ビル・ゲイツは「史上最悪の経済危機」をどのように回避するのか?→日本人が学ぶべき点とは?

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先見性のあるゲイツは、どのような対策を行っているのか?


2022年6月時点では、S&P500はコロナ渦のピークから15%以上高い位置になっています。ただ、ゲイツは安心できないと考えています。


コロナ渦による世界経済への影響

コロナ渦が起こる前は、経済はずっと好調でした。消費活動は活発で、供給サイドも同様でした。コロナ渦は、消費者にも供給者にも深刻な影響を与えています。お金を刷ったからといって、経済活動をコロナ渦以前の水準に戻すことはできません。コロナ渦の経済的影響は、現在も続いているのです。

旅行やイベントに行きたい、あるいはレストランに行きたいという人々の行動は、この病気に対する懸念によって全く変わってしまいました。この病気をしっかり研究して、仕事場や自動車工場、建設現場などに出かけても安全だと言えるようになれば、私たちは自信を持って行動を取ることができます。

そこまで到達するまでは、政府が杖を振って、突然経済が以前のようになるとは誰も思わないはずです。

今は、95%以上の治癒率を誇る奇跡の治療法か、ワクチンの普及が待たれるのです。

需要サイドのショックと供給サイドのショックがあり、需要サイドのショックは感染への恐怖と、多くの人が職を失うことによる全体的な影響によって、産業全体が通常の経済よりはるかに低い水準で運営されています。

経済状況が脆弱であることに加え、ゲイツはパンデミックが終わったとは思っていません。ゲイツはFinancial Times紙に対し「そのパンデミックがさらに感染力を増し、さらに致命的な亜種を発生させるリスクはまだ残っています。そして、このパンデミックのリスクは5%をはるかに超えており、私たちはまだ最悪の事態を見ていないのかもしれません」と語っています。

つまり、高いインフレと負債だけではなく、まだ悪化する可能性のパンデミックもあるということです。

これらの要因が重なり、米国は恐ろしい経済・社会危機のリスクにさらされているのです。

ゲイツが株を売却する理由とは?

ゲイツは投資をするだけでは無く、実は資産を売却しています。2022年第1四半期の四半期報告書から、ゲイツがさまざまな企業の株を売却したことが明らかになりました。その中には、バークシャー・ハサウェイの13億ドル(約1,700億円)以上、キャタピラーの5億ドル(約700億円)以上、その他膨大な数の株式が含まれていました。

ゲイツがなぜ株を売るのでしょうか。その理由を知るには、ラーソンの戦略を知る必要があります。ラーソンは、この作戦の頭脳です。

彼は、アルファ(投資の世界ではリスク調整後収益と呼ばれる)を最大化する方法を熟知しています。2008年の不況で市場は大暴落しましたが、ゲイツの純資産はごくわずかな減少にとどまったといわれています。

ラーソンの投資戦略は分かりませんが、ウォーレン・バフェットの投資戦略を反映していることは、公開された書類から分かっています。

ゲイツの資産構成を見てみると、景気変動に左右されない企業が多いことがわかります。その一例が、ゲイツが30億ドル(約4,000億円)を保有しているWaste Management(廃棄物管理などを行う企業)の株です。株式市場が50%下落したからといって、Waste Managementの投資をやめる人はいないでしょう。

ラーソンの戦略のもう1つの要素は、他の資産への分散投資です。ゲイツが米国最大の農地所有者である理由は、高いアルファと分散投資を行っているからです。

農地は1991年から2018年まで平均11%以上のリターンを記録し、マイナスになった年は一度もありません。これは、不況になったからといって、人々が食べ物を食べなくなることがないからです。農地はリスクがほとんどなく高いリターンが得られるため、アルファを持つことができるのです。


ラーソンは、プライベート・エクイティ(未公開企業や不動産に対しての投資)などの投資も行っています。農地と同様、プライベート・エクイティも、個人投資家には手が出せない分野です。しかし、ゲイツにとってプライベート・エクイティは、損失を回避するための素晴らしい分散方法なのです。

このようにゲイツは、大きな経済危機に備えてリスクのある株などを売って、景気の影響を受けにくい株などを買っているのです。ゲイツの予測が必ずしも正しいとは限りませんが、「資産を安定した投資先に分散させる」という考え方は、銀行への貯金が多い日本人も見習うべき姿勢だといっていいでしょう。

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