たった3粒で人が死ぬ。暗殺者が好む猛毒植物2つ

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ベラドンナ

さらにヨーロッパの森には別の植物が潜んでいます。ベラドンナです。

ベラドンナは、トマトやジャガイモ、ピーマンなどの食用に適した植物と同じ仲間で、「デッドリーナイトシェード」と呼ばれることもあります。その紫色の実は甘いですが、けして食べてはいけません。アトロピンやスコポラミンなど複数の危険なアルカロイドを含み、毒殺事件で使用された長い歴史があります。


ベラドンナは、アトロピンとスコポラミンという強力な毒物を含んでいます。ともに神経伝達物質に作用し、アセチルコリンを標的とします。通常、アセチルコリンは神経系と筋肉との間のメッセージを伝達します。シナプスの末端に到達すると、アセチルコリン受容体に結合し、心拍数の調節から汗腺の刺激まで、さまざまな役割を果たします。しかしアトロピンやスコポラミンがアセチルコリン受容体に結合すると、アセチルコリンが神経系と他の筋肉や臓器との間でメッセージを伝達するのを妨げてしまいます。


そうなると様々な問題が発生します。体温調節が狂って熱が出る、瞳孔が開き虹彩が見えなくなる、唾液分泌が抑制され非常に喉が渇く、せん妄や幻覚、発作を起こすこともあります。ベラドンナは、百年前のローマ皇帝を毒殺したことで有名な植物です。1830年にアトロピンという化学物質が単離できるようになると、さらに毒殺に使われることが多くなりました。


トウゴマとベラドンナはとても危険な植物ですが、どちらも医療や産業で大きな役割を果たしています。特にトウゴマからとれる油は貴重な商品となっています。 温度が高くても粘度があまり変化しないという特性から、高温の金属を潤滑するのに使われており、レーシングエンジンやジェットタービンエンジンに最適なオイルの1つです。

一方ベラドンナは、医学的な役割も果たしています。アトロピンとスコポラミンは、喘息、乗り物酔い、鎮静、出産時の痛み止め、パーキンソン病、抗精神病薬として使用されています。そしてアトロピンは、神経ガス中毒の解毒剤という驚くべき機能も持っています。


このように猛毒を持っているにもかかわらず、医療や産業で使用される植物が世界には存在しています。しかし危険なものであることに変わりはありません。もしどこかで見つけたりしても、けして口にはしないよう注意しましょう。

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