Appleやテスラを悩ませる「供給不足」の原因3つ

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ロシアによるウクライナ侵攻が与えた影響


3つ目が、ロシアのウクライナ侵攻による混乱です。ロシアもウクライナも、巨大な製造業の国ではありませんが、世界のサプライチェーンに大きな影響を与えています。ウクライナはネオンの世界的な供給地です。そのネオンは、半導体製造で使用されるレーザーを動かすために重要な部品です。

アメリカの半導体製造に使われるネオンの90%がウクライナ産です。さらに戦争によって、ニッケル、アルミニウム、小麦、ひまわり油の供給も大幅に絶たれました。

また、ロシアも世界第3位の産油国であり、第2位の石油輸出国です。数カ月の間にガス価格が異常なほど高騰した主な理由の1つは、ロシアの石油をカットしたからです。そして、この制裁がすぐに緩和されることがないと考えると交通網は、さらなる燃料価格の上昇に備える必要があります。

ロシアは石油のほか、世界第2位の天然ガス生産国であり、世界最大の天然ガス輸出国でもあります。製造業は天然ガスに大きく依存しているため、天然ガス価格が上昇すると大きな影響を受けてしまいます。

原材料もさることながら、戦争は主要な輸送網も破壊してしまいました。世界最大の国であるロシアから、貨物列車や飛行機、船をすべて遮断してしまうと、物資の輸送がかなり難しくなってしまいます。

たとえば中国では、戦争が始まったとき、ロシア経由でヨーロッパに輸送される予定の100万個以上のコンテナが物流路で立ち往生しました。今は、すべて船で運ぶ必要があります。つまり、ロシア・ウクライナ戦争は、原材料だけではなく、国際輸送網にも大きな打撃を与えたということです。

グローバルなサプライチェーンは、何十年にもわたって生産し、規模を拡大し、供給することで作り上げられた巨大な蜘蛛の巣のようなものです。そして、このクモの巣に突然、3つの巨大な野球のボールが投げ込まれたのです。

1つ目は、パンデミックです。パンデミックがもたらした、ロックダウン、解雇、工場閉鎖は壊滅的な影響を与えました。また、労働者不足で生産能力をフル稼働させることも難しくなっています。

2つ目は、インフレです。原材料、労働力、燃料の値上げにより、サプライチェーンの各段階で経費が増加しています。一方、企業は顧客維持を最大化するために、値上げを最小限に抑えようとしています。そのため、企業はサプライチェーンの問題に正面から取り組まず、後回しにしています。

3つ目は、ロシア・ウクライナ戦争です。この戦争によって、ネオン、天然ガス、石油などの重要な資源が遮断されただけではなく、ロシアを経由する貨物輸送がほぼすべて遮断されました。

このように、3つの大きな問題がサプライチェーンに影響を与えています。これは一朝一夕に解決できるものではありません。

何百万という製造業の雇用が失われたままであることを考えると、最も明確な解決策は自動化に傾注することです。しかし、その開発には何年もかかるでしょう。

物価が現在の水準まで上昇するのに1年かかりました。仮に今がピークだとしても、インフレが冷え込むには、もう1年かかるでしょう。

また、ロシアに関しては、仮に今日戦争が終わったとしても、関係修復には10年以上かかるはずです。そのため最善の策は、天然ガスや石油、ネオンの新しい供給源を見つけることです。しかし、これにも時間がかかるでしょう。

この負の連鎖が終わる見通しはまだ立っていません。

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