レベル上げや寄り道が楽しい昔ながらのRPGはなぜ生まれた? 『グリムエコーズ』インタビュー
『グリムノーツ』に続く、童話の世界を舞台にした新作RPG『グリムエコーズ』の開発者インタビューをお届け。Part2ではゲームシステムを中心にお話を聞きました!(文:唐傘)
『グリムエコーズ』開発スタッフインタビューPart2
スクウェア・エニックスが2019年春配信予定で、事前登録受付中の新作RPG『グリムエコーズ』。
過ちを犯したことで己の役目を失った主人公たちが、贖罪のために童話の世界を旅していく本作。3Dフィールドを自由に探索できるようになるなど、『グリムノーツ』からシステム面が大きく変化しています。
▼普通にフィールドやダンジョンを移動して、敵にぶつかるとバトル! ザコ敵と戦ってレベル上げをする楽しみも含めて、いい意味で「普通のRPG」です。ガチで楽しい!
作品に込められた思いやシステムの開発秘話などを、プロデューサーの石井諒太郎氏、シナリオ担当の大泉貴氏、アート面やキャラクターデザイン担当の穂里みきね氏にうかがいました。
▼左から石井諒太郎プロデューサー、大泉貴氏、穂里みきね氏。

Part1に続く今回は、ゲームシステムに関するお話を聞きました!
レベル上げが必要で寄り道も必要な、昔ながらのRPG
——ゲームシステムは『グリムノーツ』とは違うものにしようと考えていたのでしょうか?
石井:はい、そこは決めていました。『グリムノーツ』のサービスが終了するわけでもありませんし、作品の世界観は好きだけどシステムが合わなかったという人もいると思うんです。
そういう方に楽しんでいただけるもの、『グリムノーツ』のプレイヤーさまにも別の楽しみを感じていただける作品と考えたときに今の形になりました。
——ゲームシステムも、コンシューマに近いイメージがあります。開発はスムーズに進みましたか?
石井:最初に決めたものから、大きく変わっていません。コンシューマに近いと言っていただけるのはすごく嬉しくて、スタッフがビジョンを共有して、作っていった結果かなと思います。
どこまでオートにするかなど、スマートフォン向けの快適さは社内でもかなり議論しています。オートやスキップをもっと入れた方がいいという意見もあるのですが、そうすると遊び方が結局同じになってしまうのかなと思うんです。
——確かに、それが入ることで触り心地がかなり変化しますね。
石井:そうですね。またこのタイプにしてしまうと、一度スキップしてしまうと物語が読み返せないんです。
そうするとシナリオが分からない状態で進めることになってしまうので、スキップはなくしました。
いつでも読み返せるように物語を切り出して保存しておくこともできるのですが、「あとで読もう」は「一生読まない」ということも多いので、あえて用意しませんでした。
——たしかにコンシューマのRPGには読み直し機能がないものが多いですが、ゲームとして成立していますしね。それにしても、話を聞けば聞くほど、運営型というよりパッケージ販売に近い買い切り型のゲームのような気がするのですが……?
石井:買い切りに関しても検討したのですが、家庭用RPGを遊んだことがない方にアプローチしようとしたときに、少しでもお金がかかると手にとってもらえないことが多いと思うんですよね。
基本無料からスタートして広げていこうと考えたため、今の運営型にしました。こういう作品の体験として大事なのは、時間がかかってもラストまで遊べるということだと思うので、そこをベースにしています。
一歩間違えると完全無料になるので、難しいですけどね(笑)。
——現状はストーリーを楽しみながらヒーローを育てる1人用RPGとして楽しめそうですが、マルチ要素なども検討されているのでしょうか?
石井:マルチがないことが、特徴になっていくのかなと思います。マルチがあるとどうしても「他の人より強くならなきゃ」という気持ちが強くなってしまうので、完全に1人でプレイできるタイトルとして、自分のペースで遊んでいただけたらと思います。
——CBTを遊んだ感じでは、完全無料の1人用RPGとして、コンシューマ感覚で楽しめそうでした。本作はヒーローごとのレアリティ差がなく、どのヒーローも最終段階まで成長させられますしね。
石井:レアリティというよりも、進化過程です(笑)。ヒーローは、レアリティ違いで3パターン登場しますが、成長後の違いはありません。
物語を進めたり、サブクエストをクリアしたりすることで、ヒーロー自体は無料でもどんどん仲間にできます。限界突破も無料でできる場合が多い状況ですが、ガチャでレアリティが高いヒーローを仲間にできると、その分の時短ができるようなイメージですね。
『グリムエコーズ』については、ガチャも含めて課金は、「時間をショートカットするための手段」という考え方をしているので、そういう意味では完全無料でもクリア自体はできるはずです。
ただし、そういう作りになっていることも踏まえて、ゲームとしての難易度は高めです。
我々の想定としては、ボスの初見クリアは難しく、何回か負けて、レベル上げをしたり、相手の弱点にあわせてメンバーや装備を考えたりすることで、ようやく勝てるくらいのバランスで考えています。
RPGなので、究極的には推奨レベルを大幅に超えるくらい強くすれば力押しでも突破できるという部分は担保しつつ、頭を使うと楽に突破できるというゲーム的な楽しさを重視しています。
例えば、回避アクションに慣れる=プレイスキルを磨くことでも難易度は下がりますし、属性やロールを踏まえてパーティメンバーや装備を考えることでも難易度は下がります。
——それを聞くと、どのヒーローから育てようか悩みますね。
石井:回復ができるヒーローは便利ですね。そういう意味では、ヨリンゲルは普通におすすめです。ネタではありません(笑)。
穂里:最近だとむしろ珍しいと思いますが、『グリムエコーズ』はバトル後にHPが自動回復しません。
ダンジョン探索中にザコ敵とのバトルでHPが削られてしまい、ボスまでたどりつけない……なんて、昔のコンシューマRPGだったら当たり前だったようなこともありますので、回復役のヒーラーは便利なんです。
——ゲーム開始直後にはアラジン、ドロシー、時計ウサギと3タイプのヒーローを選べますが、誰がおすすめですか?
石井:本作には5種類の職種を用意していますが、ストレスなく遊びたいなら、ストライカーのアラジン(双剣)がおすすめです。移動速度や攻撃速度も早く、がんがん攻められますから。

穂里:遠距離攻撃ができるマジシャンの時計ウサギ(両手杖)は、耐久力が低めですが、魔法の火力の高さ&攻撃範囲の広さは大きな魅力です。
ディフェンダーのドロシー(片手槌+盾)も、防御力が高いうえに敵をブレイクして隙を作りやすいところが強みです。盾役のディフェンダーはゲームによっては必須のロールですが、『グリムエコーズ』でもしっかりと活躍してくれます。
ストライカーと比べると、ちょっとゲーム上級者向けのところがありますが、どれを選んでも大きな有利不利はないと思います。
石井:ストライカー、マジシャン、ディフェンダーの他に、重い一撃が強力なアタッカー、弓などでの遠距離攻撃が得意なシューターといった職種もありますが、さらにそれぞれの武器によっても戦い方が大きく変わります。
(職業と武器については、別記事でも紹介しています)
パーティメンバーの組み合わせによっていろいろな戦い方ができますし、バトル中に武器を持ち替えることもできる(※)ので、プレイスタイルに応じたさまざまな遊び方ができるはずです。
※例えば双剣を装備できるアリスと、細剣を装備できるアリスと、異なる武器を装備できる同一ヒーロー(アリス)を仲間にすると、仲間にしたヒーローと対応した武器種については、バトル中に武器を変更することが可能になります。
——ちなみに、クローズドβテストを受けて調整した部分はあるのでしょうか?
石井:全般的に説明不足の部分が多かったので、説明用の文章やパネルを増やしました。
例えば、CBTでは「バトルのテンポが遅い」という意見が目立ったのですが、それを分析したら、その意見は移動速度が遅いディフェンダーを選んだ方からの意見だったんです。
たしかに、最初に3人のヒーローを選ぶ際にそれぞれの特徴の解説もなかったので、選んだヒーローによってバトルの感じ方が変わってしまっていたんですね。
そういう反省も踏まえて、正式サービス時にはヒーローを選ぶ際の説明も追加しました。
——なるほど。個人的には説明書を読まずに遊び始めるタイプなので、そういう親切な解説がはさまるのは助かります(笑)。
石井:ほかにも回避アクションも非常に重要なのですが、意外と気付かれていなくって(苦笑)。
普通にフリック操作で回避アクションがありますし、敵の攻撃にタイミングよく回避を行うとジャスト回避で無敵時間が増えるのですが、「回避アクションが欲しい」という声がけっこうありまして……。
こちらも解説を増やしたうえに、敵の攻撃中に「!」を表示して、ジャスト回避を出しやすいように調整しました。
ちなみにオート操作でもある程度の回避行動は行いますが、ボス相手の時などは手動でしっかりと回避を行うことが勝利につながるかと思います。
——本作は、バトルにもかなり力が入っています。初心者向けのアドバイスをお願いします。
石井:ここまでにも説明しましが、ヨリンゲルのような回復役を育てておくこと、回避アクションを出せるようにしておくことが大事ですね。
回復に関する補足として、回復薬などの回復アイテムも非常に重要です。フィールドなどで入手した素材でどんどん作れるので、惜しまずに回復アイテムを使いながら戦うことをおすすめします。
それから、必殺技の使用タイミングを考えることでも勝率が高くなりますね。
1つは、敵の必殺技のキャンセル用として使うこと。相手の予備動作を見て、そこに重ねるようにこちらが必殺技を使うと、敵の技をキャンセルできます。
そのため、ボス戦では無計画に必殺技を使わず、ゲージを温存しておくことが大事です。
もう1つは、必殺技のゲージは3つまでためることができ、2つ以上ためた状態で使うと「必殺技連携」を繰り出せることがポイントです。
1人目の必殺技使用後に2人目、3人目と必殺技をつなげることができ、ダメージに補正がかかっていきます。単発で3回必殺技を使うよりもダメージ効率がよくなるので、乱発せずに使用回数をためておくことも重要ですね。
——パーティはサブの4枠目までヒーローを配置できますが、オススメの運用方法はありますか?
石井:4枠目は基本的に、レベルを上げたいヒーローを入れておくのがいいと思います。戦闘に参加しなくても経験値がもらえますからね。
ただボス戦では、誰かが倒れてしまい4人目が登場する場面も出てくると思います。そのときに、戦況を変えるような必殺技を持つヒーローを入れておくのも1つの手といえるでしょう。
またヒーローは4人までですが、バトル中に武器を入れ替えられるので実質的にはもっと多様な戦術が取れると思います。慣れるまでは、忙しいので大変かもしれません。
【インタビューPart3では、主人公やヒーローといった登場キャラクターに関するお話をお聞きしているので、お楽しみに!】
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『グリムエコーズ』の開発スタッフが手がけてきた『グリムノーツ』も、童話をモチーフにした非常におもしろいRPGとなっています。AppBank.netには各種インタビュー記事を掲載しているので、本作に興味を持った方はぜひチェックしてみてください!
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