iPhoneやMacBookが「値上げされ続ける」理由

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Appleは、なぜ強気な値上げをするのか?


今のAppleの価格設定は、過去に新しいデバイスを価格設定していた時と比べてどのように変化したのでしょうか。以前のAppleは、iPodやiPhoneやiPadの新モデルで価格を上げることは非常に稀でした。どちらかというと、価格を下げようとしていました。

初代iPodは399ドル(約53,000円)でデビューし、2014年に最後のiPod classicモデルが製造中止になったとき、その価格はわずか249ドル(約33,000円)でした。つまり、13年の間に150ドル(約20,000円)も下がったことになります。

MacBook Airの価格は2008年の発売以来、下がり続けていましたが、2018年のモデルでは10年の歴史の中で初めて値上げが行われました。そして、このパターンはAppleのほぼすべての製品で見ることができます。

iPhoneは499ドル(約67,000円)でデビューしましたが、当時の格安モデルとされるものでも749ドル(約100,000円)から販売されていました。そしてフラッグシップモデルは1000ドル(約130,000円)で販売され、2007年の価格より大幅にアップしています。

2007年のiPhoneはキャリアからの補助金を受けていたため、実際の価格は499ドル(約67,000円)よりも高額でした。しかし、それでも現在のiPhoneほどではありませんでした。そしてiPadに至っては、2010年の499ドル(約67,000円)から、2018年には799ドル(約100,000円)にまで価格が上がりました。

つまり、Appleがほぼすべての製品を値上げしていることは明らかです。

Appleがここまで値上げする理由は、中国の高い関税対策や、米国の深刻な経済インフレによる影響など、さまざまな説があります。

しかし、「Apple Explained」は、本当の答えはもっとシンプルだと考えています。それは、Appleが多くの製品カテゴリーで販売減少に直面しているということです。

iPhone、iPad、Macは市場の飽和状態に達しています。つまり、拡大できる市場があまり残っていないということです。その結果、製品の売上は2015年をピークに減少しています。

実際、AppleはiPhone、iPad、Macの販売台数を投資家やアナリストに伝えないようになりました。その代わりに、各製品カテゴリーからどれだけの収益を生み出しているかを報告するようになったのです。

これはもちろん、Appleでさえも、以前のような販売台数を達成する自信がないことを意味しています。

ただ、Appleの株主は、Appleが毎年健全な成長をすることを期待しています。そのためAppleは、既存製品の価格を上げて、販売台数低下による減収をカバーしているのです。価格が上がれば、1回の販売でより多くの利益を得られるため、それほど多くの製品を販売する必要はありません。

そして、それはまさにここ数年Appleが行ってきたことなのです。しかし、これは意図しない結果をもたらす可能性があります。

Appleが価格を上げすぎた場合、ユーザーはAndroidやWindowsのような、手頃な他のプラットフォームに移行してしまうかもしれないのです。

しかし、Appleはここで優位に立っています。なぜなら、ほとんどのAppleユーザーは、Apple製品を1つだけ持っているわけではないからです。Appleユーザーは複数のApple製品を持っていることが多いのです。

つまり、Appleから他社に移行しようとするためには、複数の製品を買い換える必要があるということです。また、一部の製品だけを他社に移行した場合は、不便なエコシステムに投資することにもなってしまいます。

iPhone、Apple Watch、iPadを所有した後、Androidに乗り換えようとすることを想像してみてください。新しいスマートフォン、スマートウォッチ、タブレットが必要になります。さらに、それらのデバイスはiOSのようなシームレスな連携が、できない可能性もあります。

そのため、Appleのエコシステムに慣れ親しんだユーザーは、同じ便利さを手に入れるために、どこから手をつけていいのかさえわからないでしょう。Appleの製品ラインアップをビジネスプランとして見ると、いかにユーザーを引きつけ、離さないように設計されているかがわかります。

実際、すべてのハイテク企業が、新しい顧客を獲得するために独自のエコシステムを構築しようとしています。

Appleの最も優れていることは、製品同士をシームレスに統合させ、便利な機能を提供していることです。このビジネスプランがAppleに有利に働くためには、ユーザーにメリットを与える必要があります。

つまり、製品に高いお金を払ってもらうためには、その見返りとしてさらに大きな価値をユーザーに提供する必要があるということです。それができなければ、ユーザーは上がり続ける価格に不満を抱き、Appleのエコシステムから大量に離脱してしまうでしょう。

では、Appleはユーザーにさらなる価値を提供するために何をしているのでしょうか。それは、他では手に入らないような最先端の技術を製品に搭載するということです。

例えば「iPad Pro」の多方向の顔認証、低遅延でタッチ操作ができる「Apple Pencil」、パワフルな「A12X Bionicチップ」の提供などです。また、120Hzのリフレッシュレートを搭載した美しいディスプレイのタブレットは、当時Appleにしか存在しませんでした。

そして、市場にこのような製品が他にないため、Appleはこれまで以上の値上げをすることができるのです。

考えてみれば、MacBook Airや初代iPod、iPhone、そして発売当時は本当に高価だった初代Retina MacBook Proも、他社には無い技術を提供していました。

そして、これはAppleの高価格帯の製品すべてに当てはまることではないかもしれませんが、ユーザーがAppleに忠実にしている重要な要因です。

Appleがここ数年、競合他社との差別化をするために注力してきたことがもう1つあります。それは、プライバシーです。

Appleが初期からずっとプライバシーに対して強硬なスタンスを取ってきたことはほとんどの人が知っていることです。しかし、ティム・クックはそのスタンスを以前にも増してアピールしています。

それは、Appleが現在および将来のユーザーに、自分たちのデータで利益を得ていないことを知ってもらいたいのです。これはユーザーとの信頼関係を築くだけではなく、Apple製品の高価格を正当化することに役立ちます。

つまり、Appleは既存製品の売れ行きを鈍らせてしまっているため、ユーザーから信頼を得てどれだけ高く製品を販売しても購入してもらえるような関係を築きたいと考えているのです。

しかし近年では、度重なるインフレによる値上がりのうえ、日本市場では円安の影響も出始めています。最近登場した新型「MacBook Air」は、発売開始価格が前モデルよりも6万円も高くなっています。Appleも「iPhone SE」などの安価なシリーズを充実させ始めており、消費者の限界も近いと考えているのかもしれません。


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