皆様、お待たせしました。大人気ゲーム、パズル&ドラゴンズプロデューサー、山本大介氏への超ロングインタビューを公開します!
※ 以下、聞き手は AppBank 宮下です。- 付きの太字で発言しています。また山本氏への敬称は省略しています。
パズル&ドラゴンズの解説記事はこちらから。
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パズル&ドラゴンズの生みの親山本氏インタビュー。
– 今回はお時間頂き、ありがとうございます。パズル&ドラゴンズ(以下、「パズドラ」)は「これまでの iPhone ゲームの先にあるタイトル」としてApp Store に大きなインパクトを与えました。 iPhone で遊ぶ人たちはもちろんですが、それよりも「iPhone ゲーム開発会社、ソーシャルゲーム業界」への衝撃はかなりのものです。
今回は iPhone アプリ開発会社向けと、パズドラファン向けの2本立てで記事を書かせて下さい。
山本: よろしくお願いします!思ったままをお話しますね。
パズドラはソーシャルゲームなの?
– それでは最初に、パズル&ドラゴンズはソーシャルゲームじゃないですよね?
山本: はい。日本のフィーチャーフォンやソーシャルゲームでよくある、画面をタップして進めて、時間がたってタップしてといったゲームとは違うと考えています。
もともと、パズルゲームの基礎部分を作り込んでから、ソーシャルゲームの良い所を加味していった開発経緯もあります。言うなら、「ゲーム+ソーシャル」ですかね。プロトタイプ版には今のパズル部分しかありませんでした。そこから少しずつ課金要素などの部分を追加していきました。
– 私にとってパズドラ前の山本さんはゲームクリエイターの印象が強いです。課金やソーシャル要素をゲームに導入することは難しかったのですか?
山本: 抵抗はありませんでしたし、ソーシャルゲームでも遊び、リスペクトしていました。
ソーシャルゲームにお金を払って遊んでみると「なるほど、ここからはまってくるのか!」といったエッセンスが本当によく分かります。ソーシャルゲームはつまらないとヒステリックになる方も、お金を払いつつ真剣に調べていくことで、なぜこんなに遊ばれているのか分かると思います。
– パズドラのリリース前はどんなお気持ちでした?これほどまでヒットすると思っていましたか?
山本: 作っている最中は毎回そうですが「めっちゃ面白いゲームつくっている!」と思いながら自信満々で作っています。でも、リリース日が決定しその日が近づいてくると、「あれを入れておいた方が良かった。こうしたほうが良かった。」が積み重なってきて、、少しだけナーバスになりますね。、
– ビジネスの話をもう少し話させて下さい。課金のポイントとなるのは魔法石の消費ですよね。最も使われているのは他のゲームと同様に「レアガチャ」ですか?それとも、、、
山本: いいえ。大半が「コンティニュー」です。あと一回やればこのボスが倒せる!レアモンスターを前にして止めるわけにはいかない!という心境ですかね。
– それって完全にアーケードゲームですよね。スゲーム台の上に100円玉積み重ねているみたいな。
山本: はい。
– それは完全にゲームですね。私もコンティニューとスタミナに多く使っていて「もっと遊ぶために」払っていることを実感します。
パズドラの成功をどう思いますか?
– ちょっとミーハーな話を。数多の人気タイトルを抑えてトップを維持していて、こちらの記事にあったようにあの巨大タイトルの有名な月初アタックにも勝ちました。このことをどう思いますか?
山本: 素直にうれしいです。まさかここまでになるとは予想していませんでした。
一つの会社さんをどうのというよりは「今あるソーシャルゲームとは全く違う物を、ソーシャルゲームに勝つゲームを作る!」という思いで作り、実際にそうなったことが素直にうれしいです。
– 「パズドラ」が自体が App Store でのランキング1位の天井を上げていると感じている。日本のApp Store全体の売り上げがアメリカに迫っているという噂も聞いています。日本のApp Store セールスは上がっていると思いますか?
山本: セールス1位をとったことはパズドラが初めてなので正確には言えませんが、確実に規模は大きくなっていますね。
– フリーミアムやアプリ内課金のサービス向上や、利用者側の理解が浸透していることも考えられますが、iPhone ユーザーが増えているとも考えられますか?
山本: それはあると思います。 au から iPhone 4Sが発売されてからマーケットは大きくなり続けています。
– パズドラはアメリカにも進出するのですか?
山本: 出したいですね。その時はグラフィックの変更があるかもしれませんね。
– 日本でうける絵と海外でうける絵が違う、ということを意識してですか?
山本: それもありますが、私が前職で開発したエレメンタルモンスターTDからもお分かりいただけるように、あの手のかっこいい絵の方が実は大好きなので(笑)
– なるほど。
パズドラユーザーってどんな人?
– 利用者属性ってだいたい分かりますか?かわいいモンスターデザインなので女性も多そう。
山本: 「パズドラのツイッターアカウント」へのツイートやカスタマーサポート宛てに頂くお問い合わせからの推測ですが、多くの女性の方にも遊んでもらえているようです。
– ここで以前行ったパズドラアンケートの結果をご紹介しますね。回答数は1189件です。
まず男性女性の比率ですが、男性84%で女性13%でした。AppBank の読者であることと、ゲームということを考えると女性は多いと思います。
次に、年齢の分布ですが若い順から
12歳以下 0.34 %
13〜18歳 32.30 %
19〜25歳 22.79 %
25〜29歳 12.36 %
30〜39歳 22.46 %
40〜49歳 7.15 %
50歳以上 1.09 %
無回答 1.51 %
こちらは若い人が多いです。
AppBankの読者属性は30歳から39歳が最も多く、その次に25歳〜、そして10代と続き大学生や新社会人に比較的弱いので、パズドラは若い利用者に遊んでもらえていると考えられます。
山本: クラスで話題になっているという話は聞きますね。
パズドラのパクリの出現のうわさや、トレード機能について
– こちらの記事でも言われているように、他のゲーム会社がパズドラのコピー製品を作っているという話を聞きます。この点ってどう思いますか?
山本: ゲーム開発をする時に自分が参考にしているゲームはもちろん多数ありますし、いろんなアイディアや要素を検討することもあります。
でも、もし「パズドラ」の完全コピーゲームの時代が始まるとしたら、なぜ「パズドラ」が出たのかという意味がなくなってしまいます。今までと同じように、劣化コピーを遊び続けるユーザーが疲弊し、負のスパイラルが始まります。
最低でも、このゲームのここを遊んで欲しいって「核」となる部分は他と変えてきてよ‥とは思いますね。
– 利用者からトレード機能をつけて欲しいという要望は多いと思います。RMT問題等もあり実装しないほうが良いと私は思います。予定はありますか?
山本: トレードを入れたら盛り上がるのは理解しています。
「ラグナログオンライン」ではRMTの監視や取り締まりがかなり厳しいためこういった問題は起きにくい。「パズドラ」もこうした取り締まり体制を作ればできないことはないです。しかし、ここで無理してトレードを入れるより、トレードが本来もっているフレンドとの交流要素をより強くしたいです。
一つ良いアイディアがあるんです。これについては後でお話ししますね。
– パズドラが今こんなにエライことになっていることを踏まえて、今 iPhone アプリを作っている会社や頑張っている人達にメッセージを頂きたいです。
山本: ゲーム業界向けになりますが、実は私はソーシャルゲームを一度作ったことがあります。凄くシンプルな物でしたが、運用や設計など様々なことが新鮮で、学ぶことも多かった。しかし進めるうちに、ゲームとして作れるものの幅の狭さから飽きてきます。。。
iPhone でできることは大きく、利用者体験もより大きなものになります。楽しませる要素がどんどん盛り込めます。webページを単調に表示していくのではなく、「ゲームが面白い」ことを示したくて、「パズドラ」を作りました。
もう一つ、意気込み的なことになりますがこうなった以上、「パズドラ」がソーシャルゲーム勢を抑えてランキングのトップに居続けるように全力を尽くそうと考えています。「パズドラ」の順位が下がるとしたら、「パズドラ」を越えるネイティブゲームに抜いて欲しい。そういったゲーム同士で切磋琢磨していきたいですね。
– 今後の話などを聞かせてください。
山本: 実は、コンシューマー向けにパズドラを作りたいんです。アイテム課金一切なしのパズドラを。
– それって全然違うゲームになりますよね。おもしろそうだ!
山本: 「パズドラ」を作って、あまり自分のゲームで遊ばない私の嫁が、このゲームにはまっているんです。これが本当にうれしかった。
次は自分の子供達に遊んでもらいたい。まだ小さいのですが、彼らに遊んでもらえる「パズドラ」を作りたいんです。アイテム課金はやはり大人向けだなと思うので。
もう一つは、アーケードゲームのコンシューマー版が出る時の衝撃を作りたいのです。
– 本当にアーケードゲームを作っているようですね!では次はおたのしみのゲーム制作の話と次回アップデート内容の話にいきましょうか!
iPhone アプリ業界向けのインタビューは以上です。
次はパズドラユーザー向けの内容になります。
【開発者インタビュー】「パズル&ドラゴンズ」はこうして作られた。4月のアップデート内容も公開。 – AppBank
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