ロシア経済は「史上最悪の制裁」で崩壊するのか?

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世界から厳しい制裁を受けているロシア経済が今どのような状況なのか、そして5年後にはどのように変化していくのかについて、海外YouTubeチャンネル「The Infographics Show」が解説しています。



*Category:テクノロジー Technology|*Source:The Infographics Show ,wikipedia

プーチン大統領にとって誤算となった強力な経済制裁




冷戦終結から20年近くの歳月を費やし、ロシアは不景気から着実に抜け出そうとしていました。しかし、一夜にしてロシアの経済は、昔のような不景気になってしまいました。


ロシアのウクライナ侵攻は2022年2月に始まりましたが、ロシアは2014年のクリミア併合に関する最初の国際制裁の時から、制裁に対しての準備をしていました。

ロシアは何年もかけて6000億ドル(約76兆円)以上の巨額の資金を集めていました。なぜなら、さらなる軍事侵攻に対する制裁の可能性があったからです。つまりロシアは、自国経済への打撃を和らげようとしていたのです。

しかし、ロシアは、これまでで最も厳しい制裁措置によって、一夜にしてその資金の半分を失ってしまいました。


プーチンは、侵略によってロシアに制裁が加えられることを予期していました。そのため、外貨準備として6000億ドル(約76兆円)を確保し、敵対行為が終わるまでその資金でロシア経済を支えようとしていました。

ただ、欧米諸国は、その資金をすべて凍結し、ロシアがその資金を入手できないようにしたのです。


プーチンは、欧米がこれほど素早く行動するとは、想定していませんでした。また、欧米諸国が自らを傷つけてまでロシアを制裁するとも思ってもいなかったのです。

なぜなら、2014年にプーチンがクリミアを併合した際、国際的な制裁は軽く、主にアメリカだけがロシアに圧力をかけていたからです。

プーチンは、ウクライナを侵略をしたことによって、このような厳しい制裁を受けることになるとは、予想していなかったはずです。


資金にアクセスできないロシアは、自国の経済を守るために極端な行動を取らざるを得なくなりました。

まず、ロシアは株式市場を閉鎖しました。最初は数日間でしたが、やがて数週間にわたって閉鎖されました。

この株式市場の閉鎖は、投資家の資産引き上げの懸念がほとんどなくなった3月下旬まで続きました。


そして、ロシアの中央銀行は40%も値下がりしたルーブルを救うために、金利を20%にしました。

金利引き上げは貸し出しや高額商品の購入を抑制するためですが、それでも3月のロシアのインフレ率は16.7%に達し、アメリカの8.54%と比べても極めて異常な高水準でした。


しかしウクライナ侵攻以前から、ロシア経済の将来は極めて不安定でした。

なぜなら、2015年から2016年にかけて、ロシアは原油価格の下落やロシアに対する国際的な制裁によって経済危機を経験していたからです。

原油価格が下がっても自国の経済が崩壊しない理由は、ロシアが経済の分散化に欠けているからです。


ロシアは、国家歳入の4割を石油・天然ガスなどの天然資源で補っています。それはGDPの6割に該当します。

これはロシアの国土が広大で、近代産業に欠かせない石油、天然ガス、鉱物などの埋蔵量が世界最大級であることを考えれば、当然のことかもしれません。


なんと、石油とガスだけで、ロシアの輸出の40%を占めています。


しかし、世界有数の天然資源の埋蔵量を誇ることは、恵みというよりも災いのほうが大きいかもしれません。

ロシアは世界第5位の億万長者を輩出していますが、経済が多様化していないため、先進国の中で富の格差が最も大きい国となっています。


また、外国勢力に狙われやすく、経済が麻痺しやすいという弱点もあります。

そのため、ロシアは西側諸国が再生可能エネルギーを敬遠するよう、できる限りの影響力を行使してきました。ロシアは、西側諸国で行われているグリーンエネルギー構想を解体しようとするキャンペーンに直接支援などをしていました。


また、西側諸国のエネルギー依存度を高めることにも力を注いでいました。実際ドイツはエネルギー需要をロシアに多く依存していたので、今回の制裁によって、多くの被害を受けています。

ドイツは、最近までウクライナに軍事的支援を行わなかったり、ロシアのエネルギーを全面的に禁止にしないなど、ロシアとドイツ経済に対して配慮をしてきました。

これは、いかにドイツがロシアのエネルギーに依存しているのかという証拠です。つまり、ドイツはロシアに対して公然と反対することを極端に嫌がっていたのです。


2014年から2016年にかけての金融危機では、投資家がルーブルへの信頼を失い、巨額の資金がロシア経済を離れました。ロシアは、そこから脱却するのに2年を費やしました。

しかし、今の経済制裁は、今後何年にもわたってロシアを苦しめるでしょう。


プーチンは、より直接的に経済に影響を与えようと、20年かけてロシアの発展途上の市場経済をソ連型の指令経済に変えてきました。


2003年、プーチンはロシア最大の石油会社ユコスを支配下に置きました。そして、ユコスは全盛期にはロシアの石油の20%を生産しました。


プーチンがどのようにしてユコスを支配したかというと、まずロシア政府がユコスに対して税金を払っていないという、偽の税金の請求書を作成しました。

その結果、ユコスは270億ドル(約3兆円)もの税金を払わなければならなくなりました。


そこでプーチンは、ユコスの全資産を凍結し、巨額の税金を支払うために会社の資産を政府に差し押さえるよう命じたのです。

そして、プーチンの指揮のもと、国有企業に少額で売却されてしまったのです。


ユコスの元社長である、ミハイル・ホドルコフスキーは、10年の禁固刑を受けますが、プーチンから恩赦を受けすぐに国外に逃亡します。そして彼は、プーチンの最大の批判者の一人となります。


この出来事は、ロシア国内で「プーチンの言うとおりにしなければ、財産をすべて盗まれて刑務所に入れられる」という明確な教訓になりました。

この教訓は広く知られているため、ホドルコフスキーの件に驚くロシアのオリガルヒはほとんどいません。

ロスネフチとガスプロムという2つの企業は、エネルギー市場でロシア最大の国営企業となりました。プーチンはこの会社が稼いだ金を自分の好きなように使うことができます。

プーチンは、その儲けでどこまで豊かになったかわかりません。プーチンの財産は、すべてが盗品であるといわれています。そのため、ロシア国民からの強奪によって、世界一の金持ちになったと考えている人もいるのです。


プーチンは国有企業を利用して、ロシア保安機関の中にいる彼の同志にキックバックとして資金を供給しています。親しい友人たちは、数百万ドルもの報酬を受け取っているということです。


ロシアの悪名高いセキュリティサービスは、今やプーチンに直接サービスを提供しています。

彼は、ロシアの治安組織の忠誠心を利用して、政府の敵や批判者をスパイ扱いし、威嚇あるいは完全に殺害してしまいます。

プーチンに反対するような人物は、おそらくすぐにプーチンに雇われている組織に、脅迫されるか暗殺されてしまうでしょう。


プーチンはロシア経済の最重要部門を直接支配するようになり、プーチンと上手くやっている企業家は、ノバテックやシブールなどの企業を立ち上げることが許されるようになりました。


しかし、プーチンの言いなりにならない者は、官僚的なロシアでのビジネスは非常にやりにくいものです。

実際、このような官僚主義と汚職の横行は、外国人投資家にとってロシアを極めて魅力のない市場とし、ロシア経済をさらに悪化させました。

しかし、2014年から2016年にかけての金融危機の後、プーチンはロシア経済に対する自らの支配力をさらに強固なものにしようとしました。

なんと、一定の成功を収めた真の独立系企業は、国への売却を迫られるようになったのです。


例えば、ロシア最大級の食料品小売チェーンであるマグニットは、政府への売却を強く迫られ、創業者のセルゲイ・ガリツキーは、自身の事業の株式の大半を国の金融機関に売却し、ロシアに従いました。

ガリツキーは25億ドル(約3,000億円)の大金を手に入れましたが、同時に自ら立ち上げた世界最大の食料品小売企業の所有権を失ったのです。

ガリツキーは懸命な判断をしましたが、他の者はそれほど賢くありませんでした。


クレムリンとの協力によって豊かになった富裕層の多くは、政府に事業を売却することに抵抗していました。

このようなオリガルヒの多くは、亡命するか、冤罪で投獄されることになるのです。


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