違法アップロードを繰り返す凶悪ウェブサイト「パイレート・ベイ」を潰せない理由

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「パイレート・ベイ」が無くならない理由とは?


2009年4月17日、創設者のピーター、フレドリック、ゴットフリッドの3人とサーバー提供者のカール・ルンドストロムは、著作権侵害の罪で有罪となり、それぞれ1年間の禁固刑を言い渡されました。また、罰金として3,000万スウェーデン・クローナ(約4億円)の支払いも命じられました。

しかし、彼らはスウェーデンは政治的な圧力に屈したとして、この判決を不服とし、控訴しました。その結果、彼らの刑期は数ヶ月短くなりましたが、罰金は4,600万クローナ(約6億円)に増えてしまいました。ただ、創設者たちは、この罰金を払うつもりは毛頭もありません。ピーターは、判決後の記者会見で「3,100万クローネ(約4億円)の借りがある」という看板を掲げました。この金額は政府が元々得ようとしていた金額です。

またピーターは、「金はない、あっても全部燃やして、灰も渡さない」と言い放ったのです。そして、カールもピーターも、それ以上逮捕に抵抗することはなく、あっさりと屈服してしまったのです。

しかし、ゴットフリッドとフレデリクはそうもいかず、逃げ回りました。ゴットフリッドは、スウェーデンへの身柄引き渡し禁止政策をとっているカンボジアに逃げ込みました。しかし、その政策があるにもかかわらず、カンボジア警察は2012年8月30日にゴットフリッドを逮捕し、スウェーデンに強制送還しました。

スウェーデンとカンボジアは、ゴットフリッドの身柄引き渡しのために取引をしたとの憶測が流れています。なぜなら、ゴットフリッドが逮捕されたわずか6日後、スウェーデン政府はカンボジアに4億クローナ(約50億円)の助成金を発表したからです。しかし、我々には本当のことは分かりません。

ゴットフリッドはスウェーデンに戻ると、マリーフレッド刑務所で刑期を終えましたが、警察はそれだけにとどまりませんでした。ゴットフリッドは、さらにハッキングや詐欺の容疑も重ねられ、合計3年の刑期も言い渡されたのです。しかし結局、2015年9月、ゴットフリッドは釈放されています。

そして最後に、フレドリックについては、ゴットフリッドよりもさらに長い間、警察から逃れました。彼はラオスとタイに逃げ、この2つの国で生活を築いていたのです。

正直なところ、なぜどちらか1つを選ばなかったのか、その理由はわかりません。そして、2014年11月にその国境を越えた際に、彼は逮捕され強制送還されてしまいました。フレドリックにとって幸いだったのは、彼の実刑判決が10カ月と、ゴットフリッドよりはるかに軽いものだったことです。

また、フレドリックは「刑務所はそれほど辛い所ではありませんでした。」と述べています。

どうやら、彼は刑務所の中で唯一、仮想犯罪のために捕らえられていたようです。そのため、看守は彼に対してそれほど厳しくありませんでした。彼は、映画の入ったUSBメモリを密輸して、刑務所のテレビで見ることができたと言っています。また、友人や家族には会えませんでしたが、パイレート・ベイのファンから何十通もの手紙が届き、それが10ヶ月を乗り切る力になったと言っています。

創設者全員が獄中にいる今、警察はついにパイレート・ベイを完全にシャットダウンすることができたと考えました。

2014年12月9日、スウェーデン警察は再びパイレート・ベイを捜査し、サーバー、コンピューター、機器をすべて押収しました。しかし、パイレート・ベイが閉鎖されて4日後、Isohuntというトレントサイトがoldpiratebay.orgというサイトを立ち上げました。このサイトは、パイレート・ベイの全てのコンテンツをコピーしていたのです。

そしてこの時、警察は自分たちが永遠に負けたのだと悟ったのです。実は、パイレート・ベイは自らファイルをホストしているわけではありません。世界中の仲間をリンクでつないでいるだけなのです。つまり、パイレート・ベイが保存しているのはリンクだけということです。

ウェブサイト全体のコンテンツは、少なく見積もっても1ギガバイト以内に収まり、何千人もの人々が日常的にウェブサイトのコピーを作っていました。

そのため、警察がサイトのコピーを1つ削除したとしても、データを新しいサーバーにアップロードし、新しいドメインを取得することはそれほど難しくないのです。つまり、”パイレート・ベイ”を本当に潰すことは不可能だということです。

警察は基本的にパイレート・ベイの取り締まりを諦めています。なぜなら、責任を追及できる人物を特定できないからです。 一方、著作権者は、インターネットサービスプロバイダと協力して、海賊版へのインターネット接続を遮断することに力を注いでいます。しかし、これは海賊版がVPNを使うことによって回避できます。

その後、パイレート・ベイの創設者であるピーターはFlattrというサービスを立ち上げました。

このサービスは、クリエイターに寄付するのではなく、WikiLeaksのような社会を良くしたり、汚職を明らかにするウェブサイトやプロジェクトに寄付するために使われるサービスです。Flattr以外にも、ピーターは様々な世界観についてスピーチやインタビューを行っています。

一方、ゴットフリッドとフレドリックは、公には出てきていません。彼らは公的な存在ではなく、インターネットの奥深くに消えてしまったのです。フレドリックは釈放された後、IT関連の仕事に就いてラオスに定住しているといわれています。おそらく彼は今も、同じ生活をしているでしょう。

海賊版ソフトウェアや違法アップロードは、今もなお多くの開発者やクリエイターを困らせる大きな問題です。しかしこれらに対する取り締まりは難しく、解決は容易なことではありません。

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