【あおガルシナリオ集】想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」
2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。
この記事では、想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」を紹介します。
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第1話「忍び寄る不穏」
ーー校門前
●瘴念<ノイジー>
――グシャァァァァァァ……。
●神蔵
ふぅ……。このあたりも大分片付いたな。
今日はこのくらいにしておくか。
●薊禰
神蔵は何もしてないだろ。新人くんと僕の活躍だ。
何をいっちょ前に汗をかいているんだ。
●神蔵
心の汗だよ! 青春真っ盛りなんでね!
●薊禰
悪いね、キミ。神蔵は力を失っていてね。
いまじゃ本当に、ただのお節介なだけのおじさんなんだ。
ところで、キミは飲み込みが早いね。
もう神蔵の指導も必要ないんじゃない?
●神蔵
相棒はこんなもんじゃねぇぜ。
こう、なんか頭のなかで念じただけで、
瘴念<ノイジー>を蹴散らせるくらいの力が眠ってるんだよ!
●薊禰
相変わらず抽象的で要領を得ないな。
キミもよくこんな男の元で、ここまで力をつけたね。
●神蔵
俺の指導の賜物だろ。
●薊禰
そうだといいけどね。
……待って。
瘴念人<ミアノイジー>の気配がする……。
●神蔵
本当だな。しかも強力だぜ。
まだ出現して間もないようだが……。
●薊禰
キミにも、もう少しすれば分かるようになるよ。
瘴念人の気配ってのがね。
きっと、この角の先に……。
●神蔵
……おい。俺、アイツのこと見たことあるぜ。
たしか相棒の……。
●薊禰
そうか。学園の生徒か。
だけどこれは困ったことになったな……。
●プロデューサー
どうしたの?
●神蔵
負の感情が、強い。
特に拒絶の感情が見える。
●薊禰
見て。彼女の周り、少し空間が歪んでいたり、
壁や床のディティールがはっきりしないだろ?
あれは少し、想世<アンダー>の深い場所にいるからなんだ。
そういう場所に逃げ込んで、そのうえバリケードまで張っている。
危険な状態だ……。向こうから出てきてくれるのが
一番いいんだけど、果たしてキミの声が届くのか……。
●神蔵
まあものは試しだ。
相棒、やってみろよ。
●プロデューサー
(和歌の名前を呼ぶ)
●和歌の瘴念人
…………。
●薊禰
……反応なし、と。
参ったね。
●神蔵
相棒、お前、学園であの子に変なことしたんじゃねぇか?
結構かわいい顔してるしよ。
●プロデューサー
してない。
●薊禰
何を聞いてるんだ、まったく……。
近いうちに手をうたないと、現世<エイドス>に侵攻してくるよ。
あるいは、その瞬間を狙うか……。
だけど、その場合はミスの許されない一発勝負になってしまう。
●プロデューサー
考えがある。
●神蔵
お、頼もしいな。
●薊禰
じゃあその考えを試してみよう。
何をするにも、まずは彼女から話を聞かないとはじまらない。
話を聞いて、溜め込んでいる負の感情を特定する。
その上で、現世の彼女に、それを受け入れさせる。
●神蔵
そうなったら俺たちの独壇場だ。
だけど、そこまでは相棒にしかできなさそうだな。
よろしく頼んだぜ、相棒!
ーープロダクション室
●和歌
あ、プロデューサー。おはようございます。
……って、どうしたんです? 私のことじっと見て。
●プロデューサー
最近どう?
●和歌
まあ、どうと聞かれれば、調子は良いですけど。
新生『Twinkle☆Star』になって、レッスンが忙しかったり
苦手な数学の授業が憂鬱だったりはしますけど……。
私は元気ですよ。ええ、至って正常です。
●プロデューサー
本当に?
●和歌
いつになく疑り深いですね……。
本当ですって。
だって、体制は変わってもひなたが一緒ですから。
ひなたさえいれば、私はなんだっていいんです。
……も、もちろん、気心知れた友人として、という意味ですよ!?
それ以上はありませんから!
もう、なんなんですか。
変なプロデューサーですね……。
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第2話「リメンバー・ミー」
ーー校門前
●ひなた
ねぇプロデューサー。
こっちの世界の和歌って、そんなに危ない状況なの?
●プロデューサー
そうみたい。
●ひなた
どうしちゃったんだろう……。
学園ではあんなに元気なのに……。
●神蔵
よく分からないけどな、極端に言うと引きこもってるんだ。
もう誰とも会いたくありません、って感じでな。
で、呼びかけにも応じないんだけど、
相棒はアンタならいけるんじゃないかと踏んだんだよ。
●ひなた
引きこもり? ……それじゃあ、昔と一緒かも。
●プロデューサー
昔?
●ひなた
うん。昔、和歌は誰とも会いたくない時期があって。
もしかしたら、そのときと同じになっちゃってるのかも。
●神蔵
ふむ……。絶対的に信頼している黄色リボンですら、
会いたくない時期があったのか……。
●ひなた
き、黄色リボンって、あたし?
というか、そのときはまだ、あたしも和歌とは仲良くなくて……。
●神蔵
まあ、悩んでいても仕方ないな。
とりあえず行ってみようぜ。
ちなみに、今日は薊禰は別の地域の助っ人だ。
悪しからず。
●和歌の瘴念人
…………。
●ひなた
いた! 和歌だ!
●神蔵
それ以上近づくなよ。空間が不安定で危険だ。
ここから声をかけるんだ。
●ひなた
うん。分かった。
……わ――。
(何かに気付くひなた)…………。
●プロデューサー
どうしたの?
●ひなた
もし、和歌が昔に戻っちゃってるなら、
違う呼び方がいいかも。……やってみるね。
和歌ちゃん! 遊びに来たよー!
●和歌の瘴念人
……ひなたっ!?
も、もう! なんなのよいまの呼び方!
そんな昔みたいな……恥ずかしいじゃない!
●ひなた
え? あ、うん、ごめんね!
なんとなく、そっちの方がいい気がして。
●和歌の瘴念人
何よそれ。まったく…………ふふふっ。
じゃあ今日は昔に戻ったつもりで遊びましょうか。
ねぇ、ひなたちゃん。
●ひなた
あ、わ、和歌……。
●和歌の瘴念人
和歌じゃないでしょ。さっきは呼んでくれたじゃない。
●ひなた
和歌、ちゃん?
……うぅ、改めて呼ぶと、なんか恥ずかしいよ……。
●和歌の瘴念人
照れなくていいわよ。昔はずっとそうだったんだから。
ほら、手もつなぎましょう。
昔はそうしてたわよね?
●ひなた
そ、そうだね。
●和歌の瘴念人
じゃあ行きましょう。
どこに行こうかしら♪
●神蔵
うまく行ったみたいだな。
完璧に子供に戻っているわけではないが、
瘴念人<ミアノイジー>とは負の感情の結晶体。
つまり、何かしらよくない感情が溜まった結果、
黄色リボンは昔の関係に戻ることを望んだということになる。
問題は、一体どんな感情が彼女をそうさせるのか……。
って、よく考えたらふたりとも黄色リボンだな。
呼び分けできないじゃねぇか……。
まあいい。とにかく後をつけるぞ。
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第3話「歪み」
ーー小学校の教室
●和歌の瘴念人
ほらひなたちゃん。ここ覚えてる?
私たちが最初に会った場所よ。
といっても、教室ではまったく話さなかったけどね。
●ひなた
うん、覚えてるよ。和歌……ちゃん、
いつも隅っこで静かにしてて、お人形さんみたいって思ってた。
●和歌の瘴念人
そう。……だから、標的になったのよね。
いじめる方は、小さな理由があれば十分。
いじめられた方は、たまったものじゃないけど……。
●ひなた
和歌ちゃん……。
●和歌の瘴念人
でもいじめっ子たちには、いまでは感謝してるくらいよ。
そうでないと、ひなたちゃんとこんなに仲良くなれなかった。
●ひなた
うん……。そうだね。
●和歌の瘴念人
ねぇひなたちゃん、1つお願いがあるの。
●ひなた
どうしたの?
●和歌の瘴念人
また、昔に戻らない?
『Twinkle☆Star』が2人だった、あの頃に。
●ひなた
え、えぇ!? どうして急に!?
●和歌の瘴念人
私、ひなたちゃんが望むならって『ラブ・ビューティー』を
受け入れた。アイドルとして上を目指すのは必要なことだものね。
後悔はしてないわ。だけどね、つらいのよ。
ひなたちゃんが他の子と仲良く笑っているのを見ると。
いつか、ひなたちゃんがいなくなるんじゃないか。
とられちゃうんじゃないかって。
不安で不安で、自分が抑えられないの……。
気づいたら、ひなたちゃんと話してる相手のこと、
階段から突き落としたいって思う自分がいたりして……。
私、みんなのこと好きよ。
でも、違うの。好きとか嫌いとか、関係ないの。
私はひなたちゃんが全部なの。
だからそれがダメになりそうなら、守らないといけないの。
でももちろん、みんなを傷つけたくはない。
だったら! 『Twinkle☆Star』は解散して元に戻るべきだって。
私はそう思うの。昔、私がひなたちゃんと離れ離れになって、
それがすごく怖くて、嫌だって思って……。
そんな思い、もうしたくない。
だから……ね? 2人だけで幸せになろう?
私が一生、ひなたちゃんのこと大事にするから。
ひなたちゃんは何も心配しなくていいからね?
●ひなた
和歌……。
その、あたしは……。
…………。
……ねぇ、せっかくだからさ、
もっと色な場所、見て回らない?
2人でよく行ったパンダ公園とか、
隣の団地の裏の池とか!
色んな場所に、思い出あるよね。
今日はそんなところ、全部行こう!
●和歌の瘴念人
……ええ!
とてもいい考えね!
行きましょう! ほら、日が暮れる前に!
今日はずっと一緒にいましょうね!
●神蔵
……瘴念人<ミアノイジー>相手に、
まともに返答しないのは正解だな。
相手はただの影。説得で考えを変えたり、
思いとどまるということはない。
むしろ否定することで刺激して、
現世<エイドス>への侵攻が早まる可能性もあったからな。
話さなければならないのは、アレじゃない。
現世の水科和歌だ。
●プロデューサー
呼んでくる。
●神蔵
ま、結局はそれしかないな。
水科和歌が抱えている感情は分かった。
説得できるかどうかは、相棒と櫻花ひなたにかかってるぜ。
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第4話「二人だけの世界」
ーー公園
●ひなた
ねぇ和歌ちゃん、あたし、そろそろ家に帰らないと……。
お母さんたちも心配してると思うし……。
●和歌の瘴念人
心配? どうして?
ひなたちゃんには私がいればいいでしょ?
ひなたちゃんがいないと、私が悲しいよ?
私が悲しくてもいいの?
●ひなた
そ、そんなことは……。
●和歌の瘴念人
それよりほら見て! あのパンダの乗り物、覚えてるよね?
あそこにずっと2人で座って、夜まで話してたよね?
●和歌
あの……状況を正しく理解した上で
言わせてもらいますけど……。
消して……。いますぐ私という存在を
この地球上から抹殺して……。
●プロデューサー
大丈夫。
●和歌
何が大丈夫なんですかー!
私の知らないところで私の気持ちを暴露され、しかも
客観的に見せつけられているこの状況の何が大丈夫なんですか!
●プロデューサー
ごめん。
●和歌
あ、いえ……。むしろ悪いのは私……。
はぁ……。ちゃんと抑えてると思ったんだけどなぁ……。
……だけど、ひなたと2人がいいって気持ちは
どうしようもないです。
本当の私の感情です。
一生変わることはありません。
●神蔵
別に感情を変える必要はないぜ。
人間ってのは、感情のまま生きてる生き物じゃねぇしな。
だけどこうして瘴念人<ミアノイジー>が出現してるってことは、
いまのアンタは、理性で気持ちが抑えきれてないってことだ。
●和歌
……分かってますよ、そんなこと。
ただ、またひなたと離れ離れになりそうで、怖いんです。
●プロデューサー
また?
●和歌
……誰にも言わないでくださいね。
私が、ここまでひなたにこだわる理由です。
私、小学校低学年の頃、虐められていたんです。
そのせいで不登校になりました。
そんなとき、家が近くで先生に頼まれたから、
という理由でひなたがうちに来たんです。
当時のひなたも、いまもまったく変わっていないというか……。
私がどれだけ拒絶しても、何度も何度もうちを訪ねてきました。
それでいつの間にか私は部屋に入れるようになったんですが、
ひなたは部屋ですっ転んで、物を壊したりして散々でした。
私を心配して来てくれているのに、
私がいつも世話をしてるんです。変な話ですよね。
●プロデューサー
ひなたらしい。
●和歌
そうですね。そんなひなたに私も慣れていったんですけど、
学校にだけはどうしても通えませんでした。
そしたら、両親から引っ越しの話がもちあがって……
正直、私はそれで安心しました。
だけど、引っ越しが決まったらひなたが……。
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第5話「無垢な告白」
ーー幼い頃
●幼いひなた
ごめんね、和歌ちゃん……。
あたし、和歌ちゃんのこと、助けてあげられなかった……。
●幼い和歌
い、いいんだよそんな! 悪いのは私なんだから。
ごめんね。せっかくひなたちゃんとも仲良くなれたのに……。
●幼いひなた
うん。でも、あたしまた和歌ちゃんに会いたいんだ。
だから、これ。
●幼い和歌
これは?
●幼いひなた
プレゼントだよ。開けてみて。
●幼い和歌
……わぁ! かわいい!
黄色いリボンだ!
●幼いひなた
あのね、黄色いリボンには、
あなたのこと待ってます、って意味があるんだって!
●幼い和歌
えっ。でも、待ってるのはひなたちゃんでしょ?
だったら、ひなたちゃんがつけないと意味ないんじゃ……。
●幼いひなた
……あぁ! そういえばそうだぁ!
●幼い和歌
もう、ひなたちゃんは本当にドジなんだから……。
●幼いひなた
ど、どうしよう……。ええと、ええと……。
……あっ。良いもの見っけ!
これ、貸してくれる?
●幼い和歌
リボンの入ってた箱?
こんなものどうするの?
●幼いひなた
箱に結んであったリボンを解いて、
髪に巻きつければ……。
ほら! あたしも黄色いリボン!
これでおそろいだね!
ーー公園
●和歌
そのときの笑顔がお日様みたいで、眩しかったんです。
以来、私はひなたに惚……一生大事にしようって思いました。
●神蔵
言い直してもあんまり意味変わってなくねぇか?
●和歌
(神蔵を無言で殴ったあと)結局、私は一度は引っ越しましたが、数年後に戻ってきました。
どうしてもひなたに会いたくて、親に無理を言いました。
変わらずリボンをつけて待っていてくれたひなたと、
私はもう二度と離れたくないって思ったんです。
●プロデューサー
そんなことが……。
●和歌
はい……。
きっと、ひなたは私と一緒にいたいって思ってくれています。
それに、みんなとも一緒にいたいって思ってる。
私、だけじゃない。でも、それがひなたの良さ。
だから私は、受け入れるつもりでいます。
……大丈夫です。はじめて新しい仲間ができて、
ひなたがとられるかもって不安になっただけですから。
●プロデューサー
ありがとう。
●和歌
お礼を言われることなんて、何も。
むしろひなたや私のこと、真剣に考えてくれて嬉しいです。
本当にありがとうございます、プロデューサーさん。
●和歌の瘴念人
そうよ。分かってるじゃないですか、私。
●ひなた
えっ……。
●神蔵
瘴念人<ミアノイジー>!?
●ひなた
わ、和歌ちゃん……?
どうしたの、急に?
●神蔵
来やがったな……。
だけど、お前の出る幕は、もうないぜ。
さあ、サクッと否定してやるんだ!
●和歌の瘴念人
箱に入れて、鍵をかけて、厳重にしまっておきましょう。
あなたになら、それが分かるはず。
●和歌
…………。
……そうね。是非、そうしたいです。
●ひなた
えっ……!?
●神蔵
あ、あれ……?
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第6話「愛しさを謳う少女」
ーー公園
●和歌
はっ! わ、私、いま何を……。
●神蔵
欲望がダダ漏れだったぜ……。
●和歌
し、仕方ないじゃないですか!
それが一番正直な、私の気持ちなんです!
ひなたをそのままお人形さんにして、
自宅のベッドで一生、私のことを待っていてほしいんです!
●ひなた
…………わ、和歌?
●和歌
ち、違います!
だって、いま嘘ついても仕方ないじゃないですか!
●神蔵
違わないじゃねぇか。
●和歌の瘴念人
…………。
●和歌
どうしてあなたまでひいてるのよ!?
●和歌の瘴念人
だけど、それなら話は早いですね。
いますぐ私と入れ替わって。
私なら、自分の気持ちに素直でいられます。
見栄や余計な思いやりに邪魔されることはありません。
●和歌
……それは嫌よ。
●和歌の瘴念人
どうしてですか?
●和歌
だって、あなたは私じゃないもの。
ひなたと添い遂げるのは、私がいい。
●和歌の瘴念人
私はあなたですよ。
●和歌
違う。私の一部かもしれないけど、私じゃない。
ひなたが私以外の人間にとられるなんて、
想像もしたくない。それはあたなもよく分かるでしょう?
それが例え、私以外の私であってもそう。
だから、あなたには渡せない。
●神蔵
……すげぇ理屈だな。
まあ、分からないでもないが……。
しかし瘴念人<ミアノイジー>は、櫻花ひなたを誰にも
渡したくないっていう気持ちから生まれてきたものだ。
それを否定しない限り、瘴念人は消えない。
しかし、このまま否定できないと、
瘴念人に存在をとって変わられ、ひなたを奪われる。
……どうしたものかね。
●和歌
…………。
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第7話「金色の夜明け」
ーー公園
●ひなた
……あの、あたしよく分からないんだけど……つまり和歌に、
あたしがどこにも行かないって、分かってもらえばいいんだよね?
●神蔵
そういうことになるな。
●ひなた
だったら……。
●和歌
ひゃっ!? ひ、ひなた!?
どうしたの? 急に手なんか握って……嬉しいけど……。
●ひなた
あたし、どこにも行かないから!
●和歌
へ?
●ひなた
和歌が一番よく分かってるでしょ?
あたし、和歌がいないとなんにもできないんだよ?
●和歌
ひなた……。
でも、分かってないのはひなたのほうよ。
ひなたを助けてくれる人は、たくさんいる。
それが私じゃなくてもいいんじゃないかって、こと。
だから……。
●ひなた
嫌! あたし、和歌じゃないよ嫌だよ!
●和歌
えっ?
●ひなた
もちろん、みんなのことも好き!
だけど、なんていうか、和歌は特別なの!
だから、あたしは和歌とずっと一緒にいる!
……って、口で言うくらいしかできないけど、本当だから!
●和歌
ひなた……そんなに、私のこと……。
……うん、分かった。
ありがとうね。伝わったよ、ひなたの気持ち。
●ひなた
うん!
●和歌の瘴念人
……ありえない。そんなの。
どうせ口だけに決まってる……。
本当に信じたわけじゃない。そうでしょ?
●和歌
…………。
●ひなた
和歌?
●和歌の瘴念人
だけど……う……ううぅ……。
●ひなた
ニセモノが!?
●和歌の瘴念人
……いいわ。いまはその言葉に納得してあげる。
だけど、私は本当に嫉妬深いの。
……浮気しそうになったら、すぐにまた、出てくるから。
●神蔵
具現化した……が、すごいパワーだ。
それだけ妄執が強いってことか……。
●プロデューサー
負けない。
●神蔵
……って、おい相棒。
お前、なんだか様子が……。
……! そ、それは!
●和歌
よく分かりませんが……プロデューサーさん!
やっちゃってください!
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第8話「悦びは世界を超えて」
ー公園ー
●和歌
やった! ありがとうございます! プロデューサーさん!
●神蔵
お、おい相棒。その格好はどういうことだ?
●プロデューサー
どういうこと?
●神蔵
お前のそれ、新しい戦絆衣<フォーム>だろ?
だけど普通、戦絆衣は調停者<プロデューサー>に1つまでだ。
相棒は土方アリスと契約して『ヴァルキュリア』の戦絆衣で
戦ってきた。なのにそれは『Twinkle☆Star』の戦絆衣か?
●プロデューサー
分からない。
●神蔵
……これも櫻花ひなたの能力なのか……。
だが、櫻花ひなた以外は歌姫<ディーヴァ>ですらなかったはず。
●プロデューサー
なんのこと?
●神蔵
おっと、悪い。そのうちちゃんと説明するぜ。
秘密にしてるわけじゃない。一度に話しすぎてもパンクするだろ?
先輩の優しい心遣いさ。へへっ。
●ひなた
和歌ちゃん!
●和歌
わっ!? ひ、ひなた!?
●ひなた
ごめんね。和歌ちゃん、寂しかったんだね。
最近、2人だけでお話とかしてないかも……。
●和歌
ひなた……。
私こそごめんね。怖かったでしょ?
●ひなた
怖い? どうして?
●和歌
私の悪い感情に振り回されて……。
すごく強引だったじゃない。
●ひなた
怖くはないよ? だって和歌ちゃんは和歌ちゃんだから。
昔に戻ったみたいで楽しかったよ!
●和歌
っ! そ、そう……。
ならいいんだけど……。
●ひなた
元の世界に戻ったら、このことは忘れちゃうけど……。
でも、きっと大丈夫! もう寂しい思いはさせないから!
ずっと一緒にいるって言ったのは、本当の気持ち。
もし和歌が信じられなくなったら、またちゃんと伝えるから。
●和歌
……ええ、ありがとうひなた。
元の世界に戻ったら『Twinkle☆Star』のみんなで遊びましょう。
●ひなた
うん! でもたまには2人でも遊ぼうね!
●神蔵
水科和歌は、相当に嫉妬深いな。
あれ、本当にいまは信じてる、って感じだぜ。
何かあればまた、櫻花ひなたが
いなくなるんじゃないかって、不安で仕方なくなる。
自分がそうなるって、分かってるんだ。
……忙しいやつだ、本当に。
まあ、それも青春っぽくていいけどな。
……さて、そろそろ現世<エイドス>に送り返すぞ。
いいか? 相棒。
●プロデューサー
いつでも。
●和歌
あ、待って。私はプロデューサーに話があるの。
●神蔵
じゃあまずは櫻花ひなただな。
●ひなた
うん! また明日ね、和歌ちゃん!
●和歌
ええ、また明日。ひなたちゃん。
●ひなた
バイバ~イ!
●和歌
…………。
げほっ! えへっ、ぐほっ! ぐぼはぁっ!
●プロデューサー
どうしたの!?
●和歌
ぷ、ぷぷぷぷプロデューサーさん!
わ、わわわわわわ私! ひなたから抱きつかれちゃった!
しかも私のこと、和歌ちゃんって……。
私のこと、寂しい思いはさせないからって!
ぐへへ……。たまには弱音を吐いてみるものですね……。
まさかこんな美味しい思いができるなんて……。
今日のこれだけで余生を戦えます。
ぐふっ。うひっ、ひひひひひ……おっと鼻血が……。
●神蔵
……相棒、コイツ、櫻花ひなたがいないときは
いつもこんな感じなのか?
●プロデューサー
たまに。
●神蔵
瘴念人<ミアノイジー>を倒した弊害が起きて、
おかしくなっているとかではなく?
●プロデューサー
多分。
●神蔵
ふーん、じゃあ普段からおかしいってことか。
だったら大丈夫だな。
ま、ひとまずおつかれさん。
後処理は任せて、2人は現世に帰るといい。
●神蔵
ゆっくり休養しろよ。
想世(アンダー)サイド:第4章「求める想い」第9話「手向けの呼び名」
ーープロダクション室
●ひなた
おはよう、プロデューサー!
●プロデューサー
おはよう。
●ひなた
あのね、よく覚えてないんだけど……
昨日、すごく懐かしい夢を見た気がするの!
ちゃんと思い出せないのが悔しいんだぁ。
プロデューサーにもそういうことってない?
●プロデューサー
あるよ。
●ひなた
なんだかとても幸せなイメージで……
でもちょっとだけ悲しくて……。
なんだったんだろう? 気になるなぁ……。
●和歌
どうも、おはようございます。
●プロデューサー
おはよう。
●ひなた
あ、和歌ちゃんだ!
おはよー!
●和歌
え? 和歌、ちゃん?
●ひなた
……あ、あれ?
いま、あたしなんで和歌をちゃんづけしたんだろ……。
ごめんね! つい出ちゃったみたい♪
昔はずっとちゃんづけだったよね。懐かしいなぁ。
●和歌
…………。
●ひなた
わ、和歌!? どうしたの大丈夫!?
●和歌
ちゃんづけ……うへへ……。
ひなたに和歌ちゃんって呼ばれちゃった……。
●ひなた
和歌! 鼻血出てるよ!
もー! 一体どうしちゃったのぉ!?
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