を増やすという流れもありえたのでしょうか?
大泉:いえ、今回は主人公を増やすならメインストーリーの中で描こうと決めていました。本編外で参加させても、結局いつかは本編にも登場させることになるので、それならちゃんと本編できちんと人物像を描きたいなと。
ノベライズで語られているのですが、パーンは元々空白の書の持ち主ではないのに空白の書の持ち主になったという変わった経緯があるので、今回のシナリオでもそこを匂わせた感じで書いています。
穂里:元々パーンのデザインは、ノベライズのイラストを手がけたがおうさんが手がけていらっしゃったのですが、レーベルが女性向けだったというのもあって、フランケンシュタインにしては見た目の怪物っぽさを押さえて描かれていました。
ようやくゲーム本編に登場するに当たって、ツギハギを追加するなど若干怪物っぽい要素を強くしました。
服のデザインはかなり難しかったですね。想区にいた時はつぎはぎだらけの服を着ていたりしたのですが、今回のお話はそこから100年経っていますし……。
大泉:カオステラーになったことで、この顔に変わったという設定もありますしね。
穂里:その辺も加味して考えるのが難しかったです。
最終的にはフォルテム教団のところに行ったという設定があったので、カーリーっぽいデザインにしてみました。
なので胸元にはカーリーの形見のピアスがついています。もう片方は、多分ロキが持っていると思います。
シリアスな流れが続いたので、コミカルな童話っぽい話に
大泉:シナリオとしては、「フランス革命の想区」までは結構ハードな話が続いていたので、気分的にリセットしたいというところがあり、童話っぽい話をしようと思いました。
「眠れる森の美女」に出てくる悪役の魔女はいろいろなパターンがあるのですが、その中に「カラボス」という名前があったので、こちらを採用し、コミカルな悪役にしました。
――シナリオはシリアスよりもコミカルな方が書きやすかったりしますか?
大泉:そうなのですが、『Repage』ではコミカルな話を書くタイミングがあまりなくて。
梁本:たしかに『Repage』はシリアスな展開が多いですね。
穂里:主人公たち自身が、ちょっと大人っぽいところがあるからね。
大泉:そういう意味だとエレナの子供っぽい反応が、なんとなく息が抜けるタイミングになっていると思います。
石井:本当は1つの想区ごとにカラーを変えるのではなくて、想区の中で緩急をつけてバランスが取れたらいいのだけれど、「リ・ページ」し始めると一気にシリアスになるから難しいよね。
大泉:ですので、今回のカラボスの話は書いていて楽しかったです。
ただ、物語の後半からプロメテウスが出てくることもあって、カラボスがうまく扱いきれなかったと感じていましたが、SOWさんがシナリオを書くにあたって、すごく掘り下げてくださったので、ありがたかったかなと思っています。
石井:こういうコミカルなキャラが出てくると安心するよね。
大泉:そうですね、童話らしいお話になったなと思いますね。
石井:『グリムノーツ』は、そもそも子供に対する訓話ではなくて、大人に対する訓話を作っているようなイメージがすごくあると思います。
今いる環境の中で、もうこれ以上何も変わらないと諦めている人たちに対して、「そんなことないから頑張ろうよ」というメッセージがすごく強いかなあと思います。
――ティムの過去の話もここで出てきますよね。
大泉:そうですね。これはどちらかというと今後のシナリオ構成上の都合が大きくて、「アリスの想区」でエレナの秘密やプロメテウスの正体などが明かされていくことを考えると、ここでティムの情報を明かしておきたいというのがありました。
今考えると、この想区は結構要素が多いですね。シャルル・ペローも登場しますし。
石井:今までの想区はその元となった童話のストーリーをメインにしていたのに対して、今回の想区は『Repage』のストーリーのスタート地点かなと思います。
なので、ここから登場人物や設定が一気に増えます(笑)。
入れ替わりの元ネタは……?
――設定というと、役が入れ替わる話もこの想区から出てきていますね。
大泉:はい。キャラクターの役割を入れ替えたときにどんな風になるのだろう、どんな反応をするのだろうというのを考えて書きました。
『Repage』では特にストーリーテラーがどういうものなのかを描きたいと思っています。ストーリーテラーは役割でしか登場人物を判断していないので、例えばシンデレラと役割を与えている人が人格は全く別のものになったとしてもまったく気にしないため、入れ替わりが成り立ってしまうのです。
そこを示唆するために、こういうネタが『グリムノーツ』のとき以上に入っていますね。
――ちなみに「再編」の時、「再編」を行うエレナが入れ替りに気づかないまま「再編」してしまうと、その形で世界が決まってしまうんですよね?
石井:はい。「再編」は本の出版に例えると決定稿のようなもので、誤植があっても後からは直せません。というか、一個人の認識だけで世界が固定化されるというのは怖い話ですよね……。
大泉:怖いですね。カオステラーみたいなことをしているわけですから。
石井:力の流れとしてはカオステラーの方に近いんだろうね。
大泉:そうですね。「再編」は強制力の高い能力なので、想区内の登場人物たちからきちんと話を聞かないと発動できないようになっています。
石井:ただ、登場人物全員がいい人でもないし、それぞれ自分の思う正解があるから、それを聞いてちゃんと判断していかなきゃいけないのが、この能力の難しいところだろうなと思います。
プロメテウス登場で、話題はお月さまに
――ようやくプロメテウスがちゃんと登場しますが、正体を隠すつもりだったのでしょうか?
穂里:いや、もうバレてもいいんじゃないという話になっていました。変に隠さなくてもいいやと(笑)。
石井:逆に『グリムノーツ』時代からのユーザーの方々は、どうせみんな気付いているからいいよねと思っていました(笑)。
――ここまでレイナたちはシルエットで登場しているのですが、何か特別な理由があるのでしょうか?
大泉:この時点ではまだ、どんな層の人たちが『Repage』を遊んでくれているのかが分からなかったので、新しく始めた方のために伏せた方がいいという風に考えていました。
石井:登場人物が増えすぎると混乱しますから。
――この想区から『グリムノーツ』の万象の想区などを思い起こさせる「お月さま」が登場していますよね。
石井:必ず背景に月があるしね。
穂里:『グリムノーツ』の頃からずっと月が関わってきています。魔法陣にも月が描かれていたりだとか。
大泉:『グリムノーツ』では、災厄の魔女のモリガンが登場したステージから背景に月を描いてもらうようにはしていて、ステージの最後に朝日になるという演出を入れていました。
――ざっくりと見て、「お月様」がラスボス的存在だと考えて間違ありませんでしょうか。
大泉:大まかには、そう見ていただいて構いません。
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・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ゲーム ・容量: 135.3 MB ・バージョン: 2.2.0 ※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。 |
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