インテルがAMDに敗れ去った理由。大逆転劇のウラにいた「2人の天才エンジニア」の存在

AMDの極秘計画を成功させた2人の人物


AMDの計画の名称は“Project SkyBridge”。この計画でAMDはZenアーキテクチャを開発し、インテルを追い抜きました。

まず成功の鍵となった一人が、天才エンジニア、ジム・ケラーの存在です。


AMDは2012年にジムを再雇用し、Zenアーキテクチャーの開発を指揮させました。ジム・ケラーは、2021年までにApple、AMD、テスラ、インテルを渡り歩いた人物で、現在の半導体業界ではまさに神様のような存在です。

ジム・ケラーはこれ以前にもAMDで働いており、K7、K8を開発し、一度目にインテルがAMDを追い抜くためのきっかけともなっています。彼は2000年代に入ってから複数の大手半導体メーカーで上級エンジニアとして活躍し、Apple Aシリーズの基礎となるA4、A5チップの開発にも携わった人物です。

ジム・ケラー主導で開発された新アーキテクチャは「Zen」と呼ばれました。彼はこの極めて重要な技術の開発に貢献し、このアーキテクチャは最終的にインテルを打ち負かすものになります。彼は2015年にはAMDを去りますが、その頃には、Zenアーキテクチャは大きなエネルギー効率とパフォーマンスの向上を果たし、全ての目標と期待を上回るものになっていました。

もう1人は、リサ・スーCEOです。マサチューセッツ工科大学で電気工学の博士号を取得した彼女は、自身が素晴らしい半導体エンジニアでもあります。彼女は2014年、AMDのCEOに任命されました。


2016年、リサ・スーは、AMDがゲーム機用プロセッサーなどを製造するための、FinFETと呼ばれる新技術に多額の投資を行うことを発表。2016年にはゲームへの投資が功を奏し、グラフィックチップやゲーミングチップの販売により収益が急増するなど、窮地に陥っていたAMDを収益面で支えた人物です。多くのアナリストは、リサ・スーCEOの昇進を高く評価しています。

新しいZenアーキテクチャーを採用したAMDは、ハイエンドの“Summit Ridge(サミットリッジ)”シリーズを含むRyzenシリーズのCPUをリリース。これらはコア数の多さもさることながら、高クロックかつ低消費電力であり、インテル製プロセッサーを抜く高性能な選択肢として選ばれました。

AMDはこの時点で、インテルを市場での支配的な地位から引きずり下ろし、対等以上の立場に立ちました。しかし、Zenプロジェクトの成功は、この2人なしには実現できなかったといっていいでしょう。


これ以来、AMDは急成長を遂げ、2020年第1四半期にはAMDが15年ぶりにデスクトップCPUシェアでインテルを抜きました。まだまだインテルのシェアも根強くはありますが、今後の展開はAppleの独自プロセッサなどの登場により、さらに予測が困難になってきています。

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