
Duolingo, Inc.は12月2日、世界の語学学習動向をまとめた年次レポート『Duolingo Language Report 2025』を発表しました。
同時に、日本国内の20代~50代の男女3,067名を対象とした『日本国内における語学学習に関する調査』も実施。2025年の主要トピックが語学学習に与えた影響について調査しています。
世界の語学学習トレンド
日本語が世界で4番目に人気の学習言語に

2025年の世界で最も人気のある学習言語ランキングで、日本語は昨年の5位から4位に浮上しました。英語・スペイン語・フランス語に次ぐ位置づけです。2021年から2024年までは4年連続で5位でしたが、今年ついに順位を上げています。
同時に、6位にはイタリア語を抑えて韓国語がランクインしました。Duolingoが2025年にコースを大幅に拡充したことで、より多くの学習者が自身の言語から日本語や韓国語を学べるようになり、ランキングの変動が生まれたとのことです。
日本が「多言語学習国」で初の首位獲得
「3言語以上学習しているユーザーが最も多い国」ランキングでは、日本が長年トップ争いをしてきたフィンランド、ドイツ、英国を抑え、初めて1位となりました。2位はオーストラリア、3位フィンランド、4位ドイツ、5位英国が続きます。
日本の学習者に最も人気だった言語は英語で、次いで韓国語が続いており、この傾向は2021年以降変わっていません。
日本が「最も学習熱心な国」で2年連続首位
学習に費やす平均時間に基づく「最も熱心な学習者が多い国」ランキングでも、日本は2年連続で首位を獲得しました。過去4年間では3度目の首位となります。上位5か国には、ハンガリー(2位)、ベラルーシ(3位)、ロシア(4位)、ドイツ(5位)が続いています。
英語学習需要の高まりで資格認定需要も増加
世界では79%の国で英語が最も学習されている言語です。Duolingoでは27言語話者向けに英語コースを提供しており、中級・上級者向けの上級英語コースも導入されています。
2025年には、219か国・148の母語を話す人々がDuolingo English Test(DET)を受験し、2024年から大きく増加しました。地域別ではアジアが引き続き最も多く、全受験の55%を占めています。
日本市場でも受験者が増加しており、2025年には日本市場への本格参入が発表されています。文部科学省の「大学入学者選抜における総合的な英語力評価を推進するためのワーキンググループ」への参画や、教員向け受験制度の導入など、公平でアクセスしやすい英語力評価の実現を目指し、国内での取り組みが拡大されているとのことです。
日本国内の語学学習トレンド
約半数が義務教育以外で語学学習経験あり
調査では、義務教育を除いた自発的な語学学習の経験について尋ねました。現在、語学学習を行っている人は20.6%となっています。
過去に行っていた人も含めると、その割合は46.1%となり、約半数が義務教育以外で語学を学んだ経験があることが分かりました。
一方、現在語学学習を行っていない人のうち30.1%は「今後語学学習に挑戦したい」と回答しています。学んでみたい言語として最も多く挙がったのは英語(83.8%)で、次に韓国語(25.2%)が続きました。
学習のハードルは「成果が出ない」「継続できない」
語学学習のハードルについては、現在学習している人では「成果が出ない」(19.3%)や「時間がない」(14.9%)が上位となりました。
過去に学習していたが現在は行っていない人では、「継続できない」が最も多く(22.2%)、次いで「時間がない」(15.5%)が続きます。一方、自発的な語学学習経験がない人にとってのハードルとしては、「必要性を感じない」が最も多く、「お金がかかる」も理由として挙がりました。
語学学習経験者では「お金がかかる」が比較的少ないことを踏まえると、語学学習がアプリや会話型AIなどを通じてより安価に行えることを知っているかどうかが、認識の差につながっている可能性が考えられるとのことです。
アプリが依然として人気、デジタルシフトが顕著

語学学習経験のある1,413人を対象に学習方法について尋ねたところ、「アプリ」(37.9%)が最も多く、次いで「YouTubeやNetflixなどの動画サイト」(37.2%)、「ChatGPT」(35.7%)が続きました。これは「教本」(32.1%)や「対面レッスン」(21.9%)よりも高い結果です。
「ChatGPT」や「YouTubeやNetflixなどの動画サイト」は若い世代ほど利用率が高まる一方、アプリは全世代で35%を超えており、年代を問わず幅広く利用されていることが分かりました。
現在学習を続けている層ではアプリが最も支持されていたのに対し、過去に学習していた層では教本の利用が最も多く、ChatGPTの利用率も29.7%と大きな差が見られました。また、現在学習している人ではオンラインレッスンの利用が対面レッスンを上回る一方、過去に学習していた人では対面レッスンの方が多く、学習方法がデジタルへとシフトしている傾向が伺えるとのことです。
語学学習体験ではアプリが会話型AIツールに軍配

語学学習における8つの評価ポイントについて、「語学学習アプリ」と「ChatGPTやBingといった会話型AIツール」のどちらがより当てはまると感じるかを尋ねました。
8項目中7項目で、とくに利用者の体験に関する多くの項目で語学学習アプリを選ぶ人が多いという傾向が見られました。
とくに差が大きかったのは、学習の楽しさ・没入感(差分18.8ポイント)、学習の続けやすさ(継続性)(17.7ポイント)の2項目です。語学学習アプリは、ゲーム性や段階的に成長を実感できる仕組みによって、学習を前向きに続けられる点が高く評価されていることが分かります。
一方で、学習内容のカスタマイズ性については会話型AIツールを支持する回答が多く見られました。AIツールは自由にプロンプトを入力でき、その場の興味や目的に合わせて内容を変えられるため、幅広い使い方ができる点が魅力として挙げられるとのことです。
翻訳サービスが進化しても語学学習の価値は維持

2025年にはAirPods Pro 3のライブ翻訳機能やGoogle Meetの同時翻訳など、さまざまなリアルタイム翻訳機能が登場しました。
そこで調査では、通訳・翻訳ツールが広がる中でも自分自身で語学力を身につけたいと思うかを尋ねたところ、56.3%が「非常に思う」または「やや思う」と回答しました。
理由としては「自己成長や自己肯定感に繋がるから」(28.5%)、「遅延のない自然なコミュニケーションがしたいから」(23.7%)、「異文化理解のため」(22.2%)といった回答が多く寄せられています。
多くの人が単なるツールの利便性を超えて、自分自身の成長や、文化的背景を含めた深いコミュニケーションを求めて語学学習に取り組んでいることが分かります。
大阪・関西万博が外国語学習への関心を後押し

2025年の大きなトピックである大阪・関西万博について、回答者のうち794名が実際に来場したと回答しました。
そのうち82.1%が「他の国や地域に興味を持つきっかけになった」と答えており、万博が新たな関心を喚起する場となっていたことが伺えます。
万博来場前後で外国文化や他言語への興味の変化を比較したところ、「興味がある層」へとステップアップした人は27.3%でした。
また、万博前に「興味がない」と回答していた層に限っても、約23%が来場後に興味を持つように変化しており、低関心層にも一定の影響が見られました。
実際に72.9%は大阪・関西万博をきっかけに「外国語を学びたいと感じた」と回答し、万博という国際的な場が、単なる見学の機会ではなく、日本の人々が新たな学びへ踏み出す契機として大きく作用していたことが示されました。
Duolingoについて
「誰もが利用できる、世界最高の教育を開発する」ことをミッションに、モバイル学習プラットフォーム「Duolingo」および英語力認定試験「Duolingo English Test」を提供しています。
Duolingoは世界で最も人気のあるモバイル学習プラットフォームであり、教育カテゴリにおいて世界で最も多くダウンロードされているアプリです。短く遊び感覚で取り組めるレッスンを通じて、言語・数学・音楽・チェスを学ぶことができます。英語だけでなく、スペイン語、フランス語、ドイツ語、韓国語など、合計250以上のコースが提供されています。
「Duolingo English Test」は、海外大学進学など英語力の証明が必要とされる場面で利用できる信頼性の高い試験です。地理的・経済的制約に縛られることなく受験することができ、現在世界6,000以上の教育機関で受け入れられています。
- Duolingo公式サイト:https://www.duolingo.com
- Duolingo Language Report 2025 ブログ記事:https://blog.duolingo.com/ja/language-report-2025/
©Duolingo, Inc.
