『オルサガ』のf4samuraiが明かす、スマホゲーム運営における理想のマネジメント

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画像引用元:オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団- 第三部アニメーションムービー – YouTube

おもしろいスマホゲームは、どのような開発現場から生まれるのでしょうか?

7月21日にディライトワークス主催で行われたセミナー「ゲーム作りの理念・ビジョンが開発現場にどう根付いているのか、その裏側を公開 〜多くのユーザーに支えられるゲームはこうして作られる〜」で、そんな疑問の一端が明かされました。

▼セミナーでは、f4samurai、アカツキ、ディライトワークスのスタッフによる講演が実施。多くのゲーム業界関係者が耳を傾けていました。
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この記事では、『アンジュ・ヴィエルジュ』や『オルタンシア・サーガ』、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』などの開発で知られるf4samuraiの佐藤允紀氏による「スマホゲーム運営における“理想”のマネジメントについて」をレポートします。

●佐藤 允紀氏プロフィール(株式会社f4samurai)
新卒、銀行にて法人営業及び投資業務に従事。2010年よりモバイルゲーム会社の経営企画、マーケティング、サービス開発・運営、海外展開などを担い2014年より現職。

目次

「おもしろき ことがあり世に おもしろく」という企業理念

登壇したのは、f4samuraiの最高マーケティング責任者(CMO)である佐藤允紀氏。「スマホゲーム運営における“理想”のマネジメントについて」をテーマに、さまざまな話が展開されました。

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まず語られたのは、f4samuraiの企業理念について。

世界に“一番のワクワク”を届ける
「おもしろき ことがあり世に おもしろく」

そこには、今までも楽しいけれども、これから先をもっと楽しくしていきたいという気持ちが込められているとのこと。

昨日までも楽しかったけれども、今日はもっと楽しく。つねにさらなる楽しさを求めていくスタンスで開発をしているため、開発現場にも楽しさがあふれているそうです。

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佐藤氏は「ゲーム開発には大変なこともありますが、それでも「楽しい」という気持ちをもって、作ることを楽しめるような環境」がf4samuraiらしさだと語っていました。

また、「ワクワクを届ける」という部分については、ビジネス的な成功よりも「お客様にとっての一番/自分たちにとってのベストを目指す」ことが大事と解説。

「これはあくまでもf4samuraiでの実例であり、他のやり方もあると思います」と佐藤氏も断りを入れていましたが、「意識集中」をキーワードに、スタッフが「よりよいゲーム開発」に集中できるようなマネジメントを心がけているそうです。

その姿勢は徹底されており、予算的な部分はリーダー層の一部で管理を行い、ほとんどの開発スタッフは予算のことを考えずに、とにかく楽しく、とにかくユーザーの満足度を高めることに集中できる環境を作っているとのこと。

また、外部との交渉や会議についても参加者を最小限とすることで、その手間やストレスを省く流れもあるとのこと。

そういった開発環境の整備は、よりおもしろいゲーム開発につながっているそうです。

シナリオもキャラクターデザインも内製という強み

f4samuraiの開発環境の特徴の1つが、シナリオライターもキャラクターデザイナーも社内に抱えており、ほとんどの作業を内製で行えること。

それはさまざまな部分で強みとなっており、例えばクオリティアップのための作り直しについても計画を立てやすく、スムーズに行えると佐藤氏は語っていました。

また、ゲームシステムの部分では、ギルドバトルの部分に注力をしてきたノウハウが強みとなっており、そのノウハウを社内できちんと共有できていることが、ゲームのクオリティにつながっているとも明かしていました。

会社の大規模化から必要が生じた「行動指針」での意識共有

続いて、より具体的な開発時の理念についても語られました。

その一例として示されたのが、f4samuraiの行動指針です。

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1.妥協せずモノを作る人
サービスの向上に100%の情熱を注ごう。
自分たちが納得するまで作り込み、ユーザーの期待に応える。それがf4のモノづくり精神。

2.リスクを恐れず挑戦する人
自分の枠を決めずチャレンジできる人になろう。より厳しい選択肢でも、良いものを作るための決断をしよう。
チャレンジできるタイミングは見逃さないアンテナを持とう。

3.仲間を思いやれる人
仲間意識を持ち、みんなで助け合おう。

4.自分の仕事以外にも関心を持てる人
自分が会社の環境やプロジェクトを支えていると自覚しよう。

5.進んで問題を解決する人
問題かと思ったら、早めに相談しよう。
そして、あなたと誰かで解決し、みんなで成長しよう。

6.質問と回答ができる人
わからないことや気になったことは必ず質問しよう。
また質問には真摯に対応し、相手が理解できるよう心がけよう。その繰り返しが信頼や次に繋がる行動力を生み出すのです。

7.ポジティブに考える人
つらい時でも現実を理解し、みんなで乗り越えよう。
善意と前向きな言葉を発信して、超イケてる雰囲気にしようぜ!

8.自分に正直になる人
一人のプロとして、かつf4メンバーの一員として、“みんなが信じる正しい自分”であろう。自分を飾らず、感謝、謝罪、反省をしよう。

ーーー引用元:f4samurai公式サイト

佐藤氏は、これらのことを「ある意味で当たり前のこと」としつつ、それをあえて行動指針としてまとめた背景には、会社が成長して規模が大きくなったことが一因だと語っていました。

当初は30人ほどで始まったf4samuraiは、『アンジュ・ヴィエルジュ』や『オルタンシア・サーガ』のヒットを得て順調に成長して100人規模となりましたが、人が増えると意識の共有が難しくなり、当たり前だと思っていたことをできない人も出てきたため、明文化する必要が生じたとのこと。

プランナーとして、長期的な視点を出発点にすることが大事

ゲーム開発や運営の際は、日々の売り上げやUU(ユニークユーザー数)など、目の前の直近の事柄にとらわれがちです。

ですが、佐藤氏が明かすf4samurai流の考え方や理想としては、まず「長期的な視点」を出発点にすることが大事だと語っていました。

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プランナーの考え方として、理想や目標として考えるべきなのは、10年、20年たっても遊び続けてもらえるような作品です。

そこを目標にしたうえで、そんな作品を実現できるチームや会社で結果を出していくという中期的な動きが必要となり、それらを踏まえたうえで、最終的に日々の売り上げやユーザー満足機会の創出など、短期的なことも考えていく必要が出てくると、佐藤氏は語っていました。

モチベーション管理や環境整備で「意識集中」を高める試み

講演の後半では、前述の「意識集中」に関する具体的なマネジメントが語られました。

【1】ユーザーに対する意識

CS(Customer Satisfaction/顧客満足)は非常に重視しており、売り上げ予算よりも重視しているとのこと。

そのため、あえてCS管理を行う担当を決めず、スタッフ全員でユーザーさんへのコミットを考えるスタイルにしているそうです。

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会議時間を減らすことも、「少しでも多く、お客様の満足度を高めることを考えることに時間を使いたい」という現れだそうです。

質疑応答では、売り上げよりもユーザー満足度を重視するという具体例について質問がありました。

それに対する事例としてあげられたのは、『アンジュ』と『オルサガ』の周年イベントで、たった1日しか行われない記念イベントのために200キャラ以上に新規の台詞をつけたこと。

ですが、結果的にはユーザーさんからの反響が大きく、休眠していたユーザーさんの復帰にもつながったので大成功だったそうです。

【2】クオリティに対する意識

ここでは、f4samuraiがシナリオやキャラクターデザインを内製できるメリットについて語られました。

クオリティアップのための作り直しや改善は恒常的に起こりうるため、その部分を内製でスムーズに行えることは強みになっているそうです。

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そういった環境だけでなく、優秀なエンジニアがいるからこそ、おもしろいゲーム仕様を実現できるとのこと。

エンジニアがプランナーのアイデアよりも深く考えることも多いため、プランナーとしてはよりクオリティが高いものを考え出す必要が出てきて、結果的にクオリティアップにつながることも多いそうです。

また、GvG(ギルドバトル)という要素を中心にゲーム開発を行い、ノウハウを積み重ねてきたからこそ、ギルドバトルを楽しみたいユーザーさんが求める要素を外さずに開発できるところも強みだと語っていました。

ゲーム会社によっては開発チーム同士で競い合うことでクオリティを高めることもありますが、f4samuraiの場合は横の連携を重視して、「より楽しいギルドバトルの実現」を全社一体となって考えてきたそうです。

【3】メンバーに対する意識集中

よりよいゲーム作りのために、評価システムについても工夫しているとのこと。タイトルの規模や売り上げではなく、先を見すえた準備活動やチャレンジ目標への取り組みを重視して評価しているそうです。

ゲーム的に3ヶ月ごとのイベントサイクルがあることと、人事評価的なサイクルが半年(3ヶ月×2)とマッチしていることもあり、ちょうどいいサイクルになっていると佐藤氏は語っていました。

また、開発スタッフのモチベーション管理も重視しているとのこと。

例えばイラストレーターには、ユーザーさんを集めてサイン会を開催したり、ビジュアルブックやCDアルバム用のイラストを描いてもらったりと、ゲーム内の絵を描いてもらうだけでなく、また別の形でやりがいがある仕事をお願いすることで、モチベーションアップにつながった事例もあるそうです。

ちょっとユニークな事例として、遅刻が多い人には社長自らが面談を行い、再発防止につとめているとのことでした。

会議室が和室であることも、会議が緊迫しすぎないようにしたいという狙いがあるそうです。

また、副社長は社員旅行や運動会といった社内行事に積極的で、そういった楽しい全体行事が多いこともf4samuraiの特徴といえます。

質疑応答では、「そういった行事に参加するのが苦手な人へのケアの有無」に関する質問がありましたが、強制参加ではなく、個々のスタイルをきちんと加味して、疎外感がでないように注意しているとのことでした。

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その他、近年は社外の方々との共同作業や交流が大きな刺激になり、クオリティアップにつながっているという話がありました。

例えば『オルサガ』の第三部アニメーションムービーについて、アニメーション制作スタジオのライデンフィルムとのやりとりは非常に貴重で、勉強になることが多かったそうです。

動画:オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団- 第三部アニメーションムービー – YouTube

また、版権作品の制作について社外の人と共同開発を行う際、その妥協のなさやクオリティを突き詰めていく姿勢なども、非常に有用だったとのこと。

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この流れは今後はより拡大していき、社外の方々を重要な「メンバー」として考え、一緒にものづくりをしていくケースが増えていきそうだと、佐藤氏は語っていました。

▼正月に神田明神に初詣に行った際には、おみくじで凶か大吉を引いた人に会社が豪華なランチをごちそうするイベントもあったそうです。余談ですが、佐藤氏は凶を引いてしまったそうですが、そのおかげでおいしいランチを食べることができて、ラッキーだったかも!?
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【4】将来に対する意識集中

f4samuraiでは、1つのタイトルを「開発2年+運用3年」と、5年という長期スパンで考えているとのこと。

3年の運用を行うためのアイデアやストーリーが完成しない限りゲームをリリースしないというほど、徹底して長期的な運用を重視しているとのことでした。

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仮にf4samuraiで30年勤務をするとしたら、6本しかゲームを作れません。これは、今のスマホゲーム業界で考えると少ないと感じる人もいるのではないでしょうか。

それについて佐藤氏は、本数が少ないからこそ、だからこそ1本1本にかける思いが強くなり、よりよいゲーム開発に結びつくこともあると語っていました。

まとめ:長期運用を前提とした考え方と、CS最優先の姿勢に感銘

約30分の講演でしたが、『アンジュ・ヴィエルジュ』(2013年12月配信)や『オルタンシア・サーガ』(2015年4月配信)と、スマホゲームの長期運用を実現してきたf4samuraiならではの説得力がある内容だと感じました。

特に「開発2年+運用3年」と、大前提として中長期の運用をイメージして開発していくスタンスは、当たり前のようでありつつ、それを実行するのは難しいかと。

CS(顧客満足)最優先で、そのために開発スタッフがゲーム開発に集中できるように徹底した環境整備を行っているf4samuraiだからこそ、将来に向けた長期的なビジョンを実現できるのかもしれませんね。

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現時点で既存タイトルと未発表の新作を含めて合計4タイトルを運営開発しており、今後も数十人規模でスタッ フを増やしていくそうです。

「これから入社するメンバーに、タイトルのプロデューサーやリーダーをまかせる可能性は十分にあります」と、佐藤氏は語っていました。

そういった将来を見すえて、f4samuraiではスタッフ募集も行っているとのこと。

今回のセミナーを通じてf4samuraiに興味を持った方は、エントリーしてみてはいかがでしょうか?

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©SEGA / f4samurai

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