【あおガルシナリオ集】想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」
2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。
この記事では、想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」を紹介します。
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第1話「薊禰」
ーー廊下
●ナレーション
新生『Twinkle☆Star』が発足してから数日。
神蔵が、調停者<プロデューサー>であれば意識的に潜ることが
できると言っていたので、試してみたらすんなりとうまくいった。
特に用事があるわけではないのだが……
せっかく来たのだから神蔵に会って行こうと思った。
●穏やかな青年(薊禰)
おや、キミは……。
そうか。キミが神蔵の言っていた……。
ああ、神蔵以外の調停者に会うのは初めてだよね。
驚かせてごめんよ。
ボクは薊禰<アザミネ>。キミと同じ調停者さ。
もう随分と長いこと、ここにいるよ。
●プロデューサー
よろしく。
●薊禰
うん。一応、調停者としては先輩だからね。
困ったことがあったらいつでも言ってよ。
あいにく、今日はこれからお勤めなんだ。
またゆっくり話そう。……それじゃ。
……あ、1つだけ。
この先に、瘴念人<ミアノイジー>が2体いる。
もしよければ、神蔵と2人で倒して欲しい。
いまはまだ危険性がないけど、
いつかは必ず現世<エイドス>に侵食しようとするからね。
いまはふたりでおでんを食べてるみたいだ。
●プロデューサー
おでん?
●薊禰
ああ。落ち着いたものさ。
じゃあ、頼んだよ。
●千尋の瘴念人
……はぁ。ひどいわよねぇ、愛美ちゃん。
わたしたちと本当は組みたくなかった、なんてねぇ~。
●琴音の瘴念人
はい。あのときは愛美さんを説得するのに必死でしたけど
冷静になって考えてみると……。
●千尋の瘴念人
あ、琴音ちゃん。高野豆腐が煮えたわよ~。
●琴音の瘴念人
ありがとうございます。
……ショックでしたよね。
愛美さんは吐き出して、なんだかスッキリしてましたけど。
●千尋の瘴念人
愛美ちゃんのほうから『ラブ・ビューティー』に
誘ってきたのにねぇ……。
はい、琴音ちゃん。グラス空になってるわよぉ。
●琴音の瘴念人
あ、すみません。注いでもらって。
…………ぷはぁ!
……ああ、染み渡ります! いま、この瞬間、幸せです!
●千尋の瘴念人
ねぇ、ごはんってすごいでしょ~?
どんなつらいときも、食べてるときだけは幸せになれるのぉ。
●琴音の瘴念人
……でも、私は『Twinkle☆Star』みんなで幸せになりたいです。
こうやって、メンバーとプロデューサーと萌さんと、
おでんを食べながら、ああ幸せだね、って言いたいです。
●千尋の瘴念人
そうだねぇ。みんなで食べるごはんが、世界一美味しいからね。
●琴音の瘴念人
私たち、これからどうしましょう?
……アイドルは、続けますか?
●千尋の瘴念人
そう、ねぇ……。
わたしたち、これからどうしよう……。
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第2話「煮詰まる想いの温度」
ーープロダクション室
●神蔵
……あのガールズは何をしているんだ?
●プロデューサー
おでん。
●神蔵
どうりでいい匂いがすると思った。
しかし、まさかこんなことになるとはな……。
●プロデューサー
こんなこと?
●神蔵
考えてみろよ相棒。
あいつら、想世<アンダー>での記憶がないんだぞ?
だけど瘴念人<ミアノイジー>が出現したってことは、
先日のことで負の感情を溜めてるってことだ。
●プロデューサー
どうして?
●神蔵
原因はよく分かってないが、たまにあるんだ。
おそらくここでの出来事は忘れるわけではなく、
心の奥深くに鍵をかけられて眠っている状態なんだと思う。
それが漏れ出して、心の奥深い部分では、
無意識に負の感情を溜めてしまう。それで、瘴念人が生まれる。
なんにしても、対処しないとな。
このままだといずれば現世<エイドス>に侵食する。
●琴音の瘴念人
……私たち、元々アイドルになりたいわけではないですからね。
愛美さんやみんなのことは好きで、一緒にいたいですけど。
でも、思うんです。
そんなハンパ者の私が一緒にいていいのかって。
一緒にいる、資格があるのかなって。
●千尋の瘴念人
…………。
●琴音の瘴念人
……あれ? あそこにいるのって、
プロデューサーさん?
●千尋の瘴念人
本当~。ねぇ、そんなところに立っていないで、
一緒におでんを食べましょう? ふふふ~。
●神蔵
呼ばれてるぞ。行って来い。
調停者<プロデューサー>は、瘴念人を理解するのも仕事だ。
結果的に、それが相手を救うことに繋がるからな。
そして、調停者は必要なら、
現世からこちら側に誰かを連れてくることもできる。
この場合、必要なのは誰か分かるな?
●千尋の瘴念人
はい、プロデューサーさん。
シュウマイが煮えましたよ~。
●プロデューサー
シュウマイ?
●琴音の瘴念人
不思議な具材ですよね。
だけどこれが意外とあうんですよ?
●琴音の瘴念人
他にも卯の花とか、餃子とか、にんにく揚げとか。
もちろん、普通のお肉とかコンニャクも入ってます。
●千尋の瘴念人
たまたま、そこにあったものを入れただけなのにねぇ。
どうしてこんなにマッチするのかしらぁ。
●琴音の瘴念人
……そう言えば、愛美さんと千尋さんと
初めて会ったときも、おでんを食べてましたね。
●千尋の瘴念人
そうだったねぇ。懐かしいなぁ~……。
もう、ずっと昔のことみたい~。
●琴音の瘴念人
それだけ、愛美さんと出会ってから濃かったですからね。
……大変、でもありましたけど。
●プロデューサー
知りたい。
●琴音の瘴念人
え? 私たちの出会ったときの話ですか?
●千尋の瘴念人
いいわよ~。ご飯を食べながらのお喋りは、
仲良くなる秘訣だからねぇ~。
●琴音の瘴念人
出会ったときは、私の幼馴染のルリちゃんもいて……。
場合によっては、ルリちゃんも『ラブ・ビューティー』に
入っててもおかしくなかったんですけどねぇ……。
●千尋の瘴念人
うふふ~。じゃあ話すねぇ~。
みんなが出会ったのは、去年の春のことで……。
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第3話「食と彼女と彼女たち」
ーー1年前の学食
●瑠璃花
コトちゃん、ここ分からない。
●琴音
この問題の、どこが分からないの?
●瑠璃花
それが、残念なことに――。
●琴音
何が分からないか分からない、はダメだよルリちゃん。
それは考えていないだけだから。
●瑠璃花
…………。
●琴音
さ、考えて。最初から問題を解いてみよう?
問題の意味は分かるよね? 違ってもいいから手を動かそう?
この長さと角度は小学生でも分かるよね?
ここが分かっていればこっちも簡単に計算できるよね?
●瑠璃花
じゃ、じゃあ、まずこの角度を求めて……。
●琴音
うん。求めて?
●瑠璃花
ここが50度で、ふたつの角は平行の位置にあって、
だからここも50度。
●琴音
うん、やればできるじゃない。
でもそこ、この問題では使わないけどね。
●瑠璃花
…………。
いまさらだけど、コトちゃんって勉強のことになると
急に厳しくなるよね。
●琴音
え? そうかなぁ。普通だと思うけど。
●瑠璃花
食堂、混んできた。
●琴音
お昼時だからね。
邪魔にならないように、端のほうに移動しようか。
●瑠璃花
うん。ごはん食べながら続きを――。
●琴音
終わってからね。ちゃんと集中しないとダメだよ?
●瑠璃花
……はい。
(その後)結局、我慢できずに定食を買ってしまった……。
●琴音
もう、ルリちゃんったら。
……でも、お腹空きすぎても集中できないよね。
●瑠璃花
どうしよう。食券買ってる間に席が埋まったみたい。
相席しかなさそう。
●琴音
そうだね……。あっ、じゃああそこにしよう。
あの、ひとつ結びの高等部のひとの隣が空いてる。
……あの、すみません。
●千尋
ん~?
●琴音
えと、相席いいですか?
どこもいっぱいで……。
●千尋
ええ、もちろんよ~。
ごはんは大勢で食べたほうが美味しいもの~。
●琴音
あ、ありがとうございます。
では……。
●瑠璃花
っ! こ、このひと、すごい量のごはん……!
定食に、麺類に、売店のパンとデザートのシュークリーム!
それにこのおでん……。
これって、何人かでシェアするやつじゃ……。
●琴音
る、ルリちゃん! そんなこと言ったら失礼だよ~!
●千尋
大丈夫だよ~。はい、お二人にも、
お近づきのシルシにおでんをどうぞ。
●琴音
あ、ありがとうございます。
●瑠璃花
……どうも。
●琴音
って、これ、なんだろう……。
●千尋
それは高野豆腐だね~。
昨日の残り物おでんだから、色々入ってるよ~。
●瑠璃花
ブヨブヨに膨らんでるんだけど……。
空気を吸い込みすぎたガマガエルみたい。
●琴音
ルリちゃん! だから失礼だよ~!
●千尋
あら、面白いこと言うんだねぇ。うふふ~。
●琴音
ごめんなさい。先輩にこんなこと……。
●千尋
気にしないでぇ~。
お喋りしながら食べるごはんは、一番美味しいから~。
●琴音
は、はい……。
ふぅ……。でも良かったです。親切な先輩で……。
怖い人だったらどうしようかと……。
●千尋
本当は怖い人かもよ~?
●琴音
えぇっ!?
●千尋
冗談よ~。うふふ~。
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第4話「出会いの連鎖」
ーー1年前の学食
●愛美
ふにゅ~。どこも席がいっぱいみたい……。
エミ、困ったさんかも~。
あのぉ、めちゃりんこごめんなさいなんだけどぉ、
エミもここ、座っていいですかぁ~?
●琴音
め、めちゃりんこ?
●千尋
うん、もちろんだよ~。
どうぞどうぞ~。
●愛美
うふっ、感謝感謝♪
●瑠璃花
うわぁ……。ヤバそうなのが来た……。
●琴音
ルリちゃん! だから高等部の2年生!
先輩だよ~!
●愛美
……や、ヤバくないよ~。
エミは後輩も大好きな、優しい上級生だよ~。
●瑠璃花
…………。
コトちゃん。私、先に部屋戻ってる。
●琴音
ルリちゃん!?
●瑠璃花
勉強、教えてくれてありがとう。
あと先輩、おでんごちそうさまです。
●千尋
うん、また一緒に食べようねぇ~。
●瑠璃花
それじゃ。
●愛美
……ご、ごめんねぇ。なんだかエミ、
邪魔しちゃったみたいでぇ。
●琴音
あの、気を悪くされたらすみません。
あの子、人付き合いが苦手で、幼馴染の私くらいしか……。
●愛美
うんん。エミ、ち~っとも気にしてないよぉ?
残念だけど、エミたちだけで、ランチしよ?
●千尋
そうだねぇ~。じゃあはいコレ。
お近づきのおでんだよ~。
●愛美
わーい♪ ありが……何、これ?
●千尋
ん~、とろろ昆布かなぁ?
●瑠璃花
水難事故に遭った女性の髪みたい。
●琴音
ルリちゃん!
●愛美
……………………わ、わーい。ありがと~。
●千尋
どういたしまして~。
とろろ昆布はぁ、太りにくい身体を作ってくれるんだって~。
●愛美
(小声で)これだけ汁吸ってたら、太りにくいも何もないでしょ……。
●千尋
どうしたのぉ?
●愛美
なんでもな~い! 感謝感謝♪
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第5話「おでんの誓い」
ーー1年前の学食
●琴音
あの……エミさん、ですよね?
エミさんは、いつもここでお食事を?
●愛美
そうだよ~。エミ、いまはユニット組んでないから、
お一人様なの~……。しょんぼり~……。
……本当は、誰かと組んだほうがいいんだろうけど、
このひと、ってひとがいなくて……。
もうすぐ最終学年だし、このままピンでってのも
キツイのは分かってるんだけど……。
●琴音
そう、なんですか……。
●愛美
……な、なんちゃって! エミ、ちょっと暗くなっちゃった!
ペコリペコリ♪
……どこかに、いいひとがいるといいんだけどね。
●千尋
うーん、それは難しいと思うなぁ。
●琴音
せ、先輩!?
●愛美
どういうこと?
●千尋
だって、いいひとはたくさんいるよぉ。
悪いひとって、わたしあんまり会ったことないからぁ。
だから出会いって、このおでんと一緒だと思うなぁ。
たまたま、昨日余った具材を入れただけ。
でも、それが意外に美味しかったりするのぉ。
ユニットもきっと、同じじゃないかなぁ。
その日、そのとき会ったひと。それが仲間になるんだよぉ。
●琴音
先輩……。な、なるほど……。
●愛美
そのとき会ったひとが仲間。
……なるほど。
●千尋
さ、それよりも、おでんが冷めないうちに食べてぇ。
●愛美
…………。
……おいしいわ。
とろろ昆布がおでんとこんなにあうなんて。
●千尋
でしょう? うふふ~。
●愛美
…………分かったわ。
ねぇ、聞いてちょうだい、2人とも。
大事な話があるの。
私と、ユニットを組んで頂戴。
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第6話「認め合う味覚と気持ち」
ーープロダクション室
●琴音の瘴念人
……というのが、私たちの出会いです。
だから本当に、このおでんみたいに、たまたま出会ったんです。
●千尋の瘴念人
わたしは美味しいおでんになったと思ったんだけどなぁ。
でも、愛美ちゃんにとっては違ったのかも……。
●プロデューサー
そんなことない。
●琴音の瘴念人
でもそれは愛美さんにしか分かりません。
……もう、潮時なのかもしれませんね。
●千尋の瘴念人
元々、アイドルを続けるか悩んでたの~。
わたし、ダンス番長なのにダンスできないし……。
●琴音の瘴念人
私もです。愛美さんがいるから一緒に頑張ってきましたが、
それが愛美さんの邪魔になるなら本末転倒です。
それに、私はハンパ者ですから……。
いざとなれば普通に就職して、働こうと思ってる。
そのために勉強しているのもありますからね。
逃げ道を用意している時点で、本気じゃないんです。
●千尋の瘴念人
プロデューサーさんも、短い間だったけど
お世話になりましたぁ~。
●琴音の瘴念人
行きましょうか、千尋さん。
●千尋の瘴念人
うん~。琴音ちゃん。
●プロデューサー
どこに行くの?
●琴音の瘴念人
分かりません。でも、呼ばれている気がするんです。
●千尋の瘴念人
あっちのほうから、美味しそうな匂いがする~。
●神蔵
おい相棒! ヤバイぞ!
現世<エイドス>へ行こうとしてる!
倒さないと、オリジナルが存在ごと乗っ取られちまうぞ!
●プロデューサー
大丈夫。
●神蔵
大丈夫って……忘れたのか? 瘴念人<ミアノイジー>を
消滅させるには、具現化させなきゃならない。
そのためには、オリジナルのそいつらに、
瘴念人と立ち向かう意志がないと……。
●愛美
話は聞かせてもらったわ。
……ふたりとも、そんなこと考えたのね。
●神蔵
……! 相棒、いつの間にこっちに呼んだんだ?
●愛美
プロデューサーがおでんを食べる前よ。
急に連れて来られて、影から聞いてろって言われたわ。
●千尋
うぅ~……恥ずかしいわぁ~……。
●琴音
なんていうか、その……ごめんなさい……。
色々愛美さんの文句を、その……。
●愛美
文句じゃないでしょ。
悪いのは私よ。
2人の……ええと、瘴念人?
……が、言っていることは最もだわ。
私、焦ってたの。無理やりにでもユニットを組まなきゃって。
そこで2人に出会って、千尋の話を聞いて、2人に決めた。
でもね、聞いて。たしかに最初は、
出来合いで急造のユニットだったわ。
そのはずなのに……千尋、知ってる?
私あの日から、おでんには必ずとろろ昆布を入れるのよ。
●千尋
え? そうなのぉ?
●愛美
そう。あの味がクセになっちゃって、
私のなかでは定番メニューなの。
もう、それナシじゃ考えられないくらい。
そして、それはあなたたちも同じよ。千尋、琴音。
だから、必要ないだなんて思わないで。
私と一緒に、これからもアイドルをして欲しいの。
お願いよ。これ、本気の気持ちだから。
……言ってて、かなり恥ずかしいんだからね。
●琴音
愛美さん……。は、はい!
私も、その……。
●千尋の瘴念人
ああ~……吸い寄せられる~……。
●琴音の瘴念人
あっちへ行けば、楽になれるのかな?
●琴音
……そうでした。あの、瘴念人っていうに
立ち向かわないといけないんですよね。
……分かりました。任せてください。
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第7話「自らを知るチカラ」
ーー廊下
●琴音
あの……!
●琴音の瘴念人
えと、私、ですか……?
どうでもいいですけど、そこをどいてもらえませんか?
●琴音
ダメです。だって私は、まだ愛美さんたちと、
アイドル、続けるんですから。
●琴音の瘴念人
ハンパ者、なのにですか?
勉強ばっかりしてるじゃないですか。
●琴音
勉強は……その、少しずつ減らして、
レッスンの時間に充てますから……。
●愛美
芸能科2位っていうのは、大事なブランドよ?
そっちはそっちで頑張って欲しいわね。
●琴音
は、はい! じゃあ両方やります!
●琴音の瘴念人
才能、ありませんよ?
●琴音
そんなの、分かりません!
だって私は、まだ本気でアイドル、やってないから!
私は、愛美さんたちと一緒にアイドル続けたいです!
だから、その……私の邪魔すると、許しませんから!
●琴音の瘴念人
…………そう、ですか。
だったら、仕方ありませんね。
●琴音
わ、分かってくれたんですか!?
●琴音の瘴念人
はい。いくら口で言っても無駄だということが。
●琴音の瘴念人
あなたは大人しく……
ずっとずっと、お勉強だけしてればいいんです!
●琴音
ひっ!?
●神蔵
よし! いまなら相棒の力で叩ける! 行くぞ!
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第8話「隠れた本音は香辛料」
ーー廊下
●琴音の瘴念人
そんな……嘘、です……。
私には勉強が……勉強しか、できないの……に……。
●琴音
……勉強、勉強って、私はそれだけじゃありません。
最後まで、失礼な私でしたね……。
それに、知っていますか?
私、アイドルのことはすっごく好きですけど、
勉強するの、別に好きじゃないんですよ……?
あなたの言う通り、それしかないから、やってるだけ。
でもいまは、やれることより、やりたいことを、やりたいんです。
……ごめんなさい。あなたは私が、
現実から目をそむけ続けて生まれたんですよね。
もう二度と、あなたのような悲しい存在は、
生み出さないって誓いますから……。
●琴音の瘴念人
…………。
●愛美
琴音……。
●琴音
……えへへ。やりましたよ、愛美さん。
私、瘴念人<ミアノイジー>をやっつけました!
●愛美
やるじゃないの。ナイスファイトよ。
●千尋
じゃあ、次はわたしの出番かなぁ?
あのぉ~、もしもし~?
●千尋の瘴念人
ん~? どうしたの~?
わたしと入れ替わってくれる気になったぁ?
●千尋
……ごめんなさい。それはできないかなぁ。
わたしには、元の世界に戻って、『Twinkle☆Star』で
おでんを食べるっていう野望があるんだよ~?
●愛美
ずいぶんと小さい野望ね。
●千尋の瘴念人
でもあなた、愛美さんのこと、苦手じゃない。
むしろ、そんなに好きじゃないっていうか~。
●愛美
……えっ。そう、なの?
●千尋
……うん、さすがはわたしだよぉ。
それは否定できないかも。
●愛美
…………千尋。
●千尋
だって愛美ちゃんには、アイドルに対する直向きな気持ちとか、
有言実行する強さがあって……わたしにはないもの。
それこそ、自分が情けなくなるくらいに嫉妬したよ?
一緒に組まないほうが良かったのかなぁ? って、考えたり……。
だから、苦手な部分もある、っていうのが正しいかなぁ。
あなたがわたしなら、分かってるよね?
●千尋の瘴念人
…………。
●千尋
なんでもグイグイって、わたしに押し付けてくるところが
苦手だなぁ~、って思ったりするけどね。
●千尋の瘴念人
そうだねぇ。
●愛美
悪かったわね!
●千尋
それでも……わたし、愛美ちゃんたちと本気で
アイドル続けたいって思ってるよ?
これは嘘なんかじゃなく、わたしの本気の気持ちだよ。
愛美ちゃん。ダンスのできない、ダンス番長でもいいかなぁ?
●愛美
……もう。それは出来るようになりなさいよ。
ちゃんと、レッスンしてあげるから。
●千尋
うふふ~。やっぱり愛美ちゃんは厳しいねぇ~。
●千尋
ということで、あなたはと入れ替わる気はないよ?
●千尋の瘴念人
……絶対後悔すると思うけどなぁ~。
練習がきつくなったら、また愛美さんのこと嫌いになって、
アイドル辞めたいって言い出すよぉ?
●千尋
あはは……そんなことありえないんだから~、って、
ちゃんと言えたらよかったんだけど。
●愛美
なら……千尋はどうしたい?
●千尋
うん……。
少なくとも、いまのわたしは後悔するつもりなんてないかなぁ。
もしかしたら、あなたとまた出会うかも知れないけれど、
いまのわたしは、愛美ちゃんたちと一緒にいたいから。
●千尋の瘴念人
……そう。分かった。そこまで言うなら。
悪役らしく、ジツリョクコーシってやつ、やるね?
想世(アンダー)サイド:第3章「噛みしめるぬくもり」第9話「囲む笑みの団欒」
ーー廊下
●千尋の瘴念人
……わたしのこと、忘れないでねぇ。
愛美ちゃんのことが、ちょっとでも嫌だなぁって感じたら、
思い出して?
必ず、また、会いに行くから……。
●神蔵
一件落着だな。これで元の世界に帰れるぞ。
良かったな。
●愛美
良くないわよ!
●神蔵
お、おお?
●愛美
なんなのよ、もう! 私、すっごく傷ついたんだけど!
だって私、千尋に嫌われてるのよ!
●千尋
そんなことないよ~。
ホントにちょっと苦手なだけなんだからぁ。
●愛美
同じことじゃない!
●神蔵
まあ、あれだけ盛大に文句言ったり、
本音をぶちまけてたからな。
瘴念人<ミアノイジー>ってのは、そういう存在だ。
むしろそうしないと、追い払えない。
●琴音
恥ずかしい、です……。
早く記憶を消してください……。
●千尋
愛美ちゃんの顔、怖くて見られないねぇ……。
●愛美
消えたい……。
記憶どころか、存在ごと……。
●神蔵
ま、まあ……なんていうか、おつかれさま。
だけど、乗り越えることで、互いの絆はより強くなった。
……いいものだと思うけどな、青春っぽくて。
ーープロダクション室
●ひなた
わー! おでんだー!
おいしそー!
●和歌
でもどうしたんですか、愛美さん。
急におでんが食べたくなっただなんて……。
●愛美
んー、私にもよく分からないのよ。
でもなんとなく、やらないといけない気がして。
●千尋
おでんは、わたしたちの原点だからね~。
●琴音
あ、はい。そうですね。
●ひなた
原点って、その……ラブ……ラブラブなんとかの?
●愛美
『ラブ・ビューティー』!
おでんの汁かけるわよっ!
●和歌
で、どういう経緯があって『ラブ・ビューティー』は
できたんですか?
●ひなた
プロデューサーは知ってる?
●プロデューサー
知らない。
●愛美
別に話してもいいけど……。
●ひなた
じゃあ教えて!
●愛美
……やっぱりやめておくわ。
●ひなた
ど、どうしてぇ!?
●和歌
隠されると、余計に気になるんですけど……。
●愛美
うん、いい感じで煮えたわね。
みんな、お皿出して。
●ひなた
はーい!
●愛美
えっと、琴音は高野豆腐ね。はい。
●琴音
ありがとうございます。
ふふっ。なんだかとても懐かしいです。
●和歌
高野豆腐!? おでんに!?
しかも懐かしいって何?
●愛美
私は……あ、これこれ。
おでんといえば、とろろ昆布よね~。
●和歌
こ、この鍋、どうなってるんですか?
●琴音
愛美さん、あれ以来もしかして……。
●愛美
ま、まあ、意外に美味しかったから。……悪い?
●琴音
そ、そんなことないです!
むしろ嬉しいっていうか……。
●愛美
嬉しいって、何よ……。
●和歌
『ラブ・ビューティー』に一体どんな過去が……。
●ひなた
なんだか3人だけ分かってて悔しい!
あたしも知りたいよ~!
●愛美
ダメよ。アンタたち2人しか知らない過去があるように、
私たち3人だけの過去があってもいいでしょ?
●琴音
そうですね。私もひなたちゃんと和歌ちゃんを見てて、
ちょっとずるいなぁって思ってました。
●ひなた
琴音ちゃんまで!
もー! 気になるよー!
●千尋
うふふっ。やっぱりみんなで一緒に食べるごはんが、
一番美味しいよねぇ~。
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