他人のウンチを自分の腸に入れる〝大便移植〟の効果とは?

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他人の便を体内に取り入れる「FMT(便微生物移植)」という新しい研究が行われています。一見、非常に奇妙な研究ですが、他人の便を体内に取り入れることによって健康になる可能性があるのです。

この研究の詳細について、海外YouTubeチャンネル「TED-Ed」が解説しています。



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*Category:サイエンス Science *Source:TED-Ed,wikipedia

目次

他人の便を移植すると何が変わるのか?


腸には、何兆個もの細菌、ウイルス、菌類、古細菌が住んでいます。これらの微生物を総称して腸内細菌と呼びますが、それぞれ特殊な能力を持っています。例えば「食べ物の分解」「ビタミンの生成」「免疫効果」「感染症予防」などです。つまり、腸内の微生物は人間の生命維持に不可欠だということです。


そのため、栄養不良や慢性疾患、抗生物質によって微生物の微妙なバランスが崩れてしまうと、細菌・真菌の過剰繁殖や感染性の下痢などの問題を引き起こします。この問題を解決する方法として「FMT」が注目されています。この移植を行えば、新しい微生物を腸に注入でき、腸内細菌をリセットすることができるとのことです。

ただ、この治療法はまだ新しいもので、どのように作用するのか、未解決の問題が山積みです。

現在、米国食品医薬品局は、最も手強い腸内感染症のひとつである「クロストリジウム・ディフィシル菌」に対抗するために、実験的に「FMT」を行っています。「クロストリジウム・ディフィシル菌」は大腸内で芽胞を形成し、抗生物質に対する免疫を持っているため破壊することが非常に困難です。


この感染症にかかった患者は、抗生物質による治療をしても、数カ月にわたって断続的に発熱し、腹部のけいれんや激しい下痢の症状がでます。


このように症状が悪化した時「FMT」の出番です。

便の移植をするために医者はまず、便バンクから便を採取します。この便は冷凍されていて、危険な菌に感染していないことが確認されています。便バンクに保存される便になるためには、非常に厳しい基準をクリアする必要があり、便バンクの受け入れ率は3%未満とのことです。


次に医者は、その便を錠剤、もしくは胃や大腸にチューブを通して患者の体内に入れます。


そして、移植された便(微生物)は腸管内を移動して大腸に到達し、そこで急速に増殖して感染性病原体を破壊するのです。この施術は非常に効果的で、1回の治療で80%以上の患者が完治します。


現状「FMT」は実験的な治療法として分類されていますが、将来的には活用されるようになるでしょう。期待されているのは糖尿病の治療や、不安や抑うつの治療です。現にマウスでの実験ではこれらの症状が改善されたという報告が出ています。

また科学者たちは、さまざまな腸疾患、自己免疫疾患、腫瘍疾患、さらには精神疾患と関連する異なる微生物パターンを発見し始めています。


このように腸内細菌を変えることで、新しい治療法がいくつも生まれる可能性は十分にあるのです。

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