iPhone 5は日本で使える「おサイフケータイ」になるのか?

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AppBank の主任です。

iPhone 5 をめぐる噂には時折「NFC」という言葉が出てきます。調べてみると、どうやら Suica や PASMO・Edy などと同じ、近距離の無線通信のことのようです。

そうなると「iPhone 5 はおサイフケータイになるかも?」という予想もできますが、実は「NFC」には様々な規格があり、Apple が対応するものによっては iPhone 5 の NFC 機能は日本で使えない恐れがあります。

そこで今回はこの「NFC」とは何かを解説しつつ、iPhone 5 が日本でも使える「おサイフケータイ」になるのかを考えてみました。

目次

NFCには種類が4つある

NFC といってもその方法には様々な種類があります。現在、世界には4つの種類がありますが、中でも広く使われているのが MIFAREFeliCa です。

日本において最も普及しているのは FeliCa です。おサイフケータイの他に ICOCA・Suica・PASMO のほか、Edy や WAON で使われています。

一方、ヨーロッパ・アメリカでは MIFARE という国際規格が普及しています。


新規格ですべてに対応

世界各地の様々な通信方式に対応できるようにと、2003年に NFC IP-1 という国際規格ができました。MIFARE・FeliCa の通信方式に対応しています。

しかし、こうした規格があるにも関わらず、海外製スマートフォンの多くは「おサイフケータイ」にはなれませんでした。この国際規格では解決できない問題があるからです。

それは MIFARE と FeliCa の暗号化方式の違いです。


暗号化方式の違い

なぜ暗号化が必要なのかというと、MIFARE と FeliCa は電子マネーカードとして利用することがあり、そのチャージ金額などを不正に操作されないようにするためです。

この暗号化機能を「セキュアエレメント」と呼びます。これは専用のチップや SIM カードにインストールされた形で携帯電話に搭載されます。

海外製スマートフォンの多くはシェアが高く、安価な MIFARE のセキュアエレメントを搭載しています。そのため、通信方法は FeliCa に対応していても暗号化は MIFARE のみなので、日本ではおサイフケータイとして使えない場合が多いのです。ちなみにドコモの Galaxy S III は日本専用に設計変更したために FeliCa に対応しています。

また、SIM カードに内蔵するタイプでは FeliCa の仕様を満たすことができないため、この方法では FeliCa のセキュアエレメントを内蔵できないとされてきました。


大手SIMカード製造会社がFeliCa対応へ

そんな状況を大きく変える可能性を秘めているのが、大手 SIM カード製造企業「ジェムアルト」の新製品。FeliCa の開発元であるソニーと提携し、FeliCa のセキュアエレメントを載せた SIM カードを2012年中に出荷するというのです。このような製品が生産されるのは、おそらくこれが初めてです。
ニュース – [MWC2012]GemaltoがFeliCaでソニーと提携、2012年中にも対応SIMを出荷へ:ITpro

つまり、スマートフォンが NFC IP-2 と SIM カード内蔵型のセキュアエレメントに対応していて、対応アプリがあれば FeliCa 対応 SIM カードを挿すだけでおサイフケータイになるということ。

これならスマートフォンに FeliCa 専用のチップを載せる必要がなく、従来通りの設計で済みます。既に発売されている製品は OS をアップデートして対応アプリを入れれば、この SIM カードを挿すだけでおサイフケータイになります。


iPhone 5がNFCに対応するとしたら…

これまでに海外製スマートフォンでも一定の条件を満たせば、おサイフケータイ化できることが分かりました。ここからは本題の iPhone 5 について考えてみましょう。

iPhone 5 が NFC 対応となれば、規格は少なくとも「NFC IP-1」でしょう。これは MIFARE・FeliCa に対応しているので、世界各地で発売される iPhone 5 に不可欠です。あるいはその上位規格の「NFC IP-2」となるかもしれません。

MIFARE・FeliCa による電子決済に使う「セキュアエレメント」は、おそらく SIM に内蔵するタイプに対応するでしょう。iPhone 5 にチップを搭載するとなれば製造コストが上がります。SIM カードであれば携帯電話会社に負担を分散できるので、Apple は SIM カードに内蔵するタイプを選ぶと考えられます。

OS が NFC の規格とセキュアエレメントに対応すれば、あとは対応アプリのリリースを待つばかりです。

このように iPhone 5 のおサイフケータイ化は順風満帆に思えますが、現状から考えるに2つの問題が残っています。


iPhone 5おサイフケータイ化の問題点

1. NFC用アンテナは内蔵できるのか

NFC で通信する際にはアンテナが必要です。NFC 対応のスマートフォンには平らなコイル状のアンテナが内蔵されています。iPhone 5 にもそのアンテナが必要です。

技術レビューサイトの考察によれば、流出したとされる iPhone 5 には NFC 用のアンテナを設置できる、適切な場所がないとされています。
AnandTech – Preparing for the iPhone Next: Rumors Analyzed

2. FeliCa対応SIMカードは提供されるのか

製造元のジェムアルトは2012年中の出荷を目標としていますが、それが延びたり、あるいは契約上の都合から特定の携帯電話会社には提供できないといったことがあると、仮に iPhone 5 が NFC 対応であってもおサイフケータイとしては使えません。

執筆時点では続報が見当たらないため、製品の開発・生産が順調に行われているのか・この製品を購入する携帯電話会社がどこなのかは分かっていません。


参考(順不同)

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