人間そっくりでゾッとする…ChatGPT搭載キャラをゲーム内で生活させた結果

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RPGゲームに登場するNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)といえば、決まった定型文しか返さないのが通例です。しかしChatGPTのような生成AIの登場により、NPCは人間と見分けがつかないレベルまで進化するかもしれません。

米スタンフォード大学とGoogleの研究グループが、ChatGPTとカスタムコードで制御された25人のキャラクターを、「The Sims」のようなRPGスタイルの仮想世界で生活させる実験を行っています。

*Category:テクノロジー Technology *Source:Ars technica ,Cornel University ,reverie

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ChatGPTを組み込んだ「25人のNPC」をゲーム内で生活させた結果


研究者の目的はあくまでゲームの作製ではなく、「人間の行動の双方向性のあるシミュラクラ」を実現することです。これを実現するため、研究者たちは大規模言語モデル(LLM)、特にChatGPT APIを利用しました。さらに、記憶と経験を保存できる仕組みもつくり、擬似的な人格を実現しています。

エージェントは環境を知覚し、すべての知覚はメモリストリームと呼ばれるエージェントの経験の包括的な記録に保存される。アーキテクチャは、その知覚に基づいて、関連する記憶を検索し、その検索された記憶を使用して行動を決定する。また、これらの検索された記憶は、より長期的な計画を形成するために使用され、より高いレベルの反射を作成し、これらは両方とも将来の使用のためにメモリストリームに入力されます。

このAI搭載NPCを研究するため、研究者たちは「Smallville(小さな村)」と呼ばれる、家、カフェ、公園、食料品店などを含む仮想の町を設定しました。また、人間プレイヤーも交流できるようにするため、この世界は、16ビットの古典的なRPGを思わせるデザインで構築されています。


また、各NPCのアイデンティティとコミュニティの他のメンバーとのつながりを捉えるために、研究者は自然言語記述のパラグラフをシードメモリとして作成しました。この説明文には、各エージェントの職業や他のエージェントとの関係などの詳細が含まれています。例えば、この論文で紹介されているシードメモリの抜粋は以下の通りです。

ジョン・リンは、ウィロー・マーケット&ファーマシーの薬局店員で、人を助けることが大好きです。彼はいつも、お客さんが薬を手に入れるプロセスをより簡単にする方法を探しています。ジョン・リンは、大学教授である妻のメイ・リン、音楽理論を学ぶ学生の息子エディ・リンと暮らしています。ジョン・リンは家族をとても大切にしています。

仮想環境の中はオープンワールドのRPGを思わせるもので、NPCとは自然言語でコミュニケーションを取ることもできます。


仮想環境であるSmallvilleは、エリアとオブジェクトの両方に分かれています。人間のユーザーは、既存または新規のエージェントとして世界に入ることができ、ユーザーとエージェントの両方が、行動を通じてオブジェクトの状態に影響を与えることができます。

また、人間のユーザーは、会話や「インナーボイス」として指示を出すことで、AIエージェントと対話することができます。ユーザーは自然言語でコミュニケーションをとり、エージェントが認識するペルソナを指定したり、インナーボイスを使ってエージェントのアクションに影響を与えることができます。

興味深いことに、AIキャラクター同士が出会うと、ChatGPTが提供する自然言語を使って会話を行い、日常生活に関する情報を交換し、記憶を形成していきます。これらの基本的な要素を組み合わせてシミュレーションを行ったところ、面白いことが起こり始めました。

論文によれば、NPCはシミュレーションの結果、以下のような予期せぬ3つの創発行動を行ったとのこと。これらはいずれも事前にプログラムされたものではなく、「エージェント(NPC)間の相互作用」から生じたものだそうです

  • 情報拡散:AI同士が情報を伝え合い、それが町の中で社会的に広まる
  • 関係記憶:AI同士の過去のやり取りを記憶し、後でその出来事に触れる
  • 調整:他のエージェントと一緒にバレンタインデーパーティーを計画し、参加する

バレンタインデーの実験では、イザベラ・ロドリゲスというAIキャラクターが「Hobbs Cafe」でバレンタインデーのパーティーを企画し、友人やお客さんを招待しました。彼女は友人のマリアの助けを借りてカフェを飾り付け、彼女の片思いの相手であるクラウスをパーティーに招待したそうです。

またAIキャラクター達は自律的に招待状を広げ、一緒に行けるように日程調整まで行ったとのこと。ただし、12人のキャラクターが他の人を通してパーティーのことを知ったものの、参加したのは5人(クラウスとマリアを含む)だけだったそうです。3人は「忙しかった」と言い、4人は「行かなかった」だけでした。

研究についてはTwitter上で話題にもなり、「NPCを倒したら、勝手に葬儀を行ったりするようになるかも」というゾッとするようなコメントもありました。しかし研究を見る限り、冗談ではなくこれは十分現実となりえることです。

Smallvilleの様子はこちらのウェブサイトで公開されています。ただし、これは論文で説明されている通り「シミュレーションの事前計算による再生」であり、リアルタイムのシミュレーションではないとのことです。

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