スティーブ・ジョブズに大きな影響を与えた大学時代
ジョブズは高校生の時、ヒューレット・パッカードのビル・ヒューレットに「電子部品が欲しいです」と電話をかけました。その結果、ジョブズたちは、部品と夏のインターンシップを手に入れたのです。
ジョブズは、HP社の組み立てラインで、周波数カウンターにナットやボルトをつける仕事をしました。そして高校を卒業し、大学に進学した後、大学の求人に応募する際、HP社での経験を書きました。
ただ、この求人はあまりいい印象を与えませんでした。なぜなら、ジョブズは住所を漠然と通っていたリード大学と書いたり、ヒューレット・パッカードのつづりを間違えていたからです。
また、ジョブズは、大学の必修授業が嫌で1学期で退学しています。しかし後に彼は、リード大学での経験がこれまでやってきたことの全てに役立ったと語っています。
というのも、彼は退学後もキャンパスをぶらつき、面白いと思った授業に立ち寄っていました。それが彼のイノベーターとしての資質を形成することになったのです。
カリグラフィーの授業では、美しいフォントや書体、文字の組み合わせによるスペースの違いなどを学びました。ジョブズはこの頃に学んだことが今後、役に立つのか分かっていませんでした。しかし、10年後に振り返ってみると、それはとても明確なことでした。
後にジョブズは「もし私が中退していなかったら、このカリグラフィーの授業に立ち寄ることもなかったでしょうし、パーソナルコンピューターにあのような素晴らしいタイポグラフィはなかったかもしれません。」と述べています。
また大学時代は、コカコーラのボトルをリサイクルして食費に充てたり、ヒッチハイクで町中のハーレクリシュナ寺院に行き、日曜日の食事をタダにしたりする生活を送っていました。
彼は食生活に非常にこだわっています。果物や葉物野菜ばかりを食べ、体に有害な成分が発生することを防いでいました。そして、体をきれいにするために、定期的に断食をしていました。
ジョブズは、リード大学在学中にハトやネズミの実験器具の修理をするアルバイトもしていました。
仕事以外の時間は、大学の図書館で仏教の本を読みふけったようです。伝記作家のアイザックソンは、仏教のシンプルさが彼のデザインセンスに影響を与えたと述べています。
そのセンスは、Appleの美しくシンプルなデザインだけではなく、ジョブズの私生活にも見て取れます。ジョブズは、黒いタートルネックにブルージーンズというシンプルな服装で有名でした。
また、大学時代にはサイケデリックな実験も行っていました。LSDを使ったことを、人生で最も深い体験のひとつと表現し、心を開いたと評価しています。
そして一説によると、Appleという名前は、大学時代に訪れたリンゴ農園から由来しているそうです。このように、彼のクリエイティブ能力は大学時代に多く刺激され、のちのAppleにつながっていくのです。