中国政府が〝自国IT企業の締めつけ〟をする理由

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中国テック企業〝締め付け〟の裏側で成長するスタートアップ


中国は、2018年に「ハードウェア」「戦略技術」「コンピューティング機器」に特化した600社のスタートアップを政府がバックアップすると宣言していました。彼らはこの取り組みを成功させました。そして、中国は今後数年で、さらに5,000社に資金を提供する予定です。

中国政府は、自国のテック産業の運営方法を変えることに非常に真剣に取り組んでいます。そのためであれば、犠牲を厭わない姿勢です。2021年、中国政府はアリババに28億ドル(約3,600億円)の罰金を科しました。これは、企業に対する罰金としては過去最大です。これは中国がテクノロジー分野の再編にいかに真剣に取り組んでいるかを示しています。

この中国政府の行動は、ハードウエア製造に事業をシフトさせるためですが、他の意図もあるといわれています。中国政府の目には、大手テック企業があまりにも大きな力を持ちすぎているように映っていたのです。このままでは、大企業が上層部の意思決定にまで影響を及ぼし、中国の一般市民の考え方や行動に影響を及ぼすことは明らかです。これは中国政府にとって容認できないことです。


テック産業の破壊は、中国の自給自足への欲求と必要性によって動機づけられました。しかし、それはまた、政府自体に権力を取り戻すための駆け引きでもあります。ただ、政府は大手テック企業にチャンスがあることも認識していました。

そこで習近平国家主席は、世界の他の地域でユーザーベースと足跡を伸ばすように促したのです。中国の国家発展改革委員会は、ソフトウェアやプラットフォーム企業がグローバルな舞台で競争力を発揮するために、国際的な能力をさらに拡大する方法についての指針を発表したほどです。中国政府は、テック企業が中国政府から資金を吸い上げるのをやめ、外国の資金をより多く取り込むことを望んでいたのです。

テック企業は委員会の言うことを聞き、中国の国境を越えて影響力を拡大し始めました。2021年、マルチメディアとビデオゲームを手がけるテンセントは、ヨーロッパに進出しています。ライドヘイリングアプリのDidiは、9カ国でUberと同数のユーザーを抱えています。そして忘れてはならないのが、TikTokです。TikTokは2021年の一部期間、Googleを抑えて世界で最もアクセス数の多いウェブサイトとなった中国企業です。


また、中国政府の新しい政策は、中国の人々にも利益をもたらしているようです。この法律では、これまで企業に義務づけられていなかったデータ漏洩の報告が義務づけられました。また、虚偽の広告や誤解を招くようなプロモーションは、より厳しい罰則を受けるようになり、中国の消費者を詐欺から守ることができるようになりました。テック企業は、倫理的な運営を行うことが求められるようになったのです。

中国の政策を全ての国が支持しているワケではありません。長年、米国はマイクロチップや半導体技術で中国に競り勝ってきました。しかし2021年、中国の長江メモリは、インテルとサムスンの両社の最強チップを凌駕するチップを作り出しました。


今現在、アリババが出資したOceanBaseは、世界で最も高速なデータベースです。米国のオラクルが運営する2番目に速いデータベースと比較すると、2倍の速さです。

中国は、米国よりも約700億円(約9兆円)多く研究開発に費やしています。これにより、より多くのイノベーションを世界中に出荷することができるのです。そして、中国のGDPは米国の2倍のペースで増えていきます。


中国テック企業の運営方法の転換は成功したように見えますが、中国がこの転換から完全に立ち直れるかどうかについては疑問です。多くの専門家は、中国政府がテック企業に対してあまりにも多くの規制や罰金を課し、自らを過大評価していると考えています。また、規制が強化されたことで、企業が自由に事業を展開することができなくなったことも大きな問題だと指摘しています。

中国から発信される情報のほとんどが国営の情報源であるため、中国国内で何が起きているのかは把握しづらいものです。しかし、私たちが毎日使っている製品、使っているソフトウェア、訪問しているウェブサイトを見れば、中国のハイテク産業の腕がどこまで届いているかは一目瞭然でしょう。

何よりも確かなことは、中国のテック企業は嵐を切り抜け、新しい方法で革新を遂げ、その存在意義を保っているように見えるということです。今後数年間、業界のリーダーや政府は、中国から発信される「技術」「ハードウェア」「プラットフォーム」を注意深く見守る必要があります。このまますべてが計画通りに進めば、中国は世界で最も支配的なテック産業を持つことになるでしょう。


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