コカ・コーラが「打倒ペプシ」を掲げて行った新計画
1980年代初頭、コカ・コーラは独自の内部味覚テストを開始しました。そのテストでは、ペプシとコカ・コーラのどちらかを選んでもらうのではなく、ペプシ、コカ・コーラ、そして新製法のコーラを選んでもらうようにしたのです。
そして、コカ・コーラは自分たちのオリジナル製品が魅力を失いつつあり、戦略を見直す時期が来ていると確信しました。
彼らは何年もかけて味を調整し、19万回ものブラインドテストを行いました。そして、新しい製法が好まれる味であることを明確に証明できるまで、変更を決断することはありませんでした。
ついに、1985年4月23日、コカ・コーラのCEOであるロベルト・ゴイズエタは、新しいコーラの発売を誇らしげに発表します。
しかし、その期待とは裏腹に、新しいコーラは発売された瞬間から障害にぶつかり始めました。 まず、新しいコーラの発売自体が、ペプシが以前のコカ・コーラより優れた製品だったことを認めることになってしまいました。
そして、ペプシと同じように、オリジナルのコカ・コーラよりも新しいコーラは甘さが際立っていました。これもまた、ペプシが正しかったと認めることになったのです。
この新しいコカ・コーラの登場に、ペプシの幹部は有頂天になりました。発売から87年後にして、ついにコカ・コーラが彼らを認めたのですから。ペプシの幹部は、実はその日一日、従業員に休みを与えるほど舞い上がっていたそうです。
一方、コカ・コーラの幹部も非常に楽観的でした。CEOは新しいコーラを「これまでで最も確実な一手」と呼び、社長は「新しいコーラはこれまでで最も自信のある製品です」と宣言しました。
コカ・コーラは、ペプシが正しかったことを公に認めながらも、今や決定的に優れた製品を手に入れたと考えていました。なぜなら新しいコーラは、19万回の味覚テストを実施した自信作だったからです。
しかし、この計画は歴史に残る大失敗に終わります。