近年のeスポーツ業界の盛り上がりに伴って、取り組む学校が増えてきている「eスポーツの部活動」。
本記事では、そんなeスポーツの部活について解説しています。eスポーツを部活で行うことのメリット・デメリット、実際にeスポーツ部のある学校の例などを記載。
現時点では、サッカーや野球、吹奏楽のように一般的な部活動としてはまだまだ発展途上です。
しかし、プロeスポーツ選手が職業として認知されていくにつれて部活動も増えていくと考えられるので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
eスポーツの部活とは?
eスポーツの部活とは、その名の通り高校など学校でeスポーツに取り組む部活動のことです。
また、学校だけでなく、一般企業でも福利厚生の一環としてeスポーツ部が設置されているところがあります。
活動内容は、その名の通りeスポーツ対象種目の技術向上と、eスポーツを通じた学生同士のコミュニケーションです。
もちろんただのコミュニケーションツールとしてだけでなく、学生向けの大会なども開催されていることから、競技として取り組む学校も増えてきているようです。
「学校でゲームをするなんて……」という声もありますが、文部科学省の後押しや日本eスポーツ連合が経済産業省と連携して取り組みを行っていることもあり、徐々に部活動として認知されてきています。
単純にゲームで遊ぶだけでなく、競技として目標に向かってチームで取り組めるのも良い点です。
eスポーツの部活が増えている理由
eスポーツの部活動が増えている理由は主に以下の3点です。
- eスポーツにも教育的効果があるとされている
- 高校生など学生向けの大会がある
- 経産省や文科省などがeスポーツの発展を推進している
北米教育eスポーツ連盟(NASEF)によれば、eスポーツは論理的思考や問題解決力を向上させるのに効果的であるとされています。
また、チームでの競技種目であるという点から、コミュニケーション力を身につけることが可能です。
「全国高校eスポーツ選手権」をはじめとした高校生向けの大会や、13歳以上15歳未満を対象とするeスポーツのプロジュニアライセンスなど、eスポーツに取り組むための環境が整ってきている点が追い風に。
加えて、経産省や文科省がeスポーツ支援を打ち出していることや、次項で解説するeスポーツの支援プログラムなどの存在もあり、一般的な部活動のひとつとしてeスポーツが取り入れやすくなっている状況です。
高校eスポーツ部支援プログラム
BTOパソコンショップ「ドスパラ」の運営などを行う「株式会社サードウェーブ」は、全国の高校にゲーミングPCやネット回線を無償で貸し出す「高校eスポーツ部支援プログラム」を発足させました。
2018年に開始されたプログラムで、何度か申し込み期間が延長されています。
2022年現在、申し込み受け付けは終了していますが、今後復活の可能性もあるのでチェックしておきましょう。
eスポーツ用PCとネット回線を1年間無料で貸出
「高校eスポーツ部支援プログラム」では、下記製品を全国の高校先着500校に、1年間無償で貸し出すというものです。
- デスクトップのゲーミングPC3台
- モニターを3台
- ネット回線「サードウェーブ光」
このプログラムを利用すれば、学校側では特に設備を用意しなくても、1年間はコストがかからずeスポーツ部が活動できます。
また、どんな機材を用意すればいいのか分からないという学校にも便利なプログラムです。
申し込みは規定の用紙に記入し、事務局にメールかFAXで送信するだけ。
その後はサードウェーブ光の開通日前後にPCとモニターが届くので、すぐに活動を開始できます。
期間終了後は月額レンタルか買い取りも可能
無料期間終了後は、以下の3つから対応を選ぶことができます。
- 返却
- 月額22,000円(税込)で継続利用
- 機材を買い取り
単にプログラム終了後即返却というわけではなく、1年間使い慣れた機材をそのまま利用できるのがポイント。
月額か買取かは各校の予算にあわせて選ぶことができます。
eスポーツ部のメリット・デメリット
eスポーツ部のメリットとデメリットについて解説します。
eスポーツそのものにもメリットとデメリットはありますが、今回はeスポーツ部に限定して記載。部活動特有の内容となっています。
メリット
eスポーツ部のメリットは、ゲームを通じてコミュニケーションが広がることです。
チームを組んで大会に参加する点と、eスポーツに限らずゲームをプレイする中学生・高校生は多い点から、自然と周囲との会話にも繋がります。
また、部活動として行うことで個人が負担する機材へのコストを抑えることが可能です。
ゲーミングPCはそれなりに高額なので、部活動として行うことで、eスポーツに取り組むハードルを越えやすくなります。
デメリット
eスポーツ部におけるデメリットは、周囲の理解を得るのが難しい点です。
eスポーツのプロ選手の存在など、昔に比べればかなり認知されてきているとは言え、「ゲーム = 遊び」という印象は、あながち間違いでも無いためまだまだ一般的です。
「eスポーツ = 競技」と周囲に理解してもらうのに、少し苦労するかもしれません。
また、学校側としてはeスポーツ部の設立には機材に対しての先行投資が必要となり、コストがかかる点もデメリットとなっています。
練習されている主なゲームタイトル
高校eスポーツで練習されている主なタイトルは以下のようなものがあります。
- ロケットリーグ
- リーグ・オブ・レジェンド
- フォートナイト
- クラッシュロワイヤル
上記は高校生のeスポーツ大会で採用されているタイトルなので、必然的にeスポーツ部での練習種目として採用されやすくなります。
もちろん、年齢制限のない大会もあるためこれ以外のタイトルに取り組む高校も多数あるはずで、どれをプレイするかは各校の自由です。
しかし、これからeスポーツ部を発足するというような場合は、まずは高校生用の大規模大会で競技種目にあげられているタイトルを練習するのがおすすめ。
主な高校生向けの大会
高校生向けのeスポーツ大会で、有名かつ大規模なものは下記2点です。
- 全国高校eスポーツ選手権
- 高校生eスポーツ大会「STAGE:0」(ステージゼロ)
いずれも全国の高校が学校ごとにチームを組んで参加する形式で、実質eスポーツ部の甲子園のようなものです。
前項であげたタイトルが競技種目となっているので、eスポーツ部で活動する場合はこうした大会への参加を目標のひとつとするのがおすすめ。
もちろんこれ以外にも、高校生向けのeスポーツ大会は開催されています。
eスポーツの部活がある学校
eスポーツの部活動が設立されている学校は全国各地にありますが、その内のいくつかをご紹介します。
いずれも競技としてのeスポーツに真面目に取り組んでいる学校です。
eスポーツ部の創部を考えている学校や入部を希望している生徒の方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
eスポーツ部がある中学校
eスポーツ部のある中学校は以下のような学校です。
- 成立学園(東京)
- 横浜中学校(神奈川)
中学校でeスポーツ部のある学校はまだまだ少ないようです。
これには中学生向けの大規模な大会がほとんど無い点も影響しています。
高校生になるとeスポーツ部の数はぐんと増えるので、近くにeスポーツ部のある中学校が無い方は、まずは自宅などで練習を積んでみてはいかがでしょうか。
eスポーツ部がある高校
eスポーツ部のある高校は以下のような学校です。
- 横浜清風高等学校(神奈川)
- 大阪府立吹田高等学校(大阪)
- 阿南工業高等専門学校(徳島)
- 佐賀県立鹿島高等学校(佐賀)
- 大分県立鶴崎工業高等(大分)
- 岡山県共生高等学校(岡山)
いずれも全国高校eスポーツ選手権などの大会で決勝大会に進出した実績などがあります。
もちろん上記以外にも強豪校はあるので、高校でeスポーツに取り組んでみたいという方は参考にしてください。
他にも強豪校が知りたい場合は、各大会の決勝大会の参加チームを見てみると良いでしょう。
eスポーツ部がある通信制高校
eスポーツ部がある通信制高校は以下のような学校があります。
- N高等学校・S高等学校
- ルネサンス高等学校
通信制高校はeスポーツにおける強豪校が多い傾向にあります。
なかでもN高等学校・S高等学校は2,000チーム以上が参加した全国高校対抗eスポーツ大会「STAGE:0 2021」において、大会三連覇を成し遂げるなど輝かしい実績をあげています。
まとめ
eスポーツを部活動で行うのは、コミニュケーションの面でもコストの面でもメリットがあります。
競技として高校生向けの大規模な大会も開催されており、他の部活動と同様にチームで取り組む土壌が用意されるようになってきました。
一方で、機材への投資や周囲の理解など、まだまだ越える必要のあるハードルもあります。
しかし、経産省・文科省による推進の効果や、プロジュニアライセンスの存在もあって以前よりも追い風の状況です。
全国各地でeスポーツ部が設置されている学校もあるので、興味のある方はぜひ挑戦してみてください。