「iPhone」と「iPod」を共に販売する選択肢はなかったのか?
Appleが収益を最大化するために、iPhoneと一緒にiPodを販売し続けようとしなかった理由は、iPodはユーザーに潜在的な利益を与えられなくなってしまったからです。
Appleは、ユーザーが必要とする重要な機能をiPhoneで提供できると考えています。そのため、iPodの需要よりも、はるかに高くなる可能性を認識していました。
実際にiPhoneは、ユーザーに「家族や友人とのコミュニケーション手段」「写真撮影」「仕事へのメール返信」「インターネットの閲覧」などの機能を与えました。
この機能は、iPodと比較して、ユーザーが高いお金を払ってでも手に入れたい非常に価値のある機能でした。
そのため、AppleはiPhoneとiPodを共に販売するのではなく、iPodの生産を終了して、全てのユーザーがiPhoneを買うように導いたのです。
この判断は結果として、ユーザーに利便性を与え、そしてAppleに大きな利益をもたらしました。
つまり、Appleは「1日で100万ドルを稼いで、経費で999,999ドルを使って、利益を1ドル上げる」ような効率の悪い稼ぎ方をすることを望まず、iPodを販売終了してiPhoneを売り、効率的にAppleの収益拡大をおこなったということです。
結果として、iPodが販売成功した時よりも、2007年の初代iPhoneが発売した際の方が、Appleに大きな利益をもたらしています。
Appleの利益が急増し、2016年までに世界で最も裕福な企業になれたのは、間違いなく販売をiPodからiPhoneに切り替えたことが要因です。
つまり、iPodは大成功した製品だったとはいえ、Appleが成長するためには、iPodの廃止は必然的だったということです。
そして、いずれiPhoneに変わる大きな製品が登場すると、また同じような現象が起こるでしょう。