なぜジョブズはティム・クックを次のApple CEOに選んだのか?

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ジョブズが見出したティム・クックの素質とは?

製品の大量生産手段と部品の安定供給を確保することでジョブズのビジョンを実現させる事に成功したクックは、その素晴らしい仕事ぶりから、2007年にアップルの最高執行責任者に昇進しました。


一般的な企業にとって大量生産をする為には、物流をコントロールする事が最も困難な作業です。だからこそ「デザイナー」「マーケッター」「エンジニア」などの全てのチームが「生産チーム」に報告をします。

しかし、以前のジョブズの経営では、すべての部門がデザインチームに報告するようになっており、最終的な決定権は、常にデザインチームが握っていました。


ですが、Apple製品を大量生産する為には、事前に計画を立て、すべての製品を滞りなく、しかもできるだけ安く大量生産する方法を考えなければなりません。


これは非常に困難な仕事ですが、これまでほとんど誰も気にせず、製品設計やソフトウェアエンジニアリングのように目立つ仕事ではありませんでした。そのため、クックがこれらを舞台裏でスムーズに動かしていても、脚光を浴びることはなかったのです。

実際にジョブズの後任が誰になるかという話をすると、Appleを代表するデザイナーであるジョナサン・アイブや、Appleを代表するソフトウェアエンジニアであるスコット・フォーストールなどの名前が上がり、クックの名前が出ることはほとんどありませんでした。


しかしAppleのCEOは、最高のプロダクトデザイナーやソフトウェアエンジニアでは無く、ジョブズのように優れた人材を見抜き、直感的に優れた決断を下し、従業員の能力を最大限に引き出し、会社が円滑に運営され、正しい方向に向かわせる事が出来る人物でなくてはならないのです。

そして、その素質が1番あるのは、間違いなくティム・クックでした。

クックは、製品の設計はしないものの、経営工学の学位を持ち、IBMでロボットによる製造を採用したり、カリスマ的な性格ではなくともチームリーダーやマネージャーとしての能力があり、従業員から賞賛されていました。クックはAppleの経営者の中で最も総合力のある人物だったのです。


また、ウォルト・ディズニーやスティーブ・ジョブズのような、代わりが効かないとされる伝説的なリーダーの後任にCEOが陥りがちな落とし穴も、クックは避けています。

よく新CEOは自分が正しいと思うことをするのではなく、前CEOがやりそうなことをベースに意思決定をする事が多いのです。しかし、クックは自分自身がリーダーである事を証明する為に、ジョブズよりも人権や慈善活動、環境への取り組みに重きを置くような自分自身のスタイルを優先させています。


しかし、Appleへの愛と揺るぎない責任感はジョブズと同じです。そして、クックがこれまでに下した決断は、Appleを世界で最も価値のある企業にし、顧客から最も人気のある企業にすることにつながりました。もし、ジョブズが今生きていたら、今のAppleをきっと誇りに思うことでしょう。

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