Appleやトヨタを悩ませる「半導体不足」が終わらない根本的理由

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自動車産業や大手テック企業など、世界中の多くの業界が半導体不足により、大きな打撃を受けています。

半導体不足によってどのような影響があったのか、そして半導体不足になっている本当の理由について、海外YouTubeチャンネル「PolyMatter」が解説しています。




*Category:テクノロジー Technology|*Source:PolyMatter ,wikipedia

半導体不足が世間に与えた影響とは?


2021年4月、アメリカでは1,900万台の新車が販売され、2005年以来の高水準となりました。これは、古い車だけが売られたわけではありません。

今のシボレー・シルバラードやラム1500は、数年前に販売されたものとは全く異なっています。

業界全体で、何かとても奇妙なことが起こっています。最近製造された車から、ある機能が、あるパッケージが、ある部品が、突然消えてしまったのです。

例えば、21年型シルバラードの購入者は、1ガロン(約4リットル)で走れる距離が、以前販売された同モデルよりも1マイル(約1.6km)ほど短くなっていることに気がついているかもしれません。

プジョー308ハッチバックの場合、モニターに映し出されるデジタル表示のスピードメーターが、昔ながらのアナログ表示になっています。そして、ルノー・アルカナのダッシュボード・ディスプレイは、不思議なことに少し小さくなっています。

まるで「誰にも気づかれずに、どんな小さなことを変えられるか」というゲームをしているかのようです。その背景には、炊飯器からXboxまで、ほとんどすべての電子機器に搭載されている半導体の世界的な不足が関係しています。

自動車生産で足りなくなっているたった1つの部品

平均的な自動車は約3万個の部品で構成されていますが、そのうちの1個が足りないのです。その部品は、おそらく最終販売価格の100分の1である5ドル(約680円)ほどの価値しかありません。

ただ、たった1つの部品が無いだけで、すべてが「待った」の状態になっています。

工場は生産を停止し、労働者は働くことができません。フォード、ホンダ、フォルクスワーゲン、アウディ、そしてGMは、少なくともいくつかの生産ラインを停止させました。

アウディは1万人の従業員を一時解雇し、フォルクスワーゲンはその結果、車の販売台数が10万台減少すると予測しています。通常、半導体への投資はGDPの5%程度に過ぎませんが、この業界へのダメージは総額で600億ドル(約8兆円)以上となる可能性があります。

多くのブランドは、この問題は今後も続くと考え、機能を削減し始めました。

この問題は自動車産業だけではありません。

ソニーは2022年までPS5の需要を満たす見込みがなく、任天堂もSwitchを十分に製造できていません。そして、通常はこのような混乱とは無縁のAppleでさえ、影響を受けています。

ゴールドマン・サックスは、半導体不足によって169もの産業が影響を受け、最悪の場合、アメリカのGDPが1%減少する可能性があると主張しています。

何が原因でこれほどコストのかかる災害を引き起こしてしまったのでしょうか。

2020年初め、世界中で自動車の需要が激減しました。同時に、ルーター、モニター、ウェブカメラ、キーボード、iPadなど、家庭用電化製品の売り上げが急増しました。

そのため、自動車メーカーは半導体の発注を取りやめ、逆に家電メーカーが追加発注しました。半導体の生産ラインは、徐々に家電メーカー用にシフトしていきました。

しかし、自動車の販売数は、3月に落ち込んだ分とほぼ同じペースで回復し、2020年9月の自動車の需要は2019年の水準ほどになりました。このような需要の乱高下に慣れていないアメリカ人が、いつも通り車を買い出すと、自動車メーカーは慌てて部品を追加注文する必要があります。

しかし半導体は、すぐに作れるものではありません。なぜなら、半導体は1つのチップに何十億というトランジスタを利用し、さらに病院の手術室の10万倍もの無菌状態を維持して製造する必要があるからです。

半導体を完成させるためには、数日や数週間ではなく、数カ月もかかってしまうのです。その後、組み立て、テスト、パッケージングにさらに6週間かかります。この期間は、注文を受けた瞬間に必要な機械が揃っていることが前提であり、納期は含まれていません。

つまり、1個のチップを作るのに3カ月から6カ月半かかることになり、その間、自動車の販売数は落ち込み続けるということです。この半導体の供給不足は、専門家によると2022年まで続くと予想されています。

なぜ、ここまで時間がかかってしまうのでしょう。

これは、半導体メーカーの生産がただ遅いだけではありません。実は、別の問題が発生しているのです。半導体を作るには、非常に複雑なステップがあり、全く別の高度に専門化した会社が連携しています。

この仕組みは、効率的である反面、ある問題を生じさせます。


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