
VeritasChain株式会社は2月2日、証跡作成カメラアプリ「VeraSnap」がLiDARによる実物判定に対応したことを発表しました。AppStoreにてVeraSnap v1.2として公開されます。
LiDAR対応による実物判定機能

VeritasChain Standards Organization(VSO)が規定・開発するCPP(Capture Provenance Profile)に準拠した同アプリは、LiDAR深度センシングとオープン標準の暗号学的プロベナンスプロトコルを組み合わせた世界初のコンシューマー向けスマートフォンアプリケーションです。
撮影対象が本物かスクリーンかを判定可能となり、証跡能力が一段と向上しました。撮影時に49,152点の3D深度データを取得し、被写体が実世界の立体物か平面スクリーンかをリアルタイムで判定します。実世界のシーンは深度にばらつきがある一方、スクリーンは均一な深度を示すという物理的特性を活用しているとのことです。

これにより、保険金請求における写真詐欺の防止、法的証拠としての信頼性向上、リモート検査での不正防止が可能になります。生の深度データは保存せずハッシュ値のみを記録するプライバシー保護設計も特徴となっています。

「アナログホール」対策でディープフェイク問題に対応

従来のコンテンツ認証システムには「アナログホール」と呼ばれる重大な脆弱性が存在していました。AIが生成した偽画像やディープフェイクを高解像度スクリーンに表示し、それを正規のカメラで撮影すれば、暗号学的には「真正な写真」として認証されてしまうのです。
VeraSnapのLiDAR深度分析は、この脆弱性を解決します。信頼度スコアも表示されるため、客観的な検証が可能です。

対応機種
LiDAR搭載iPhone・iPad対応機種は以下の通りです。
- iPhone 12 Pro
- iPhone 12 Pro Max
- iPhone 13 Pro
- iPhone 13 Pro Max
- iPhone 14 Pro
- iPhone 14 Pro Max
- iPhone 15 Pro
- iPhone 15 Pro Max
- iPhone 16 Pro
- iPhone 16 Pro Max
- iPhone 17 Pro
- iPhone 17 Pro Max
- iPad Pro 11インチ
- iPad Pro 12.9インチ
- iPad Pro 13インチ
お使いの端末がLiDAR対応か確認するには、VeraSnapアプリをインストールし、「設定」タブから対応・非対応をご確認いただけます。
iPad OSへの対応予定

VeraSnap v1.3でiPadにも対応する予定です。2026年2月アップデートにてリリースされるとのことです。
世界で稼働しているiPadは2025年2月時点で2~3億台と推定されており、現場で使われることが多いiPadでの対応を望む声から実現されました。ケースごとの管理に対応し、現場での活用利便性が一段と向上しました。
ディープリンクにも対応し、証跡のやり取りが簡単になります。

Android版の開発状況
Android版についても開発中で、2026年2月中のリリースを目指しています。
Android版VeraSnapは、iOS版と完全な相互運用性を持ち、CPP仕様v1.5に完全準拠しているとのことです。撮影された証拠データは、プラットフォームを問わず同一の検証基盤で真正性を確認できます。
主な機能として、RFC 3161準拠のタイムスタンプ局(TSA)との連携による第三者証明、LiDAR/ToFセンサーを活用したスクリーン撮影検知、生体認証と連動した本人確認付き撮影モード(Attested Capture)を搭載しています。
Android固有の機能として、TPM 2.0/StrongBoxによるハードウェアレベルの鍵保護にも対応し、エンタープライズ環境での導入にも適しているとのことです。
ケース管理機能の強化
案件・プロジェクト単位で証拠を整理できる「ケース管理」機能を標準搭載します。建設現場の工程記録、保険査定の事故写真、法的証拠の収集など、業務用途での活用を想定した設計となっています。各ケースにはアイコンとカラーを設定でき、直感的な分類が可能です。
VeraCheck検証機能

アプリ内の「VeraCheck」機能により、他者から受け取った証拠データの検証をオフラインで実行できます。JSONファイルのインポートまたはペーストに対応し、ハッシュチェーンの整合性、電子署名の有効性、TSAタイムスタンプの検証を数秒で完了するとのことです。
検証結果は視覚的なバッジで表示され、専門知識がなくても証拠の信頼性を確認できます。
10言語対応のグローバル展開
以下の10言語に対応予定です。
- 英語
- 日本語
- 中国語(簡体字・繁体字)
- 韓国語
- スペイン語
- フランス語
- ドイツ語
- ポルトガル語
- アラビア語
国際的なビジネスシーンや多言語環境での利用を想定しています。
プライバシー・バイ・デザイン
位置情報はデフォルトOFF、生体認証データはデバイス外に送信されず、すべての検証処理はオンデバイスで完結するとのことです。GDPRおよび各国のプライバシー規制に準拠した設計となっています。

Android版対応要件
- Android 10(API 29)以上
- Google Playストアにて無料配信(Pro機能は有料)
- 対応端末:LiDAR/ToFセンサー搭載端末でDepth Analysis機能が利用可能
Pro機能について
写真・動画撮影、RFC 3161タイムスタンプ、生体認証証明、LiDAR深度分析、ケース分け機能、法務用エクスポート機能など、証跡能力に関わるすべての機能は無料でご利用いただけます。アプリ内広告も一切ありません。
有料(Pro)プラン(月額$9.99・2026年2月時点)では、無制限の証拠保存に対応します。無料プランの保存上限は、撮影累積ではなく、削除ごとにリセットされるため、無料でも継続的にご利用いただけるとのことです。
証拠能力の民主化を目指し、世界中の個人様から企業様まで、幅広くお使いいただける価格設定としたということです。
※2026年2月2日時点で、有料機能は開発中です。企業版・エンタープライズ版の開発・ご利用については、developers@veritaschain.org までご連絡ください。
オープン仕様「CPP v1.5」公開

VeritasChain Standards Organization(VSO)は、デジタルコンテンツの撮影証跡を暗号学的に証明するオープン仕様「Capture Provenance Profile(CPP)」のバージョン1.5を2026年1月30日に公開しました。
CPP v1.5の最大の特徴は、SNSへの投稿直前にコンテンツの出所を検証する「Pre-Publish Verification Extension」の追加です。ユーザーがSNSで写真や動画をシェアする瞬間に、そのコンテンツがいつ・どこで・誰によって撮影されたかを暗号学的に検証し、追跡可能な出所情報があることを示すことができます。
本拡張は、ディープフェイクや生成AIコンテンツの急増により「本物の写真・動画」の価値が高まる中、一般ユーザーが日常的に利用するSNSプラットフォームと連携することで、コンテンツ真正性の普及を加速させることを目的としているとのことです。

主な技術的特徴
Silent Failure設計として、検証に失敗した場合でもシェアフローをブロックせず、ユーザー体験を損なわない設計を採用しています。200ミリ秒以内の高速検証を実現し、実用的なワークフロー統合を可能にしたということです。
ProvenanceIndicatorにより、検証結果を示す視覚的インジケータの仕様を標準化します。ただし「Verified」「Authentic」「Trusted」など誤解を招く7つの用語の使用を禁止し、「Provenance Available(出所情報あり)」という事実のみを伝達するとのことです。これは「出所証明≠真実の証明」という原則を徹底するものです。
C2PA相互運用性では、Adobe・Microsoft・Googleらが推進するC2PA規格との明示的なフィールドマッピングを定義しています。CPPとC2PA両方のマニフェストを同時出力する「Dual-Standard Output」にも対応し、業界標準との共存を実現しました。
3段階の免責事項テンプレートを提供し、各国の法規制に準拠した適切な開示を支援するとのことです。
CPP v1.5は、CC BY 4.0ライセンスの下でGitHubにて公開されており、誰でも無償で実装可能です。本仕様はIETF Internet-Draft(draft-vso-cpp-core-00)としても提出されており、国際標準化を目指しています。
急成長するコンテンツ真正性市場

デジタルコンテンツの信頼性を暗号学的に保証する「メディア・プロベナンス」市場は、生成AIの急速な普及とディープフェイクの社会問題化を背景に、世界的な成長期に入っています。
複数の市場調査機関によると、同市場の規模は2024年時点で約1.3億ドル(約195億円)、年間成長率23.6%で拡大を続け、2033年には約7.8億ドル(約1,170億円)に達する見通しです。
ディープフェイク検知やAIコンテンツ検知を含む隣接市場全体では、2033年までに数十億ドル規模への成長が予測されています。
この市場でVeraSnapと最も近い事業領域を持つ米国Truepic社は、撮影時点でのコンテンツ真正性を保証するカメラSDKを提供し、累計約3,575万ドル(約54億円)を調達しています。
2021年のSeries Bラウンド(2,600万ドル)では、MicrosoftのVC「M12」がリードし、Adobe、Sony Innovation Fundなど、C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)の中核企業が戦略的投資家として参加しました。コンテンツ真正性技術がデジタル社会の信頼基盤として認識されていることの証左です。
C2PAエコシステムの拡大も成長を後押ししています。2025年にはGoogle Pixel 10がC2PA認証を取得、Leica・Nikon・Sonyのカメラも対応を完了しました。欧州AI規則など各国の規制強化もプロベナンス技術への需要を加速させています。
VeraSnapはこの急成長市場で独自のポジションを確立しており、RFC 3161準拠の外部タイムスタンプ局による第三者時刻証明、生体認証による撮影者バインディング、LiDARを活用した画面撮影検知など、法的証拠性に特化した技術スタックは保険・リーガル・建設・報道分野で既存ソリューションと一線を画しています。
C2PA互換エクスポートにより業界標準との統合も実現し、CPP仕様はIETFインターネットドラフトとして公開済みです。
学術論文をZenodoにて公開

VeritasChain株式会社は、VeraSnapの中核技術であるCompleteness Invariant(完全性不変量)に関する学術論文「XOR-Based Completeness Invariants for Tamper-Evident Evidence Sets: Detecting Omission Attacks in Digital Forensics」を、欧州原子核研究機構(CERN)が運営するオープンアクセスリポジトリZenodoにて公開しました(DOI: 10.5281/zenodo.18455556)。
デジタル証拠の改ざん防止において、既存の技術(ハッシュチェーン、Merkle木、電子署名、C2PAマニフェスト)は「データが変更されていないこと」を検証できますが、「データが選択的に削除されていないこと」は検出できません。
本論文では、SHA-256ハッシュのXOR集約を用いた軽量な暗号プリミティブを提案し、OmitForgeセキュリティゲームによる形式的な安全性証明を提示しています。
VeraSnapに実装済みの本技術は、1万件の証拠セッションで評価を行い、イベントあたり0.003ミリ秒の処理オーバーヘッドと100%の削除検出率を実現しているとのことです。検証に必要なデータはわずか56バイトであり、スマートフォン上での実用的な運用を可能にしました。
本論文はCreative Commons Attribution 4.0ライセンスのもとで公開されており、どなたでも自由に閲覧・利用いただけます。また、本技術の基盤であるContent Provenance Protocol(CPP)仕様はIETFインターネットドラフト(draft-vso-cpp-core-00)として標準化手続きを進めています。
開発責任者からのコメント
VeraSnap開発責任者の上村十勝さんは「本物と見分けがつかないAIコンテンツ氾濫時代において『個人で手軽に高度な暗号学的証明ができる』フラグシップ・アプリケーションを目指し、開発を進めてまいります」とコメントしています。
ダウンロード・詳細情報
- VeraSnap(App Store):https://apps.apple.com/us/app/verasnap/id6757994770
- VeraSnap について(日本語):https://veritaschain.org/vap/cpp/verasnap/ja/
- CPP について(日本語):https://veritaschain.org/vap/cpp/ja/
- CPP仕様(GitHub):https://github.com/veritaschain/cpp-spec
- 世界初レポート(英語):https://github.com/veritaschain/verasnap/blob/main/docs/VeraSnap_World_First_Claim_Final_Analysis_en.md
- 世界初レポート(日本語):https://github.com/veritaschain/verasnap/blob/main/docs/VeraSnap_World_First_Claim_Final_Analysis_ja.md
- 学術論文(Zenodo):https://doi.org/10.5281/zenodo.18455556
- 開発責任者LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/tokachi/
