iPhoneユーザーを激怒させたティム・クックの強引な試み


スティーブ・ジョブズからAppleを引き継ぎ、一時は時価総額3兆ドル(現レートで約434兆円)を超えるほどの大企業に成長させたティム・クックCEO。慎重なイメージがある同氏ですが、実は主力製品であるiPhoneで行ったとある試みで、ユーザーから大きな批判を浴びたことがあります。

この出来事について、Appleに詳しいYouTubeチャンネル「Apple Explained」が解説しています。




*Category:テクノロジー Technology|*Source:Apple Explained,wikipedia,Apple,BBC

「超有名バンドのアルバム無料配布」がiPhoneユーザーの怒りを買ったワケ


「iPhone 6」の発表会で、ティム・クックはアイルランドのロックバンド「U2」と一緒にステージに上がり、iTunesユーザー全員に彼らのニューアルバム「Songs Of Innocence」を無料で配布することを発表しました。

U2は1980年にデビューして以来、現在も同じメンバーで活動を続けている伝説的なロックバンドです。同バンドはグラミー賞を22回も獲得しており、2005年には「ロックの殿堂」入りも果たしました。


そんなU2の新アルバムが無料で配布されるというのは、一見素晴らしいサプライズに見えます。しかしこのプロモーションは、クックCEOのキャリアでも珍しいほどの失敗となったのです。

そもそも、なぜAppleはとつぜんU2のアルバムを配布したのでしょうか?その理由は、スティーブ・ジョブズがCEOを務めていたころからの、AppleとU2の長い親交にあります。

ジョブズはジョン・メイヤー、コールドプレイ、U2などの様々なミュージシャンと親交がありました。そのためAppleは彼らとコラボすることがよくあり、iPodではU2の特別仕様モデルを4つも発売しています。

この関係は、U2のリードボーカルであるボノがアフリカ諸国のHIV/AIDS撲滅のために共同設立したチャリティ団体「Product RED」でも引き継がれています。Appleの長い歴史の中で、U2とAppleは切って離せない親密な関係にあるのです。


「iPhone 6」発表当時、U2は若者の間ではそれほど知られておらず、伸び悩んでいました。そのため、U2は新たなファンを獲得する方法を探していました。

同時にティム・クックCEOも、Spotifyの爆発的な成長に直面し、iTunesの存在意義を維持することに苦悩していました。そこでAppleは、iTunesにU2の限定アルバムを制作し、すべてのiTunesユーザーに無料でそのアルバムを配布するという、一見賢明なアイデアを思いついたのです。

これは前代未聞の試みでしたが、上手くいけばiTunesを活性化させ、ユーザーの支持を集め、同時にU2も新しい人気の波に乗ることができる、という一石二鳥の策になるはずでした。

しかしこのコンセプトは、お粗末な仕様によってiPhoneユーザーを激怒させることとなります。なんと、アルバム「Songs Of Innocence」は、発表の後、約5億人にも登るiPhoneユーザーのデバイスに、勝手にダウンロードされる仕様になっていたのです。


2014年当時、iTunesの音楽ライブラリは、ユーザーのデバイスに直接保存されていました。現在のApple Musicのようなストリーミング配信ではありません。

また、同イベントで発表されたiPhone 6の最小容量モデルは、わずか16GBしか無く、iTunesに使えるストレージには限りがありました。そのため、ユーザーはダウンロードするアルバムを慎重に選んでいたのです。

そんなiTunesに、いきなり知らないバンドのアルバムがダウンロードされれば、当然ながらいい気はしません。しかも今では信じられませんが、そのアルバムはなんと、他のアルバムのように削除することすらできなかったのです。

この仕様は多くのiPhoneユーザーを怒らせ、Appleはこの対応に追われる事態となりました。結局のところ、Appleはアルバムが発売してから、わずか1週間後にアルバムを削除できるツールを配布しています。

またこの事態を受け、U2のリードボーカルであるボノも、このプロモーションについてインタビューで謝罪しています。

おっと、(その件については)失礼しました。(中略)アーティストにはそういう傾向がある。誇大妄想、寛大さ、自己顕示欲、そしてここ数年心血を注いできたこの曲が聴かれないかもしれないという深い恐怖があるんだ。

AppleもU2も素晴らしい製品や音楽をファンに向けて届けていることは間違いありません。しかし、プロモーションにおけるちょっとしたミスが、ユーザーからの大きな批判を生んでしまったのです。

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