「メキシコ産コーラ」に隠された真実
アメリカでは、メキシコのコーラが珍しかったため、大切にされるようになりました。なぜアメリカにメキシコのコーラがあまり入ってこないかというと、メキシコのコーラはメキシコ人が多く住む地域や、砂糖入りのコーラに慣れた移民が住む地域にしか送られなかったからです。
そのため、このメキシコ産コーラの希少価値は高く、入手困難になってしまいました。それでも多くのコーラ好きは、メキシコ産コーラに夢中になりました。なぜなら、メキシコ産コーラこそオリジナルのレシピだったからです。
メキシコ産コーラは当時、レトロなガラス瓶に入っていて、滑らかでおいしいとされていました。
そこで2010年、科学者たちが集まり、科学雑誌のために実験を行いました。彼らはコカ・コーラを含む清涼飲料水の成分を分析し、どのような種類の甘味料が使われているのか、そしてその甘味料がどれくらいの量が含まれているのかを調べました。
この実験では、メキシコ産のコカ・コーラやアメリカのコカ・コーラ、メキシカン・コーラなど、たくさんの清涼飲料水を集めてテストが行われました。
その結果、メキシコ産コカ・コーラにはスクロース、つまり砂糖が含まれておらず、ブドウ糖と果糖しか含まれていないことがわかりました。また、そのメキシコのコーラからは、高果糖コーンシロップが検出されました。
しかし、メキシコ産コーラの原材料には砂糖と書いてあります。一体何が起きているんでしょうか?これには、2013年に起こったメキシコでのある変化が原因となっています。
2013年、メキシコの議員たちは、メキシコの肥満率に非常に関心を持ちました。メキシコは、公衆衛生当局から「世界で最も太っている国」と見なされていたのです。
その原因のひとつは、大量の砂糖を消費していることでした。そのためメキシコの国会議員たちは、糖類を含む飲料に税金をかけました。
すべての甘い炭酸飲料に税金がかかることになったため、製造コストが高くなりました。その結果、コカ・コーラはコーラを作るための安いオプションを探しました。そして使用されるようになったのは、高果糖コーンシロップと同じような甘味料でした。
そして2013年には、メキシコでコカ・コーラを製造し供給する業者の多くが高果糖コーンシロップを使用するようになっていたのです。つまり、メキシコのコーラはすでに、以前のような砂糖でできたコーラではなかったのです。
しかし多くのコーラ製造業者は、メキシコ産コーラが高くても売れることに気づいていました。そのユーザーを取り込む為にメキシコで作られたという、特殊なブランドを作り出したのです。
つまり、メキシコ産のコカ・コーラに砂糖は入っていません。そして、メキシコ人もメキシカン・コーラを飲んでいません。メキシコ人も高果糖コーンシロップ入りのコーラを飲んでいます。
では、アメリカで売られている「メキシコ産コーラ」はどうなのでしょうか?ジョニー・ハリス氏によれば、メキシコ産コーラを売っていた店主は「これは砂糖で作られているから安心していいよ」と言っていたそうです。
しかし彼は、それすらも信じられないといいます。前述の研究では、メキシコ産コーラの原材料が砂糖なのにも関わらず、実際は高果糖コーンシロップが使われていたからです。メキシコ産コーラが飲まれ続ける理由は結局のところ、クールでレトロなガラス瓶に入っているからなのかもしれません。