ジョニー・アイブ退社後のAppleはどう変わったのか?
アイブは「Apple Park」の完成とともに、Appleを退社することを告げます。彼はデザインチームを賞賛し、Appleのアイデンティティを維持するよう促しました。
退社を発表する直前、アイブはサンフランシスコの劇場にデザインチームを招集し、映画「Yesterday」のプライベート上映会を開催しました。
この映画は、売れないシンガーソングライターの青年が事故から目覚めると、自分以外の全ての人間が「ビートルズ」を忘れた世界になっていたという設定です。主人公はビートルズの曲で成功を収めますが、「芸術」と「ビジネス」の狭間で迷い続けます。
映画が終わると、アイブが壇上にあがり、この映画から大きなインスピレーションを受けた、と話し始め「アートが成長するためには、適切なスペースとサポートが必要だ」と訴えました。「本当に大きなものになると、それが特に重要なんだ」と語ったそうです。
アイブがAppleを去る際には、1億ドル以上の退職金を受け取ったとのこと。彼はその後、自身の会社「LoveForm」を設立し、Appleのコンサルタントとして働いています。
テック系メディア「Appleinsider」はこれについて、Appleはアイブの退社以降、デザインを後回しにしているように見えると指摘しています。Appleのデザイナーは「アイブがいなくなったあと、以前よりもエンジニア部門との交流が増えた」と述べていますが、コスト面での圧力にも直面しているようです。
最近の新型「MacBook Pro」の発表でも、クックはデザインよりも、内蔵された新たなチップのパワーを強くアピールしました。iPhoneも年々性能は進化していますが、その分端末の厚みは増し、カメラユニットもバランスが悪く感じられるほどに大きくなり続けています。
クックCEO下のAppleが経済的に大きく成長したことは疑いようのない事実です。しかしそのためにAppleが、ジョニー・アイブというAppleを代表するデザイナーを失ったことも、動かしようのない現実なのです。