排水を分解しつつ発電できる〝大腸菌〟がスゴすぎる

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スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームは、「大腸菌」を使って醸造所の廃水から電力を生産することに成功しました。この大腸菌の発電について科学メディア「Sience Alert」が詳しく解説しています。

*Category:サイエンス Science *Source:Sience Alert ,EPFL ,Joule

大腸菌が電力を生み出す


1911年、イギリスの菌類学者マイケル・クレッセ・ポッター氏はビール酵母が発電することを発見しました。それ以来、科学者たちは微生物燃料電池の開発に力を入れてきました。しかし、実用化には至らず、さらに微生物は電気を作るために消化する基質に非常に敏感であることも判明しました。特定の化学物質が存在する環境でしか電気を生成できないのです。一方、大腸菌は様々な種類の微生物を使って増殖することができます。発電できるように改良された大腸菌であれば、廃水を含む多様な環境で電気を生産することができるのです。

大腸菌の発電能力を向上させるため、研究者たちは大腸菌のゲノムを改変し、発電することで知られているバクテリアのシェワネラ菌に見られるタンパク質複合体の遺伝子を組み込みました。シェワネラ菌は、金属を還元するときに電子の流れを発生させます。この電気信号は、例えば、プロトタイプのシステムでヒ素などの有害金属を検出するのに使われてきました。

本研究の筆頭著者であるモハメド・ムヒブ氏らは、シェワネラ菌の発電経路の全要素を大腸菌に組み込むことで、シェワネラ菌の経路の一部のみを組み込んだ従来株と比較して、大腸菌の電気活性を2倍に高めることに成功しました。しかし、これらの実験は実験室条件下で1つのチャンバー内で行われたものです。どのような潜在的技術であれ、実際にテストされるのは、それが産業環境で機能するかどうかです。そこで研究チームは、スイスのローザンヌにある地元の醸造所から集められた廃水のサンプルで大腸菌システムをテストしました。


これまでの研究では、醸造所の廃水処理に藻類を利用することが検討されてきました。醸造所では、穀物の洗浄やタンクの洗浄に使用する水を処理してから廃棄する必要があります。なぜなら、その水には糖分、デンプン、アルコール、酵母が大量に含まれており、未処理のまま排出されると、好ましくない微生物の繁殖を引き起こす可能性があるからです。

改良された大腸菌は、なんと50時間以上かけて見事に廃水を処理しました。一方、比較対象として用いたシェワネラ菌は混合廃液を消化することができませんでした。EPFLの上級著者で化学エンジニアのアーデミス・ボゴシアン氏は次のように述べています。

Our bioengineered electric bacteria were able to flourish exponentially by feeding off this waste.


— 引用:EPFL

訳:私たちのバイオエンジニアリングされた電気バクテリアは、この廃水を餌にして指数関数的に増殖することができました。


このことから、遺伝子操作された大腸菌は、発電能力がシェワネラ菌より劣っていたとしても、産業廃水の処理にははるかに適している、と研究者たちは結論付けています。そして大腸菌が様々な化学基質を好むということは、他の廃棄物の種類や供給源にも適応できる可能性があるということです。

「有機廃棄物を処理するためにシステムにエネルギーを投入するのではなく、有機廃棄物を処理しながら同時に電力を生産するのです」とボゴシアン氏は話します。今後研究が進めば、かなりのエネルギー節約をもたらすことができるかもしれません。

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