【あおガルシナリオ集】想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」
2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。
この記事では、想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」を紹介します。
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第1話「出会い」
ーープロダクション室
●ひなた
プロデューサー。
ごめんね、急に呼び出して。
朝起きた時に観たテレビCMのダンスで、
いい感じの振付をやってたの。
忘れないうちにマスターして、
萌さんやみんなをびっくりさせたくて。
ーー廊下
というわけで、今日はダンスの秘密特訓頑張るぞーっ!
……って、あれ?
ダンス練習室から音が聞こえる……?
この時間は誰も使ってないはずなのに、誰かいるのかな?
ーーレッスン場
●落ち着いたアイドル(麗華)
…………。
●ひなた
先客かぁ。
でも、あの人のダンスとっても綺麗……。
ちょっとだけ見て行こうよ、プロデューサー。
いいでしょ?
……すごいなぁ。腕と脚に羽が生えてるみたいに活き活きして、
光がこぼれる感じ……!
●落ち着いたアイドル(麗華)
ふぅ……。
あなたたち、そこで何をしてるの?
●ひなた
……へっ?
あ、邪魔してごめんね! あたし、櫻花ひなた!
●落ち着いたアイドル(麗華)
……名前を聞いてるんじゃないんだけど。
●ひなた
あ、1年生だよ!
●落ち着いたアイドル(麗華)
……学年を聞いてるわけでもないのだけど。
一体、なんの用件なのかを聞いているのよ。
●ひなた
用件……? ええと、じゃあ……。
あなた、名前は? 学年は?
同級生? ダンスレッスンしてるなら、見せてもらってもいい?
●落ち着いたアイドル(麗華)
ちょっ、…ちょっと待って!
そんなふうに、急に言われても……。
●プロデューサー
落ち着いて。
●ひなた
えへへ、嬉しくてついつい……。
●落ち着いたアイドル(麗華)
嬉しい?
●ひなた
うん! あなたのダンス、とっても上手でカッコよくて……
すっごく綺麗で、見とれちゃった。
●落ち着いたアイドル(麗華)
……そう。
あなた、わたしのこと知らないのね。
●ひなた
ごめんね、学園の事情にはあんまり詳しくなくて。
●落ち着いたアイドル(麗華)
謝らなくていいわ。
黒瀬麗華。3年よ。
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第2話「明かされた正体」
ーーレッスン場
●ナレーション
黒瀬麗華という先輩と知り合い、ひなたは結局、
そのままみっちり2時間、レッスンをつけてもらった。
ーー食堂
●ひなた
いっぱい踊ったらお腹すいたなぁ。
お夕飯前だけど、ちょっとだけお菓子食べちゃおうかな……あれ?
●和歌
……ひなたっ!
●愛美
ちょっと、どこ行ってたのよ。捜したじゃないの!
●ひなた
捜してたって……
あれ? なんでみんなここに?
●愛美
なんでって、アンタねぇ……。
●千尋
まぁまぁ、みんな落ち着いて。
ひなたちゃんも、お菓子食べよう。おいしいよ~。
●和歌
琴音から、お菓子買ってきたからみんなで食べようって
連絡してくれたんだけど……。
ひなたもプロデューサーも、連絡つかなくて……!
●琴音
みんなで集まってこれからどうしようかって話してたんです。
でも、見つかってよかったです。
●ひなた
ごめんね、練習に熱中してて……。
●和歌
ううん、いいの。
ひなたが無事ならそれで十分。
●愛美
やっぱりプロデューサーが一緒だったのね。
アンタにも何度も連絡入れたんだけど?
●プロデューサー
ごめん。
●愛美
しっかりしなさいよね。
で? 2人でどこで何してたのよ?
●ひなた
実はね、今日たまたますっごくダンスが上手な先輩と
知り合いになったんだ!
それで特訓というか、レッスンをしてもらってたの。
●和歌
ダンスのレッスン……?
●ひなた
うん、紹介するね!
麗華さーん! こっちこっち!
●麗華
わたしが入ってもいいの?
●ひなた
もちろん!
みんな、紹介するね。黒瀬麗華さんだよ。
三年生で、とってもダンスが綺麗で……。
あれ? みんなどうしたの?
●愛美
く、くくくく……!?
●琴音
黒瀬麗華って………!
●千尋
あの、黒瀬麗華……!?
●ひなた
あのって、どの?
●和歌
ひ、ひなた……!
あなた、知らないの!?
●ひなた
なにが?
●愛美
バカ! ひなたのバカ!!
●ひなた
なんでっ!?
●和歌
いい、ひなた。
落ち着いて聞いてね……。
その人は、元ヴァルプロのNo.5よ!
●愛美
しかも、Sランク!
今の私たちにとっては天上人なのよ!?
●ひなた
へー、そうなんだ。
ヴァルプロの……。
……ヴァルプロ?
Sランク……。
●麗華
……どうも。
●ひなた
…………。
えっ、えええええええーっ!?
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第3話「氷解する心」
ーー廊下
●ひなた
あっ! 麗華さんだ!
麗華さーん!!
●麗華
櫻花さん?
●愛美
ちょっとひなた!
アンタ、ヴァルプロの元No.5にそんな馴れ馴れしく……!
●麗華
いいのよ、気にしなくて。
ヴァルプロと言っても辞めてしまったもの。
●愛美
い、いや……
そういう意味じゃなくて……。
●麗華
櫻花さんたちも、これから練習?
●ひなた
うんっ!
よかったら、一緒にどう?
●麗華
わたしはかまわないけど……。
●ひなた
やったぁ!
じゃあ行こう!!
……そうだ。麗華さん、もしよかったら、
あたしのことは『ひなた』って呼んでくれない?
●麗華
えっ?
●ひなた
あたし、もっと麗華さんと仲良くなりたいの。
だから、お願い!
●和歌
ひなた……。
●麗華
……そう。わかったわ。
ひなた、でいい?
●ひなた
もちろん!
あたし、後輩だもんね!
●琴音
ふわぁ……ひなたちゃん凄いですね……。
麗華さんとあんなに仲良くなれるなんて。
●和歌
それがひなたの長所ですから。
●千尋
そうだね。ひなたちゃんは誰とでも仲良くなれる天才だから。
●眼鏡のアイドル(更菜)
よいしょっ、よいしょっ……。
●愛美
天才って、図々しいだけじゃない。
だいたいひなたは……うわぁっ!?
●眼鏡のアイドル(更菜)
きゃあっ!?
●愛美
いっ、たーい!
●眼鏡のアイドル(更菜)
ご、ごめんなさい。
書類で前が見えなくて、その、ごめんなさい……!
●愛美
……ううん、こちらこそごめんなさぁい♪
ふみゅ~。エミ、よそ見しちゃって……あっ、書類集めますね☆
●ひなた
あたしも手伝う!
怪我してない? 大丈夫?
●眼鏡のアイドル(更菜)
私は、大丈夫ですから。
……えっ?
●麗華
更菜……。
●更菜
……麗華。
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第4話「不穏な香り」
ーー廊下
●麗華
更菜……また、雑用押し付けられたの?
●更菜
………押し付けられてなんてないよ。
私が自分でやるって言っただけ。
●麗華
ほんとに……?
●更菜
うん。
レッスンも、ちゃんと受けてるよ。
●麗華
……そう。それならいいんだけど。
拾うの、手伝うわ。
●更菜
あ、ありがとう……。
●千尋
知り合い、なのかな?
●麗華
希たちと、最近話した?
●更菜
……ううん。あれからずっと、連絡をとっていないから。
麗華は?
●麗華
話しかける資格なんて、わたしにないわ。
でも、更菜は違うから……。
更菜だけでもユニットに入れてもらえないか、
頼んでみましょうか?
●更菜
ううん。麗華に資格がないなら、私にだって……
そんな資格ない。
●麗華
そう……余計なこと、言ったわね。
●ひなた
あ、あのっ。
これ、落ちた書類なんだけど……。
●更菜
……ありがとうございます。
それでは、失礼します。
●麗華
…………。
●ひなた
麗華さん……?
●麗華
あ、ごめんなさい。
そろそろ、レッスン始めましょう。
●ひなた
う、うん……。
●プロデューサー
…………。
●千尋
何か事情がありそうよねぇ、麗華ちゃん。
思ったよりも根が深い、かも?
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第5話「天才の過去」
ーー学園内広場
●麗華
……ダメね。
どうしても賑やかな彼女たちを見ていると……。
あのころのこと……思い出してしまうわ。
そんな記憶に浸る資格さえ、私にはないはずなのに……。
●ひなた
麗華さんっ!
●麗華
……あら、ひなた。
どうしたの? 息を切らせて。
●ひなた
あはは、ちょっと麗華さんを探してて。
有名人だからかな、すぐ見つけられたけど。
●麗華
今日はお友達は来ていないのね。
賑やかで、おもしろい人たちだったけど。
●ひなた
……う。
あの、やっぱり、迷惑だったかな?
●麗華
……?
迷惑って?
●ひなた
その……あたしに教えてくれてるだけでもありがたいのに、
学プロでいろいろ教えてもらっちゃって。
●麗華
ああ、そんなこと。
ぜんぜん気にしてないわよ。
人に教えるのも、自分へのレッスンになるしね。
言葉にして誰かに伝えて、
初めて血肉になる経験、そういうものもあるの。
●ひなた
でも……い、いろいろ押しかけて騒がせちゃったかもだし。
●麗華
私、ひなたの学プロの子は好きよ。
●ひなた
え。
●麗華
みんないい人そうだったじゃない?
●ひなた
……やっぱり、麗華さんはスゴイなあ。
●麗華
い、いきなりなに?
●ひなた
ね、麗華さん。
よかったらなんだけど……ずうずうしいかもしれないけど。
●麗華
ああ、いいわよ。
レッスンのコーチをやればいいのでしょう?
●ひなた
本当!?
●麗華
ええ、どうせやることもないもの。
倍に増えたって構わないわ。
もちろん……やる気のある人が来てほしいけれどね。
●ひなた
うん! ありがとー!
あ、早速みんなに伝えてくるね!
きっとみんな喜ぶから!
ありがとー! 麗華さんっ!
●麗華
はいはい、それじゃ。
ーー廊下
●ひなた
……ふーんふんふん、やっぱり麗華さんはいい人だなぁ。
あ……でも……。
麗華さんが、なんで寂しそうにしてたのか……。
聞くの、忘れちゃった……。
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第6話「落ち延びた真相」
ーーライブ会場
●律
…………。
●アリス
…………。
●律
……最悪だわ。もしかして、また?
●プロデューサー
ごめん。
●律
二度とこっちには来たくなかったけど……。
●アリス
こ、今度はワタクシとリツさん、2人だけですの……。
●律
不満かしら?
●アリス
め、滅相もございませんわ!
他のみなさんの姿が見えないなと思っただけですの!
それで、今日は一体何故、呼び出されましたの?
●律
心当たり、ある?
●プロデューサー
麗華のこと。
●アリス
黒瀬麗華、ですの?
貴方、彼女に何か関わりがあるんですの?
●プロデューサー
(これまでのことを説明する)
●アリス
櫻花ひなたたちが、黒瀬麗華のレッスンを受けてる!?
●律
あのひと、どういう風の吹き回し?
●プロデューサー
おかしい?
●アリス
おかしいというか……そういうことは、
もう二度としないみたいなことを、言っていましたから。
……『ヴァルキュリア』を辞めた黒瀬麗華に
聞いたことがあるんですの。
自分はヴァルプロに入るために、元いたユニット『GE:NESiS』を
メンバーに背中を押されるかたちで辞めた。
なのに結局、ヴァルプロも辞めた。
だから、自分は『GE:NESiS』には戻れない。
それに、他のユニットに入ったりする資格もない。
だから、自分はずっと1人なのだと。
●律
それは、たしかにおかしな話ね。
なぜそんな彼女が、なぜプロデューサーのユニットと?
●アリス
だから変なんですの。
心変わりでもしたのかしら?
●律
彼女の仲のいいあなたでも知らないとなると、
本当に謎ね。
●アリス
ワタクシは別に仲良しではありませんわ!
倒すべきライバル、いえ、敵ですわ!
●プロデューサー
どうして?
●アリス
黒瀬麗華が辞めたことで、ワタクシがNo.5になったのです!
ワタクシはそれが許せませんの……!
実力で勝ったのならともかく、ただの繰り上がりだなんて……!
●律
逆恨みよね。
●アリス
違いますわ!
ワタクシは、正式に実力で黒瀬麗華に勝ってみせます。
いまに、けちょんけちょんにしてあげるんですから!
●律
けちょんけちょんって、久しぶりに聞いたわね。
●麗華の瘴念人
……呼んだかしら?
●アリス
っ! く、くくくくくくくく黒瀬麗華!?
ここで会ったが100年目!
今日という今日は、完膚なきまでに叩き潰してあげますわ!
●プロデューサー
瘴念人<ミアノイジー>だよ。
●アリス
みあ? ……ああ、悪い分身ですのね。
●律
すごくざっくりした解釈ね。
間違ってはいないと思うけど。
●アリス
ニセモノが出るってことは、悩みがある、ということですわよね?
このタイミングだと、櫻花ひなた?
●麗華の瘴念人
……櫻花ひなた?
●アリス
は? いま貴女、櫻花のユニットと
一緒にいるのではないのですの?
●麗華の瘴念人
いまはそんな話をしている場合ではないわ。
2人とも、わたしと勝負して。
●アリス
唐突ですわね……。
●麗華の瘴念人
手加減はいらないわ。もちろん、こっちも全力で行く。
いいわね?
●アリス
い、いいも何も……望むところですわ!
この日のために、ワタクシはレッスンを続けて来ましたの!
●律
よく分からないけど、元メンバーと勝負できるのはいい機会だわ。
それに、私は現No.3。
3年の先輩相手だけども、負けるわけにはいかないの。
●麗華の瘴念人
決まりね。勝負よ。
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第7話「才能の奔流」
ーーライブ会場
●アリス
そん、な……。動きについていけませんわ……。
やはりワタクシは、黒瀬麗華に及んでいないというのですの……?
で、でも! リツさんまで負けるなんて、どういうことですの!?
リツさんは現No.3ですわよ!
●律
序列がイコール実力じゃないわ。
もちろん、実力で劣っているつもりもないけど。
でも、いま負けたのは分かる。
気迫で負けたわ。
●アリス
気迫、ですの……?
●律
鬼気迫る何か。彼女、この勝負に特別な意味を込めている。
一緒にパフォーマンスしながらも感じたわ。
それはきっと、期待、という感情……。
●麗華の瘴念人<ミアノイジー>
律、いまのあなた達の実力で『ヴァルキュリア』だなんて
はっきり言って失望したわ。
このままではいつか『ヴァルキュリア』を
追い出されるわよ。
輝音と栞歩の足元にも及んでいない。
バックダンサーぐらいが関の山かしら。
●律
くっ……!
●アリス
リツさんでヴァルキュリア失格なら、
ワタクシは……。
●麗華の瘴念人
何を言ってるの。アリスはまだ
『ヴァルキュリア』じゃないでしょ。
●アリス
……は?
●麗華の瘴念人
だって、あなたは『ヴァルキュリア』に最も近いヴァルプロ。
改善点は多いけど、見込みはあるわ。
●アリス
は……はぁぁぁぁぁぁ!?
黒瀬麗華! いくらワタクシに勝ったからと言って、
そんな愚弄は許されませんわ!
●麗華の瘴念人
なんの話?
●律
もしかして……麗華さん、いまのあなたの序列は?
●麗華の瘴念人
序列? 『ヴァルキュリア』のNo.5だけど。
なんでそんなわかりきったことを?
●アリス
No.5!? ワタクシなど眼中にないと!?
言っていいことと悪いことがありますのよ!
●律
待ちなさい、アリス。
●アリス
なんですの!?
●律
忘れたの? 彼女はニセモノよ。
いまはまだ、彼女は『ヴァルキュリア』にいるつもりなんだわ。
●アリス
いるつもり……?
●律
つまり、彼女の心の問題は『ヴァルキュリア』にあるのよ。
●アリス
そう……ですか。黒瀬麗華、本人ではありませんものね……。
ワタクシ、つい熱くなってしまって……。
●律
だけど、負けたままだと癪なのは本当ね。
とりあえず、リベンジマッチといきましょうか。
●アリス
ええ、賛成ですわ!
…………はぁ。はぁ。
……ど、どうしてですの!? 何度やっても、黒瀬麗華に……。
●律
この私ですら、完全に負け越している……。
これが外部からの移籍で、いきなりレギュラーを勝ち取った実力?
●麗華の瘴念人
アリス。なんども言うけど、あなたはわたしを意識しすぎ。
意識するのはわたしじゃなくて、お客さんよ。
まさか、普段のステージからそんなじゃないでしょうね?
そんな失礼なことしていたら、許さないわ。
●アリス
…………。
●麗華の瘴念人
律はもう少し体幹を鍛えなさい。特に腰回りね。
根幹がぐらついているから、次の動作に移る時、
スムーズにいかないの。それが遅れにつながってる。
あなたはプロデューサーでもあるんでしょ?
ひとの上に立つアイドルが、そんなではダメよ。
●律
……分かって、るわよ。
●麗華の瘴念人
でも安心して。わたしたちはチーム。
最後まで責任をもって、面倒を見るわ。
ここからは、スペシャルレッスンよ。
●律
スペシャル?
●アリス
ひっ!? む、虫!?
●麗華の瘴念人
動きが遅れると、この子たちがあなたたちを襲うわ。
ゆめゆめ、気をつけることね。
●アリス
カノンさんでもそこまでしませんわー!
●律
本性を表したわね……!
いいわ、やってやろうじゃない!
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第8話「いるべき場所」
ーーライブ会場
●アリス
もう足が動きませんのー!
どうして夢のなかでまで、レッスンしてるんですのー!?
●麗華の瘴念人<ミアノイジー>
だらしがないわね。そんな役に立たない足なんて、
いっそ切り落としてしまいましょうか。
●律
こ、これ以上は……私もさすがに体力が……。
●麗華の瘴念人
さあ、レッスンの続き、行くわよ。
●アリス
勘弁してくださいましー!
●麗華
そこまでよ。
●アリス
っ! 黒瀬麗華!?
●律
やっと、ご本人登場ってわけね。
●麗華の瘴念人
何? わたしたちはトップアイドルになるの。
邪魔しないで。
●麗華
あれは、わたしなのよね。
わたしが心の底で望んでいることが、具現化したもの。
●プロデューサー
そうだね。
●麗華
たしかに、その通りみたい。
後悔だけで構成された、醜いわたしだわ。
●律
後悔? それがあなたの抱えている感情なの?
●麗華
そうね。やり残したこと、
やるべきだったことがたくさんあるから。
●麗華の瘴念人
部外者は遠慮してもらえるかしら。
●麗華
遠慮するのはあなたよ。
あなたのしていることは、なんの意味もないわ。
●麗華の瘴念人
なんですって?
●麗華
だって、あなたはもう『ヴァルキュリア』じゃない。
そして『GE:NESiS』でもないのだから……。
●麗華の瘴念人
……話にならないわね。わたしは『ヴァルキュリア』だし、
同時に『GE:NESiS』にも属しているわ。
●アリス
そんなの、規定違反ですわ!
●麗華の瘴念人
なんと言われようとも、事実よ。
わたしは、このユニットでトップアイドルになるの。
誰にも、邪魔なんかさせない!
●麗華
わたしは『GE:NESiS』を裏切って辞めたことも、
『ヴァルキュリア』を半端に辞めたことも後悔している。
だから、そこから動けないでいるの。
●アリス
だけど、聞きましたわ。貴方、櫻花ひなたのユニットに
レッスンをつけているのでしょう?
それは前に進もうとしているからではないんですの?
●麗華
そうよ。ひなたとなら、いい加減過去の自分と決別できる
かもしれない――そう思ってレッスンすることをOKしたわ。
●アリス
だったら……。
●麗華
でも、だからこそわたしに重くのしかかるの。
ひなたといるのが楽しいからこそ……。
自分にはそんな資格がないって。
過去に犯した罪を忘れたのかって。
そう思うと、『ヴァルキュリア』でももっとメンバーと、
積極的に高め合うべきだったって。
そんな思いが、強くなっていったわ……。
●アリス
……もっと、メンバーと高めあう。
貴方がそれをやっていれば『ヴァルキュリア』は……。
●律
…………。
●アリス
……いいえ。なんでもありませんわ。
●麗華
でも、わたしはわたしを乗り越えるわ。
ニセモノなんかに負けない。
勝負よ。
●麗華の瘴念人
わたし、売られた勝負はきっちり受ける主義なの。
手加減しないからそのつもりで。
●麗華
もちろんよ。そうでないと、意味がないわ。
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第9話「過去に生きる」
ーーライブ会場
●麗華の瘴念人<ミアノイジー>
はぁ……はぁ……。
やるわね、あなた……。
このわたしについてこられるなんて。
ただものじゃないわ。
●麗華
それは、どうも……。
だけど予定では、わたしが圧勝することになっていたのだけど。
●アリス
互角、ですわ……。
●律
当然といえば、当然かもしれないけどね。
●麗華の瘴念人
わたしも、負けられない……。必ず『ヴァルキュリア』と
『GE:NESiS』は、アイドルの頂点になるのだから!
どうして、その思いを否定するの?
あなたには、分かるはずよ。
こんなに素晴らしいユニットでに出会っておいて、
それがダメならまた新しい場所で、なんて、虫がよくないかしら?
●麗華
それは……。
●麗華の瘴念人
すでに失敗した、終わらせたというのなら、原因はあなたよ。
また新しいユニットに手を出して、終わらせる気なの?
過去に執着するのは当然。だって、わたしには過去しかないから。
……わたしに、誰かと未来を生きる資格はないのよ。
●麗華
…………。
●アリス
ちょ、ちょっと! 何を説得されかけてるんですの!?
●律
ニセモノは黒瀬麗華自身。それだけ、いろいろな思いが
心の中に渦巻いている、ということよ。
●麗華の瘴念人
……いまよ!
●麗華
えっ。
●瘴念<ノイジー>
――ジジジジジ!
●アリス
きゃあっ!? 急になんですの!?
●プロデューサー
させない!
●麗華
プロデューサー!?
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第10話「肯定すべき選択」
ーーライブ会場
●律
まさか、不意打ちをされるとは……。
●アリス
なんて卑怯な!
実力はあっても、アイドルの風上にもおけませんわ!
●麗華の瘴念人<ミアノイジー>
もう少しだったのに……。余計なことを。
●麗華
…………。
●プロデューサー
大丈夫?
●麗華
え、ええ。ありがとう。
●プロデューサー
ひなたといてほしい。
●麗華
え? わたしが、ひなたと?
●プロデューサー
そう。
●麗華
でも……聞いていたわよね。
きっと、また傷つけることになるかもしれない。
●プロデューサー
そんなにやわじゃない。
●麗華
……そう。そうかも、しれないわね。
でも、またわたしが裏切ったりしたら……。
●プロデューサー
嘘。
●麗華
嘘って、何が?
●アリス
……黒瀬麗華。ワタクシには分かりますわ。
あなたのことは気に入りませんが、
誰かを平気で裏切るアイドルではないのは、知っています。
そのとき一番いいと思う選択を、悩んで選んだ結果なのでしょう?
だったらそんなにクヨクヨしないでくださいまし。
ライバルがそんなだと、うっとうしいですわ!
●麗華
アリス……。
●アリス
少なくとも『ヴァルキュリア』は
誰も裏切られたなんて思っていません!
●律
『GE:NESiS』のメンバーとはいざこざがあるみたい。
だけど私には、互いに意固地になっているようにしか見えない。
それに、アリスの言う、そのとき一番いい選択をした結果。
まさしく、そのとおりだと思うわ。
未来なんて分からない。そのとき精一杯の選択をするしかない。
その行為すら否定されるなら……誰も、アイドルは名乗れないわ。
●麗華
…………。
●麗華の瘴念人
関係ないわ! 誰かを傷つけたのは事実!
やっぱり、わたしにそんな資格はないわ!
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第11話「挑み続ける誓い」
ーーライブ会場
●アリス
前を向きなさい、黒瀬麗華! そのために櫻花ひなたが
必要だと思うなら、それでいいじゃないですの!
●麗華の瘴念人<アミノイジー>
そんな資格、あなたにはない。
分かっているでしょう?
●麗華
……わたしは。
…………。
ひなたと、一緒にいたい。
●麗華の瘴念人
どういうつもり?
また、繰り返すの?
●麗華
繰り返さないわ。そもそも、わたしは『ヴァルキュリア』も
『GE:NESiS』も諦めていないもの。
『GE:NESiS』とは、希たちとは和解できるって信じている。
『ヴァルキュリア』だって、
ライバルとして切磋琢磨していきたい。
未来なんて分からない。そのとき精一杯の選択をするしかない。
アリスと律の言葉で、目が覚めた気分よ。
わたしは、自分の心の弱さが
間違いを引き出したと思いこんでいた。
でも違うわ。いまのこの現実は、わたしが挑んで選んだ結果よ。
だったら、開き直るしかないわ。
だって、わたしはこれからだって一歩も引く気はないのだから。
連敗を増やさないよう自制するより、
勝ち星で連敗を止めたほうが、わたしらしいと思うから。
●麗華の瘴念人
……本気なのね?
●麗華
もちろん。いまの現状はわたしの選んだ結果。
だったら、胸を張っていまできることをするわ。
●麗華の瘴念人
そう。残念だわ。歴史は繰り返すのね。
だったら、力づくでも止めてあげるわぁ!
想世(アンダー)サイド:第10章「贖罪の日」第12話「未来への道しるべ」
ーーライブ会場
●麗華
ありがとう、2人とも。お礼を言うわ。
●アリス
お礼なんて、言われる筋合いはありませんわ。
貴方がそんなだと、ワタクシが困るのです。
ワタクシは、そう言っただけですわ。
●律
私も、別に。ただ客観的に言っただけ。
あなたがどうなろうと、興味はない。
●麗華
そうね。そうだったわね。
でも、いまのヴァルプロは有望なのね。
あなたたち、とっても手強い相手になりそう。
●律
当たり前よ。
●アリス
だから、ワタクシは認めてませんの!
ちゃんと勝負して、正式にNo.5の座をくだいまし!
●律
さっき勝負して負けてなかったかしら?
●アリス
あれはニセモノだからノーカウントですわ!
●麗華
ふふっ。そうね。
まあそのうち、現世<エイドス>でね。
プロデューサーも、ありがとう。
はじめは驚いたけど、その格好も似合ってるわ。
●プロデューサー
ありがとう。
●麗華
きっと、あなたとは長い付き合いになりそう。
向こうに戻っても、よろしく頼むわね。
●プロデューサー
こちらこそ!
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