「ディズニーの大苦戦」を日本企業が笑えない訳

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ディズニーの収益が改善しない理由に、日本企業が笑えない訳


人々がもっと外出するようになれば、ディズニープラスが苦戦しても、ディズニーのテーマパークや興行収入は改善するはずです。

ディズニーは、この分野では確かに成功しています。パークの来園数も大幅に伸び、ディズニーの収益は、基本的にパンデミック前のレベルに戻りました。実際、2021年の最終四半期は、収益面で過去最高の四半期となっています。

しかし、唯一の問題は、これらの収益がディズニーの利益に変換されていないことです。同社の純利益は、パンデミック前の5分の1程度に過ぎません。

過去数年間で、ディズニーの純利益率は20%以上からわずか3%にまで急落しています。その主な原因は営業費用の高騰です。そこには、2つの要因があります。

ディズニーはパンデミック時に数万人の従業員を解雇しました。そして、需要が回復しても欠員を補充することができていません。実際、ディズニーの総従業員数は、2年間減少しています。

需要が急速に回復し、パンデミック前の水準に戻りつつあることを考えると、ディズニーは空いたポジションを埋めるために給料を大幅に上げなければならなくなっているのです。

2万5千人の従業員が実際にディズニーの給与改善を訴えていることを考えると、さらに状況は悪化するでしょう。給料を上げることは、ディズニーの収益やディズニー株にとっては、最善の策ではありません。

従業員の確保に苦労しているのはもちろんのことですが、ディズニーはインフレとも戦う必要があります。インフレは一般人の生活に影響を与えていることと同様にディズニーにも影響を与えています。

ディズニーは、消耗品、食料、輸送、人材、エネルギーなどに対して、より多くの費用を支払わなければなりません。幸いなことに、ディズニーのパークや体験には大きな価格決定力があるため、価格を上げても、人々はそれを支払うでしょう。

しかし、そうは言っても、一律に価格を上げることは、ベストなアイデアではありません。そのため、ディズニーはこの問題にできるだけ戦略的に取り組みたいと考えています。ディズニーのCFO(最高財務責任者)は、価格上昇を最小限に抑えるために、サプライヤーの変更、製品の代替、可能な限り分量の削減を検討していると発表しました。

ディズニーはパークに関しては、大きな価格決定力を持っています。しかし、ディズニープラスに関しては、それほど大きな価格決定力を持っていません。

つまり、人々は、たまの休暇にはお金をかけてもいいと思っていますが、月額プランの値上げには敏感だということです。そのため、ディズニーが低価格を維持しながらストリーミングを倍増させ続けることは非常に困難なのです。

とはいえ、インフレや人材不足の懸念がディズニー特有のものでもありません。ディズニープラスの業績はそこまで悪いわけでもなく、ディズニーがこれらの問題から回復し、再び堅実な利益を計上し始めるのは時間の問題でしょう。

しかし、これはあくまで現実世界とネット上の両方で大規模に事業を展開する、世界最強レベルのエンタメ企業での話です。似た状況に陥っている、ストリーミング事業が収益のほとんどを占めるNetflixや、日本のエンタメ業界・飲食業界はさらに深刻なダメージを受けています。

2021年3月の総務省の調べによると、コロナ以前の2019年3月に比べ、売上高が半減したと答えた業種は「宿泊業」に続き「生活関連サービス業、娯楽業」となっています。同データによれば、同業種のうち34.21%が売上高が半減したと回答したとのこと。

ディズニーの苦戦からもわかるように、コロナ渦による深刻な状況は、アフター・コロナになれば簡単に好転するという問題でもありません。日本のエンタメ業界を支える企業は、ディズニーでさえこれほどの打撃を受けているコロナ渦とインフレに、今後立ち向かわなければならないのです。

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