Amazonが恐れる最強小売企業「コストコ」はなぜ成長し続けるのか?

「Amazon」と「コストコ」のビジネスモデルの違いとは?


Amazonのユーザーは、プライムに加入することで十分な節約になるかどうかを個々に計算し、自己選別しています。プライムの会員費はロイヤリティを生みますが、Amazonのビジネスモデルを根本的に変えるものではありません。

一方、コストコは、収益の75%を会費で得ています。つまり会員制はロイヤリティ・プログラムではないということです。コストコにとって、会員制はビジネスモデルなのです。


2018年、コストコの会員数は、世界中に700店舗しかないにもかかわらず、Amazonプライムの1億人を少し下回る9,400万人でした。

これはApple Musicの6,000万人やHuluの2,500万人のような安価なデジタルサブスクリプションよりも多い数字です。そしてコストコの会員の90%が毎年更新しています。

その更新率の高さの理由は、コストコの会員がお得だからです。

コストコに会員費を払うことが慈善行為になったり、コストコを利用している間にもっと高価な商品で儲けているからなどではなく、単純に客が喜んでいるからです。つまり客は、会員費を払ったとしても低価格で高品質な商品を買うことができるコストコを気に入っているということです。


コストコは、商品の値上げ幅を最小限にしています。なぜなら、強引な値上げをすると、来年の会員費が手に入らなくなってしまうからです。

そのためコストコの値上げ率は、ウォルマートの24%、スーパーマーケット全体の30%、ホームデポの35%に比べると、はるかに低くなっています。これはコストコが自らに課したルールです。

コストコの店舗は、この目標を達成するために設計されています。コストコの店舗は、その名の通り倉庫です。そのため「バックルーム」は存在しません。

その代わり、フォークリフトでパレットを直接棚に運び、派手な装飾もなく、通路もわざと混雑させています。しかし、倉庫が大きい割に、品揃えは驚くほど少ないです。


近所のスーパーマーケットでは平均3万点、ウォルマート・スーパーセンターでは約14万点、コストコでは約4,000点程度しか扱っていません。

コストコには、ガソリンスタンド、薬局、補聴器店、眼鏡店、写真店、タイヤ店、酒屋、フードコートなどがありますが、それぞれの品目について、商品は1つか2つしかありません。

つまり、同じようなブランドが延々と並んでいて買い物客を麻痺させるのではなく、コストコが最高品質と考えるものだけを大量に提供しているのです。

これは買い物や棚入れを簡単にするだけではなく、コストコに絶大な購買力を与え、ひいてはサプライヤーに対して絶大な交渉力を与えているのです。

企業はコストコで1、2を争う存在になりたいがために、価格を下げたり、商品をコストコのニーズに合わせようとしたりします。

例えば、コストコはカシューナッツの容器を改良させ、同じスペースにより多くの商品を積めるようにして、最終的に年間24,000パレットを節約しました。ここで得た利益は客に還元されます。

もし、コストコが製品に満足していない場合は、独自の商品を作るだけです。コストコのブランドであるカークランドシグネチャーは、年間売り上げの約25%を占め、その品質の高さには定評があります。


コストコの成功のもう一つの大きな要因は、高額消費を促していることです。店内の移動は非常にわかりにくく、ほとんどの通路を歩き回るため、多くの商品を目にすることになります。

コストコの会員数の3分の1程は事業主であり、売上の3分の2は彼らによって占められています。事業者は、目にした大量の商品を購入するのです。

また、60ドル(約8,000円)の初期費用は、平均世帯収入が10万ドル(約1,300万円)の富裕層をターゲットにしています。


コストコのビジネスモデルは、あらゆる障害を競争優位に変えてしまいました。

会員制のため、新規顧客の獲得は致命的に困難です。しかし、その代わりに、無料サンプルや手厚い返品制度、そしてもちろん低価格が評価され、忠実で懐の深い常連客が生まれています。

コスト削減のための倉庫レイアウトは、買い物客を混乱させ、悩ませるはずです。しかしこれは、IKEAの商品を自らの手で作成し自分の仕事に誇りを持つのと同じように、広い店内から良い商品を見つけられたと客を喜ばすことができるのです。

この成功の方程式は、現在13カ国に輸出されており、中国にも輸出されました。上海でのグランドオープンでは、あまりの混雑に安全確保のため一時閉店を余儀なくされたほどです。

結局のところ、コストコはAmazonのように大きくなることはないでしょう。ただ株主は、ローリスクで予測可能な長期投資として、コストコを高く評価しています。

そして、コストコは商品が低価格なのにも関わらず、賃金を多く労働者に支払う企業として知られています。

コストコの245,000人の従業員の平均賃金は時給21ドル(約2,800円)で、これはアメリカの小売業平均の2倍です。また、健康保険や退職金制度も充実しており、コストコは従業員の生産性を3倍高めたといわれています。


変化が激しく、労働者への負担が問題視されるこの世の中で、コストコは他とは全く別の感覚を持った企業なのです。



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